作成日
:2021.05.17
2022.04.20 12:27
世界最大の仮想通貨(暗号資産)取引所であるBinance【以下、バイナンスと称す】が、米司法省(U.S. Department of Justice)および内国歳入庁(Internal Revenue Service)【以下、IRSと称す】から調査を受けていることが報道によって明らかになった。
匿名の関係者によると、司法省およびIRSは仮想通貨を用いたマネーロンダリングや脱税などの取り締まり強化の一環として、バイナンスに情報を照会するよう求めており、特に同取引所に問題があるわけではないという。これに関してバイナンスの広報担当者は、同取引所が法的義務を尊重していると述べ、規制当局や執行機関と協調していくとの方針を示した。
一方、バイナンスのCEOであるChangpeng Zhao氏は、メディアの報道に対して次のようにコメントしている。
ニュースのタイトルが良くないと思います。記事自体はバイナンスが執行機関と協力して犯罪と戦うとの内容なのですが、何故かこれが悪いことのように見えてしまうのです。
Changpeng Zhao, CEO of Binance - Twitter - より引用
このバイナンスに関する報道を受け、主要な仮想通貨が軒並み下落しており、ビットコイン価格(BTC/USD)は重要な支持線である5万ドルを割り込んでいる。加えて、バイナンスの独自仮想通貨であるバイナンスコインは時価総額が1,000億ドルを超えて好調な値動きを見せていたが、605ドルから540ドル付近にまで10%以上急落した。
昨年末、米FinCENが国外で保有する仮想通貨の報告義務化を提案するなど、米国ではオフショアでの仮想通貨投資が規制され始めているが、これがバイナンスにどのような影響を及ぼすのか、今後も仮想通貨市場での動きに注目していきたい。
release date 2021.05.17
出典元:
ニュースコメント
マネーロンダリング対策を強化するバイナンス
ブロックチェーン分析会社のChainalysisによると、2019年に犯罪組織が保有する28億ドル相当のビットコインを追跡した結果、その内50%以上がバイナンスとHuobi(フォビ)に送金されていることが明らかになったという。Chainalysisはビットコインを受け取った取引口座がOTC(店頭取引)業者の所有するものだと断定しており、これらの企業がマネーロンダリングに関与している可能性があると指摘した。バイナンスはAMLの強化を目的にブロックチェーンセキュリティ企業のCipherTraceとパートナーシップを締結しているものの、更なるアクションが必要になってくると言えるだろう。現在、バイナンスは金融機関を参考にAMLのポリシーやコンプライアンスプログラムを構築しているようだが、これがどのような成果につながるのか、今後も同取引所の取り組みを見守っていきたい。
作成日
:2021.05.17
最終更新
:2022.04.20
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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