作成日
:2022.05.20
2024.06.11 02:58
2022年5月18日、日本の大手仮想通貨(暗号資産)取引所GMOコインで、FCRコイン(FCR)が上場しました。FCRとは、国内プロサッカーリーグJ2に所属するFC琉球が発行するファントークンです。購入者は、上場後のトークン価格上昇を期待していたものの、それを裏切る形で暴落しています。これを受けて、Twitter(ツイッター)などSNS上は炎上騒ぎとなっており、GMOコインの対応に疑問を投げかける声が多数投稿されています。
FCRコインは、どのようなコインでしょうか。そして、GMOコインはどのような経緯で炎上したのでしょうか。
FCRコインは、ファントークンと呼ばれる種類の仮想通貨であり、FC琉球が発行しました。FC琉球は、2014年にJリーグ加盟を果たした新参のクラブであり、革新的なサッカークラブ運営のモデルケースとなることを目指しています。この一環として、FCRコインの発行に踏み切りました。ちなみに、日本のプロスポーツクラブではFC琉球が初めてファントークンを発行しました。
ファントークンとは、ファンとブランドの関係構築を目的とした仮想通貨です。近年、サッカー業界では、スペインのFCバルセロナなど名門クラブがファントークンを発行しており、トレンドとなっています。ファンが特典やグッズ購入目的でトークンを保有する一方、投資家が投資目的で売買する例も見られます。
FC琉球は、FCRを利用できる「FC RYUKYU SOCIO」を立ち上げました。これは、ファンやサポーター、選手、クラブを繋ぐ目的で使用されます。具体的には、一定以上のFCRコインを保有する者へ特典を付与する「トークンパートナーとしての権利獲得」や、投げ銭機能「選手・チームに対するFCRコイン送付機能」、クラブ運営に関する「投票決議への参加権利」などが利用可能です。
将来的には、沖縄経済を活性化するための決済網構築や、NFT導入なども視野に入れています。倉林啓士郎氏(FC琉球代表取締役社長)は、FCRコインに関して「スポーツクラブを軸にした地域活性化やアジア・グローバルも見据えた事業展開により、FCRコインの価値向上に取り組んで参ります」とコメントしています。
2022年4月27日から5月18日にかけて、GMOコインは日本国内で2例目となるIEOを実施しました。販売数量は総発行数量10億FCRのうち45%であり、1通貨あたりの価格は約2.2円でした。その結果、約10億円の資金調達に成功しました。
企業等が取引所にトークンの販売を委託し、投資家から資金調達する手段です。初期に流行したICO(イニシャルコインオファリング)などと比べて、取引所が審査を行うので、比較的信頼性が高いとされています。しかし、審査基準などは各々の取引所に依存するので、IEOが完全に信頼できる投資になるとはいえません。
FCRコインは、抽選で購入権利を得たユーザーに対して販売され、1口当たり5,775円(5%の手数料含む)相当の2,500FCRが購入可能でした。国内初のIEOとなったパレットトークン(PLT)は価格が数十倍になったこともあり、FCRコインは期待のプロジェクトでした。
2022年5月18日、FCRコインはGMOコインに上場しました。その直後に2.6円を超える高値を付けましたが、すぐに売り優勢の展開となり、一気に0.5円付近にまで下げました。トークンセール価格から70%以上下落しており、勢いを失っています。
画像引用:GMOコイン
FCRコイン価格が暴落した理由の一つとして、GMOコインの対応が指摘されています。
上場前の開示情報において、1日あたりのFCRコインの最大取引数量の制限は明示されていませんでした。しかし、上場後に公開されたルールにより、100万FCRに制限されました。これは、大口の売り浴びせを防ぐためかもしれません。これにより、大口保有者は売りたくても売れない状況となりました。しかし、ほどなくして事前告知なく2,000万FCRに変更されました。これを受け、売り急ぐ投資家が殺到して価格が急落しました。この経緯により、GMOコインによる突然のルール設定と変更に批判が集中しています。
ちなみに、GMOコインの「IEO サービス約款(新規暗号資産販売約款)」の第17条に、「当社は、いつでも前項の取引ルールを変更することができるものとします。」と明記されており、この変更は約款に反していません。
Twitter(ツイッター)上では、IEO実施前に取引制限の説明がなかったことなどからも、ユーザーに補償すべきだとの声が数多く寄せられています。これに関してGMOコインは、取引制限を上場時まで公表しなかったのは通常通りの対応で、それを上場後に変更したのは市場の状況を勘案してのことだったとしている模様です。
更に、プロジェクトチームとアドバイザーの報酬がロックアップ(売却制限)の対象外となっています。このため、GMOコインの一連の行動は、他の保有者に先んじてFCRコインを売り抜けるための策略だったのではないかとの憶測も飛び交っています。これに対して倉林氏は、GMOコインによるFCRコインの売り払いを否定しています。
損失を被ったユーザーの中には、金融庁や暗号資産取引業協会などに助けを求める者も出てきているだけに、GMOコインの対応次第では、この問題が大きく発展するかもしれません。
FCRコインの価格暴落の原因は、GMOコインの対応のせいだけではありません。しかし、炎上していることからも分かる通り、GMOコインの対応にも落ち度があった可能性があります。ユーザーの信頼を回復するためにも、GMOコインには真摯な対応が求められており、今後のGMOコインの発表に注目です。
なお、海外取引所のIEOでは、この種の炎上騒ぎはほとんど見受けられません。国内で炎上騒ぎが起きてしまう理由の一つとして、「取引所側の経験値が不十分」という点もありそうです。海外取引所は頻繁にIEOを実施しているのに対し、国内取引所は上場ハードルが高いためにIEO件数がとても少ないです。
海外取引所ではIEOが活発なため、顧客獲得競争が熾烈です。大手仮想通貨取引所のBybit(バイビット)では、「ローンチパッド」と呼ばれるIEO機能で頻繁に新規仮想通貨が上場しており、大きな値上がりが狙える人気サービスとなっています。
作成日
:2022.05.20
最終更新
:2024.06.11
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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