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DePIN(Decentralized Physical Infrastructure Network)とは?DePINの仕組みや将来性を解説

DePIN(Decentralized Physical Infrastructure Network)とは?DePINの仕組みや将来性を解説

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update 2024.01.09 17:30
DePIN(Decentralized Physical Infrastructure Network)とは?DePINの仕組みや将来性を解説

update 2024.01.09 17:30

DePINとは分散型物的インフラネットワーク(Decentralized Physical Infrastructure Network)の略称で、各種インフラをブロックチェーンで構築することです。

特徴の一つに、報酬として仮想通貨を付与してインフラネットワークを構築する点があり、電気通信やエネルギーなど多くの分野で採用可能です。

本記事では、DePINの仕組みや将来性、関連プロジェクトなどを解説します。

DePINとは?

DePINとはブロックチェーン技術を活用した分散型物的インフラネットワークであり、世界中に散らばった個人や企業によって構築・維持されます。

DePINという言葉自体は、2022年11月に仮想通貨情報プラットフォームのMessariがX(旧Twitter)上でユーザー投票を行い、定着しました。

DePINはなぜ必要か

無線ネットワークや電力網などのインフラを構築・維持するには資本力が必要であり、通常は大企業によって運営されます。

その結果、少数の企業による寡占が常態化し、サービス改善や価格競争が起こりにくいのが現状です。

これに対してDePINは、世界中に散らばった個人や企業が協力して、インフラネットワークを構築・維持することを目指します。DePINが成功すると、効率的なインフラ運用ができるだけでなく、権力集中を防げる見込みです。

報酬は仮想通貨

DePINではインフラネットワークに参加するコミュニティメンバーに対し、報酬として仮想通貨を付与します。インセンティブにより、中央集権的な組織を持たなくても機能するのがメリットです。

DePINの例(分散型WiFi)

Helium

画像引用:Helium

DePINプロジェクトのHelium(ヘリウム)は、分散型のワイヤレスネットワークを展開しています。

コミュニティメンバーは自宅等にHeliumのデバイスを設置してWiFiホットスポットを提供し、報酬として仮想通貨HMTを得ます。このホットスポットの近くにいれば、誰でもスマホでインターネットに接続可能です。

HeliumはHMTをインセンティブとして使いながら、分散型ワイヤレスネットワークを世界中で展開しています。

DePIN関連プロジェクト

DePINには多種多様なプロジェクトが存在し、4つに分類可能です。

  • サーバー
  • インフラ
  • センサー
  • ワイヤレス
IoTeX
IoTeX

画像引用:IoTeX

DePINの中でも、特に注目されている4つのプロジェクトを紹介します。

  • Hivemapper
  • Render
  • Filecoin
  • DRIFE

Hivemapper【HONEY】

Hivemapper

画像引用:Hivemapper

Hivemapperは分散型の世界地図を作るDePINプロジェクトで、Web3版Googleマップとも呼べるものです。

専用のドライブレコーダーを自動車に取り付けて走行し、道路の映像をアップロードするだけです。報酬として、仮想通貨HONEYがウォレットに毎週送金されます。

全世界のメンバーが協力

Hivemapperのコミュニティメンバーは、Uberドライバーや配送ドライバーが多いようです。仕事で使っている自動車にドライブレコーダーを取り付けるだけで、仮想通貨を得られるからです。

Hivemapperは、全世界のメンバーから集めた映像を地図に変換していきます。2024年1月2日時点で、約1500の地域から3万人以上のメンバーが活動しており、約1億km分の道路の地図を完成させました。

HONEYのチャート

ONEYのチャート
ONEYのチャート

画像引用:CoinMarketCap

2022年の上場直後に高値をつけて以来、価格は長らく低迷していました。しかし、2023年11月以降に急騰して最高値を更新しています。直近は再び下落しており、今後の推移に注目です。

Render【RNDR】

Render Network

画像引用:Render Network

Renderネットワークは、分散型GPUレンダリングプラットフォームです。

クリエイターが3Dや動画を作成するためには、高性能なGPUコンピュータが必要です。Renderネットワークはそのようなニーズを持つクリエイターへ、世界中のコミュニティメンバーから集めたGPUコンピューティングパワーを提供しています。

メンバーは、GPUコンピューティングパワーを提供する見返りとして、仮想通貨RNDRを獲得できます。

RNDRのチャート

RNDRのチャート
RNDRのチャート

画像引用:CoinMarketCap

2021年後半に上場来高値を大きく更新し、その後低迷した様子がわかります。しかし、2023年前半から上昇に転じ、最高値の更新が視野に入りました。上昇を継続できるかどうかに注目です。

Filecoin【FIL】

Filecoin

画像引用:Filecoin

Filecoinは、「人類の最も重要な情報を保存する」ことを目的とした分散型ストレージシステムです。百科事典・科学論文・歴史的文書・文献などの公共データを、分散型ストレージに保管することを目指しています。

