作成日
:2017.11.06
2022.01.28 12:20
日本の金融庁(Japan Financial Services Agency)が、日本国内のFX取引におけるレバレッジの上限を1:25から1:10程度へ引き下げることを検討していることが明らかになった。投資家保護や金融機関の想定外の損失を防ぐ観点からレバレッジ規制を見直す方針で、早ければ、2018年中旬から実施される可能性があるという。
しかし、日本の産業界からは、取引量の減少による収益の低下、流動性の低下など、市場への影響を懸念する声が挙がっている。日本の個人向けFX取引の最大レバレッジは1:25と、世界の中でも低水準となっている。FXでは証拠金にレバレッジをかけることで、少ない資金を元手に大きな金額の取引が可能となり、レバレッジ比率に比例して利益も損失も大きくなる。かつて、日本のレバレッジには上限が設けられていなかったが、ハイレバレッジでの取引時に相場が急変して、大きな損失を出した個人投資家は少なくなく、金融庁は、2010年に1:50、2011年に1:25と、二段階に分けてレバレッジを引き下げている。
今回のレバレッジ規制だが、店頭業者へのみ適用し、金融先物取引専門の東京金融取引所や、取引所為替証拠金取引(くりっく365)においては、規制の対象から除外されるという案も出ているという。取引所取引だけを特別扱いしたとなると店頭業者による取引所取引への批判は免れないであろう。
現在のところ、1:10のレバレッジ規制が実施されるかどうかは定かではないが、実施された場合、国内FXから、ハイレバレッジで取引可能な海外FXへの資金の流出がすすむ可能性が考えられる。
日本のトレーダーであるHiro Pie氏や、業界精通者のNori Muzuki氏は、それぞれ以下のようにコメントしている。
日本の個人投資家のドル買いは、日本銀行と政府の強力なパートナーだと言えます。通貨ペアの制限のような、全トレーダーに対する制限ではなく、個人投資家への段階的な規制のプロセスである可能性が高いです。FXブローカーの資本や剰余金の規模に応じて、金融庁との妥協案を探すのが合理的です。
Hiro Pie,Japanese FX trader
我々FX業者は、高い自己資本規制比率など、様々な条件を提示されてきましたが、各ブローカーの協力により、これらの条件を乗り越えて、財政状況を強化してきました。公的取引の場を守りながら、民間の場のみを規制することは不公平であり、投資家を保護することはできません。レバレッジが10倍になると、正直なところ、市場は縮小することになるでしょう。FX市場は、ここ20年ほどで個人投資家の力により拡大されており、現在のところ、投資家保護と市場のバランスは取れています。
Nori Muzuki, Industry veteran
release date 2017.11.06
作成日
:2017.11.06
最終更新
:2022.01.28
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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