Select Language

モルガン・スタンレー、ロシア事業を縮小する意向

モルガン・スタンレー、ロシア事業を縮小する意向

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:27
モルガン・スタンレー、ロシア事業を縮小する意向

update 2021.08.31 15:27

制裁等によりロシア経済の先行き不透明感を懸念

米国・ニューヨークを拠点とする巨大投資銀行であるMorgan Stanley(本社:1585 Broadway, New York, NY 10036, United States[1])【以下、モルガン・スタンレーと称す】が12月13日、近日中に同社ロシア法人の為替・株式部門のトレーディング及びセールスデスクを閉鎖する意向であることが明らかとなった。

金融・経済情報の配信を手掛けるブルームバーグが報じた匿名の関係者の話によれば、スタッフの一部をロンドンオフィスへと配置転換を行うと共に、その他のポジションは全て削減される模様だ。なお、モルガン・スタンレーロシア法人には、株式・為替部門のトレーディング及びセールスデスクに40名のスタッフが在籍しているとのことである。

モルガン・スタンレーでは、引き続きロシア事業にコミットすると共に、モスクワの地で長期的な観点に立ちプレゼンスの維持を図る意向を持っている。また同社顧客に関しては、今後も企業の合併・買収(M&A)アドバイザリーサービスを中心とした投資銀行業務や、資金調達アドバイザリーサービスなどを手掛けるグローバルキャピタルマーケッツ業務などの金融サービスを利用頂くことが可能とコメントしている。

モルガン・スタンレーがロシア事業を縮小させる背景には、2014年にロシアがクリミアを併合したことをきっかけに、米国とEU(欧州連合)がロシアに対し制裁を科したことが端を発していると考えられる。また、いわゆるロシアゲートと呼ばれる、2016年米国大統領選挙において、ドナルド・トランプ大統領を勝たせるためにプーチン政権が介入した疑惑がもたれているが、実際にはトランプ大統領はロシア経済に打撃を与えるべく制裁を続けていることも、モルガン・スタンレーの経営判断に大きく影響していると伺える。例えば2018年8月には、トランプ政権はロシアに対し米国のクレジットサービスへのアクセスを制限し、その他米国の政府機関によるロシアへの融資や財政支援を禁じている他、国家安全保障に関わる製品やテクノロジーの輸出も停止する制裁を課している。

ロシアがクリミアを併合した2014年以降、大手金融機関の多くがロシア事業を縮小させており、ドイツ銀行やクレディスイスの両行も過去数年に亘りモスクワでの事業を縮小させている状況だ。米国やEUによる制裁が科せられる中、クリミア侵攻後、ロシア通貨のルーブルは価値が半減している。そのような環境の中、ロシア中央銀行が2018年9月に予想外の金利引き上げを実施したため、金融市場はいったん落ち着いてはいるものの、更なる制裁の可能性もあることから、ロシア経済・金融市場の先行きに対して不透明感が高まっていると見られる。

release date 2018.12.14

出典元:

ニュースコメント

制裁により多くの企業が受ける影響と縮小する経済

今回発表のあったモルガン・スタンレーのロシア事業の縮小により、同社のロシア企業アナリストはすでにロンドンに移っており、同社におけるロシアでの事業は、銀行免許を得てモスクワにフルサービスのオフィスを開いた1994~2008年当時の規模に縮小することとなった。米国が今年、ロシアのエネルギー企業En+とアルミニウム大手ルサールを制裁対象に指定し、上場企業が初めて制裁対象となったことから中堅企業6社がモスクワで予定していたIPO(Initial Public Offering、新規公開株)を取りやめている。ドイツ銀行もまた、米英当局から「ミラートレード(シストレ)」という手法で100億ドル(約1兆1000億円)もの金額をロシアへ資金洗浄していたと告発された後、ロシアの投資銀行部門を閉鎖してモスクワでの事業を縮小している他、米ゴールドマン・サックスなどの投資銀行も人員を縮小している。米ロの政治面の主導権争いが激しさを増す中、制裁を通じたロシア経済への影響も憂慮されており、モルガン・スタンレーに限らずその他の大手金融機関にとっても、ロシアでの経営の舵取りは難局を迎えていると言えそうだ。


