作成日
:2021.09.16
2022.04.20 12:08
世界最大の仮想通貨(暗号資産)取引所であるBinanceが、日本の仮想通貨取引所での「販売所」サービスにあたる「Convert & OTC Portal」に仮想通貨39ペアを新たに追加したと発表しました。 海外取引所は、取引所を利用する投資家の間の売買が主流ですが、このConvert & OTC Portalでは、Binanceを相手に売買を行うため、取引が簡単に完結できる、取引量が多くても定額で購入できるなどのメリットがあります。
昨年4月に実装された比較的新しい機能であるConvert & OTC Portalは、続々と銘柄が追加されており、サービス拡大が続いています。
今回はBinanceが提供する販売所サービスのConvert & OTC Portalとは何かや、同取引所を含む海外取引所で利用可能な仮想通貨関連サービスについて解説します。
Binanceの販売所サービスConvert & OTC Portalは昨年スタートした新しいサービスなので、既存ユーザーでも馴染みがない方も少なくないことでしょう。
「取引所」サービスと「販売所」サービスは、主に日本の仮想通貨取引所で使われる用語です。日本では、ほとんどの取引所が両方のサービスを提供しています。一方、海外取引所は、取引所サービスのみ提供する形が主流で、販売所サービスを提供する取引所は少数です。
そもそも「販売所」と「取引所」は何が違うのでしょうか。両者の違いがあいまいな方のために、まず販売所と取引所の違いを説明し、その上でConvert & OTC Portalの特徴を紹介します。
販売所と取引所には以下の点で違いがあります。
取引所はユーザー同士の注文をマッチングさせることで仮想通貨の取引を成立させます。一方、販売所では事業者自身が直接ユーザーに対して仮想通貨の販売、または買取を行います。ユーザー同士が自由に取引可能な取引所をフリーマーケットとするなら、事業者が取引相手となる販売所は売店と例えられるでしょう。
取引所における仮想通貨の取引価格は、市場参加者の需要と供給で決定します。簡単に言えば、買いたい人が多ければ価格は高くなり、売りたい人が多ければ安くなるということです。したがって取引所では、状況に応じて価格が常に変動しています。しかし販売所では、あらかじめ市場価格を参考に売買価格が決められているため、瞬間的な価格変動を気にする必要はありません。
取引所での取引は全て需要と供給の原理に基づいています。いくら仮想通貨を買いたい(売りたい)と思っても、売り手(買い手)がいないと注文は通りません。特にマイナーな仮想通貨は取引量が少なく、注文を約定させるのが難しいこともあります。一方、販売所は販売・買取可能数があらかじめ決められているので、その範囲内であれば確実に注文を通すことができます。
では、Binanceの販売所サービスであるConvert & OTC Portalは、どのような特徴を持っているのでしょうか。ここからは、主な項目を挙げて、その内容を解説します。
Convert & OTC Portalでは、対象となる銘柄ペアを選択して数量を入力するだけで取引を完了することができます。誰でも直感的に操作でき、利用のハードルが低いので、初心者にとってもうれしいポイントですね。
Binanceの通常の取引所サービスは、このような板取引となるので、注文画面を見比べてみると、Convert & OTC Portalはかなりシンプルになっていることが分かります。
販売所とは異なり、取引所では多様な注文方法を駆使して仮想通貨を取引しなければなりません。近年、取引アルゴリズムが発達したことを受け、価格を指定する指値注文や、注文を即時に約定する成行注文以外にも、様々な注文方法が利用可能です。今では、仮想通貨取引プラットフォームも証券やFXのものと同等のレベルに進化していると言えます。
通常、仮想通貨取引には手数料が発生します。しかしConvert & OTC Portalでは取引総額や取引毎にかかる手数料がありません。スプレッド(提示される売値と買値の差)が実質的な手数料としてかかりますが、表示される価格通りに売買することが可能です。
