作成日
:2023.09.28
2023.09.28 15:47
Mantle(旧BitDAO)では、2023年9月5日〜12日にアプリケーション支援に関する投票(MIP-26)が実施されました。結果は、ほぼ100%の賛成で可決されています。
当記事では、MIP-26の背景や目的、アプリケーション支援の詳細を解説します。また、可決による仮想通貨(暗号資産)MNTへの影響も考察します。
Mantleは、イーサリアム(ETH)のレイヤー2プロジェクトです。
画像引用:Mantle
多くのブロックチェーンは、異なる役割を持つブロックチェーンが階層別に独立して相互通信する「レイヤー構造」になっています。基礎的な役割を担うブロックチェーン層をレイヤー1と呼び、レイヤー1の情報処理を助ける層をレイヤー2と呼びます。
Mantleは、既存のレイヤー2が抱えるスケーラビリティやセキュリティの課題解決を目指して、旧BitDAOが立ち上げたプロジェクトです。旧BitDAOは、大手取引所Bybit(バイビット )が支援していたDAOで、DeFi(分散型金融)を中心に多くのプロジェクトに投資していました。
2023年5月のDAOでの投票により、BitDAOはMantleにブランド変更しています。
DAOは「Decentralized Autonomous Organization」の略で、日本語で「分散型自立組織」と訳されます。中央管理者が存在しなくとも、参加者の活動によって機能する組織を指します。中央集権型の組織と比較して民主的で透明性が高いと見なされており、ブロックチェーンの普及で広く採用されています。
MNTは、Mantle Networkで使用されるトークンです。ガス料金の支払い、ノード参加のためのステーキング、コミュニティ投票の議決権などの役割を持ちます。
ガバナンストークンとユーティリティトークンの両方の機能を持っています。
ガバナンストークンとは、DeFi(分散型金融)において、プロジェクトの新しい機能の追加・削除・変更や、開発などの方針の提案(投票)を行う権利を持つトークンを指します。
ユーティリティトークンは何らかの実用性を持った仮想通貨を指します。具体的には、特定のサービスへアクセスしたり決済に利用したりできます。
MIP-26では、Mantleが保有する財務資産の一部を使ったアプリケーションへの流動性支援が提案されました。その内容を見ていきましょう。
MIP-26は、「Mantle経済委員会」によって提案されました。Mantle経済委員会は、前回の投票(MIP-25)により発足したばかりのサブガバナンス機関です。
Mantleにはマクロ戦略を承認する機関である「Mantleガバナンス」が設置されています。
サブガバナンス機関は、詳細事項や時間的制約のある決定を処理するために、Mantleガバナンスから権限を与えられた機関です。Mantleガバナンスは、実績に基づいてこれらの権限を変更または取り消すことができます。
Mantle経済委員会は、Mantleが保有する財務資産に対して、リスク回避的かつ保守的な方法で財務資産の配分を評価し、決定を下す役割を持ちます。
今回のMIP-26は、Mantle経済委員会の初めての提案という側面も持ち合わせています。
MIP-26は、Mantle上に開発されるアプリケーションに流動性支援を行い、Mantleエコシステムを発展させることを目的としています。
流動性支援の原資は、MantleがDAO運営の裏付けとして保有する財務資産(Mantle Treasury)です。
画像引用:Mantle
MIP-26では、この財務資産の一部をMantle上のアプリケーションへの流動性支援に活用することを提案しています。流動性支援が目的のため、対象のアプリケーションはDEXやステーキングプールなどが優先とされています。
MIP-26では、アプリケーションの流動性支援に対して、最大で6,000万USDx、3万ETH、1億2,000万MNTを使うことが提案されました。
アプリケーション個別の限度額は以下のとおりです。
また、RWA(Real World Assets)によって裏付けされたステーブルコインや、サードパーティーブリッジへの以下の流動性提供も提案されています。
DAppsのMantle採用を促進するため、Mantleエコシステムに参入するプロジェクトをサポートするファンドです。仮想通貨やブロックチェーンに精通したベンチャーキャピタルと共にプロジェクトに投資し、サポートを提供します。
2023年9月5日〜12日の期間で投票が行われ、ほぼ100%の賛成でMIP-26は可決されました。
賛成が約1億5千万MNTに対して、反対は3,200MNTと賛成票が圧倒する結果でした。このことから、コミュニティのMantle経済委員会への期待感や、エコシステム拡大への積極性がうかがえます。
MIP-26の可決による、MNTの価格への影響はあるのでしょうか。
今回可決された流動性支援には、最大で350億円規模の予算が割り当てられています。これは、当記事執筆時点(2023年9月26日)の財務資産(下図)に対して、10%を超える割合となっています。
画像引用:Mantle
350億円規模の流動性が提供されることで、今後Mantle上で開発されるアプリケーションの取引量や利便性の向上が見込まれます。
このことは、Mantleエコシステムの拡大につながり、将来のMNT価格にもポジティブな影響が期待できるでしょう。
MIP-26の詳細を解説し、MNT価格への影響を考察しました。
Mantleは2023年にブランド変更されたばかりで、コミュニティ活動が活発です。MIP-26で財務資産をアプリケーションへの流動性支援に活用する提案が可決され、Mantleエコシステムの拡大に向けた機運の高まりがうかがえます。
支援を受けたアプリケーションが成功してMantleエコシステムが拡大すれば、MNT価格へのポジティブな影響が期待できるでしょう。
作成日
:2023.09.28
最終更新
:2023.09.28
2017年に初めてビットコインを購入し、2020年より仮想通貨投資を本格的に開始。国内外のメディアやSNSなどを中心に、日々最新情報を追っている。ビットコインへの投資をメインにしつつ、DeFiを使って資産運用中。
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