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2018年のポンド取引は低迷

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update 2021.08.31 15:27
2018年のポンド取引は低迷

update 2021.08.31 15:27

2019年はブレグジット交渉の決着等を背景に取引回復を予想

2018年の英ポンド取引は、2年以上に亘り長引くブレグジット(英国のEUからの離脱)交渉の影響を受け、軟調な結果に終わった。しかしながら2019年に入り、ブレグジット交渉の進展への期待などから、ポンド取引高の回復が見込まれている。

ポンドに関しては、ブレグジットを問う国民投票前と比較して、価値そのものが下落しているだけでなく、取引高も減少している。一方で、過去数年以上に亘る出来高を見ると、ポンドを除くほとんどの主要通貨が市場シェアを高めている状況だ。ロイター通信によれば、ボラティリティが高いポンドは、さほど重要でない経済イベントに対しても、大きく反応することから、多くの市場参加者がポンドのボラティリティリスクを敬遠していることが、流動性の低下に繋がっているようだ。

野村證券のEMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)地域を担当するFXセールス部門責任者であるFabrizio Russo氏も、足元の数週間で顧客のポンド取引は拡大しているものの、ブレグジットが決まる国民投票前の平均取引高と比較して、約40%から50%低い水準であることを明らかにしている。[1]英国・ロンドンにおいては、米ドル/ポンドは積極的に売買されている通貨ペアの中で依然2番目に高い取引量をキープしているものの、取引高は減少傾向にあるようだ。

また、英国の中央銀行であるイングランド銀行(Bank of England)【以下、BOEと称す】によれば、2018年10月までの6か月間の日次平均取引高は3,240億ドルとなり、2018年4月までの6か月間での日次平均取引高である3,510億ドルから減少傾向にある。更に、4年超の長い期間で見ても、FX市場全体が拡大しているのに反し、ポンドの取引シェアは低迷している状況だ。BOEが公表したデータにおいても、ポンド/米ドルの取引シェアは、2018年10月に前年同月比0.5%低下の12.4%となっていることが明らかになっている。ユーロ/ポンドについても、ブレグジットに関する国民投票前の2.6%から2.5%へ減少しており、対主要通貨でポンドの取引高が減少傾向にあることが見てとれる。なお、ポンドのボラティリティが高まったことを背景に、機関投資家や法人がキャッシュマーケット(現物市場、時価で取引される市場)から通貨先物やスワップ市場に資金をシフトしているというが、このことも、ポンド取引高の低迷に繋がっていると考えられる。

しかしながら、2019年に入り足元までのところ、不透明感高まっていたブレグジット交渉が決着するとの期待感が浮上し、ポンド取引高は回復傾向にある。FX関連の決済サービスを提供するCLSによれば、ポンドの日次平均決済高は650億ドルとなり、2018年12月までの3か月平均である640億ドル、9月までの3か月平均の600億ドル、そして2018年平均の620億ドルをそれぞれ上回り、徐々に回復していることが伺える。しかしながら、ブレグジットを問う国民投票前の日次平均決済高である約1,000億ドルと比較すると、依然大きく落ち込んでいる水準といえるだろう。

また今年に入っては、1月のポンド取引高が増加傾向にある。この時期は、英国テレサ・メイ首相率いる英国政府とEUとの間で合意された離脱協定案の議会採決が行われることから、ポンド相場の急変動に備え、ブローカー各社が万全なブレグジット対応策を整備している時と重なる。この点について、CME GroupのシニアエコノミストであるErik Norland氏は、ポンド取引高が増加した要因に、、ファンダメンタルズ以上に大きく売られ過ぎたことへの反動と不透明感の高まりが交じり合い売買が増加した、またはブレグジット交渉の結果に対するヘッジ取引が増えたことを指摘している。

合意有り無しを問わず、ブレグジットがあと1か月ほどに迫っている。ブレグジット交渉がいよいよ決着となる中、経済の回復や売られ過ぎからの反発などを背景に、これまでボラティリティの高さからポンド取引を敬遠していた投資信託や中央銀行といった市場参加者もポンド取引を再び拡大させる可能性はあろう。

release date 2019.02.22

出典元:

ニュースコメント

ポンドに持続的な回復を期待

ブレグジットの期限を来月に控える英国は依然混沌としており、行く末不確実な状況が続く中、交渉期限である3月29日に必然的に合意なき離脱(ハードブレグジット)となる厳しい状況に置かれている。一方、メイ首相は合意なき離脱を排除するために保守党らが出した提案を支持する構えの閣僚らが辞任する事態を回避するため、離脱日を最長で2カ月延期することも検討していると報じられているが、延長の実現にはEU加盟国である他27ヶ国すべての同意が必要なため、これも非常に困難な道であると予想される。世界3大マーケットの中心でもあるロンドンだが、英国に拠点を置く世界各国の金融機関や大手グローバル企業はEUの単一市場からの独立による混乱に備えて続々と英国国内から他国へ拠点を移転する等の対策を進めていたが、これに連鎖して起こる世界経済への影響は計り知れない。また、ブレグジットによる情勢不安からか、英国ではビットコインの購入が増えているというから、ポンドの低迷が続く英国の現状が仮想通貨市場にとって好材料となっていることが伺える。今後の相場の見通しとして先行き不透明なポンドに持続的な回復は見込めるだろうか引き続き注目していきたい。


Date

作成日

2019.02.22

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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