作成日
:2017.03.23
2022.11.15 12:32
キプロス証券取引委員会(本社:27 Diagorou Str. CY-1097 Nicosia, Cyprus)【以下、CySECと称す】は、会長のDemetra Kalogerou氏名義で、キプロス国内のFX及びバイナリーオプション関連の投資会社に対し、会議の招集を行った。
案内状は、対象企業株主、シニア幹部、コンプライアンス担当者に対して送付されており、4月4日、キプロスの首都ニコシアにある、キプロス銀行会議室にて会合を予定している。
案内状によると、今回の会合では、「EU圏内における、FX及びバイナリーオプション事業に関する現状と今後の展望」に関する話し合いを予定している。また、今回の会合の重要性を訴えており、各社代表3人までが会合に参加できることになっている。
CySECは2015年後半より、FXブローカーやバイナリーオプションに対する規制を強化し、不正企業に対して多額の罰金を科すなど、CySECの権限を行使した動きが見られている。
今回の会合では、ライセンス規制に関する内容から、新たな方法での監視体制などといった一連の内容が議題に上がるのではないかと推測されている。
以前発覚した、CySEC管轄下のIronFX Global Limited(本社:2, Iapetou Str., Agios Athanasios, 4101 Limassol, Cyprus)【以下、IronFXと称す】による顧客への出金拒否問題以降、キプロス内のFX産業への評価や、CySECへの信用度が低迷しており、CySECとしては日々挽回策を模索しているに違いない。また、FX産業全体の問題として、長期顧客の出金保留に関する解決策について話し合いがもたれる可能性もある。
ただし、レギュレーターとブローカーとの会合は一般的に行われているということも事実である。今回の会合についてもFX事業についての日常的な話し合いで終わる可能性もあり、会議の内容が注目されている。
release date 2017.03.23
ここ数ヶ月の間をみても、新規顧客へのレバレッジ制限や、キャッシュバック等の販促活動の禁止など、様々な制度改正を行っているCySECだが、CySECの信用度を格段に落とすことになった、IronFXの成り立ちとその経緯について触れていきたい。
IronFXは、CySECからのライセンスを取得し、2010年に設立された、キプロス共和国に本社を置く老舗FXブローカーである。売買プロモーションやインセンティブといった各種キャンペーンを多数実施し、FX業界で急成長を遂げる。過去には、チャイナ・ファイナンス・オンライン主催のベストFXブローカー2012や、World Finance Magazine社主催のワールド・ファイナンス賞を度々受賞するなど、輝かしい実績を持つ。
前途洋々に見えていたIronFXだが、その後経営の雲行きが怪しくなっていく。
2014年1月14日、IronFXは「日本にて第一種金融商品取引業者の許認可取得の手続を行う」との発表を行い、日本在住者に対するサービスを突然停止し、日本国内ライセンスの取得に動き出した。この際、既存顧客に対しては保有ポジションの強制決済、口座解約や、資金の未返金など、顧客の利益を無視した強引な手法で、混乱の中、サービス停止に至った経緯がある。
その後、2014年8月頃より、IronFXの中国ブランドであったGlobal Investmentが、中国国内において顧客及び紹介業者に対し、利益の不払い、出金の保留や拒否を行っていることが発覚した。出金拒否は約150口座、該当の顧客資金総額は20~30億円規模にのぼるといわれ、160件を超える民事訴訟が行われることとなった。未解決の訴訟も多く残されている。
これに対し、IronFX側は「苦情は明らかに中傷的なもの」と反論したが、中国国内では、Global Investment中国オフィス前に被害を受けたトレーダーが集まっての抗議活動により地元警察が仲裁に入った他、顧客が刃物を持ってオフィスに押しかけ、出金を許可するよう役員に要求するなど、幾度にもわたり大騒動が起きた。
最終的に、IronFXは数百人規模でスタッフを解雇し、中国でのビジネス縮小、多大な負債を抱えることになる。
さらに南米コロンビアにて、IronFXが同国内での営業認可を受けないまま、不当に営業活動を行っていることをコロンビア当局の金融監督局(SFC)より指摘され、一時営業停止処分を命ぜられた。
幾度にもわたる失敗や営業停止により、資金繰りはさらに悪化、以前の目標であった日本でのライセンス取得も断念せざるを得なくなる。その後、経営建て直しを図るため、2015年2月に再度海外FXブローカーとして日本市場に参入、日本在住者に対して新規口座開設を再開するに至った。
しかしながら、前述の通り顧客の信頼を完全に裏切る形で日本市場を撤退している過去があるだけに、顧客からの信用回復が思うように進んでいないのが現状である。
CySECでは、CySECライセンス取得企業の不正を阻止するため、以前より監視を強化しているものの、IronFXの中国での出金拒否問題の他、複数のFXブローカー、バイナリーオプション業者における責任問題や、倫理性の欠けた行動が後を絶たない。そのため、CySECの管理責任能力を問われているだけでなく、世界的に見たCySECライセンスの信頼性を疑問視する声も上がっている。
CySECとしては、このような問題を是正し、CySECのイメージをクリーンなものにしたいと考えており、それが昨今の更なる規制強化、そして今回の会合実施につながるものと見られている。今後のCySECの動きが、FX大国キプロス存続の鍵となるであろう。
作成日
:2017.03.23
最終更新
:2022.11.15
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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