Select Language

ESMA、2017年度の年次報告書を公表

ESMA、2017年度の年次報告書を公表

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.01.28 10:53
ESMA、2017年度の年次報告書を公表

update 2022.01.28 10:53

ブローカーの積極的な市場介入によるリスク増大に懸念の姿勢

欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】は、規制当局の執行事項をはじめ、主な業績や年間活動記録が収められている2017年度の年次報告書を公表した。

同報告書では、顧客保護の強化を目的に策定された第二次金融商品市場指令(Markets in Financial Instruments Directive II, MiFID II)や金融商品市場規則(Markets in Financial Instruments Regulation, MiFIR)に基づく監督の統一化、データー品質に基づくリスク管理、単一ルールブックの策定、信用格付機関CRA(credit rating agencies)と貿易リポジトリの監督業務について焦点が当てられており、全てのブローカーに第二次金融商品市場指令(MiFID II)を遵守させることを最大の課題とし、これを実行するためにあらゆる対策を講じたことを明らかにしている。

また、同報告書でESMAは、リテール顧客に対するCFDやバイナリーオプションの取引サービスの提供が急激に増加していることを強調しており、このようなブローカーの積極的な市場介入により、リスクを伴うCFDやバイナリーオプション取引を行った顧客の約80%が資金を失っているという現実に懸念を示している。加えて、詐欺行為などの違反行為に関するクレームが増加の一途をたどっており、EU国家管轄当局(National Competent Authorities:NCA)【以下、NCAと称す】は、2017年に400件以上のクレームを受理したことを報告しているが、多くはNCAによる監督不行き届きを指摘する内容であったようだ。

ESMAはこうした詐欺や違反行為への対策及び投資家保護や安定した金融市場の推進を図るために、引き続きNCAグループやキプロス証券取引委員会(The Cyprus Securities and Exchange Commission)【以下、CySECと称す】との連携を密にし監督業務を強化していく方針だ。実際、CySECは昨年一部の違反企業に対して300万ユーロの制裁処置を実施し、3社が市場から撤退している。一方、ESMAも米国の格付け会社であるムーディーズ(Moody's Investor Service Limited and Moody's Deutschland GmbH)に情報提供義務違反行為で124万ユーロの罰金を科しており、違反企業に対する厳しい対応の姿勢を見せている。

無許可で運営する企業や詐欺行為を働く企業が急速に増加している背景を受け、EUだけでなく世界中の監督機関がこの傾向に懸念を示し、ガイドラインやQ&A、また問い合わせ窓口といった、様々なツールを提供している。複雑化する市場においてESMAが今後どのように監督業務を強化していくのか、市場関係者からの注目が集まる。

release date 2018.7.4


Date

作成日

2018.07.04

Update

最終更新

2022.01.28

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

Vantage Tradingで出金遅延、担当者が語る原因と対応

Vantage Tradingで銀行出金に関する遅延が確認されています。出金申請後に着金まで時間を要するケースが報告されており、SNS上でも混乱が発生している状況です。原因としては入金額の急増や決済システム側の処理制限が影響しているものと見られます。
update2025.10.24 19:00

XMTradingの入出金で銀行口座凍結?海外FX禁止の銀行に注意

SNS上では「XMTradingの出金で銀行口座が凍結された」とする投稿が一部で見受けられます。銀行によっては海外FXとの取引を禁止しているため注意が必要です。本記事では凍結リスクが高い銀行や仮想通貨送金の注意点を説明します。
update2025.09.03 19:00

XMはゴールド(XAUUSD)のスプレッドも広い?ボーナス取引で実質お得

XMTradingのゴールド(XAUUSD)はスプレッドこそ狭くないものの、スワップフリー口座や豪華ボーナス、約定スピードの速さで十分に利用の検討余地があると言えます。当記事ではXMTradingでゴールド取引が向いている・向いていないトレーダーを他社と比較しながら解説していきます。
update2025.10.22 19:00

PayPayを使って海外FXとの入出金が可能に?Binance JapanとPayPayが提携を発表

Binance JapanとPayPayが業務提携を発表し、PayPayマネーを使った仮想通貨購入サービスの提供などが検討されています。本記事では、Binance JapanとPayPayの提携内容や、PayPayを使った海外FXとの入出金フローなどを解説します。
update2025.10.17 19:00

bitcastleは詐欺業者?口座開設ボーナスで出金拒否多数

SNS上ではbitcastleから「出金できない」「口座を凍結された」といった報告が相次いでいます。本記事では、bitcastleで報告されている出金トラブルを紹介するほか、bitcastleは詐欺業者なのかどうか説明します。
update2025.10.21 19:30

Peska(ペスカ)は本当に安全?評判は悪くないが入出金リスクに注意

PeskaはFX業者とのコラボキャンペーンなどをきっかけに、急速にユーザーを増やしているオンラインウォレットです。しかし、新興サービスのため利用すべきか迷うという人も少なくありません。この記事ではPeskaの安全性や評判、オンラインウォレット業界が抱えるリスクなどを説明します。
update2025.09.29 19:30

海外FXへの仮想通貨送金にはBybitがおすすめ!FXトレーダーに最適なBybitの使い方

海外FXの入出金によく使われる国内銀行送金が以前より使いにくくなっていることを受け、仮想通貨での入出金が注目を集めています。本記事では、仮想通貨送金をするならBybitがおすすめの理由や、海外FXユーザーに最適なBybitの使い方を紹介します。
update2025.08.29 20:00

SwiftTraderが資金難?SNSで出金トラブル報告が増加

2025年以降、SwiftTraderで出金拒否・遅延の報告がSNSで相次いでいます。本記事では報告されている出金トラブルのほか、GEMFOREXとの類似点やSwiftTraderをおすすめしない理由を説明します。
update2025.10.16 19:30

XMTradingが新銘柄GAUUSDを追加!取引コストはGOLDより割高か

XMTradingが新たにGAUUSDなど4種類のゴールド銘柄を追加し、グラム単位で少額取引が可能になりました。この記事では、従来のGOLDとの取引コストやスワップを比較します。
update2025.10.10 19:00

【要注意】堀江氏・テスタ氏のディープフェイク広告が急増中?国内で詐欺の事例も

ディープフェイク技術を使った詐欺広告が世界的に増加しており、国内でも有名人を装った広告が出回っています。広告は精巧で、違和感に気づけないケースもあるため、真偽を見抜くのは簡単ではありません。本記事では、出回っているディープフェイク動画の広告主を調査しました。
update2025.10.08 19:00

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル