作成日
:2024.05.23
2024.08.26 22:00
TradingView(トレーディングビュー)は高度な機能と、豊富なカスタムインジケータで人気のトレード分析ツールです。数千種類に及ぶカスタムインジケータは、世界中のプログラマーによって開発されており、その多くがコミュニティスクリプトとして無料で公開されています。
多くのトレーダーはトレンドの転換点に注目しており、トレンドの変化をいち早く察知できれば、早期にポジションの決済やエントリーができます。これはトレード戦略において極めて重要な要素です。
そこでこの記事では、無料で利用可能なトレンドの転換点を見つける際に役立つ5つのTradingView用インジケータを紹介します。
TradingViewでは、トレンド転換点を分析できるさまざまなインジケータが公開されています。オシレーター系指標のダイバージェンスを検出するツールや、パラボリックを用いたトレンド転換の識別ツールなど、インジケータごとに仕組みが異なるため、特性を理解しておくことが重要です。
各インジケータの特徴や活用方法、トレードにおける注意点を順に説明していきます。
相場の過熱感を知るのに役立つ「オシレーター系指標」として、RSIやストキャスティクス、MACDなどが知られています。これらの指標の中で、特に重要なシグナルが「ダイバージェンス」です。
ローソク足の上昇・下降がオシレーター系指標と逆の方向に動く現象のことで、相場の転換点が近いことを示唆するシグナルとして知られています。主なオシレーターはRSIやMACD、ストキャスティクスなどがあります。
「RSI-Divergence Scanner」は、RSIのダイバージェンスを見つけるのに適しています。このインジケータの主な機能は以下の3つです。
RSIの数値だけでなく、RSIの高値や安値、フォーメーションも重要なシグナルとなります。価格チャートと同じようにRSIの過去の高値や安値付近では反発・反落が発生することがあります。相場の過熱感やダイバージェンスだけでなく、RSIのチャート分析も組み合わせてみると、新しい視点で相場を分析できるかもしれません。
例えば、以下のドル円の日足チャートを見ると、RSIでダイバージェンスが発生している箇所やRSIの水平線、高値・安値がRSI-Divergence Scannerによって自動的に分析・表示されています。また、買われすぎ/売られすぎ水準になったタイミングで赤色/緑のドットが出現しているため、相場の過熱感も分かりやすくなります。
画像引用:TradingView
ダイバージェンスは、相場反転の注意を促すシグナルではあるものの、発生時に必ずしも相場が反転するとは限りません。そのため、ダイバージェンスのみを頼りにトレードするのは危険です。より安全なトレードを行うためには、他の指標と組み合わせることが大切です。
「Parabolic SAR + EMA 200 + MACD Signals」はパラボリックSAR、200指数平滑移動平均線、MACDのシグナルを組み合わせたテクニカルインジケータです。
このインジケータの主な機能は以下の3つです。
トップ&リバース(SAR)と呼ばれる印またはラインを描画し、相場のトレンドやその転換を判別するのに用いられるテクニカル指標です。RSIを開発したワイルダー氏によって考案されたツールで、ポジションの決済後に反対のポジションを保有する「ドテン」のサインとしても活用されるツールです。
以下はドル円の1時間足に「Parabolic SAR + EMA 200 + MACD Signals」を適用したチャート例です。
画像引用:TradingView
このカスタムインジケータは、3つのテクニカル指標のシグナルを同時に分析し、ダマシを最小限に抑えるように工夫されています。
BUYやSELLのシグナルは、以下の3つの条件を満たしたときに出現します。
BUYシグナルの条件 |
・パラボリックSARがローソク足の安値よりも下であること
・MACDがシグナルラインを上方向に突破
・ローソク足が200期間のEMAよりも高い価格帯で推移
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---|---|
SELLシグナルの条件 |
・パラボリックSARがローソク足の高値よりも上であること
・MACDがシグナルラインを下方向に突破
・ローソク足が200期間のEMAよりも低い価格帯で推移
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BUYシグナルの条件 |
・パラボリックSARがローソク足の安値よりも下であること
・MACDがシグナルラインを上方向に突破
・ローソク足が200期間のEMAよりも高い価格帯で推移
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SELLシグナルの条件 |
・パラボリックSARがローソク足の高値よりも上であること
・MACDがシグナルラインを下方向に突破
・ローソク足が200期間のEMAよりも低い価格帯で推移
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さらに、「Parabolic SAR + EMA 200 + MACD Signals」はマルチタイムフレーム分析にも対応しており、上位足の指標を表示できます。
応用的な使用方法として、1時間足のチャートに2つの「Parabolic SAR + EMA 200 + MACD Signal」を設定し、1つを上位足にすることで、より長期的な環境認識が可能です。また、EMAをSMAに変更するなど、カスタマイズもできます。
パラボリックSARや200EMAは単体でも重要なシグナルです。それらを組み合わせてフィルターをかけることにより、よりシグナルの精度を向上させている点が、このインジケータの特徴といえるでしょう。
設定画面を見ると、MACDの設定もできるようになっているようですが、執筆時点でこのインジケータをチャートに適用しても、MACDはチャートに表示されません。MACDを表示したい場合は別途インジケータを追加する必要があります。
「Trend Reversal Predictor」は、トム・デマークが考案した「TDシーケンシャル」というテクニカル指標をもとにしたカスタムインジケータです。下記のチャートは、ドル円の日足に「Trend Reversal Predictor」を適用したチャートです。(支持線・抵抗線を除く)
画像引用:TradingView
TDシーケンシャルはトム・デマークによって開発されたテクニカル指標で、相場の天井や底を識別します。主に1から9、そして13までのカウントに基づき、これらの数字がトレンド転換の可能性を示します。9のカウント後に一時的な反転が、13のカウント後にはより重要な転換点があるとされます。
「Trend Reversal Predictor」は、TDシーケンシャルの数字の他に、節目となる支持線・抵抗線なども表示できます。チャート上に順番に数字が表示されていくため、トレードの準備がしやすい点がTDシーケンシャルの特徴です。
TDシーケンシャルには重要な数字が2つあり、「9」と「13」が重要なトレンド転換を示すというルールがあります。特に、「13」が出現したときは要注意です。
TDシーケンシャルには、「セットアップ」と「カウントダウン」という重要な2つの考え方があります。
セットアップ |
・最初の「1から9」までのカウント
・各ローソク足の終値が4本前の終値より連続して高い/低い場合にカウント
|
---|---|
カウントダウン |
・上昇トレンドでは直近の終値が2本前のローソク足の終値以下の場合にカウント
・下降トレンドでは上記とは反対の条件でカウント
・これらの条件が連続して13回満たされたらカウント完了
|
TDシーケンシャルでは、「9」が出現すると一時的な調整の反発・反落が発生する可能性があります。また、「13」が出現すると重要なトレンド転換を示唆するとされ、買われすぎ・売られすぎを判断する際に活用できるでしょう。
「Trend Reversal Predictor」の主な機能と特徴は以下のとおりです。
「Trend Reversal Predictor」では相場が上昇基調のときには、緑の数字(1から9)が表示されます。ローソク足の終値が4本前よりも高い場合にカウントされ、連続して9まで出現すると売りシグナルです。
「M9」や「M13」という文字も出現しますが、これは重要なサポートライン・レジスタンスラインに接近している場合に出現するシグナルです。そのため、通常の「9」や「13」よりもより注目する必要があります。
同様に、赤の数字(1から9)は、ローソク足の終値が4本前のバーよりも低い場合にカウントされ、9に達すると買いシグナルです。こちらもM9が出現すると、より強い買いシグナルが示唆されます。