ただし、取引所と比較すると大幅にスプレッドが広いので、手数料分を差し引いても割高となってしまいます。取引所の主なメリットは、手軽に取引ができる点です。
Convert & OTC Portalでは仮想通貨の銘柄ごとに最小・最大の取引可能数が決められています。基本的には10米ドル相当が最小額で、ビットコイン(BTC)であれば、最大50BTC(1BTC=500万円のとき約2億5,000円相当)まで取引可能となっています。
通常の取引所取引では、50BTCのような大きな取引量を発注してしまうと、なかなか取引相手が見つからず、大きなスリッページが発生してしまうリスクがあります。しかし、Convert & OTC Portalでは、Binanceが事前に提示した価格で必ず取引できるため、特に大規模取引の際にメリットがあります。
既にConvert & OTC Portalでは、幅広い仮想通貨が利用可能でしたが、今回Binanceが39種類の銘柄ペアを追加したことで、ラインナップが強化されました。
Convert & OTC Portalでは、既にかなりの数の仮想通貨が利用できるため、今回の追加は、比較的マイナーな仮想通貨や、バイナンスの独自コインであるバイナンスコイン(BNB)とのペアが中心となりました。
ここでは、BinanceのConvert & OTC Portalでどのような仮想通貨が利用できるのかを紹介します。
時価総額ランキングトップ10の中では、ビットコインを筆頭に、イーサリアム(ETH)、エイダコイン(ADA)、バイナンスコイン(BNB)、リップル(XRP)、ドージコイン(DOGE)、ソラナ(SOL)、ポルカドット(DOT)などが利用可能です。
その他、時価総額上位ではないものの、古参の有名な仮想通貨としては、ビットコインキャッシュ(BCH)、ダッシュ(DASH)、イオス(EOS)、ライトコイン(LTC)、ネオ(NEO)などもあります。これらの仮想通貨は投資対象としても人気があるので、Binanceの販売所サービスでも重宝される存在だと言えるでしょう。
Convert & OTC Portalではステーブルコインも取引することができます。その種類は豊富で、テザー(USDT)、バイナンスUSD(BUSD)、USDコイン(USDC)、トゥルーUSD(TUSD)、パクソス(PAX)などがあります。投資対象とはなり得ませんが、仮想通貨関連サービスなどを利用する際には利便性を発揮するでしょう。
米ドルやユーロ、日本円などの法定通貨を価値の裏付けとする仮想通貨をステーブルコインと呼びます。大抵のステーブルコインは、法定通貨と1対1の割合で発行され、高い安定性を誇っています。ステーブルコインは取引所での取引や仮想通貨関連サービス、決済などに広く利用されており、仮想通貨市場に欠かせない存在になりつつあります。
最近、BinanceはDeFiトークンの取り扱いに力を入れており、Convert & OTC Portalでもこれら仮想通貨に対応しています。具体的には、アーべ(AAVE)やファイルコイン(FIL)、ユニスワップ(UNI)、ヤーンファイナンス(YFI)などが該当します。
DeFiトークンは投資対象として魅力的なので、より成長率の高い分野に投資したい方にとっては、Convert & OTC Portalがシンプルかつ効果的な選択肢になるかもしれませんね。
DeFi(分散型金融)関連サービスで利用される仮想通貨のことです。DeFi関連サービスはブロックチェーンを活用した金融サービスであり、仮想通貨市場の次なる成長分野として期待されています。DeFi関連サービスの拡大で需要が高まっていることから、将来的にDeFiトークンの価格が上昇していくことが見込まれています。
日本国内では、仮想通貨取引サービスのみを提供する取引所が大半を占めますが、海外取引所ではそれ以外の関連サービスが充実しています。Binanceを筆頭に、海外大手取引所が提供する関連サービスとしては、以下のようなものが挙げられます。
保有する仮想通貨を取引所に貸し付けて金利収入を得ることができるサービスです。仮想通貨レンディングを利用すれば、保有する仮想通貨を活用して年利数%から数十%の副次的な収入を得ることができます。利率は貸し付ける仮想通貨や期間によって変動します。
