Select Language

金融庁が仮想通貨に関する規制草案を提出

金融庁が仮想通貨に関する規制草案を提出

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:27
金融庁が仮想通貨に関する規制草案を提出

update 2021.08.31 15:27

ICOや仮想通貨取引全般を網羅した規制案

今月14日、金融庁(Japan Financial Services Agency, JFSA)は、第11回仮想通貨交換業等に関する研究会で、仮想通貨取引の新しいフレームワークの制定やICO(イニシャルコインオファリング)を管理するための規制原案について議論し、その報告書を提出している。今回の議論では、報告書にも記載されている過去10回に渡る研究会の勧告に大きな反論はなく、金融庁はこの草案を基に規制を進める見通しだ。[1]

今年1月に発生したコインチェックのハッキング事件や、9月に発生したZaifのハッキング事件を受けて、ハッキング被害への対策が主な議題のひとつとして挙げられているが、報告書の中で金融庁は、仮想通貨取引所に秘密鍵の管理強化などを義務付ける方針であることを示した。また金融庁は、顧客保護の観点から、取引所が顧客資産と返還資金の合計額以上の純資産を保持することで、ハッキングのリスクに備える必要があると言及している。これに加えて、草案では、取引所の倒産リスクを考慮したアウトラインを制定することも考えられているという。

急激に変化するテクノロジーや自主規制団体と協力することの重要性を認識していることを説明した上で、金融庁は、関連事業者に対して、今年10月に正式に自主規制団体として認定した日本仮想通貨交換業協会への入会を求めている。このことによって、自主規制の要件に沿ったシステム開発を促す狙いがあるという。報告書では、事業者が自主規制に従わない場合、既存の登録事業者や新しい申請に対して、金融庁が認可の取り消しや申請を拒否する可能性があることが示唆されている。

報告書の中では、仮想通貨交換事業の継続を一時的に認められているみなし事業者についても触れられており、現在、コインチェック株式会社(本社:東京都渋谷区渋谷3-28-13 渋谷新南口ビル3F[2])、株式会社LastRoots、みんなのビットコイン株式会社の3社がそれに該当するとの説明がある。みなし事業者は、積極的な広報活動で事業を拡大しているが、多くのユーザーが、これらの企業が登録事業者ではないことを認識していない問題を金融庁は指摘している。登録が済んでいない事業者に関しては、事業拡大やリスティングする仮想通貨を増やすことは禁止されており、また、新しい顧客を獲得したり、それを求める行為や宣伝活動は認められていない。

ICOに関しては、有価証券と同様の規制対象となる可能性があり、金融庁は、行政官庁の対応を求めているという。その商品のストラクチャにもよるが、仮想通貨は、金融商品取引法または資金決済法の下、規制されることが有力だ。これに加えて、金融庁は、ICOの際には、第三者機関による事業・財務状況のスクリーニングが対象となる事業者に実施することを提案している。仮想通貨のカストディ事業については、現行の法律の管理下にないため、登録制のシステムや内部統制を維持するシステムの導入、取引所管理者と顧客資産の分離、ハッキング被害に対するポリシー発行、償還資金の保持など、新しい規制が草案に盛り込まれている。

報告書に記載されている他の案の中には、匿名通貨のリスティング規制、デリバティブ商品の取引、証拠金取引に関するものもあり、規制は仮想通貨市場全体に及ぶ網羅的なものとなりそうだ。

release date 2018.12.18

出典元:

ニュースコメント

第11回の研究会を以って草案が固まる

日本は、世界の仮想通貨市場の中でも、最も規制が進んだ市場と言われているが、その評価は金融庁や関係官庁の弛まぬ努力の成果だと言える。これまで金融庁は、有識者を集めて、仮想通貨交換業等に関する研究会を実施することで、実態の把握や有効な規制案の検討などを行ってきた。今年11月に開催された、第10回の研究会では、世界的なコンセンサスの形成と広い意味で定義付けを行う目的のため、仮想通貨から仮想通貨への名称変更などが提案されている。加えて、ハッキング被害への補填原資の準備として、顧客資産の仮想通貨をホットウォレットで保有する場合、それと同等以上の仮想通貨を別途保有することを義務付ける案も議論されている。この研究会は、今回の第11回を以って終了との決定が下されており、近々、金融庁は、規制の実施へと移行する。日本の仮想通貨規制は厳しすぎるとの見方もあるが、最終的に金融庁はどのような判断を下すのだろうか。引き続き動向に注目していきたい。


