作成日
: 2021.10.29
2022.04.20 12:18
大手仮想通貨(暗号資産)取引所のBinance(バイナンス)が2021年10月13日、イタリア・セリアAの名門サッカークラブであるラツィオのファントークンを発行することを発表しました。
日本ではラツィオの知名度自体が低いこともあり、あまり話題にはなっていませんが、Twitter(ツイッター)上ではこのファントークンに関するツイートが大量に投稿されています。
今回はファントークンの存在を初めて知った方でもわかるように、ファントークンの概要を説明した上で、バイナンス・ファントークンの特徴やメリット、購入方法などを解説していきます。
ファントークンとはファンとブランドの関係構築を行うことを目的とした仮想通貨です。あまり馴染みがないかもしれませんが、仮想通貨市場ではファントークンの発行や取引を担うプラットフォームが需要を伸ばしている状況です。
ここでは、ファントークンがどのような仮想通貨で、どのように利用されているのか、簡単に説明していきます。
今の所、ファントークンは主にスポーツ業界での利用が進められています。特に欧州の人気クラブがファントークンを採用したことから、プロサッカークラブの間ではファントークンの導入が活発になってきています。日本でもJリーグの湘南ベルマーレがファントークンを採用しており、その利用は世界に波及しているといえるでしょう。
湘南ベルマーレのファントークンでは、トークンを保有していると、サポーター投票企画への参加権や特典の抽選への応募券が付与されるとのことです。
新型コロナウイルスの影響で痛手を負う中、スポーツ業界はファントークンを利用して新たな収益構造を作り出そうと試みています。スポーツファンであれば、ファントークンを購入して、ひいきのチームを応援してみるのも良いかもしれませんね。
ファントークンが持つ役割は多様ですが、現在、流通するものの多くがユーティリティトークンとして発行されています。ユーティリティトークンは、ブロックチェーンを介して商品やサービスなどと交換することを前提に発行される仮想通貨です。
ファントークンはファンが特典やグッズ購入を目当てに保有するだけでなく、投資家が投資目的で売買するようになってきています。ファントークン価格は特典の内容やチームの成績、人気などに連動すると考えられています。
ファントークンの歴史はあまり深くありませんが、今後、スポーツ業界だけに止まらず、幅広い分野で利用されていくと予想されています。
では、Binance(バイナンス)が発行するバイナンス・ファントークンとはどのような仮想通貨なのでしょうか。ここではポイントを絞って、バイナンス・ファントークンの特徴を紹介していきます。
バイナンス・ファントークンとは、Binanceの独自ブロックチェーンであるバイナンススマートチェーン上で発行されるユーティリティトークンです。Binanceはバイナンスチェーンとバイナンススマートチェーンの2つの独自ブロックチェーンを運用していますが、バイナンススマートチェーンは高性能なDApps(分散型アプリ)の開発などに利用されています。
バイナンス・ファントークンはBinanceのサービスと連動しており、同取引所で他の仮想通貨との取引に利用することも可能です。
今回、Binanceはラツィオだけでなく、その他2つのクラブを対象としたファントークンを発行すると発表しています。過去にBinanceはスペインのFCバルセロナやイタリアのACミランとコラボして、ファントークンをリリースした経緯があるだけに、ラツィオに続いて一流サッカークラブがラインナップに追加される可能性があると期待されています。
ちなみにBinanceは、スポーツ以外にもゲーム、eスポーツ、エンターテインメントの分野でブランドとの提携を進めていくと言及しています。
ファントークンはスポーツ業界で普及し始めていますが、それ以外では音楽業界で導入が進められている状況です。例えば、米ロックバンドのポルトガル・ザ・マンは、2021年初めにファントークンであるPTMコインの発行を実現しています。PTMコインの保有者には、未発表の楽曲のオーディオアーカイブやライブ配信へのアクセス、プライベートコミュニティへ参加する権利が与えられています。
今回、Binance(バイナンス)はバイナンス・ファントークン・プラットフォームと呼ばれるハブ機能を公開しています。Binanceは同プラットフォームを通じてバイナンス・ファントークンの購入を促進していますが、ユーザーにはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、その詳細を掘り下げて解説していきます。
バイナンス・ファントークンの保有者は、クラブに関連する限定版のNFTをいち早く獲得することができます。また、BinanceのNFTマーケットプレイスにはミステリーボックスと呼ばれる「ガチャ」のような機能を実装しており、ユーザーはそこからNFTを獲得することが可能です。
獲得したNFTはコレクションしたり、将来的にはBinanceのNFTマーケットプレイスで転売することが可能となる見通しです。
NFTとは日本語で「非代替性トークン」と訳すことができます。現在、NFTはゲームアイテムやデジタルアートなどのコンテンツをトークン化する手段として利用されています。これらのNFTはマーケットプレイスで取引可能なことから、投資対象としても注目され始めているのです。
