作成日
:2024.11.27
2024.11.27 16:59
FXDD(エフエックスディーディ)の一部ユーザー宛てに、取引口座がGMZ Globalに移管されるとのメールが送られていたことがわかりました。GMZ GlobalはFX業者であり、メールの中で「FXDDとの間で締結された契約がある」と、正当な手続きによる移管であることを主張しています。
しかし、この主張の正当性については疑問が残ります。FXDDが事業の所有権移譲を発表していたことを、GMZ Globalが悪用している可能性も否定できません。
この記事では、FXDDユーザーに届いたメールの内容やGMZ Globalの運営会社について現時点でわかっていることをまとめました。
参照: | FXDDが経営体制の移行を発表、数週間以内に手続きを完了予定 |
FXDDが破綻間近か?サポートや口座開設の受付が停止 |
FXDDユーザーに届いたメールの内容やGMZ Globalの運営会社について現時点でわかっていることをまとめました。
2024年10月に「GMZ Global」というFX業者より、一部のFXDDユーザー宛てに口座開設完了のメールが届いた模様です。LINEのオープンチャットでも同様の情報が見られ、FXDDでライブ口座を開設しているユーザーもしくは、ライブ口座に入金しているユーザーが対象になっていると考えられます。
実際にメールを受け取ったFXDDユーザーからの提供情報によると、下記のようなメールが送信されているようです。
GMZ Globalで口座を開設した旨が記載されており、口座番号・パスワードが記載されています。その後、口座情報やログインページの情報が記載された、次のようなメールが送られてきたようです。
FXDDは、FXDD Trading SACの所有権を888Marketsに譲渡することを発表して以来、進展状況や今後の見通しを公開していません。そのため、上記の連絡に戸惑っているFXDDユーザーは多いでしょう。
今回の情報を提供いただいたFXDDユーザーは、GMZ Globalで口座開設などの手続きは行っていないのにもかかわらず、前述のメールが届いたとしています。
なお、情報提供者は詐欺の可能性を考慮して、GMZ Globalの口座にはログインしなかったとのことです。そのため、実際にGMZ Globalの口座にメールに記載された金額が入金されているかどうかは確認できていません。
口座登録の連絡の数日後には、情報提供者のもとに以下のようなメールも送られてきました。
実際、上記のメールを受け取る20分ほど前に、情報提供者の携帯電話に非通知の不在着信があったそうです。
メールによるとサポートを目的とする電話とされていますが、一般的なFX業者が非通知で顧客に連絡するとは考えにくいです。非通知の着信がGMZ Globalからのものであった場合、かなり不自然な対応だといえるでしょう。
サポートから電話があったさらに数日後、情報提供者のもとに「入金に成功 xxx USD」といった具体的な金額が記載されたメールも送られてきたようです。GMZ Globalの口座に資金を移動したことを知らせるメールでしょう。
現在、FXDDのポータルにはログインできなくなっていますが、記載されていた金額を円に換算したところ、FXDDに入金していた額の8割弱の金額で、でたらめな数字ではなかったとのことです。
GMZ Globalが顧客の資金状況まで把握しているとしたら、FXDDユーザーの連絡先だけではなく、その他の顧客情報も流出している可能性があります。FXDD、888Markets、GMZ Globalに何らかのつながりがある場合、FXDDや888MarketsがGMZ Globalに対して顧客情報を売った可能性も考えられます。
2024年6月にFXDDが経営権の移譲を発表した際には、888Marketsという会社に事業を引き継ぐとされていました。今回ユーザーに連絡があったGMZ Globalの運営元が888Marketsであればつじつまが合いますが、運営元はXenom Group LTDとされています。
運営会社 | Xenom Group LTD |
---|---|
住所 | Hamchako, Mutsamudu, Autonomous Island of Anjouan, Union of Comoros |
金融ライセンス | アンジュアンオフショア金融局(AOFA) L15739/XGLTD |
コモロ連邦アンジュアン自治島で法人登記され、金融ライセンスもアンジュアンオフショア金融局(AOFA)で取得しているようです。ただし、アンジュアンオフショア金融局のWebサイトでは、ライセンスを取得した事業者を検索することができないようで、実際にライセンスを取得しているのかどうかについては確認できませんでした。
また、888Marketsとの関係性も確認できていません。
Xenom Group LTDのホームページによるとソフトウェアやデジタルマーケティング、データ分析などのサービスを提供しているとされています。FXや金融関連のサービスに関する情報は記載されていません。
情報の少ないXenom Group LTDですが、いくつか不自然な点もあります。
ドメインやIPアドレスの登録情報を参照できるサービスであるWhoisで確認したところ、Xenom Group LTDのサイトのドメインである「xenomgroupltd.com」が作成されたのは2024年6月24日とされています。
FXDDが所有権移譲を発表したのが6月17日であることから、発表後すぐにドメインが作成されたことがわかります。仮にXenom Group LTDが詐欺を目的とする事業者だった場合、計画的に準備を進めていたことになります。
同様にGMZ Globalのドメイン「gmzglobal.com」の作成日を確認したところ、作成日は2024年5月20日となっていました。GMZ Globalのドメインについては、FXDDの発表よりも前に作成されていたようです。
Xenom Group LTDのサイトには、2013年より世界的に活動と記載されています。10年以上前から活動している会社が最近になってドメインを作成して、Webサイトを公開したというのはやや不自然な印象を受けます。デジタルマーケティングサービスを提供している会社であれば、もっと早い段階でWebサイトを作成していてもおかしくないでしょう。
ネット上でGMZ Globalを検索すると公式サイトのほか、いくつかレビューが検索結果に表示されます。検索結果の上位に表示されている多くのレビューが、2024年10月以降に投稿されています。
例えば、YouTubeに投稿されているGMZ Globalの紹介動画の投稿日は2024年10月30日となっています。動画を投稿したチャンネルも2024年10月23日に開設されたもので、公開している動画はGMZ Globalの1本のみです。
チャンネル概要には、ブローカーや取引戦略について発信するチャンネルであることが記載されており、FXブローカーのアフィリエイト系のチャンネルのように見えます。再生回数を伸ばすのであれば、注目度の高いメジャーなFX業者か、信頼性のある業者を紹介するほうが合理的で、あえて無名のFX業者を最初の動画でとりあげるのは不自然といえるでしょう。
YouTube以外のレビューについても同じような時期に投稿されており、好意的なレビューしか投稿されていない点も違和感があります。
サクラの可能性もあるため、GMZ Globalの評判を調べる場合は慎重に情報を確認するべきです。
以前ほどFXDDを利用しているユーザーが多くないためか、X(旧Twitter)上で目立った反応は見られません。
LINEではFXDDユーザーのオープンチャットが開設されていますが、どのように対応すべきか具体的な方向性が定まっておらず、解決策を見いだせていないようです。オープンチャット上では「海外の会社のため資金を取り戻すのは難しいのではないか」という悲観的な意見も見られます。
なお、日本国内だけではなく、海外でもFXDD・888Marketsに出金を求める動きが見られます。オンライン署名サイト「change.org」では2024年7月より、情報の開示と出金を求める署名が始まっており、11月6日時点で300名程の署名が集まっています。
嘆願書によるとメールやチャットで問い合わせても、連絡が取れないとされています。出金できないことに加えて、一切サポートが提供されていない点が問題視されているようです。国内と同様に海外でもユーザーに詳細が知らされることなく、移譲が進められたことがうかがえます。
そもそもFXDDから適切な対応が行われていない上に、無名業者のGMZ Globalから相次ぐ連絡があったことで、FXDDユーザーとしては不審に感じざるを得ない状況でしょう。
GMZ Globalの運営会社とされるXenom Group LTDには不審な点があり、実体のある会社かどうか確認できていません。また、GMZ GlobalとFXDD・888Marketsの間に関係性があるかどうかもわかりません。
もし、GMZ GlobalとFXDD・888Marketsの間に何らかのつながりがあるとするならば、顧客情報が売られた可能性があります。GMZ GlobalとFXDD・888Marketsに一切関連がなかった場合、GMZ GlobalはFXDDの件を利用した詐欺業者ということになり、いずれにしても好ましくありません。
なお、当メディアがGMZ Globalにチャットで今回の件について問い合わせても、「アカウントの担当マネジャーが直接「電話」にて説明する」という回答のみです。また、GMZ Globalから出金できたとする情報も確認できていません。
GMZ GlobalやXenom Group LTDから連絡があっても、何もアクションを起こさないのが無難でしょう。
作成日
:2024.11.27
最終更新
:2024.11.27
短期が中心のトレーダーや中長期が中心のトレーダー、元プロップトレーダー、インジケーターやEAの自作を行うエンジニアなどが在籍。資金を溶かした失敗や専業トレーダーに転身した経験など、実体験も踏まえてコンテンツを制作している。
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