作成日
:2021.03.31
2022.04.20 12:27
大手クレジットカード会社であるVISA(ビザ)は、仮想通貨(暗号資産)関連サービスプロバイダーのCrypto.comと提携し、ステーブルコインのUSDコイン(USD Coin)を用いた仮想通貨決済を試験的に導入することを発表した。
これによりCrypto.comはVISAカードを介して実行されたトランザクションをUSDコインに置き換え、イーサリアム(Ethereum)ブロックチェーン上で取引を処理することが可能になったという。このプロセスの中でVISAは、米連邦政府公認の仮想通貨銀行であるAnchorageが管理するウォレットでCrypto.comからUSDコインを受け取り、仮想通貨決済を完結することができる。
VISAは法定通貨を用いて毎日数十億ドル規模の決済を行なっているが、イーサリアムブロックチェーンを利用すれば、そのコストを一部削減できる可能性があるようだ。最終的にVISAはUSDコインの他にビットコイン(Bitcoin)やイーサリアムによる決済に対応するのに加え、フィンテック企業やネオバンク(銀行業務ライセンスを取得せずに既存の銀行と提携してオンラインサービスを提供するスタートアップ企業)などにサービスを提供することを目指している。
VISAのCPO(Chief Product Officer)であるJack Forestell氏は、同社の試みに関して次のようにコメントした。
仮想通貨ネイティブのフィンテック企業は、自社の事業や仮想通貨の複雑さを理解することができるパートナーを求めています。本日の発表は、ステーブルコインまたは仮想通貨を取り扱うフィンテック企業のニーズへの対応が求められる我が社にとって、重要なマイルストーンになったと言えるでしょう。
Jack Forestell, CPO of VISA - Businesswireより引用
今月初めにVISAはCrypto.comとパートナーシップを締結しており、今回の仮想通貨決済に関する取り組みはその一環として行われたものだという。先日、VISAは仮想通貨関連事業計画を明示したが、次はどのような動きに出るのか、今後も同社の事業展開に注目していきたい。
release date 2021.03.31
出典元:
ニュースコメント
グローバル市場で躍進するCrypto.com
香港を拠点にするCrypto.comは法定通貨と仮想通貨の垣根を超えたシームレスなソリューションを開発しており、仮想通貨市場で多様なサービスを展開している。昨年、Crypto.comはACHによる米ドル引き出しに業界でいち早く対応したのに加え、同社の仮想通貨ウォレットサービスをSEPA(Single Euro Payments Area)に対応させることに成功した。その他、オーストラリア証券投資委員会(Australian Securities and Investments Commission, ASIC)からライセンスを取得し、Crypto.comは豪居住者にデビットカードサービスを提供することを可能にしているという。Crypto.comはグローバル市場で主要な仮想通貨関連企業として存在感を発揮し始めているが、これらの取り組みがどのような成果につながるのか、今後も同社の動向を見守っていきたい。
作成日
:2021.03.31
最終更新
:2022.04.20
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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