作成日
:2023.11.15
2023.11.15 18:32
2023年1~9月の個人トレーダーによるFX取引額が、過去最大になったことが明らかになりました。個人トレーダーによるFX取引が活発になった理由として、日米の金利差が拡大していることや、短期トレードの活発化が挙げられます。
また、個人のFX取引が解禁されて以降、日本の個人トレーダーの動向が度々注目を集めるようになりました。個人トレーダーによる取引が、外為市場に影響を与える可能性もあります。
本記事では個人のFX取引が活発化している背景や個人トレーダーのポジションが市場に与える影響などをまとめました。
金融先物取引業協会が発表した「2023年9月の店頭FX月次速報」によると、個人トレーダーによるFXの取引額が過去最大になったことが明らかになりました。2023年1~9月の取引額は8,956兆円となっています。過去年度の同月取引額と比較してみると、2022年に急増していることがわかります。
年(1~9月) | 取引額 |
---|---|
2023年 | 8,956兆円 |
2022年 | 8,697兆円 |
2021年 | 4,363兆円 |
2020年 | 4,756兆円 |
2019年 | 2,620兆円 |
2018年 | 3,045兆円 |
2017年 | 3,396兆円 |
2016年 | 3,898兆円 |
2015年 | 4,541兆円 |
2014年 | 2,309兆円 |
2013年 | 3,476兆円 |
東京取引所グループが公開している「2022年度及び2023年3月(月間)売買について」によると、2022年度の年間取引代金は、株式関連の取引では1,805兆円、デリバティブ全体で3,045兆円とされています。
デリバティブ商品 | 2022年度取引代金 |
---|---|
株式関連 | 1,805兆円 |
債券関連 | 1,169兆円 |
商品関連
(貴金属・ゴム・農作物・商品指数)
|
63兆円 |
商品関連
(エネルギー)
|
7兆円 |
合計 | 3,045兆円 |
個人トレーダーによるFXの取引額は、デリバティブ全体の取引額と比較して3倍弱の水準にあることから、FX取引の取引額が非常に大きくなっていることがわかります。
2020年以降、FXの取引額は増加傾向にありますが、2022年の取引額は2021年の約2倍に増加しました。2022年は個人FX取引が解禁されて以降、初めて年間取引額が1京円に到達し、過去最大となっています。
2022年はアメリカが利上げに動いた年です。同年3月~10月にかけて円安・ドル高が進んだことから、アメリカの利上げをきっかけに取引が活発化したものと考えられます。
直近ではドル円が150円を突破し、2022年の高値に迫りつつあります。為替市場の動向に注目が集まっていることから、2023年度は前年度の取引額を上回る可能性もあります。
2023年7月~8月は買いポジションの額が売りポジションを上回っていましたが、9月時点では逆転しています。
直近では円高・ドル安を見込んでいる個人トレーダーが多いことがうかがえます。2022年高値が目前に迫っていることや、為替介入が意識されているものと考えられます。
2022年以降、個人トレーダーのFX取引額が急増した理由として、日米金利差の拡大と取引スタイルの変化が考えられます。
2022年以降、アメリカは利上げに舵を切り、2023年7月には5.5%に達しています。一方、日本は依然として低金利を維持しています。日米の金利差が拡大していることから、今後もしばらくは円売り・ドル買いは継続すると見られています。
先述の通り、2022年はFXの取引額が急激に増加した年でもあります。金利差を背景とするドル高・円安を、収益をあげるチャンスと捉えた個人トレーダーによる取引が活発になったことで、FXの取引額が増加したものと考えられます。
日銀の「2022年を中心とした最近の個人FX取引」によると、2012年と比較して2022年は、個人FXの月平均の建玉が2倍の増加した一方で、取引高は7倍以上増加したとされています。
建玉とは、未決済のポジションのことです。建玉と取引高の伸び率の差は、トレーダーの取引スタイルの変化によるものと考えられています。
FXでは金利の低い通貨を売って、金利の高い通貨を買うポジションを保有すると、スワップポイントと呼ばれる金利差分の利益を得られます。スワップポイントを目的とする取引がキャリートレードです。
スワップポイントとは、金利の異なる通貨を売買(交換)する際に、その金利差を調整するために発生する「金利差調整分」のことです。「金利の低い国の通貨を売って、金利の高い国の通貨を買う」とスワップポイントを受け取ることができ、逆に「金利の高い国の通貨を売って、金利の低い通貨を買う」とスワップポイントを支払うことになります。
キャリートレードでは基本的にポジションを長期間保有する必要があります。個人トレーダーによるキャリートレードの増加は、建玉の増加に繋がります。
短期トレードとは、スキャルピングやデイトレードのように、短期間の小さな値動きを狙って、売買する取引スタイルです。短期トレードでは1日に複数回取引することも珍しくありません。短期トレードでは頻繁に売買を繰り返すことから、短期取引が増えると取引高も増加します。
月次の建玉以上に取引高が増加したということは、10年前と比較してキャリートレードよりも短期取引が活発化している可能性を示唆しています。個人トレーダーの取引スタイルの変化がFX取引額を増加させた一因になっていると考えられるのです。
日本の個人FXトレーダーはミセスワタナベと呼ばれることもあり、為替市場で動向が度々注目されてきました。2019年のBISサーベイを基にした日銀の分析では、日本の個人投資家関連取引が増加したとされています。
グローバルな外国為替市場での全スポット取引における日本の個人投資家関連取引の割合は5%未満です。一方で、個人投資家関連取引のみを比較した場合、全世界の取引量に占める日本の割合は28%に拡大しており、日本の個人トレーダーの動向が、為替市場に一定の影響を与える可能性があることも示されています。
2023年以降、建玉の合計額は増加傾向にあります。9月時点では売建が買建を上回っており、円安・ドル高が進行した場合、売りポジションの解消が進む可能性があります。
持ち高の解消により、為替市場のボラティリティが高まる可能性もあるため注意が必要です。日米の金利差拡大を背景に今後もしばらく円安・ドル高が継続するとの見方もあります。
個人投資家の売りポジション解消が進んだ場合、円安・ドル高が加速する可能性があるため、個人トレーダーの動向にも注目する必要があるでしょう。
作成日
:2023.11.15
最終更新
:2023.11.15
短期が中心のトレーダーや中長期が中心のトレーダー、元プロップトレーダー、インジケーターやEAの自作を行うエンジニアなどが在籍。資金を溶かした失敗や専業トレーダーに転身した経験など、実体験も踏まえてコンテンツを制作している。
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