作成日
:2019.04.15
2021.08.31 15:26
日本の大手銀行である株式会社りそな銀行(本社:大阪市中央区備後町2丁目2番1号
)【以下、りそな銀行と称す】は、SBIホールディングス株式会社(本社:東京都港区六本木一丁目6番1号 )【以下、SBIと称す】および仮想通貨のリップルを開発したRipple, Inc.【以下、リップル社と称す】と連携して開発を進めていた送金アプリケーションプロジェクトから、来月15日に撤退することを発表した。このMoney Tapという名称のアプリケーションは、昨年10月にリリースされたもので、当初、住信SBIネット銀行、スルガ銀行、りそな銀行の3行がプロジェクトに参加していたという。今回、りそな銀行は、プロジェクトからの撤退をプレスリリースで伝えているが、その理由などの詳細は、明らかにしていない。
Money Tapは、リップル社の独自送金システムであるxCurrentを採用し、ユーザーは、リアルタイムの銀行間送金を実行することが可能となっている。SBIによると、分散型台帳テクノロジーを基礎とするMoney Tapは、受取人の電話番号またはQRコードを宛先として、指紋などデバイスの生体認証機能を利用するセキュアな送金スキームを実現したという。このリップル社のテクノロジーは、同日の国際送金を可能にしたサンタンデール銀行のSantander One Pay FXというアプリケーションにも実装されており、業界でも定評がある。
先月、Money Tapは、新しく13の銀行がプロジェクト参加企業および出資者となったことを発表したが、それら銀行システムと連携した動きは、未だ見られていない。一方、リップル社と並び、このプロジェクトを主導するSBIグループは、ここ2年間で取引所やマイニング事業、ハードウォレット開発への拡大を図るなど、積極的な動きを見せており、Money Tapにおいても、その動向に注目が集まっているようだ。
release date 2019.04.15
日本の金融業界では、キャッシュレスの決済ソリューション開発が過渡期を迎え、多くの企業が、モバイルアプリケーションやカードを利用した決済や、それに対応したシステムの普及などに力を入れているようだ。りそな銀行も、この流れに準じた動きに出ており、今月12日に経済産業省から、キャッシュレス・消費者還元事業におけるキャッシュレス決済事業者として仮登録が認められたことを発表している。登録が正式なものとなれば、事業者は、今年10月の増税実施時、利用者にポイントなどによる還元を政府の支援のもと行うことが可能であり、りそな銀行は、個人や法人向けに展開するデビットカードやウォレットサービス、加盟店向けのりそなキャッシュレスプラットフォームの利用拡大を狙っていることが予想できる。今回りそな銀行は、Money Tapから撤退という形を取ったものの、今後、同分野への本格的な参入は、これらの動きを考えても不可避な状況になると言えるだろう。デビットカードやウォレットサービスは、クレジットカードに比べて申込時の信用審査や顧客確認が簡素化されており、キャッシュレス社会の基盤となるポテンシャルを持っている。キャッシュレスサービスの日本でのさらなる普及に期待したい。
作成日
:2019.04.15
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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