Date

作成日

2018.12.14

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

ワールドコインのOrb(オーブ)の日本設置場所は?無料配布を受けられる登録会場の予約方法も解説

ワールドコインのOrb(オーブ)で生体認証を行うことで、仮想通貨WLDを無料で受け取れます。当記事では、ワールドコインの日本国内のオーブ設置場所、探し方、予約方法などを解説します。
update2025.03.21 19:30

XMTrading・Vantage Trading・AXIORY公式アプリがApp Storeから削除

海外FXブローカーのXMTradingおよびVantage Trading、AXIORYのアプリがApp Storeから削除されたことが確認されました。本記事では、削除の背景や考えられる理由、ユーザーへの影響、そして今後の対応策について詳しく解説します。
update2025.03.25 19:30

オオカミコイン(OKM)は怪しい?オオカミプロジェクトの特徴やSNSでの評判

オオカミコイン(OKM)は、オオカミカードを発行するオオカミプロジェクトの仮想通貨です。海外取引所のMEXCに上場していますが、SNS上では怪しいという声も見られます。本記事では、オオカミコインの特徴、SNSでの評判、怪しいポイントなどを紹介します。
update2025.04.11 19:00

ワールドコイン(WLD)の換金方法は?日本円に現金化する手順を解説

ワールドコイン(WLD)は、OpenAI社のCEOであるサム・アルトマン氏らが手掛ける仮想通貨プロジェクトです。登録したユーザーには、仮想通貨WLDが無料配布されます。当記事では、ワールドコインを日本円に換金する手順や、換金時の注意点などを解説します。
update2025.04.16 19:30

Galaxy DAOが出金受付を開始?返金を期待できない3つの理由

Galaxy DAOが、返金の受付を開始するという内容のメールをユーザーに配信していたことが明らかになりました。しかし、多くのユーザーは返金の実現には懐疑的です。なぜGalaxy DAOによる返金が期待できないのか3つの理由を説明します。
update2025.03.19 19:30

MT4/MT5対応の通貨強弱インディケータを徹底比較!無料で使えるおすすめは?

通貨強弱インディケータを使うと各通貨の強弱が一目で分かり、初心者でも視覚的に相場状況を把握できます。この記事では、無料のおすすめインディケータを比較し、選び方や活用方法を解説します。
update2025.02.05 19:30

MT4/MT5のローソク足の色は4つのポイントでカッコよくできる!

MT4/MT5は、自分だけのオリジナルデザインにチャートをカスタマイズできます。配色や表示設定を少し変えるだけで、補色やコントラストを意識することで、より視覚的に分かりやすいチャートにすることも可能です。この記事では、誰でも簡単にできるチャートのカスタマイズ方法を4つのポイントに分けてご紹介します。
update2025.02.12 19:30

MT4/MT5の自動売買をスマホだけでやるって本気?!EA設定はPCに任せよう

「MT4/MT5の自動売買をスマホで完結させたい」と考える方もいるでしょう。スマホだけで自動売買の設定やEAを稼働させることは可能ですが、操作性の低さから現実的ではありません。本記事ではMT4/MT5の自動売買におけるスマホの活用方法を解説します。
update2025.02.05 19:00

MT4のバックテストに正確なヒストリカルデータが必須!無料・有料データを比較

MT4でバックテストをする際にはヒストリカルデータの取得が必要です。ヒストリカルデータは無料と有料のものがありますが、どっちがいいのか、気になる人もいるでしょう。本記事では、ヒストリカルデータのダウンロード方法を詳しく解説します。
update2025.03.26 19:30

GEMFOREX問題が大手メディアに掲載、世論を動かせるか注目

複数の大手メディアがGEMFOREX問題を取り上げたことが話題になっています。GEMFOREX騒動の経緯や2億円が未出金のままになっている元ユーザーの体験談などが掲載され、ネット上ではこの件を拡散して、世論を動かして事件化しようとする動きも見られます。
update2025.04.17 19:30
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル