Select Language

キプロス証券取引委員会が管轄ブローカー幹部宛に会合を招集

キプロス証券取引委員会が管轄ブローカー幹部宛に会合を招集

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.11.15 12:32
キプロス証券取引委員会が管轄ブローカー幹部宛に会合を招集

update 2022.11.15 12:32

CySEC会長の呼びかけで、4月に会合予定

キプロス証券取引委員会(本社:27 Diagorou Str. CY-1097 Nicosia, Cyprus)【以下、CySECと称す】は、会長のDemetra Kalogerou氏名義で、キプロス国内のFX及びバイナリーオプション関連の投資会社に対し、会議の招集を行った。
案内状は、対象企業株主、シニア幹部、コンプライアンス担当者に対して送付されており、4月4日、キプロスの首都ニコシアにある、キプロス銀行会議室にて会合を予定している。

案内状によると、今回の会合では、「EU圏内における、FX及びバイナリーオプション事業に関する現状と今後の展望」に関する話し合いを予定している。また、今回の会合の重要性を訴えており、各社代表3人までが会合に参加できることになっている。

CySECは2015年後半より、FXブローカーやバイナリーオプションに対する規制を強化し、不正企業に対して多額の罰金を科すなど、CySECの権限を行使した動きが見られている。
今回の会合では、ライセンス規制に関する内容から、新たな方法での監視体制などといった一連の内容が議題に上がるのではないかと推測されている。

以前発覚した、CySEC管轄下のIronFX Global Limited(本社:2, Iapetou Str., Agios Athanasios, 4101 Limassol, Cyprus)【以下、IronFXと称す】による顧客への出金拒否問題以降、キプロス内のFX産業への評価や、CySECへの信用度が低迷しており、CySECとしては日々挽回策を模索しているに違いない。また、FX産業全体の問題として、長期顧客の出金保留に関する解決策について話し合いがもたれる可能性もある。
ただし、レギュレーターとブローカーとの会合は一般的に行われているということも事実である。今回の会合についてもFX事業についての日常的な話し合いで終わる可能性もあり、会議の内容が注目されている。

release date 2017.03.23

ニュースコメント

IronFXの出金拒否問題と度重なる失敗

ここ数ヶ月の間をみても、新規顧客へのレバレッジ制限や、キャッシュバック等の販促活動の禁止など、様々な制度改正を行っているCySECだが、CySECの信用度を格段に落とすことになった、IronFXの成り立ちとその経緯について触れていきたい。

IronFXは、CySECからのライセンスを取得し、2010年に設立された、キプロス共和国に本社を置く老舗FXブローカーである。売買プロモーションやインセンティブといった各種キャンペーンを多数実施し、FX業界で急成長を遂げる。過去には、チャイナ・ファイナンス・オンライン主催のベストFXブローカー2012や、World Finance Magazine社主催のワールド・ファイナンス賞を度々受賞するなど、輝かしい実績を持つ。

前途洋々に見えていたIronFXだが、その後経営の雲行きが怪しくなっていく。

2014年1月14日、IronFXは「日本にて第一種金融商品取引業者の許認可取得の手続を行う」との発表を行い、日本在住者に対するサービスを突然停止し、日本国内ライセンスの取得に動き出した。この際、既存顧客に対しては保有ポジションの強制決済、口座解約や、資金の未返金など、顧客の利益を無視した強引な手法で、混乱の中、サービス停止に至った経緯がある。

その後、2014年8月頃より、IronFXの中国ブランドであったGlobal Investmentが、中国国内において顧客及び紹介業者に対し、利益の不払い、出金の保留や拒否を行っていることが発覚した。出金拒否は約150口座、該当の顧客資金総額は20~30億円規模にのぼるといわれ、160件を超える民事訴訟が行われることとなった。未解決の訴訟も多く残されている。
これに対し、IronFX側は「苦情は明らかに中傷的なもの」と反論したが、中国国内では、Global Investment中国オフィス前に被害を受けたトレーダーが集まっての抗議活動により地元警察が仲裁に入った他、顧客が刃物を持ってオフィスに押しかけ、出金を許可するよう役員に要求するなど、幾度にもわたり大騒動が起きた。

最終的に、IronFXは数百人規模でスタッフを解雇し、中国でのビジネス縮小、多大な負債を抱えることになる。

さらに南米コロンビアにて、IronFXが同国内での営業認可を受けないまま、不当に営業活動を行っていることをコロンビア当局の金融監督局(SFC)より指摘され、一時営業停止処分を命ぜられた。

