作成日
:2024.02.02
2024.05.16 14:17
最近話題に上ることが多くなってきた新興海外FX業者XS.com(エックスエス)。
「10年以上の歴史を持つBtoB(企業向けビジネス)のプライムブローカーが個人向けFXブローカー業を始めた」という触れ込みで活発に宣伝が行われていますが、このXS.comの歴史や設立の経緯は本当なのでしょうか?
Myforex編集部では、XS.comの歴史や設立の経緯、信頼性について各種資料から徹底調査しました。
XS.com(エックスエス)は、XMTrading(エックスエムトレーディング)やExness(エクスネス)などと異なり、海外で知名度のあるFXブローカーというわけではありません。
またXS.comについてウェブサイトなどで検索してもほとんど情報が出てこないため、「実績のあるプライムブローカー」というのは本当か、その信頼性に疑問を持つ方もいるでしょう。
Myforex編集部では、XS.comが拠点を置く国の登記情報や公式サイトの過去の情報などから、信頼性について徹底調査を行いました。
XS.comからの説明によると、XS.comは「XS Prime」という名義でBtoB(企業向けビジネス)のプライムブローカー事業を展開しているとのことです。
XS PrimeはASIC(オーストラリア証券投資委員会)のライセンスを保有しており、ASICのサイトでも実際に2010年から登録されていることが確認できます。
ただし、企業名は頻繁に変更されているようです。オーストラリアの企業登記情報を見ると、XS PRIMEに企業名を変更したのは2022年11月と比較的最近です。また、2009年に法人が設立されてから約14年の間に4回企業名が変更されており、安定して運営されていたのかどうかには疑問が残ります。
旧企業名の求人情報(LinkedIn)や公式サイトを調査すると、実態は不明ながら「機関投資家向けサービス」を提供しているとの記載があることが確認できます。
「大手プライムブローカー」を母体としているとのXS.comの主張の信頼性を確認するために、「XS Prime」の公式サイトを確認しました。
「World's Leading Prime Broker(世界で一流のプライムブローカー)」を自称していますが、公式サイトは合計で4枚しかページが存在しない簡素な作りとなっています。
また登記情報において、XS PRIMEの前の社名になっている「ACQUACAP」のサイトを確認して見ても、同じく数ページの簡素な作りです。
BtoBビジネスを主としている企業は、大口顧客を抱えた状態でスタートした場合、一般向けの企業サイトと比べてあまりサイト制作に力を入れないケースもあります。そのためサイトが簡素すぎることをもって「実績のあるプライムブローカー」であるという説明の信頼性が低いと断定することはできませんが、疑いの残る状況ではあります。
あるURLに過去にどのような情報が掲載されていたか確認できるツールを使用してみました。すると現在白と淡い緑色を基調とするXS.comのサイトは、2022年下半期には黒と蛍光緑を基調とする全く別のデザインだったことがわかります。
XS.comは、2023年2月に元Exness(エクスネス)のムハンマド・イブラヒム(Mohammad Ibrahim)氏がCEOに就任してから個人投資家向けの金融サービス事業を開始したと説明しています。
しかしビジュアルの異なるサイトが以前に存在することから、自社で運営を開始してみたもののうまくいかず、ムハンマド・イブラヒム氏を迎えてリブランディングをした可能性が考えられます。
「実績のあるプライムブローカー」という触れ込みの信頼性を確認するため、XS Prime事業の詳細についてMyforex編集部でXS.comに問い合わせを行いました。
その結果「XS Primeの詳細については非公表」だが、「XMTradingやExnessより売上が大きい顧客もいる」との回答を得ました。
詳細を非公表にする方針、かつXS PRIMEのウェブサイトも簡素で情報が得られないため、プライムブローカーとして実績があるかどうかを確認することはできませんでした。ただし、XS.comのグループ会社3社が保有しているライセンスについては実際に保有しているとの確認が取れています。
保有企業 | ライセンスとライセンス番号 |
---|---|
XS Ltd | セーシェル金融庁(FSA): SD089 |
XS Prime Ltd | オーストラリア証券投資委員会(ASIC): 374409 |
XS Markets Ltd | キプロス証券取引委員会(CySEC): 412/22 |
セーシェル、オーストラリア、キプロスのライセンスのうち、特にオーストラリアのライセンスは取得が厳しいとされています。
したがって、以下3点の理由からXS.comが説明する通りにプライムブローカー事業での収益が安定している可能性は否定できません。
ここからは、個人向けFX事業を展開しているXS.com(エックスエス)のアピールポイントの信頼性を確認します。
XS.comは、1万ドルから500万ドルまでの損害が対象となっている「ロイズ・オブ・ロンドン」の民事賠償責任保険プログラムに加入しています。実際に保険に加入している証拠として、公式サイトには保険の証明書が掲載されています。
こうした保険に加入している海外FX業者は多くなく、資金の安全性が高い面でユーザーにとって大きなメリットになっています。
XS.comの運営企業である「XS Ltd」が実際にセーシェルのライセンスを保有していることは、セーシェル金融庁のライセンス保有企業一覧で確認できました。
セーシェルの金融ライセンスを取得するハードルはそれほど高くありませんが、XMTrading(エックスエムトレーディング)やExness(エクスネス)など大手海外FX業者もセーシェルのライセンスを取得して運営されています。
またグループ企業で3つの金融ライセンスを保有していることから、初期投資ができる資金力を持っていると判断することはできます。
XS.comのウェブサイトでは、以下表に記載した3つを含めたFXブローカー向けの賞を受賞した経歴が多数紹介されています。しかし、いずれも運営開始からまもない2023年以降に取得されたものだということが分かります。
受賞 | 付与団体 | 時期 |