コミュニティメンバーはストレージを提供して、仮想通貨FILを獲得可能です。

FILのチャート

FILのチャート
FILのチャート

画像引用:CoinMarketCap

2021年に最高値を記録したのち、長期的に低迷しています。2023年は多くの仮想通貨銘柄の価格が上昇した一方、FILは波に乗れていない模様です。

DRIFE【DRF】

Filecoin

画像引用:DRIFE

DRIFEは、一般の人々がタクシー運転手のような仕事を行う、分散型ライドシェアリングサービスです。「Web3版UBER」と考えることもできます。

DRIFEでは、運転手が報酬として仮想通貨DRFを受け取ります。また、DRFはガバナンストークンとしても機能するため、運転手はプロジェクト運営に関与できます。

DRFのチャート

DRFのチャート
DRFのチャート

画像引用:CoinMarketCap

DRFは2021年の公開直後に最高値を記録し、その後は現在に至るまで低迷しています。低迷の原因を探すことにより、他の銘柄に投資する際の参考になるかもしれません。

DePINの特徴

DePINは、以下の特徴があります。

  • インフラ運営コストの低下
  • 強固なセキュリティ
  • ボトムアップ方式の運営

インフラ運営コストの低下

DePINでは、コミュニティメンバーがインフラ構築に必要な投資を行います。よって運営側は、莫大な初期投資を行う必要がありません。

またDePINでは給料の代わりに、コミュニティメンバーに仮想通貨を渡します。ブロックチェーン技術を活用したP2P決済のため、決済処理業者に手数料を支払う必要がない点もメリットです。

結果的に、DePINは従来の企業と比べて大幅に低いコストで運営可能です。

強固なセキュリティ

各プロジェクトの公式情報によると、DePINの分散型ネットワークは、従来の中央集権型インフラ・ネットワークに比べて、より強固なセキュリティを実現できます。

大企業による運営では、経営層が重大なミスを犯したり、中央ネットワークがハッキングを受けるといったリスクが内在します。

DePINは世界中に散らばったコミュニティメンバーが協力して運営を行うため、そのようなリスクは低いとされているようです。

ボトムアップ方式の運営

DePINは報酬として仮想通貨を利用しており、ボトムアップ方式の運営が可能です。DePINプロジェクトの仮想通貨の価値は、ネットワークの広がりや認知度の向上によって上昇していくことが予想されます。

つまり、メンバーはインフラネットワークの機能を改善したり、多くの人に知ってもらうために宣伝したりなど、様々な活動を行うインセンティブを持っています。

結果的に、少数の株主グループによって所有される大企業よりも、DePINは質の高いインフラを構築できる可能性を秘めています。

DePINのリスク

DePINのリスクについて、2点を紹介します。

  • 価格の低迷
  • ハッキング等のリスク

価格の低迷

DePINは仮想通貨を報酬として利用します。つまり、市況が良い時は報酬額が高くなる反面、悪い時は報酬額が低下することになります。

例えば、DePINプロジェクトHeliumの仮想通貨HNTの価格は、2021年11月に6,000円を超えていました。しかし、当記事執筆時点(2024年1月2日)では1,000円まで落ち込んでいます。

DRFのチャート
DRFのチャート

画像引用:CoinMarketCap

DePINへの参加を検討する際には、仮想通貨市場の状況によって報酬額が上下することを考慮する必要があります。

また、各プロジェクトに参加して報酬を得た人は、報酬の仮想通貨を売却して現金化しようとするでしょう。参加者による継続的な売り圧力と同等の買い圧力がない場合、価格を下げてしまうかもしれない点にも注意が必要です。

ハッキング等のリスク

DePINの各プロジェクトは、セキュリティの強固さや安全性をアピールしています。

しかし、ハッキングは日常茶飯事であり、DePINだけがハッキングから無縁というわけにはいきません。ハッキングで自分の資産が失われても、損失補填されないと想定して行動すべきです。

DePINの将来性

DePINの将来性については、以下の2点が挙げられます。

  • 市場規模は2.2兆ドル
  • 参入障壁が低い

市場規模は2.2兆ドル

DePINは仮想通貨業界の中で比較的小規模な新興セクターです。しかし、電気通信やモビリティなどの大規模産業がターゲットのため、成長のポテンシャルは非常に大きいと考えられます。

仮想通貨情報サイトMessariによると、2023年8月時点のDePINの市場規模は2.2兆ドルで、2028年までに3.5兆ドルに達する可能性があるとしています。これは仮想通貨市場全体の時価総額の約2倍に相当します。

参入障壁が低い

DePINは、これまで新規参入がほぼ不可能だった市場へのアクセスを可能にします。

例えば、ある起業家が新しい通信サービスを立ち上げたいとします。従来の方法では、インフラの購入と配備のために何百億円もの資金を調達しなければならず、日々のコストも膨大です。

一方でDePINは、仮想通貨を報酬として利用することで、世界中から協力者を集められます。また、個人や企業がハードウェアの購入やメンテナンスを行うため、開発チームの初期コストは必要最小限で済みます。

この点から、将来は多くの起業家がDePINを利用することになるかもしれません。

DePINはDeFiに追いつけるか

ブロックチェーン技術は、これまで金融(DeFi)、ゲーム(Play to Earn)、アート(NFT)に至るまで、多くの業界にインパクトを与えてきました。しかし、インフラ業界はほとんど変わらずに今日に至っています。

DePINは市場規模が大きいため、世界へ革新的なインパクトを与える可能性があります。今後DePINは一大セクターに成長できるのか、期待していきましょう。


Date

作成日

2024.01.05

Update

最終更新

2024.01.09

Myforex編集スタッフー仮想通貨担当ー

2017年に初めてビットコインを購入し、2020年より仮想通貨投資を本格的に開始。国内外のメディアやSNSなどを中心に、日々最新情報を追っている。ビットコインへの投資をメインにしつつ、DeFiを使って資産運用中。

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