作成日
:2018.10.04
2021.08.31 15:22
経済危機の渦中にあるアルゼンチンで、今年末までに最大30台に及ぶビットコインATMが順次導入される見通しであることが明らかになった。
アルゼンチンは現在経済危機の渦中にあり、自国通貨のペソが今年に入り対米ドルで50%以上も急落し、インフレ率は年末までに40%に達するとも予測されている。こうした状況の中、米国の仮想通貨事業大手のAthena Bitcoin, Inc.(本社:440 South LaSalle Street Suite 2101, Chicago, IL, 60605, United States
)【以下、Athena Bitcoinと称す】は先月、首都ブエノスアイレスのショッピングモールで、アルゼンチンでは初となるビットコインATMを設置している。Athena Bitcoinは、仮想通貨対応のATMへの需要が世界中で飛躍的な伸びを見せていることから、アルゼンチンに最初にビットコインATMを設置することで、アルゼンチン市場の主導権を握るという狙いがあるようだ。また、Athena Bitcoinは、すでにコロンビアにて12台のATMを稼働させており、南米での実績や経験がある。一方、同じくATM事業を展開する、米国のOdysseyグループ(本社:753 Shotgun Rd, Sunrise, Florida, 33326, United States
)も、年内に150台のATMをアルゼンチン国内に導入することを目指しており、そのうち80%は、2019年1月までにビットコインATMとして稼働する見通しとなっている。Athena BitcoinのアルゼンチンオペレーションマネージャーであるDante Galeazzi氏は、 この状況について以下のようにコメントしている。
法定通貨の価値の低下に伴い、ビットコインによる取引が急増しています。ビットコインは、資産価値を減少させ続けるペソの資金逃避通貨として使われており、市場に投資する好機と考えています。弊社ATMは、ビットコインのみに対応していますが、段階的にライトコイン(Litecoin)やイーサリアム(Etherium)、ビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash)などにも対応していく予定です。
Dante Galeazzi, Argentina Operation Manager at Athena Bitcoin - Reutersより引用
Athena Bitcoinが提供する仮想通貨ATMは、仮想通貨を売買して現金化することに特化しているが、OdysseyグループのATMは、従来のATMと同様に金融機関の口座から現金を引き出したり、入金することもできるようだ。Odysseyグループ傘下の子会社Octagonは、アルゼンチンでのATM稼働の実現に向けた取り組みを開始しており、同グループは1年間で仮想通貨ATMを1600台導入する意向を明らかにしている。
仮想通貨ATMを扱う企業はアルゼンチンのような経済危機に直面した国においてマーケットシェアを拡大させるチャンスを見出していることが伺える。また、Athena Bitcoinはチリ、ブラジル、メキシコなどにも参入のチャンスを模索している他、Odysseyグループも、参入可能な地域を検討するなど、南アメリカ地域でのビジネス拡大を目論んでいる。今後も両社の競争が激化していくことが予想される。
release date 2018.10.4
世界各国で仮想通貨ATMの設置設置台数が増加の一途をたどっている。現在世界の73カ国に設置されており、現時点で3827台が稼働している。最も設置数が多いのは米国になるが、日本でも11台の仮想通貨ATMが設置されている。仮想通貨ATMにおいては、2018年末までに5,000台を突破するとも言われており、今後も急速に導入が進むことが予想される。こうした状況から、ビットコインATMメーカーの間で競争が激化していることは想像に難くないが、Athena BitcoinやOdysseyのように経済危機にある国でシェア拡大を目指す企業が現れるのも当然のことであるように思われる。実際、経済危機が深刻化し、ハイパーインフレに悩むベネズエラでも、ビットコインの取引量が記録的水準で増加していることからも、仮想通貨ビジネスへの参入は企業戦略にかかせない要素であることが伺える。仮想通貨ユーザーにとって新たな利便性を提供し、仮想通貨産業への資本流入をもたらす仮想通貨ATM業者が新たな大きな市場を生み出すことは間違いない。
作成日
:2018.10.04
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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