1から9までのカウントが完了した後には、サポートとレジスタンスレベルがチャート上に表示されます。緑の9はレジスタンスラインに近いほど、赤の9はサポートラインに近いほど信頼性の高いシグナルです。
さらに、緑の数字(1から13)のカウントは緑の9(M9)の後に始まり、ローソク足の終値が2本前の高値以上の場合に継続します。カウントが13に達すると、上昇トレンドの弱化が予測されます。
赤の数字(1から13)のカウントは、赤の9(M9)の後に始まり、ローソク足の終値が2本前の安値以下の場合に継続します。13までカウントが続いた場合は、下降トレンド弱化のシグナルです。
「Standardized MACD Heikin-Ashi Transformed」は、MACDと平均足を組み合わせたカスタムインジケータです。MACDラインと平均足の転換をもとに、トレンド転換のタイミングをマーカーで表示します。
平均足は、通常のローソク足の動きをより滑らかにしたチャート形式の1つです。ローソク足よりも、同じ色の足(陽線・陰線)が続きやすいという性質があり、トレンドフォロー戦略で利用される傾向があります。陽線と陰線の変化が緩やかであるため、トレンド転換に気づきやすいというメリットがあります。
下記はドル円の日足に、「Standardized MACD Heikin-Ashi Transformed」を適用したチャート例です。
画像引用:TradingView
上側の赤色の部分が「買われすぎ領域」を、下側の水色部分が「売られすぎ領域」を示しています。MACDラインが買われすぎ領域、売られすぎ領域にあるときに、平均足の色が変化すると「▼、▲」マークが出現します。
「ATR Trend Bands」はATRを用いて、価格の上下にボラティリティに基づいたバンドを表示するカスタムインジケータです。ドンチャンチャネルに似たチャネルを表示します。ドンチャンチャネルが高値と安値にもとづいてバンドを作成するのに対し、「ATR Trend Bands」はボラティリティをもとにバンドを表示します。
このインジケータでは、バンドが緑色のときは上昇基調を、赤色のときは下落基調を示します。下の画像はドル円の1時間足に、「ATR Trend Bands」を描画したチャートです。
画像引用:TradingView
明確な下落トレンドが発生している部分では、バンド色が赤色になっています。
ただし、レンジ相場のときでも、買いシグナルか売りシグナルのどちらかが必ず出現します。上記のチャートでは、上昇トレンドが発生していない局面でもバンドが緑色になっており、買いシグナルが出現しています。
このインジケータはトレンド相場では効果を発揮するものの、レンジ相場になると損失が大きくなってしまう可能性があります。そのため、他のインジケータと組み合わせて分析し、シグナルが信頼できるのかどうかを裁量で判断する必要があるでしょう。
緑のバンドの時に価格が下限バンドに触れると、売りシグナルを示す「S」のラベルが表示されます。反対に、赤のバンドの時に価格が上限バンドに触れると、買いシグナルを示す「L」のラベルが現れます。
このバンドの幅は「Multiplier Atr」の設定値を変更することで調整可能です。通貨ペアや株式銘柄に応じて微調整すると良いでしょう。
TradingView(トレーディングビュー)では、豊富な種類のカスタムインジケータを提供しています。TradingViewのコミュニティでは、紹介した5つのインジケータ以外にも、転換点の分析に使えるテクニカル指標が公開されています。
また、チャートパターンを自動分析する機能やアラートを発信する機能なども利用でき、さまざまな使い方ができる点がTradingViewのメリットといえるでしょう。
ただし、利用できるカスタムインジケータの種類は、選択するプランによって異なります。どのプランを選ぶかは、利用頻度や必要とする機能に合わせて検討しましょう。自分のトレーディングスタイルや分析ニーズに合ったプランを選ぶことで、TradingViewの機能を最大限に活用できます。
作成日
:2024.05.23
最終更新
:2024.08.26
短期が中心のトレーダーや中長期が中心のトレーダー、元プロップトレーダー、インジケーターやEAの自作を行うエンジニアなどが在籍。資金を溶かした失敗や専業トレーダーに転身した経験など、実体験も踏まえてコンテンツを制作している。
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