作成日
:2025.02.24
2025.03.09 04:04
2025年2月22日の深夜0時ごろ、仮想通貨(暗号資産)取引所のBybit(バイビット)にて、過去最大規模のハッキング被害が発生したことがわかりました。このハッキング事件はX(旧Twitter)で瞬時に拡散され不安が広がりましたが、Bybitが迅速な対応を行ったことで落ち着きを取り戻し始めています。
SNSでは、海外取引所の危険性を指摘する声もありますが、今後もBybitを使いたいというユーザーも数多く見られ、なかには「すでに資金を戻した」との投稿も見つかります。SNSで交わされる意見を見渡すと、そこには「怖いけれど離れられない」という、複雑な本音が垣間見えました。
当記事では、Bybitのハッキング事件の概要や、ユーザーがBybitの利用をやめられない複雑な本音やジレンマなどについて考えます。
今回のハッキング騒動を受け、Bybit(バイビット)からは多数の出金が発生しました。その出金額は約54億ドル(約8,100億円)だとされています。
多数のユーザーが出金を急いだことで、サーバーエラーやフリーズも発生しています。当編集部で報道直後の午前2時頃に出金申請を行ったところ、ERC20やTRC20がCongested(混雑)であったり、1回目の送金承認まで30分ほどかかるなど、通常時の早さと比べると不安を感じる状況でした。
また、朝になっても処理されていない出金申請もありました。最終的には正常に出金処理が行われましたが、大量の出金申請により、Bybit側の処理が追いついていなかったと考えられます。
被害総額は14億ドル(約2,100億円)相当のETH(イーサリアム)で、過去最大級のハッキング事件であることから、騒動直後は混乱や動揺も大きかったです。しかし、半日ほど経過すると、早くも楽観的な意見が増えていきました。
その要因は、Bybitの事後対応が大きいです。事件直後にCEO自ら状況を説明をし、説明動画まで投稿しました。ハッキングの概要や補償体制を真摯に説明した点を、好意的に受け止めるユーザーが多かったと考えられます。
Bybit ETH multisig cold wallet just made a transfer to our warm wallet about 1 hr ago. It appears that this specific transaction was musked, all the signers saw the musked UI which showed the correct address and the URL was from @safe . However the signing message was to change...
— Ben Zhou (@benbybit) February 21, 2025
また、ハッキング事件が報道されてからも、価格に大きな影響がなかった点も要因の一つと言えます。報道後はBTCやETHが一時急落しましたが、価格への影響は一部に留まっています。
以下は、ハッキングの報道前後のETHの価格チャートです。
画像引用:CoinMarketCap
X(旧Twitter)では、一度はBybitから出金をしたというユーザーが多く見られました。しかし、事件後の対応などを評価し、「落ち着いたらまた使う」「今後も使い続けたい」といった声も複数見られます。
また、「Bybitに資金を戻した」「再入金した」といった投稿もあるなど、再びBybitの利用を考えているユーザーは多いと考えられます。
今回のハッキング事件を通して、「出金処理中の状況が何時間も続いている...」「出金できないかもしれない...」とひやりとしたユーザーは多いと思われます。しかし、引き続きBybit(バイビット)を含む海外取引所を利用すると明言しているユーザーは数多く確認できます。
過去最大規模のハッキング事件が起こり、海外取引所のリスクが改めて認識できたにもかかわらず、それでもBybitを使いたいというユーザーが存在することには一見矛盾を感じます。しかし、国内取引所、海外取引所、セルフカストディ(自己管理)の特徴を踏まえると、海外取引所が「なんだかんだ現実的な選択肢」とされていることが理解できます。
まず、仮想通貨(暗号資産)トレーダーや、積極的な運用をしている人たちにとって、海外取引所はなくてはならない存在でしょう。国内取引所ではサービスの選択肢が限られ、収益機会も限定されるためです。
一般的に国内取引所には、以下のようなデメリットがあります。
国内取引所は金融庁の監督下にあり、法令順守や本人確認の徹底など、セキュリティや信頼性の面では一定の安心感があります。しかし国内取引所のサービスでは、「トレードや積極的な運用」というそもそもの目的が十分に満たせないのが現状です。
国内取引所に比べると、海外取引所が提供するサービス内容は充実しています。具体的には、以下のようなものがあります。
短期的なトレーダーはもちろん、アルトコイン投資を行うユーザーや、年利目的でステーブルコイン等を預けたいユーザーなど、幅広い層のニーズに対応しています。
海外取引所は日本の金融庁の登録を受けておらず、今回のハッキング事件のようなイレギュラーな出来事が起こった際、日本ユーザーの資産が100%保護されるかは不透明です。しかし、それでも海外取引所の高い利便性から、海外取引所を利用したいと考えるユーザーは多く存在します。
FX業界では税率が不利にもかかわらず、高いレバレッジやボーナスなどのサービスを理由に海外FXを好むユーザーがいます。これを考えると、海外取引所のニーズは根強く存在し続ける可能性があるでしょう。
セルフカストディ(自己管理)は、取引所ではなく自分のウォレットで仮想通貨を管理する方法です。
ハードウェアウォレットを使ったセルフカストディは、資産を「保管・保全」する上で、非常に優れた選択肢でしょう。
しかし、実際には以下のようなデメリットもあります。
上記により、短期トレードをしないユーザーでも海外取引所で資産を管理するケースは実際多いでしょう。また、海外取引所のステーキングサービスなどを利用すれば、預けておくだけで利益を得られます。そういった点も、ユーザーがセルフカストディではなく海外取引所を選択する理由の一つになっています。
「海外取引所を使う以上、いつか資産を失うかも」といったリスクを理解しつつも、国内取引所のサービスに満足できない以上、海外取引所の利用を選択するユーザーは多いと考えられます。また、リカバリーフレーズの紛失などセルフカストディにもリスクはあり、手軽さから海外取引所での保管を選ぶケースもあります。
結局のところ、リスク回避と利便性、安心感のバランスを考えた上で、評判の良い海外取引所をいくつか分散して使っている投資家が多いのではないでしょうか。
今回のBybit(バイビット)のハッキング事件を受け、改めて海外取引所を利用するリスクを再認識した投資家は多いはずで、セルフカストディ(自己管理)を推奨する声も上がっています。しかし、トレーダーやアルトコイン投資家などの間では、複数の海外取引所に分散するという方法が落としどころとして利用され、引き続き定番の方法の一つとして紹介されていく可能性が直近では高そうです。
仮想通貨(暗号資産)の管理方法に関しては、ユーザーごとに投資額やリスク許容度、取引頻度などが異なるため、最適解はありません。しかし、メリット・デメリットを自分で調べ、自分自身の利用用途やリスク許容度に合った方法を選ぶということは、誰にとっても重要です。
今回の出来事は新規・既存ユーザーともに、改めて海外取引所を利用する必要性や、想定されるリスクへの対応を考え直す良い機会になったと言えるでしょう。
作成日
:2025.02.24
最終更新
:2025.03.09
2017年に初めてビットコインを購入し、2020年より仮想通貨投資を本格的に開始。国内外のメディアやSNSなどを中心に、日々最新情報を追っている。ビットコインへの投資をメインにしつつ、DeFiを使って資産運用中。
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