---|---|---|
BEST MULTI-ASSET BROKER MEA
(中東・アフリカ・ベストマルチアセットブローカー賞)
|
UF AWARDS | 2024年1月 |
GLOBAL BROKER OF THE YEAR
(グローバルブローカー・オブザイヤー)
|
FINEXPO | 2023年12月 |
BEST GLOBAL VALUE BROKER
(ベストグローバルバリューブローカー)
|
Smart Vision Investment Expo | 2023年11月 |
BEST MULTI-ASSET BROKER MEA
付与団体 | UF AWARDS |
---|---|
時期 | 2024年1月 |
GLOBAL BROKER OF THE YEAR
付与団体 | FINEXPO |
---|---|
時期 | 2023年12月 |
BEST GLOBAL VALUE BROKER
付与団体 | Smart Vision Investment Expo |
---|---|
時期 | 2023年11月 |
海外FX業者に授与される賞の中には、運営側になんらかの形でお金を出せば受け取ることができるものもあります。そのため、受賞歴があることはある程度の資金力があることの証明にはなりますが、信頼性の直接的な証明にはなりません。
XS.comが受賞した賞がいわゆる「金で買える」ものだったと断定することはできませんが、運営開始が2023年であるにもかかわらず、これだけの賞を取れるのは不自然に感じられます。受賞歴のみでXS.comの信頼性を判断することはおすすめしません。
XS.comは、ウィンブルドン等のスポーツ大会で選手のスポンサーを務めていることもアピールしています。
現在スポンサーをしているのは、テニスの世界ランキング(ATP)で69位のヌノ・ボルヘス(Nuno Borges)選手のようです。ボルヘス選手のX(旧Twitter)に投稿された写真にもXS.comのロゴが映りこんでいます。
Unforgettable experience playing at the Rod Laver Arena. Thank you, Australian Open
— Nuno Borges (@nunoborges97) January 22, 2024
: @AustralianOpen & @atptour#TeamHEAD #AusOpen #imgtennis #Hyundaipt pic.twitter.com/vWhtan7zlb
ちなみに、ボルヘス選手にATPのランキングが一番近い日本人は西岡良仁選手(61位)で、ミキハウスやH.I.S.などとスポンサー契約を結んでいるそうです。
世界で活躍する選手のスポンサーを務めていることから、スポンサー料を支払える資金力があり、選手側からも信頼を得られる企業であると考えることはできそうです。
旧デザインのサイトを含めると2022年後半からサイトが存在していましたが、XS.com(エックスエス)やXS PRIMEの海外での評判はほとんど見当たりません。
ここからは、海外の大手FXメディアなどで確認できる情報を紹介します。
海外のFX業者レビューサイトとして有名なFPA(ForexPeaceArmy)では、XS.comのブローカー名は掲載されているものの実際のレビューはまだ0件です。
FPAでは、詐欺ブローカーの疑いが投稿される傾向にあります。FPAへのレビューがまだ0件であることから、悪い評判も立っていないが知名度そのものもまだ低いと思われます。
XS.comの受賞歴を確認すると、中東・アフリカの賞が多いことが分かります。また、CEOに就任したムハンマド・イブラヒム氏もExness(エクスネス)での肩書は「中東・北アフリカ担当地域ディレクター」でした。
このことから、少なくとも当初は中東・アフリカをメインターゲットにして運営されていたのではないかと思われます。
ムハンマド・イブラヒム氏がXS.comのCEOに就任したとのニュースは、FINANCE MAGNATEやFINANCE FEEDSなどで取り上げられています。大手メディアにニュースとして取り上げられるブローカーであることから、日本人のみを対象にして設立された小規模なブローカーではなく、世界規模での展開を目指すブローカーだと考えられます。
海外の大手金融メディア「FINANCE FEEDS」の記事で、ムハンマド・イブラヒムCEOは「ドバイを拠点とするが、XS.comの各オフィスで均等に時間を費やし、新規市場への参入に特に力を入れる」とされています。
最近XS.comが日本市場で活発に活動していることを考えると、この新規市場は特に日本をターゲットにしているのではないかと思われます。
また日本市場に進出した海外FX業者のほとんどが採用しているbitwallet(ビットウォレット)に対応したことからも、日本市場への本気度がわかります。
XS.com(エックスエス)は、「実績のあるプライムブローカーが日本市場に進出」という形の宣伝を行っていますが、今回の調査で実績の部分をはっきり確認することはできませんでした。
ただし、民事賠償保険に加入している点や3つの金融ライセンスを持っている点、受賞歴・スポンサー実績などから、資金力のあるブローカーであることは間違いなさそうです。
派手なボーナスなどで集客して、その後倒産、資金を持ち逃げするタイプの詐欺ブローカーは通常ここまでお金をかけた環境整備をしないことがほとんどです。そのため、XS.comが詐欺ブローカーである可能性は低いように思われます。
海外FX業者は実績のあるブローカーを利用した方が確実ですので、心配な方はXMTrading(エックスエムトレーディング)やTitan FX(タイタンエフエックス)、Exness(エクスネス)、FXGT(エフエックスジーティー)等の大手海外FX業者を利用することをおすすめします。
作成日
:2024.02.02
最終更新
:2024.05.16
海外FX歴5年。海外FX20社以上のアカウントを保有し、実際にサービスを利用して執筆を行う。長期トレードがメインで、スワップの有利なブローカーを愛用している。仮想通貨・原油等のCFD取引や各ブローカーのボーナスの仕組みにも詳しい。
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