Select Language

仮想通貨のメモリープール(mempool)とは?ブロックチェーン運用に必要不可欠なシステム

仮想通貨のメモリープール(mempool)とは?ブロックチェーン運用に必要不可欠なシステム

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2023.11.23 08:48
仮想通貨のメモリープール(mempool)とは?ブロックチェーン運用に必要不可欠なシステム

update 2023.11.23 08:48

仮想通貨(暗号資産)のメモリープール(Mempool)は、ブロックチェーンが効率的にトランザクションを処理するためのシステムです。順番待ちトランザクションの一時的な保管場所であり、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などで実装されています。

また、ブロックチェーンの状態を表す指標となっており、メモリープール内のトランザクション数が多いと手数料の上昇や取引の遅延につながりやすくなります。

当記事では、メモリプール全般について解説していきます。

仮想通貨のメモリープールとは

メモリープール(Memory Pool)は一般的にmempoolと表記されます。ブロックチェーンの状態を測る指標として用いられることもあり、mempoolが増加すればブロックチェーンが混雑しており、減少すれば空いていることを意味します。

ブロックチェーンには処理能力の限界があるので、トランザクションが順番待ちのような状態で保留されることがあります。その際にメモリープールがデータの一時保存先として利用されます。

メモリープールに溜まったトランザクションは、マイナーやバリデータが検証してから、ブロックチェーンに書き込まれます。ブロックチェーンに書き込まれたトランザクションは、メモリープールから消去されます。

ブロックチェーンとメモリープール
knowledge トランザクションの検証

ブロックチェーンに記録されるトランザクションは、署名がなされているか、送金者に十分な資金があるか、ルールに則っているかなどが検証されます。例えば、二重送金となっている場合などは、トランザクションは認められません。マイナーやバリデータと呼ばれるノードがトランザクションを検証します。

メモリープールが必要な理由

メモリープールが必要な理由は、ユーザーの利便性確保です。メモリープールがない場合、ブロックチェーンは処理能力を超えるトランザクションを受信できなくなりますので、ユーザーは送金可能な瞬間を見計らって送信しなければなりません。

メモリープールがあるおかげで、ユーザーは柔軟にブロックチェーンを利用できます。また、メモリープールはノード間で共有するので、手の空いたノードから処理するという効率的なシステムになっています。

point ノード

ノードとはブロックチェーンのネットワークを構成するコンピュータを指し、パソコンやスマホなどを含みます。ブロックチェーンを稼働させるために、ブロックの検証だけでなく取引情報の記録や情報伝達などの機能を提供します。

メモリープールが増減する要因

メモリープール内のトランザクション数は日々変動しており、多い時には10万件を超える場合もあります。トランザクション数が急激に増加すると、マイナーの処理が追いつかないため送金遅延や手数料高騰につながります。

下のグラフは、ビットコインのメモリープールの状況です。ビットコインの処理能力は1秒間におよそ7件ですので、メモリープールに70,000件ある場合は全て処理するのに3時間近くかかります。

Mempool内のトランザクション数

画像引用:blockchain.info

また、メモリープール内のトランザクション数は、仮想通貨取引所の需要が高まるタイミングで増加する傾向にあります。具体的には、ブレイクアウトして上昇期待が高まった時や、急落して利益確定や損切りを急ぐ売り需要が集中した時などです。

2017年や2020年にビットコイン価格が直近の高値を上抜けて高騰した際には、トランザクション数が急増しました。

point ブレイクアウトとは

仮想通貨価格がある一定の価格帯を抜けて一方向に進行することをブレイクアウトと呼びます。上向きに抜ければ強気、下向きに抜ければ弱気のシグナルとなり、取引が活発になります。

なお、処理能力の高いブロックチェーンでは、メモリープール内のトランザクション数が増加しないこともあります。

スパム攻撃を受けている可能性も

取引手数料が非常に安価、または無料のブロックチェーンの場合、悪意あるユーザーが大量のトランザクションを発生させ、メモリープール内のトランザクション数が増加することもあります。

過去にはソラナ(SOL)がスパム攻撃を受けてトランザクション数が激増し、数時間にわたって動作を停止した例もあります。

メモリプールの増加で何が起こる?