Date

作成日

2018.12.18

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

XMTradingの入出金で銀行口座凍結?海外FX禁止の銀行に注意

SNS上では「XMTradingの出金で銀行口座が凍結された」とする投稿が一部で見受けられます。銀行によっては海外FXとの取引を禁止しているため注意が必要です。本記事では凍結リスクが高い銀行や仮想通貨送金の注意点を説明します。
update2025.09.03 19:00

【要注意】Axi口座から不正出金被害、セキュリティ対策に不安の声

海外FX業者のAxiで、不正出金の被害が海外フォーラムなどで報告されています。国内で同様の被害は確認されていませんが、日本人ユーザーも無関係ではありません。この記事では、報告されている不正出金の事例やセキュリティの問題点のほか、現状でユーザーがとれる対策を説明します。
update2025.09.29 19:00

海外FXに仮想通貨で入出金する方法は?規制強化で仮想通貨送金が最適解か

海外FXの入出金ルート封鎖が加速しており、SNS上では「銀行口座が凍結された」といった投稿も見られます。そんな中、注目を集めているのが仮想通貨での入出金です。この記事では、海外FXに仮想通貨で入出金する方法や、仮想通貨送金時の注意点などを解説します。
update2025.07.15 19:00

Peska(ペスカ)は本当に安全?評判は悪くないが入出金リスクに注意

PeskaはFX業者とのコラボキャンペーンなどをきっかけに、急速にユーザーを増やしているオンラインウォレットです。しかし、新興サービスのため利用すべきか迷うという人も少なくありません。この記事ではPeskaの安全性や評判、オンラインウォレット業界が抱えるリスクなどを説明します。
update2025.09.29 19:30

Exnessがスプレッドを最大30%OFF!仮想通貨・株価指数で大幅縮小

海外FX業者のExnessが主要銘柄のスプレッドを縮小しています。BTCUSDは16%、ETHUSDでは23%の縮小が確認されています。本記事では縮小後のExnessスプレッドを主要なブローカーと比較しました。
update2025.10.02 19:00

話題のDCJPYとJPYCの違い|海外FXの入出金に使えるのは?

DCJPYというデジタル通貨が話題となっています。一方で、海外FXユーザーの間ではJPYCへの期待も高まっています。本記事では、DCJPYとJPYCの特徴や違いを比較し、海外FXトレーダーにとってどちらが送金手段の選択肢となるのかを解説します。
update2025.09.26 19:30

SNSでステーブルコイン利息の議論が勃発!Bybitで手軽にUSDT等を高利回り運用

ここ最近、SNS上ではステーブルコインの利回りに関する活発な議論なども見られます。本記事では、SNSで話題となった議論を整理しつつ、Bybitでのステーブルコインの運用方法や、海外FXとの仮想通貨入出金ルートの全体像などをまとめます。
update2025.10.01 19:00

海外FXへの仮想通貨送金にはBybitがおすすめ!FXトレーダーに最適なBybitの使い方

海外FXの入出金によく使われる国内銀行送金が以前より使いにくくなっていることを受け、仮想通貨での入出金が注目を集めています。本記事では、仮想通貨送金をするならBybitがおすすめの理由や、海外FXユーザーに最適なBybitの使い方を紹介します。
update2025.08.29 20:00

【独自】海外FX利用で銀行口座が凍結・解約された一部始終!「自分には関係ない」は危険かも

みんなの銀行の口座を実際に凍結・解約されたトレーダーから当サイトに寄せられた情報をもとに、解約までの流れを一部始終紹介します。海外FXユーザーにとって、銀行口座凍結は決して他人事ではありません。海外FX利用時に注意すべき送金パターンも説明します。
update2025.08.12 19:00

Exnessのスワップフリーが突然解除?!条件をサポートに直接聞いてみた

「Exnessのスワップフリーが解除された」という投稿がSNSの一部で話題になっていますが、解除の具体的な条件は公式サイトにも掲載されていません。そこで当サイトではサポートに直接条件を質問してみました。
update2025.08.25 19:00

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル