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シンガポール金融管理局、執行報告書を公表

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update 2022.01.27 14:59
シンガポール金融管理局、執行報告書を公表

update 2022.01.27 14:59

ブローカーの内部管理体制の強化促進を模索

シンガポール金融管理局(The Monetary Authority of Singapore)【以下、MASと称す】は3月20日、2017年7月から2018年12月までにMASが掲げる規定または規制策に違反する業者に対する法執行状況及び重点課題を明確化した執行報告書(Enforcement Report)を初めて公表した。[1]

MASの執行方針は、ブローカーの不適切行為の軽減もしくはそのような行為を未然に防ぐことに重きを置いており、この度執行報告書を初めて公表することで犯罪と疑わしき取引を阻止するブローカーとしての高い職業倫理及び行為基準の形成を図る狙いがある模様だ。MASは今後も犯罪と疑わしき取引を重点的に監督し、ブローカーに対しても異常な取引や違法行為の有無を注視するよう促していく意向でもある。

特に個人投資家の保護とシンガポールの金融機関の高い信用を維持すべく、MASは市場の不正行為の発見及び阻止を目的としたブローカーの内部管理体制を強化すべく効果的な執行体制を整備する見通しだ。更にMASはインサイダーと疑わしき取引の監視・調査を強化すると共に、アンチマネーロンダリング【以下、AMLと称す】対策の徹底、且つ正確でタイムリーな上場企業の情報開示体制の構築に注力していくとのことである。

MASにとって初となる執行報告書を公表したことに際し、MASの執行部門エグゼクティブディレクターであるGillian Tan氏は以下のようにコメントしている。

シンガポールの金融市場は規模が拡大すると共に複雑化しており、不正行為が市場に与える悪影響リスクも大きくなってくるでしょう。そのような市場環境下において、重大な不正行為の発見、調査、罰則を通じた法執行は、金融監督において重要な役割を担っております。そして効果的な法執行体制を構築することで、違法行為や非倫理的な行動を未然に防ぐと共に、個人投資家の保護に寄与すると考えております。我々がこの度初めて公表した執行報告書は、2018年に発表した法執行に関する調査報告書(Enforcement Monograph)[2]に基づき、法執行状況と重点課題を示し、健全で規律の取れたシンガポールの金融市場を維持すべく我々の取り組み状況を含む明確なビジョンを伝えるものでもあります。

Gillian Tan, Executive Director of MAS - MASより引用

なおMASの執行報告書は18か月ごとに公表され、不正行為に対する調査及び主な法執行状況などに関する情報が提供されるとのことだ。MAS以外にも足元ではSFCがAML規制違反のブローカーに罰金を科すなど、規制当局はコンプライアンス違反に対し厳しいスタンスを維持している。特に内部管理に不安のあるブローカーは、顧客からの高い信頼を得るためにも確固たるコンプライアンス体制を早急に構築する必要性があろう。

release date 2019.03.20

出典元:

ニュースコメント

巨大金融市場の命運を握るMASの動向

今やシンガポールはアジアでも1、2を争う金融の中心都市であり、そもそもの経済規模の違いから株式時価総額では日本の証券市場には及ばないものの、多彩なデリバティブの上場を強みとする取引所であるSGXがある。国際決済銀行の発表ではシンガポールがアジアで最もFX取引量が多い国とされており、今月には、シティグループがシンガポールで新FXプラットフォームをリリースする予定であることを発表している。このような巨大な金融都市の規制当局であるMASがこの度発表した執行報告書によれば、対象期間の18か月間で科された罰金の総額は1,800万シンガポールドルにも上るという。これは日本円にして15億円前後に相当する金額であり、それだけ金融犯罪が多発していると見ることもできるが、前記したような金融市場の規模を考慮すれば、規制当局により適切な取り締まりが行われていることを示しているのではないだろうか。尚、経済事件についてはMASの他、シンガポール警察商務部(CAD)でも捜査を行うが、今回の報告書にはCADが捜査を主導する事件についてはCADとの取り決めにより含めていないとのことだ。金融市場の規模が大きくなればなるほど、CADよりも金融の高い専門性を持つMASの果たすべき役割が重要になってくるのは明らかである。今後も金融の番人として継続的に適切な施策を行い、アジアを代表する金融市場の更なる発展に寄与してほしいものだ。


Date

作成日

2019.03.20

Update

最終更新

2022.01.27

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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