メモリープール内のトランザクション数が増加すると、以下の現象が起きやすくなります。

取引手数料の上昇

メモリープール内に保留されたトランザクションが増えると、取引手数料が徐々に上昇していきます。

一般的に、送金手数料が高いトランザクションが優先的に処理されるので、手数料が安いトランザクションはメモリプール内に留まり続けます。このため、ユーザーは確実に送金させようとして送金手数料が高くなります。

knowledge 送金手数料

ビットコインやイーサリアムでは、送金者が送金手数料を設定できます。高く設定すればするほど、迅速に処理されます。

取引の遅延

ブロックチェーンは処理能力に上限があるので、それを超えてしまうと、メモリープール内のトランザクションが増加します。

メモリープール内のトランザクションが増加しているということは、処理待ちのトランザクションで混雑している状態なので、取引が遅延しがちになります。

メモリープール活用のプロセス

ビットコインのブロックチェーンを例にすると、メモリープールは次のようなプロセスで活用されます。

ビットコインにおけるメモリープール活用のプロセス

1. トランザクションの発生

送金者がビットコインの送金をリクエストすると、トランザクションが発生します。

2. メモリープールに移動

新しいトランザクションは検証のためにメモリープールに移されます。

3.トランザクションの検証

マイナーがメモリープール内のトランザクションを検証します。このプロセスをマイニングと呼びます。

point マイニング

マイニングとは、PoW(プルーフ・オブ・ワーク)型のブロックチェーンの維持に貢献して、報酬として仮想通貨を得ることを指します。PoS(プルーフ・オブ・ステーク)型のブロックチェーンの場合はステーキングと呼ばれます。

4.ブロックチェーンに記録

検証済みのトランザクションはブロックチェーンに記録され、メモリープールから消去されます。

メモリープールを使ったトレード

メモリープールにはその特徴を利用して稼ぐ方法があり、これをMEV(Maximal Extractable Value、最大抽出可能価値)と呼びます。一般の投資家や利用者が不利益を被る可能性があることから、システムの改善が求められています。

イーサリアムでは誰でもメモリープールを閲覧できます。そこで、ボットがメモリープール内のトランザクションを分析し、先に有利なポジションを取って利益を得ています。

例えば、分散型取引所(DEX)での取引において、ある仮想通貨を大量に購入しようとしているトランザクションがメモリープール内にあるとします。購入数量が多いので、実際に購入すると仮想通貨価格は上昇すると予想できます。そこで、ボットは割高な取引手数料を設定してその仮想通貨を先に購入します。

その後、大量の買い注文が約定して仮想通貨価格が上昇したのち、あらかじめ買った仮想通貨を売却して利益を得ます。メモリープールを使う手法は、他にもいくつかあります。

メモリープールを利用した取引

PoSへの移行で問題は緩和

MEVでイーサリアムの一般ユーザーが被った損失は、7億ドルに迫っています。しかし、イーサリアムがPoS(プルーフ・オブ・ステーク)のコンセサスアルゴリズムに移行してから、MEVの問題は緩和されています。

MEVによる損失額
point コンセンサスアルゴリズム

コンセンサスアルゴリズムとは、ブロックを生成するためのルールです。PoWやPoSに加え、DPoS(デリゲーテッド・プルーフ・オブ・ステーク)やPoI(プルーフ・オブ・インポータンス)などが存在します。それぞれ長所や短所があり、開発思想などの違いによって採用するコンセンサスアルゴリズムが変わってきます。

2023年2月24日から過去30日間で約237万ドルの被害がありますが、その増加率は鈍化しています。その他、対MEVのソリューションが開発されていることなども要因となっているようです。