ステーキングとは特定の仮想通貨を保有する人が、報酬と引き換えにブロック生成を承認する作業です。取引所がステーキングサービスに対応していれば、対象となる仮想通貨をウォレット内に保有しているだけで、年利数%の報酬を受け取ることができます。ステーキングができるのは、コンセンサスアルゴリズムにPoS(プルーフ・オブ・ステーク)を採用している一部の通貨です。
特に資金の移動を制限されることもないので、ステーキングが可能な仮想通貨を保有する場合は、ステーキングサービスに対応している取引所を利用した方がお得と言えますね。
IEO(新規取引所公開)は、仮想通貨関連プロジェクトを進めるために実施する資金調達のことです。IEOでは、仮想通貨関連プロジェクトを進める企業が、取引所を通じてユーザーに通貨を販売することで資金を調達します。ユーザーにとっては、有望な仮想通貨にいち早く投資できることがメリットです。
今のところ、日本ではコインチェックが国内初のIEOを果たしただけに留まっていますが、海外では多くの取引所がIEOを実施しています。
これまで仮想通貨市場では、ICO(新規通貨公開)が主要な資金調達手段となっていました。しかし詐欺的なプロジェクトが続発したことから、IEOへの移行が加速しています。企業が直接仮想通貨を売り出すICOに対し、IEOでは取引所がプロジェクトの妥当性を審査することから、ある程度の信頼性が担保することができるのです。
米大手取引所であるコインベースが、VISAブランドの仮想通貨デビットカードを発行したことをはじめ、多くの海外取引所が同様のサービスを提供しています。仮想通貨デビットカードでは、カードに仮想通貨をチャージして、法定通貨での支払いに利用することができます。
なお、コインベースは2021年8月に日本に進出しました。まずは限られた数のサービスで営業を開始しましたが、海外向けに提供されているコインベースのサービスが今後日本でも利用できるようになることが期待されています。
ビットコインなどの仮想通貨を担保に、取引所から法定通貨でローンを組むことができます。多くの場合、銀行よりも仮想通貨ローンの方が金利が高いですが、仮想通貨を売却せずに現金を調達できる点はメリットと言えるでしょう。
NFT(非代替性トークン)は代替不可能なトークンを発行する技術であり、現在ではブロックチェーン上での権利売買などに利用されています。具体的にはデジタルアートやゲームアイテム、イベントチケット、サービスなどがトークン化され、NFTマーケットプレイスで取引されています。中には投資目的でNFTを買うユーザーも存在するようです。
トークンには、非代替性トークンの他にも、代替性トークンがあります。代替性トークンでは、あるトークン1枚と別のトークン1枚が同じ価値を持ち、交換可能です。現実に存在するものとしては日本円などの通貨がわかりやすく、例えば、500円玉同士を交換してもどちらも500円玉として使えるため基本的に価値は同じものです。これを代替性といいます。
最近ではBinanceがNFTマーケットプレイスを立ち上げました。これに続き、コインベースやクラーケン、FTXなどの大手取引所が同様のサービスをリリースしています。日本国内でもNFTマーケットプレイスの開発が進められていますが、市場規模や取り扱い商品の豊富さなどを求めるのであれば、直近は海外取引所を利用することがおすすめです。
Binanceは海外取引所の中でも仮想通貨の取り扱い銘柄が群を抜いて多く、豊富な関連サービスを提供する取引所として知られています。そのためBinanceユーザーは仮想通貨取引だけに留まらず、多様な選択肢の中から仮想通貨を活用して利益を得ることができます。
Convert & OTC Portalは初心者にも優しいシンプルなサービスですが、Binanceがこれを強化したことで仮想通貨取引の間口が広がったと言えるでしょう。海外取引所での仮想通貨投資に興味がある方は、Binanceの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
出典元:
作成日
:2021.09.16
最終更新
:2022.04.20
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