作成日
:2023.08.18
2023.08.26 18:20
2023年8月10日、friend.techのベータ版がリリースされました。
friend.techは、Baseブロックチェーン上のDApps(分散型アプリケーション)ということもあり、大きな話題となっています。国内の仮想通貨(暗号資産)コミュニティでも、自分の価値を株式のように売買できるサービスとして注目を集めており、利用を開始するユーザーが増えています。
当記事では、friend.techの概要を説明した上で、仕組みや懸念されるリスクなどを解説します。
friend.techは、新しく登場したSocialFiアプリです。
画像引用:friend.tech公式サイト
SocialFiは、SNSなどのSocialと金融のFinanceを組み合わせた言葉です。はっきりとした定義はありませんが、一般的に仮想通貨などを報酬システムに組み込んだSNSのことなどを指します。
インフルエンサーは、friend.techのプラットフォーム上で独自のソーシャルトークンを発行し、一般ユーザーはそれらを売買できるという仕組みになっています。
2023年8月10日にベータ版がリリースされ、当記事執筆時点(2023年8月15日)では招待制のアプリとなっています。そのため、招待コードを持つユーザーのみが参加可能となっています。
Coinbaseの上級ソフトウェアエンジニアYuga Cohler氏のツイートによると、インフルエンサーは、プラットフォーム上でシェア(Share)と呼ばれる独自のソーシャルトークンを発行し、販売できます。
発行されたシェア(Share)は、friend.techに参加する一般のユーザー間で売買することができます。
シェアを保有するユーザーは、インフルエンサーとプライベートなメッセージを交換できます。
シェアの価格は市場の需給によって決定されるため、インフルエンサーの影響力などに左右されると考えられます。Cohler氏のツイートによると、人気が高いインフルエンサーのシェアは、2ETH以上の価格で取引されているケースもあるようです。
https://t.co/L11mNJZgY3 is a decentralized social media app that tokenizes crypto personalities:
— yuga.eth (@yugacohler) August 11, 2023
- You can buy and sell "shares" of people
- Ownership of a share grants you access to a private chat with that person
- Share price fluctuates according to supply and demand pic.twitter.com/qzfAoAa6u9
また、Cohler氏はシェアが売買される度に、インフルエンサーは手数料としてETHを獲得できるとしています。
friend.techは、Base上に構築されたDApps(分散型アプリケーション)です。
Baseは、米大手取引所Coinbase(コインベース)が手がけるブロックチェーンです。イーサリアム(ETH)のレイヤー2として機能しており、様々なDApps(分散型アプリケーション)が開発されています。
Baseが注目のブロックチェーンということもあり、friend.techも人気を集めています。大手メディアもfriend.techの誕生を報道しており、仮想通貨(暗号資産)コミュニティでホットな話題となっています。
2023年8月15日、friend.techは公式Twitterにて、アプリのテスト利用者に報酬ポイントをエアドロップすると発表しました。8月18日から毎週金曜日にポイント配布が行われ、今後6ヶ月間で1億ポイントが配布される予定です。
アプリの正式リリース後、ポイントは特別な目的を持つとされていますが、詳細は公表されていません。
エアドロップとは仮想通貨の無償配布を指します。知名度向上などを目的として新規プロジェクトが実施する例が多く、仮想通貨をもらうには公式ツイッターをフォローすることなど一定の条件がつく場合もあります。
friend.techは、Base上で開発されたアプリということもあり、仮想通貨(暗号資産)コミュニティで期待が高まっています。
その人気は、friend.techにおけるETHのトランザクションボリュームにも表れています。Dune analyticsのデータによると、friend.techにおけるETHの取引ボリュームは、リリース翌日の2023年8月11日に4,000ETHを超えました。
Twitter(ツイッター)上でも、friend.techに関するツイートが多く見られます。リスクを懸念する声も挙がっていますが、friend.techを始めてみたとの報告が数多く寄せられています。
中には、friend.techのコンセプトがVALU(バリュー)に似ているとの評価もあるようです。
VALU(バリュー)とは、株式会社VALUによって提供されていた、個人が自分の価値を株式のような形で発行できるサービスです。一般ユーザーから資金調達できるとして注目を集めましたが、2020年3月末でサービス提供を終了しました。
friend.techには、以下のような懸念があると考えられます。
現在、friend.techは大きな話題となっていますが、プロジェクトやサービスに関する情報がほとんど公開されていません。
公式のWebサイトには情報がなく、ホワイトペーパーのようなものもないため、詳細は明らかになっていません。公開されているのは、サービスそのものとなるアプリとSNSのアカウントだけです。
また、開発者に関しても、素性が伏せられています。
CoinbaseのエンジニアYuga Cohler氏によると、friend.techの開発の背景にはRacer氏という人物がいるとしています。
Racer氏は、過去にTweetDAOや、後にfriend.techにリブランディングされたStealcamと呼ばれるサービスを手がけた人物です。理由は明らかではありませんが、TweetDAOのサービスは、現在利用できないようになっています。
どのプロジェクトにもいえることですが、運営の実態が曖昧なプロジェクトは詐欺のリスクが高まります。
仮想通貨における出口詐欺とは、開発チームが資金を集めた後にプロジェクトを放棄したり、資金を持ち逃げしたりする行為です。英語で Rug Pull(ラグプル)と呼ばれ、Play to Earnの世界でも度々発生しています。
friend.techは、全く新しいサービスです。従って、エコシステムが持続するかは未知数です。現在は注目を集めるアプリとなっていますが、一過性のブームで終わる可能性もあります。
現在の仕組みでは、インフルエンサーがどれだけ価値を提供できるかに依存していると考えられます。価値がないと判断されるとシェアの投げ売りが始まり、エコシステム全体が沈下する可能性があります。
friend.techは、プライバシーポリシーを公開していません。
当記事執筆時点(2023年8月15日)では、ホームページのプライバシーポリシーのリンクをクリックしても「Coming Soon!(近日公開)」としか表示されません。
実質的にプライバシーポリシーがないような状態なので、最悪、情報が悪用されるリスクがあります。
一般的にDApps(分散型アプリケーション)は、技術監査によってスマートコントラクトが正常に機能するかを確認します。
通常、誰が監査を行ったのか、いつ監査を行ったかなどの情報が公開されています。しかし、friend.techはそれらを公開していないため、バグのリスクが懸念されています。
friend.techはほとんど情報を公開しておらず、リスクが懸念されています。しかし、登場したばかりの新しいサービスであり、可能性を秘めているのも事実です。日本国内でも、新しいもの好きのインフルエンサーが利用を開始しており、話題となっています。
friend.techのサービスが気になっている方は、リスク面も考慮した上で利用するのが良いでしょう。
作成日
:2023.08.18
最終更新
:2023.08.26
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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