まとめ

一般的に、ユーザーがメモリープールに注意を払うことは多くないでしょう。しかし、トランザクションの混雑状況を把握するツールとして使えます。特にイーサリアムは取引手数料の安い時の利用が推奨されており、メモリープール内のトランザクション数は取引手数料の推移を知る良い材料となります。


Date

作成日

2023.03.10

Update

最終更新

2023.11.23

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

メタマスク(MetaMask)のエアドロップ確認機能とは?特徴や使い方を解説

分散型ウォレットのメタマスク(MetaMask)に、エアドロップ確認機能が追加されました。これにより、エアドロップの受け取り資格の有無を、メタマスク上で簡単にチェックすることが可能になっています。当記事では、エアドロップ確認機能の特徴や、対応しているブロックチェーン、使い方を解説します。
New
update2024.04.26 21:00

仮想通貨BBの将来性は?ビットコイン向けリステーキングチェーンBounceBitについて解説

仮想通貨(暗号資産)BBは、レイヤー1ブロックチェーンBounceBitのネイティブトークンです。BounceBitは、ビットコイン(BTC)をリステーキングできるインフラとして機能します。
update2024.04.25 20:00

セービングとステーキングの違いとは?仕組みや利率・やり方を解説

仮想通貨(暗号資産)を運用する代表的なサービスとして「セービング」と「ステーキング」があります。よく似た両者には、どのような違いがあるのでしょうか。当記事では、セービングとステーキングの違いや仕組み、利率、やり方などを解説します。
update2024.04.25 19:30

Zoomexがプレイ金額杯を開催!To The Moonをプレイして総額17万円相当の賞金・特典を獲得

Zoomex(ズーメックス)が、プレイ金額杯の開催を発表しました。To The Moonをプレイしてランキングに入賞すると、総額17万円相当の賞金・特典を獲得できます。キャンペーンは、2024年4月30日午前9時(日本時間)までです。
update2024.04.23 20:00

BigBossが新規ユーザー向けの入金ボーナスを提供!最大1万3,700ドルを付与

海外FX業者のBigBossが入金ボーナスの提供を開始します。今回のボーナスプログラムでは累積入金額によって付与率が変化し、最大1万3,700ドルが付与されます。入金ボーナスの付与条件や対象、注意点などをまとめました。
update2024.04.22 20:30

ThreeTraderが3周年を記念したキャンペーンを開催!

海外FX業者のThreeTraderが、3周年を記念したキャンペーンの第一弾を開催しています。キャンペーン期間中に本人確認審査を完了、または初回入金を行うと合計20ドルのキャッシュバックを受け取れます。
update2024.04.19 21:00

Bybitの新ローンチパッドに仮想通貨PBUXが登場!参加方法やPlaybuxの独自トークンについて解説

Bybitのローンチパッドに仮想通貨PBUXが登場します。PBUXは、エンターテインメントWeb3.0プラットフォーム「Playbux」の独自トークンです。計測開始日時は2024年4月18日午前9時からです。
update2024.04.18 21:00

XS.comが賞金総額100万円のデモトレード大会「Lucky Contest」を開催!

海外FX業者のXS.comが、2024年4月29日よりデモトレード大会「Lucky Contest」を開催します。上位5名などには総額100万円の賞金が贈られます。
update2024.04.17 20:00

仮想通貨OMNIの将来性は?ロールアップを統合するレイヤー1ブロックチェーンについて解説

仮想通貨OMNIは、イーサリアムのロールアップを統合するブロックチェーン、Omni Networkのネイティブトークンです。Omni Networkを使用すると、イーサリアムの流動性とユーザーにアクセスできるグローバルアプリケーションを構築できます。
update2024.04.16 21:00

メタマスクにリップル(XRP)は送金できる?メタマスクの対応ブロックチェーンについて解説

メタマスク(MetaMask)は、複数の仮想通貨(暗号資産)を管理できる人気の高い仮想通貨ウォレットですが、メタマスクにリップル(XRP)は送金できるのでしょうか。
update2024.04.16 20:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル