作成日
:2024.05.09
2024.06.26 16:37
2024年5月7日、日本国内で人気を誇るCryptoNinja NFTのホルダーであるかねりん氏が、「保有していたはずのCryptoNinja NFTが消えている」とX(旧Twitter)に投稿したことが話題になっています。
CryptoNinja NFTは、日本最大級のNFTコミュニティの1つであるNinjaDAOから生まれたNFTコレクションです。かねりん氏の投稿に対してNinjaDAOファウンダーのイケハヤ氏もXで返答しており、界隈では意見が飛び交っています。
当記事では、今回のCryptoNinja NFTに関する騒動の概要や経緯、SNS上での反応などについて解説します。
2024年5月7日、Crypto researcherのかねりん氏がX(旧Twitter)にて、「保有していたはずのCryptoNinja NFTが消えている」という旨の投稿をしました。かねりん氏が保有していたのは、国産NFTコレクションの一作品である「CryptoNinja #008 凪紗」です。
あれ...僕のNFT(CryptoNinja 008凪紗)が知らぬ間に消えてる?
— かねりん(kanerin) (@kanerinx) May 7, 2024
ハードウェアウォレット @Ledger に入れていたのに盗まれるなんて...どういう手口だろうscamかな。
運営にBAN&ブロックされてて状況はわからない。NinjaDAOが心配。
凪紗は、名付け親でもあり思い入れの深いNFTだからとても悲しい。
CryptoNinjaは、2023年12月に新しいコントラクトへの移行を行いました。NFTプロジェクトは機能改善やセキュリティ強化のために、NFTを管理しているコントラクトを新しいものに移行することがあります。
新コントラクトに移行する際は、旧コントラクトで管理されているNFTと同一作品の新しいNFTが生成されます。そして、新しく生成されたNFTは、旧コントラクトで管理されているNFTの保有者に対して、同一の作品が送付されるのが一般的です。
つまり、旧コントラクトの「CryptoNinja #008 凪紗」を保有しているかねりん氏に対しては、新コントラクトの「CryptoNinja 凪紗」(コントラクト移行に伴いナンバリングは廃止)が付与されるはずでした。
しかし、新コントラクトのNFTが送付されていないことがかねりん氏の投稿で明らかになり、NFT界隈で議論が起こっています。
事の発端となった2024年5月7日のかねりん氏の投稿に対して、CryptoNinja NFT、およびそのコミュニティであるNinjaDAOのファウンダー・イケハヤ氏もSNSで回答しています。
ここで、かねりん氏とイケハヤ氏の主張内容について、以下のように時系列に沿って確認します。
かねりん氏の投稿によると、自身のハードウェアウォレットに保管していた「CryptoNinja #008 凪紗」が知らぬ間に消えていたとのことです。
あれ...僕のNFT(CryptoNinja 008凪紗)が知らぬ間に消えてる?
— かねりん(kanerin) (@kanerinx) May 7, 2024
ハードウェアウォレット @Ledger に入れていたのに盗まれるなんて...どういう手口だろうscamかな。
運営にBAN&ブロックされてて状況はわからない。NinjaDAOが心配。
凪紗は、名付け親でもあり思い入れの深いNFTだからとても悲しい。
かねりん氏はCryptoNinja運営からBANされており、自身では状況を確認できないが、「CryptoNinja #008 凪紗」は自身が名付け親となったNFTでもあることから、なくなってしまったのは非常に悲しいとも述べています。
なお、この件についてかねりん氏自身は何も了承していないとのことです。
上記のかねりん氏の投稿に対して、イケハヤ氏は「(新しいコントラクトのNFTを付与していない)理由も含めて、コントラクト移行時にかねりん氏に連絡をしている」と述べています。
理由を含めてコントラクト移行時にDMしてますので、今更ですがご確認いただければと思います。そして、以前のNFTは移動できないので、消えてないですね。。。 https://t.co/Ffb5WkBHei
— ikehaya@TVアニメ「クリプトニンジャ咲耶」 (@IHayato) May 7, 2024
また、旧コントラクトのNFTはなくなってはいないこと、そしてかねりん氏に対しては返金をした上でNFTを回収したとも述べています。
以上が、今回の出来事に関するかねりん氏・イケハヤ氏双方の最初の主張です。一連のやりとりを受けて、仮想通貨(暗号資産)・NFT界隈では様々な意見が飛び交いました。
界隈からの反応を受けてかねりん氏が再度、X(旧Twitter)上で以下のように投稿しています。
私のNFT(CryptoNinja 008凪紗)が、無断で運営に没収された件について。
— かねりん(kanerin) (@kanerinx) May 10, 2024
先日のポストのあとご心配や励ましの声を少なからず頂きました。ありがとうございます。
そうした方々の支えもあり、前回語れなかった部分を含め、事実に基づきお話しします。... https://t.co/ahSih181jI pic.twitter.com/1CJseeTwht
中央集権的でダメとかweb3とはみたいな議論をしてる人もいるけど、これはそういう話でもない。イケハヤ氏達は論点すり替えに必死なのか、本当に話が理解できないのかわかりませんが......web3の旗印を掲げれば何をしても良いという思い上がりが、あらゆる問題を発生させているといったことに違和感を覚え... https://t.co/6Zk1ywg2rF
— かねりん(kanerin) (@kanerinx) May 12, 2024
かねりん氏の投稿の要点をまとめると、以下のようになります。
上記のかねりん氏の投稿を受けて、界隈からは「NinjaDAOの中央集権的な運営」について批判の声が見られます。「Web3.0は分散型の仕組みであり、運営から強制されず、もっと自由に振る舞うことができるべきだ」という主張が、特に目立っているようです。
X上でのこのような声を受けて、イケハヤ氏は以下のように投稿しています。
「Web3なのに、ぜんぜん自由じゃない!そんなのは中央集権だ!」
— ikehaya@TVアニメ「クリプトニンジャ咲耶」 (@IHayato) May 11, 2024
とか言ってる人ほど、「他者から中央集権的に与えられた自由」の中で盲目に生きていて、本来はもっともっと自由なのに、その新しい自由に飛び込もうとせずに、箱庭の中で文句ばっかり言っている、という構図はあるな。
【「Web3プロジェクト」は中央集権的でいいんです】
— ikehaya@TVアニメ「クリプトニンジャ咲耶」 (@IHayato) May 12, 2024
「Web3なのに中央集権だ!DAOなのにぜんぜん分散的じゃない!」
みたいな批判って、地味にずっとあるんですよね。
ここらへん意外と伝わってないようなので、Web3の勉強用にまとめてみます。... https://t.co/V9yqqVDEFs pic.twitter.com/LP6z6WPB8V
イケハヤ氏の投稿の要点をまとめると、以下のようになります。
このようにX上でのイケハヤ氏の投稿は、かねりん氏への直接的な返答ではなく、一連の騒動を受けて界隈からわき起こった「Web3.0=分散的であるべき」という主張に応えるものとなっています。
次に、両者の投稿に対して界隈からどのような声があがっているか確認しましょう。
今回の出来事に対しては、仮想通貨(暗号資産)、NFT界隈でも様々な反応が見られます。
CryptoNinja運営の対応が不当だと主張する人の多くは、NFTによる「真贋証明」や「個人の所有権の証明」などの概念が崩壊することを危惧しているようです。
これまでNFTは、「デジタルデータであるにもかかわらず、本物か否かが証明できる」「本物を所有しているのが自分であることを証明できる」という技術的な側面が注目されてきました。
今回の出来事は、旧コントラクトにおける「本物」を持っていたはずのかねりん氏に対して、CryptoNinja運営は新コントラクトの「本物」を付与せず、さらに運営側は「新コントラクトの作品を本物とみなす」という主張をしていることになります。
かねりん氏側から見れば「本物だと思って所有していたNFTが、コントラクト移行によって(運営が認める)本物ではなくなってしまった」ことになります。
この状況を受けて、「中央集権的過ぎる」「NFTの技術的な価値自体を毀損してしまうのではないか」「何をもってNFTを本物だと証明すればよいのか」といった懸念の声があがっています。
一方、CryptoNinja運営の対応は妥当だと主張する人は、CryptoNinjaとその関連プロジェクトの開発における方向性、および過去にかねりん氏がその方向性に背く行為をしたことについて触れています。
CryptoNinjaや、CNP(CryptoNinja Partners)などの関連プロジェクトは、プロジェクトを真に応援する気持ちがあるユーザーを重要視しています。NFTコレクションを新たにローンチする場合においても、個人の利益のためにすぐ売り抜けるようなユーザーではなく、長期保有をしながらプロジェクトを応援してくれそうなユーザーに優先的にNFTのアローリスト(NFTの優先購入権)を渡しています。
このような方針があるにもかかわらず、過去にかねりん氏はCNPを初期段階で安く大量にミントし、価格が上昇してから一斉に売却するという行為を行っています。大量売却は少なくとも2度行われており、その度にCNPのフロア価格は下落しました。
この状況を受けて、「プロジェクト(CNP)の破壊につながる悪質行為をした人物からCryptoNinjaを回収するのはやむを得ない」「最初の大量売却後に運営から注意を受けたにもかかわらず、二度目の売却を行っているので対応は妥当」「大株主が大量に保有株を売却するようなもの」といった声があがっています。
NFTは発展途上の技術であるため、現時点では想像もつかない活用法や問題点が今後も現れてくるでしょう。また、NFTについては法的解釈も十分に進んでいないため、判例に頼らずに都度問題を解決していくことが引き続き求められます。
その中で、CryptoNinjaのコントラクト移行に伴うNFT保有者の移転に関する問題は、「NFTの真贋性や所有証明などの技術的観点」および「NFTを活用したコミュニティやビジネスの創出」の両面から議論されるべきテーマだと言えるでしょう。
作成日
:2024.05.09
最終更新
:2024.06.26
2017年に初めてビットコインを購入し、2020年より仮想通貨投資を本格的に開始。国内外のメディアやSNSなどを中心に、日々最新情報を追っている。ビットコインへの投資をメインにしつつ、DeFiを使って資産運用中。
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