幾度にもわたる失敗や営業停止により、資金繰りはさらに悪化、以前の目標であった日本でのライセンス取得も断念せざるを得なくなる。その後、経営建て直しを図るため、2015年2月に再度海外FXブローカーとして日本市場に参入、日本在住者に対して新規口座開設を再開するに至った。
しかしながら、前述の通り顧客の信頼を完全に裏切る形で日本市場を撤退している過去があるだけに、顧客からの信用回復が思うように進んでいないのが現状である。

信用回復に努めるCySEC、次の一手は・・・

CySECでは、CySECライセンス取得企業の不正を阻止するため、以前より監視を強化しているものの、IronFXの中国での出金拒否問題の他、複数のFXブローカー、バイナリーオプション業者における責任問題や、倫理性の欠けた行動が後を絶たない。そのため、CySECの管理責任能力を問われているだけでなく、世界的に見たCySECライセンスの信頼性を疑問視する声も上がっている。

CySECとしては、このような問題を是正し、CySECのイメージをクリーンなものにしたいと考えており、それが昨今の更なる規制強化、そして今回の会合実施につながるものと見られている。今後のCySECの動きが、FX大国キプロス存続の鍵となるであろう。


Date

作成日

2017.03.23

Update

最終更新

2022.11.15

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

Vantage Tradingがプレミアム預金を開始!最大年率13%の資金運用が可能

海外FX業者のVantage Tradingが2024年8月19日から新たにVプレミアム預金を開始しました。Vプレミアム預金では、規定量の資金および取引量を達成することで、最大年利13%の資金運用が可能です。
update2024.09.17 19:00

Milton Marketsが9月の1万円FXチャレンジとXリポストキャンペーンを開催!

Milton Marketsで、9月の1万円チャレンジが開催されます。この記事では、開催期間や上位入賞の条件、これまでの1万円チャレンジと変わった点などを解説します。
update2024.09.12 19:00

Titan FX が9月のデモトレードコンテストを開催!賞金最大30万円

海外FX業者のTitan FXが、「長月トレードコンテスト」を9月16日から開催することを発表しました。コンテストでは専用のデモ口座を使用するため、自己資金をリスクにさらすことなく参加できます。上位入賞者には賞金も贈られます。
update2024.09.10 20:00

Milton Marketsがボーナスキャンペーンや口座タイプを一新!

2024年9月1日からMilton Marketsがサービス内容のリニューアルを実施しました。この記事では、新たにリニューアルされた口座開設ボーナスや入金ボーナス、口座タイプなどを解説します。
update2024.09.10 19:00

仮想通貨DOGSの将来性は?テレグラム発のミームコインについて解説

仮想通貨(暗号資産)DOGSは、TONブロックチェーンを基盤とした、テレグラム...
update2024.09.06 19:00

Vantage Tradingが6種類の仮想通貨CFD銘柄を追加!取引時間も24時間365日に

Vantage Tradingは、2024年8月31日から日本円建ての仮想通貨CFD銘柄を6種類新たに追加します。また同日に仮想通貨CFDの取引時間が24時間365日体制に延長され、いつでもVantage Tradingで仮想通貨CFD取引をできるようになります。
update2024.09.03 20:00

XMTradingがシルバーウィーク100%ボーナスプロモを開催!

XMTradingが、シルバーウィークプロモを開催します。今回のキャンペーンでは、期間中に入金したユーザーに付与率100%のボーナスが付与されます。期間は2024年9月3日から9月30日までです。
update2024.09.03 19:00

仮想通貨ORDERの将来性は?DEX向けインフラのOrderly Networkの仕組みや評判を解説

仮想通貨ORDERは、DEX向け取引インフラを提供するOrderly Networkの独自トークンです。2024年8月26日にTGEを予定しており話題となっています。当記事では、仮想通貨ORDERの評判や将来性、使い道、Orderly Networkの特徴などを解説します。
update2024.08.23 19:30

BybitのコピートレードProのやり方|従来のコピートレードとの違いやメリット・デメリットも解説

2024年6月、Bybitはコピートレードの最新プラットフォーム「コピートレードPro」の提供を開始しました。リスクの低い現物取引への対応やシンプルな設定など、従来のコピートレードに比べて初心者でも利用しやすいサービスとなっています。BybitのコピートレードProの仕組みや従来のコピートレードとの違い、メリット・デメリット、やり方を解説します。
update2024.08.23 19:00

仮想通貨DBRの将来性は?ブリッジプロトコルdeBridgeの特徴や評判を解説

仮想通貨DBRは、deBridgeのガバナンストークンです。deBridgeは、低コストで効率的なクロスチェーン取引を実現するプロトコルです。当記事では、仮想通貨DBRとdeBridgeの特徴や将来性、トークンの使い道などを解説します。
update2024.08.22 19:30
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル