作成日
:2022.05.02
2022.07.20 11:45
株式市場の不安心理を表す指標として「VIX指数」があります。VIX指数は、別名「恐怖指数」としても知られています。リーマンショック、コロナショック、ウクライナ情勢のような地政学リスクが高まると、VIX指数の数値が急上昇します。
Titan FX(タイタンエフエックス)やHFM(旧HotForex)、FXGT(エフエックスジーティー)といった一部の海外FX業者では、VIX指数CFDを提供しています。
VIX指数の仕組みや過去の動向を知ることで、株価急落の兆候や市場のファンダメンタルの動きなどを客観的に評価することが可能となります。
VIX指数は「ボラティリティ・インデックス(Volatility Index)」の略で、シカゴオプション取引所(CBOE)が米国を代表する株価指数の一つであるS&P500のオプション取引をもとに算出・公表しているものです。
決済期日が将来になるオプション取引の動向をもとに、「今後30日間でどの程度のS&P500のボラティリティ(変動幅)が予想されるか」を示しています。
オプション取引はデリバティブ取引の一種で、対象となる原資産(S&P500)を特定のタイミングと価格(権利行使価格)で買ったり売ったりできる権利のことです。VIX指数は30日のコール(買う権利)とプット(売る権利)のオプションから計算しているため、30日後(約1カ月)の株式市場がどの程度変化すると市場関係者が考えているかを表す指標と見ることができます。
VIXは予想される変動幅についての数値であるため、VIX指数だけでは本来上昇・下降のどちらなのかの方向性は分かりません。しかし、株式市場は、上昇するときは緩やかな値動き、下降するときは急激な値動きになる傾向があるため、VIX指数の上昇が株式市場の下降を示唆するものととらえられています。
2020年コロナショック後のVIX指数とS&P500の値動きを比較しました。全体の動きの傾向として、S&P500が上昇しているときはVIX指数は下落、反対にS&P500が下落しているときはVIX指数が上昇というように逆相関の関係になっています。
画像引用:TradingView
平常時のVIX指数の数値は10~20近辺で推移しており、 市場が安定している状態を表しています。
一方、VIX指数が30を超えると投資家の不安心理が高まっていると判断されます。
また、VIX指数は1990年代に提唱された比較的新しい指標ですが、過去約20年でVIX指数の数値が40を超えたのは、数えられる程少なくなります。そのため、VIX指数の数値が40以上になると、「市場が恐怖を感じているセンチメント(雰囲気)」が非常に大きくなっていると判断できます。
VIX指数はシカゴオプション取引所(CBOE)のホームページやTradingView(トレーディングビュー)、VIX指数に連動するCFDを提供するFXブローカーなどで確認できます。
2022年のVIX指数の値動きは、以下のとおりです。
画像引用:TradingView
2022年1月下旬、ロシアがウクライナ周辺に軍隊を集めているという報道などがあり、ウクライナ侵攻懸念が強まっていました。そのため、S&P500は1月24日に4,222ポイントまで急落し、VIX指数も1月25日に36まで急騰しました。
3月には、ロシアによるウクライナへの攻撃が激化し、VIX指数は37まで急騰しましたが、4月になってから停戦協議が開催され、VIX指数は20近辺まで下落しています。
過去にVIX指数が大きく上昇した事例は、以下のとおりです。
日時 | リスク | VIX指数の数値 |
2008年10月23日 | リーマンショック | 96.40 |
2010年5月21日 | ギリシャ債務危機 | 48.20 |
2015年8月24日 | チャイナショック | 53.29 |
2020年3月18日 | コロナショック | 85.47 |
例えば、2020年のコロナショックでは、最高値85.47まで上昇しました。市場のセンチメントが急激に悪化したことがVIX指数の数値から読み取れます。
2022年2月になってウクライナ情勢が変化し始めました。2月23日にロシアがウクライナへの軍事侵攻を始め、リスクを懸念して米国株式市場は大きく下落し、S&P500は2月24日に4114ポイントまで下落しました。
一方VIX指数は30を超える水準まで一気に上昇しました。その後、一時的にVIX指数の数値は下落しましたが、ウクライナ情勢の緊迫化が長期化する懸念もあり、VIX指数は上昇基調になりました。
VIX指数と同じように投資家心理を表す指標として、スキュー指数があります。スキュー指数は別名 「ブラックスワン(黒い白鳥)指数」とも呼ばれ、この数値が高いほど株価(S&P500)が大きく下がるリスクが高いと判断します。スキュー指数は、150ポイントを超えると高い水準と判断し、これまでの傾向として150を超えてから2〜3カ月後にS&P500が10%超下げることが多いという点が挙げられます。スキュー指数の動向はチャート分析ツールのTradingViewで確認できます。
一部の海外FX業者では、VIX指数に連動するCFD銘柄が提供されています。
CFDとは、日本語で「差金決済取引」と訳します。差金決済取引とは、価格差で利益を狙う投資のことです。現物取引と異なり、実際に株や商品を保有することがないため、数倍〜数十倍のレバレッジをかけることが可能になります。
VIX指数CFD取引のメリット・注意点を紹介します。
VIX指数CFDを取引する主なメリットは以下の3つです。
VIX指数の動向を分析すると、相場のファンダメンタルが理解しやすくなります。VIX指数が上昇しているときは、リスクオフの動きが強いことを示します。逆にVIX指数が低い水準で推移しているときは、相場が安定しており、株価が上昇しやすい地合いであることが分かります。
ファンダメンタルを感覚で判断するのではなく、数値で客観的に判断できるというメリットがあります。
例えば、VIX指数が上昇していれば、リスクオフの特徴となる「有事のドル買い」やゴールドの上昇が起きていないかを確認すると良いでしょう。
S&P500などの株価指数が下落するときに利益を狙うだけでなく、現物株式を保有しているときの「リスクヘッジ」としてもVIX指数を活用できます。
株式市場が下落しそうと予想するときにVIX指数CFDの買いポジションを保有すれば、VIX指数上昇で得た利益によって株価下落による損失をを抑えることができ、リスクヘッジとして活用できるのです。
ただし、株価の下落率とVIX指数の上昇率には差があるので、あくまでもリスクを緩和するためというのが目的です。
VIX指数は短期的に急騰した後、元の水準に戻りやすいという性質があります。S&P500などの株価指数は、上昇してもそのままトレンドが続くことがあります。しかし、VIX指数はある程度の上限と下限が決まっているので、天井と底を判断しやすいのです。
VIX指数の底は10近辺なので、その付近で保有しておけば下落リスクを抑えながら反発局面を狙えます。また、VIX指数が40を超えると下落することも多く、VIX指数の下落を狙うことも可能です。
ただし、リーマンショックやコロナショックのようにVIX指数の数値が80を超える場合もあるので、リスク管理をきちんとしておくことが大切です。
コロナショックやリーマンショックでVIX指数が急激に上昇した場合、長期的に見れば確実に下落します。VIX指数は変動幅を示す数値なので、株式相場が長期の下落トレンドに入ったとしても、そのトレンドが安定するようになればVIX指数は低下するからです。つまり、VIX指数の売りポジションは、ロスカットされないだけの資金量があれば「確実に儲かるトレード」とも言えますが、ポジションを長期で保有するとマイナスのスワップポイントが差し引かれる海外FX業者が多いため、注意が必要です。
相場に大きな要因がなく材料がない場合、VIX指数のボラティリティは低く推移しますが、ウクライナ情勢のような世界全体に影響するリスクオフ要因が生じると、VIX指数は1日で大きく乱高下する傾向があります。
リスクオフとなる要因が継続している場合、急騰・急落を繰り返しながら推移し天井が予想しにくいため、特に、資金管理に注意する必要があります。
VIX指数の取引時間は平日24時間ではなく、毎日取引できない時間が設定されています。そのため、取引時間外の要人発言やリスクオフ要因となる出来事によって、相場の窓が度々発生します。
窓開けとは、チャート上のローソク足とローソク足の間に大きな空間(窓)が開くことです。チャートの上方向に窓を開けることを「上窓」、下方向に窓を開けることを「下窓」と呼びます。
リスクオフ要因として影響が強いほど、相場の窓も大きくなる傾向があります。
VIX指数CFDが取引できる海外FX業者には、HFM(旧HotForex)やTitan FX(タイタンエフエックス)、FXGT(エフエックスジーティー)、IFC Markets(アイエフシーマーケット)などがあります。
HFM(旧HotForex)のVIX指数CFD取引のメリットは「スワップポイントがゼロ」である点です。HFMが取り扱うのは、VIX指数の先物取引に連動したCFDです。ポジションの保有期限はありますが、スワップポイントが発生しない点が特徴です。
HFMにはFX通貨ペアとCFD取引で1,200以上の商品があり、VIX指数だけでなくほかの銘柄も取引したい人に最適です。また、トレードコンテストやボーナスも豊富な海外FX業者です。
Titan FX(タイタンエフエックス)は、取引環境に定評のある海外FX業者です。各銘柄のスプレッドも狭く設定されており、スキャルピングトレーダーに人気があります。
VIX指数CFDは2020年末に取り扱いを開始しました。VIX指数CFDの他にも、2021年には米国の個別株CFD100銘柄を追加するなど、CFD銘柄に注力しています。
VIX指数CFDを含め、仮想通貨CFD以外の株価指数CFDや貴金属CFD、エネルギーCFDは最大500倍のレバレッジを提供しています。
FXGT(エフエックスジーティー)はFXと仮想通貨のハイブリッド取引所というのがアピールポイントの海外FX業者です。
仮想通貨の取引もできるのが魅力ですが、取扱商品の追加や取引環境の改善が重ねられており、2021年12月にVIX指数CFDが追加されました。VIX指数CFDは最大レバレッジ100倍で取引できます。
IFC Markets(アイエフシーマーケット)は600以上の取扱商品があり、個別株やコモディティなど非常に幅広い銘柄を取引できるのが特徴です。VIX指数は2020年2月25日から取引できるようになりました。
個別株CFDの取扱銘柄数が多いことが特徴で、米国や欧州はもちろん、日本の個別株CFDも扱っています。
VIX指数は「恐怖指数」と呼ばれ、投資家の不安心理を示す代表的な指数です。VIX指数の動きを見れば、市場のファンダメンタルズがどのような状態になっているのか、株式市場のボラティリティ(値動きの大きさ)が大きくなる傾向になっているのかなどを客観的に理解できます。
海外FX業者を利用すれば、FX口座と同じ口座内でVIX指数CFDの取引が可能です。VIX指数を取引すれば利益が狙えるだけでなく、現物株式を保有している場合のヘッジ(リスク回避)にもなるというメリットがあります。
作成日
:2022.05.02
最終更新
:2022.07.20
一橋大学経済学部卒業後、証券会社で営業・マーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。
現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。保有資格は証券外務員一種。
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