作成日
:2018.09.04
2021.08.31 15:22
ニューヨーク拠点のFXマッチングシステムを提供するFastMatch Inc.(本社:180 Maiden Ln, New York, NY
)【以下、ファストマッチと称す】と、世界最大のデリバティブ取引所シカゴ・ボード・オプション(CBOE)の子会社であるCboe FX(本社:17 state street New York, New York )は、8月期の業績を発表した。ファストマッチの8月期の総取引高は、前月比1.5%増の4,475億ドルとなっており、前月に比べ営業日数が多く単純に比較することはできないものの好結果となった。平均日次取引高(ADV)は、195億ドルとなり前月比3%減と僅かに減少となったものの、対前年同月比では20%増と大きく改善。例年夏場は取引高が細ぼる傾向があるが、今年は、2月にドル円相場が約1年3か月ぶりの安値水準となるなどボラティリティが大きく上昇したことから
、FX投資への関心も高まり、ファストマッチの取引高は前年と比べる分には堅調を維持しているといえよう。Cboe FXの8月期の業績も、夏枯れ相場とは思えない非常に良好な結果となった。Cboe FXの8月期の総取引高は、前月比10%増の8,020億ドル、平均日次取引高は5%増の349億ドルとなっており、前年同月比ではともに29%増の好調な結果となっている。
機関投資家やヘッジファンドなど大口投資家が夏季休暇に入った夏枯れ相場のなか、トルコショックが振興国市場の重しとなった一方で、Cboe FXの良好な業績が鮮明となった。夏季休暇が終わる米国のLabor day(レイバーデー、9月の第1月曜日)が過ぎれば、市場参加者が戻り市場も活発さを取り戻していくだろう。
新興国市場においては、米ドル/トルコリラ(USD/TRY)が経済政策の全般にも絶大な権力を握るエルドアン大統領による同国中央銀行の金融政策への介入などを受け大幅に下落し、今現在も最安値を更新している。
トルコリラの下落に続き、南アフリカランドやメキシコペソなど他の新興諸国の通貨も連れ安した。トルコの政治・経済の混乱は一旦落ち着きを見せ始めているが、米国の金融政策を司るFederal Reserve System(FED)は今年さらに2回の利上げに踏み切る見込みとなっており、相場からは目が離せない。2017年に比べればFX市場は遥かに盛り上がりを見せており、ボラティリティは上半期にそのピークを迎えた可能性があるものの、市場に大きなうねりをもたらす新たなカタリスト(相場が変動するきっかけとなるイベント・材料)によってさらに市場が活性化していくと思われる。
release date 2018.9.4
先月の8月に米国人牧師の拘束を巡る外交問題がきっかけとなり、米国がトルコに対して追加関税等の経済制裁を表明したことにより、トルコリラが一斉に売られ急落(一時米ドル/トルコリラが2割も急落)に発したトルコショックであるが、これにより、アルゼンチンペソや南アフリカランドなど他の新興諸国へも波及し、売りが強まっている。日本においては、高金利であるトルコリラは、FXやトルコ債、トルコ投信などの投資家に深刻な影響を与えており、特にFXについては、トルコショックによる急落でロスカットにあい、損失を被った人も多くいたようだ。トルコショックは先進国を含む市場へも大きな影響を与えており、また、新興国経済への懸念も高まっている。今後の世界経済と金融市場の動向に注視が必要である。
作成日
:2018.09.04
最終更新
:2021.08.31
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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