作成日
:2019.02.19
2021.08.31 15:27
オマーン国内で2番目の規模を誇る銀行であるBank Dofhar【以下、バンクドファールと称す】は、新しくリリースした同行のモバイルアプリケーションにおいて、リップルの法人向けサービスであるリップルネットによる国際送金の利用が可能になったことを発表した。
発表によると、バンクドファールは、オマーンで初めてモバイルアプリケーションによる国際送金サービスを提供する銀行となり、先日実施したインドへの送金テストでは、わずか2分未満での送金を実現したとのことだ。これに関して、バンクドファールで南アジアおよびMENA(中東と北アフリカを合わせた地域)の担当責任者であるNavin Gupta氏は、オマーン国内に住むインド国籍のユーザーも、モバイルアプリケーションで自国への送金が可能になったと自身のTwitterで報告している。
このモバイルアプリケーションの送金技術を支えるリップルネットは、Ripple, Inc.【以下、リップル社と称す】が開発する分散型台帳システムを基礎とする金融機関や企業向けの決済ネットワークで、参加パートナー間での法定通貨や仮想通貨での決済に利用される。今回、法定通貨での決済やメッセージング機能を有するxCurrentと呼ばれるソリューションが採用され、即時決済や安価な手数料が特徴的なバンクドファールの送金サービスの構築に貢献しているという。なお、仮想通貨を基軸通貨とした決済を可能とするxRapidの導入は見送られたとみられているが、その詳細は明らかにされていない。
昨年4月、バンクドファールは、リップル社とのパートナーシップを締結した後、自社アプリケーションとリップルネットの統合を進めており、この度の発表について、バンクドファールでCIO(Chief Information Officer)を務めるTariq Taha博士は、迅速かつスムーズで安全性の高い国際送金が可能になったと、同社の金融サービスにおける技術的な進歩を評価している。国内で70支店を展開して、中東でも最も成長が期待される金融機関のひとつとなっているバンクドファールだが、先進テクノロジーの利用でさらなる飛躍を目指しているようだ。
release date 2019.02.19
リップル社が手がけるリップルネットは、参加パートナー間での決済ネットワークを構築することを目的に推進されているプロジェクトで、既存のSWIFT(国際銀行間金融通信協会)が提供する国際送金のシステムの代替となることが期待されているという。昨年末には、参加する企業数が200社を超えたことが報告されたリップルネットだが、現在では、Bank of AmericaやBarclays、日本からは、三菱UFJフィナンシャルグループやみずほフィナンシャルグループ、三井住友信託銀行などの大手銀行をはじめとする金融機関がパートナーとなっている。ここ最近、この流れは、中東にも波及しているようで、クウェート国立銀行や送金サービス事業者のUAE Exchange、大手フィンテック企業のFinablrなどを含む、サウジアラビアから3社、クウェートから2社、バーレーンから2社がリップルネットへの加入を決めた。急速な拡大を見せるリップルネットだが、今後は、xRapidの商用化も加速することが予想されており、先日、アップデートがリリースされたリップルのXRPレジャーで発行される仮想通貨の利用促進にも将来的にはプラスとなることが考えられる。
作成日
:2019.02.19
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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