バイナンス・ファントークンはクラブとファンのコミュニケーションを強化するためにも利用され、保有者はクラブの意思決定に投票を通じて関与することができるようになっています。具体的にバイナンス・ファントークンはユニフォームデザインの決定や販売するグッズの選定、イベント企画などに関する投票権を付与します。
クラブ運営に関わりたいファンにとっては、これだけでファントークンを保有するモチベーションになるといえますよね。
ファンバッジとはオンラインコミュニティで広く利用されているランクシステムです。ファンバッジはコミュニティへの貢献度などでランクが上がっていく、または、新しいファンバッジが付与されるようになっているので、コミュニティの活性化などに用いられています。
バイナンス・ファントークンにおいては、ファンバッジを獲得すると特別な報酬が受け取れるようになります。
バイナンス・ファントークンの保有者は、上記以外にも特別な体験やサイン入りグッズなどの特典を受け取ることができるようになっています。Binanceは近日中に詳細をリリースするとしていますが、どのような特典が用意されているのか発表が楽しみですね。
バイナンス・ファントークンは3つの方法で購入することができます。以下ではその方法に関してひとつずつ紹介していきます。
初めにBinanceは、同取引所のIEO(新規取引所公開)プラットフォームであるバイナンスローンチパッドでバイナンス・ファントークンを販売します。今回発行されるラツィオのファントークンもバイナンスローンチパッドで400万通貨が売り出されます。
IEOは、取引所経由で仮想通貨を先行販売して資金調達する手段です。従来の仮想通貨を用いた資金調達方法は、詐欺などのリスクを抱えていましたが、IEOは取引所が審査を行うことで安全性を担保しています。Binanceなどの大手取引所によるIEOは人気になりやすく、仮想通貨市場でも注目のイベントとなっているのです。
バイナンスローンチパッドに参加するには、Binanceの独自仮想通貨であるバイナンスコイン(BNB)を保有する必要があります。バイナンスコインの保有量に応じて購入できる枠が割り当てられ、その枠の範囲内で実際にBNBと引き替えて購入することができます。
バイナンスローンチパッドで販売される仮想通貨は、その後、現物市場で取引することが可能となります。バイナンス・ファントークンも例外ではなく、ユーザーは対応の仮想通貨を利用して取引することができます。
また、BinanceはP2P(個人間の直接取引)市場もサポートしているので、条件が合えば、そこからバイナンス・ファントークンを購入することも可能です。少し様子を見てから購入を検討したいということであれば、現物市場やP2P市場を利用するのも良いでしょう。
Binanceは一部国と地域を対象に、クレジット/デビットカードを利用してバイナンス・ファントークンを購入するオプションを設けています。しかし、バイナンス・ファントークン・プラットフォームを確認する限り、このオプションはまだ有効化されていません。
日本の居住者がBinanceでクレジット/デビットカードを利用可能となれば、これが最も簡単にバイナンス・ファイナンストークンを購入する手段になるといえますよね。
バイナンス・ファントークンの登場で市場は盛り上がりを見せていますが、ファントークンは投資先として評価できるのでしょうか。ここからは市場全体に目を向けて、ファントークンの将来性に関する情報を紹介していきます。
現在、仮想通貨市場では仮想通貨関連プロジェクトのチリーズ(CHZ)が、主要なファントークンプラットフォームとして成長を牽引しています。チリーズはサッカー文化が盛んな欧州で、名だたる名門クラブとパートナーシップを締結してファントークンを発行しています。
チリーズは欧州市場だけでなく、米国市場にも50億円を超える投資を行い、事業を拡大していく方針を示しています。米国にはメジャーリーグベースボールのMLB、アメリカンフットボールのNFL、バスケットボールのNBA、アイスホッケーのNHLなどがあることから、チリーズは更なる成長が期待されているのです。
チリーズが発行するネイティブトークンであるCHZは、2021年の初値から10倍以上の価格帯にまで急上昇しています。(2021年10月時点TradingViewより)
その他、取引所に上場されている個別のファントークンも、仮想通貨市場の影響を受けながら乱高下しているものの、軒並み初値を上回る価格を維持しています。例えば、FCバルセロナのファントークンである「FC Barcelona Fan Token(BAR)」は、初値から3倍近くの値を付けています。
Binance(バイナンス)がバイナンス・ファントークンを新しくリリースしたことは、仮想通貨市場にポジティブな変化をもたらすきっかけになり得ると考えられます。これまでファントークンはコアなスポーツファンだけのものでしたが、大手取引所のBinanceが取扱いを強化していくことで、より身近なものとなっていくでしょう。
サッカーファンが特典目当てで保有するというメリットもありますし、純粋に投資対象として保有するという使い道もありますね。日本ではまだあまり知名度のない分野ではありますが、Binanceは日本語での情報発信にも積極的な海外取引所ですので、Binance経由でファントークンに触れてみるのはいかがでしょうか。
出典元:
作成日
: 2021.10.29
最終更新
: 2022.04.20
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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