作成日
:2017.05.23
2021.08.31 15:24
5月23日、国際銀行間通信協会(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication)【以下、SWIFTと称す】は、海外送金状況をリアルタイムに追跡できるツールをリリースしたことを発表した。
SWIFTは、多数の金融機関が所有する協同組合であり、世界各国の銀行間取引の情報インフラを担っている。現在、銀行間の海外送金は、SWIFTを介して決済されている。
既に追跡システム事業を幅広く展開していたSWIFTだが、今回の新しい追跡機能では、海外送金時に生じやすいギャップの部分が改善されているとのことである。新たな追跡ツールはオープンAPIを通じて提供され、世界中の金融機関のシステムからアクセス可能である。
リアルタイムに正確な情報を追跡できる追跡ツールが加わることで、銀行間の海外送金の利用者が増えることに期待が高まると同時に、SWIFTが2015年に策定した国際送金に関する改革案であるグローバル・ペイメント・イノベーション・イニシアティブ(Global Payments Innovation Initiative)【以下、gpiと称す 】 の柱を形成することにもなる。
SWIFT gpiは、国際送金に革新的な変化をもたらし、コルレス銀行の業務を改善することを目的としており、具体的な内容には、 即日決済による資産の流動化、手数料の開示、決済の追跡等が含まれている。SWIFT gpiサービスは、2017年1月より一部の大手銀行にて導入され始めており、取引銀行からは高い評価を得ているようである。
今回の新たなサービス開始について、SWIFT最高マーケティング責任者のChristian Sarafidis氏、及び、SWIFT gpiプログラム責任者のWim Raymaekers氏より、次のコメントが発表されている。
今日の発表は、世界中の企業にとって革新的な重要な一歩となります。 適切なプレイヤーが、適切な技術を、適切なタイミングで活用することによって、SWIFTは、コルレス銀行業務が一つの節目を迎えるサポートをしてきました。
Christian Sarafidis , CMO of SWIFT
SWIFTgpiは、まだ始まったばかりです。我々はブロックチェーンのような新技術を求め、より付加価値のある送金サービスを提供し、海外送金における環境を変えていきます。環境の改革により、国際貿易をさらに加速させることができるでしょう。
Wim Raymaekers , Programme Manager of SWIFT gpi
release date 2017.05.23
銀行間の海外送金は、複数の銀行が関わるため、手数料も高く、着金までに時間がかかる等、デメリットが多い。しかし、仮想通貨等のフィンテック企業による新たな送金方法の登場により、危機感を募らせた金融機関達は、サービスの改革に乗り出し始めている。ビットコイン等の仮想通貨を使うと、銀行間の海外送金とは比較できない程、低コストかつ迅速な海外送金が実現してしまう。低コストかつ迅速な送金を実現したフィンテック企業に対抗し、SWIFTも地位を保つべく、利便性の向上を図っていく最中なのであろう。
SWIFTを介した決済は、世界中で1万1000社以上の金融機関によって使用されている。最も安全だと考えられていたSWIFTであるが、近年、SWIFTの金融システムにサイバー攻撃が行われる等、銀行へのハッキング問題が取り上げられている。2016年2月には、バングラデシュ中央銀行が米ニューヨーク連邦準備銀行に持つ口座から、9億5100万ドルの不正送金が試みられ、内8100万ドルの資金が盗み出されるという事件が起きた。北朝鮮のハッカー集団による仕業だと噂になっているが、SWIFTの決算ネットワークに不正アクセスを行っていたことが明らかになった。SWIFTは、事件後迅速かつ積極的なセキュリティ対策を講じたものの、今後もサイバー攻撃に備えたセキュリティ強化の必要に迫られている。利便性の向上以外にも、SWIFTや金融機関の課題はまだまだ多い。
作成日
:2017.05.23
最終更新
:2021.08.31
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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