作成日
:2023.11.01
2024.08.18 00:58
レイテンシーアービトラージとは、FX業者間のレートのずれを利用して価格差を狙うアービトラージの一種です。レイテンシーアービトラージは勝率が高く、儲かると聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
実際レイテンシーアービトラージは勝率の高いトレード手法ですが、FX業者では禁止されており、年々対策も強化されています。
本記事では、レイテンシーアービトラージについて詳しく解説していきます。勝つための戦略や口座凍結を避けやすくする方法なども紹介していきますが、あくまで参考程度にしてください。
レイテンシーアービトラージとは、「アービトラージ」という取引手法の1つで、FX業者間のレートのずれを利用して価格差を狙う方法です。レイテンシーアービトラージは別名「業者間アービトラージ」や「遅延アービトラージ」とも呼ばれています。
アービトラージとは、同一の価値を持つ商品において一時的に発生する価格の歪みを利用して利益を狙う取引手法です。日本語では「裁定取引」や「サヤ取り」とも呼ばれています。
FX業者では、それぞれが独自にレートを提示しています。したがってインターバンクにおけるレートの変動を自社のレートに反映するのが速い業者と遅い業者があるのです。レイテンシーアービトラージでは、レートの反映が早い業者のレートを確認して、反映が遅い業者でエントリーをすることでサヤ取りができます。
例えばA社のレートが140.000円、B社でドル円のレートが140.005円だとします。レートが遅延しているA社でドル円をロングし、B社と同じレート(140.005円)になった瞬間に決済すれば0.5pipsの利益を得られるのです。
仮に10ロット(100万通貨)で上記のようなレイテンシーアービトラージをする場合、利益は5,000円(100万通貨×0.5pips)になります。
レイテンシーアービトラージは、FX通貨ペアだけでなく、仮想通貨(暗号資産)銘柄や株式投資でも使われます。レイテンシーアービトラージは、業者間にレート差があれば銘柄を問わず使える手法です。
FX業者によってレートの反映速度が異なる理由として以下の2つが挙げられます。
海外FX業者では、「DD(ディーリングデスク)方式」または「NDD(ノーディーリングデスク)方式」で顧客から受けた注文を処理しています。
DD方式では顧客からの注文が一度FX業者を経由します。一方NDD方式では、注文を直接インターバンクへ流します。NDD方式ではFX業者を経由しない分、レート更新が早くなる傾向があるのです。
FX業者のサーバー設置場所とトレーダーが取引をしている場所との距離もレートの反映速度に影響を与えます。レートの反映速度は、FX業者のサーバー設置場所とトレーダーが取引をしている場所の距離が近いほど速くなります。
一方、FX業者のサーバーとの距離が遠いとレート反映時に遅延が発生しやすくなるのです。したがってFX業者のサーバー設置場所によってレート差が発生することがあります。
Wonder Network Global Ping Statisticsのデータによると、東京への通信速度はニューヨークの場合約176ミリ秒、ロンドンの場合約231ミリ秒と、約55ミリ秒の差があります。
レイテンシーアービトラージが儲かると言われている理由として以下の2つが挙げられます。
レイテンシーアービトラージでは、レートの反映が遅いFX業者を見つけることができれば、理論上高い勝率が期待できます。レート更新が遅れている場合、時間が経てばいずれレート更新の早いFX業者が提示しているレートに追いつく可能性が高いです。
つまり、レート更新が早いFX業者の価格がわかっている状況でエントリーできるので、後出しじゃんけんのような形で利益を得られます。
レイテンシーアービトラージは、業者間のレート差という、FX業者のシステム上の穴を突くような取引方法です。FX業者は、注文方式の違いやFX業者のサーバーと取引環境の距離を利用したサヤ取りをそれほど想定しておらず、対策が行われていないこともあります。
したがってレイテンシーアービトラージは、FX業者の対策によってレート差がなくなるまで、高いトレード技術がなくても無限に利益を得られる手法として知られているのです。
ほとんどの海外FX業者では、大量の注文がサーバーに影響を与える可能性があることから、アービトラージを利用規約で禁止しています。過去にアービトラージは裏技的な取引方法として知られていましたが、現在は多くの海外FX業者で対策が進んでいるのです。
それではレイテンシーアービトラージのやり方を実際に見ていきましょう。
レイテンシーアービトラージを始めるには、まずレートに遅延が生じているFX業者を探さなければなりません。さまざまなFX業者のレートを比べることが、遅延が生じているFX業者を探すための基本的な手段となります。
レートを比べる際は、海外FX業者が提供しているレートを一覧で表示できるサイトもあるので、そちらを確認してもよいでしょう。
画像引用:myfxbook
またレートの反映が遅いFX業者について海外のFXフォーラムで情報が共有されていたり、情報商材として販売されているケースもあるようです。しかし内容が正しいのかどうか真偽は不明です。
遅延が生じているFX業者を見つけたら、実際に取引を行います。レイテンシーアービトラージには主に以下の3つの方法があります。
1レッグアービトラージでは、レートの反映が速いFX業者を参考に、レートの反映が遅いFX業者1社を使って取引を行います。取引に使うFX業者が2社と少なく、仕組みがシンプルなのが特徴です。
しかし近年の技術進歩により業者間のレート差がなくなるのが早く、ポジションの保有時間が0.1秒〜数秒程度と短くなります。したがってFX業者に不審な取引を疑われる可能性が高い取引方法です。
2レッグアービトラージでは、1レッグアービトラージ同様、レートの反映が速いFX業者を参考にレート反映が遅いFX業者で注文を発注します。1レッグアービトラージと異なるのは、ポジションの決済に他のもう1社を使う点です。
結果、レート更新の遅いFX業者のポジションを決済せずに両建てのような形となります。ポジション保有時間が長くなるので、アービトラージをしている可能性をFX業者に疑われる確率を下げられる取引方法です。
Mixアービトラージでは、複数のFX業者を使って2レッグアービトラージと同様の取引を行います。他の方法と比べると手間がかかりますが、利用するFX業者の数を増やして、ダミー取引を混ぜることで、さらに不審な取引を疑われにくくできます。
またレートの反映が遅いFX業者で発注を行い、A-Book業者のようなレートの反映が速い業者で両建てを行う手段もあります。
A-Book業者とは、直接あるいは自動的に顧客の注文をインターバンク市場に流す、NDD方式を採用しているFX業者のことです。
レイテンシーアービトラージにおける損益を計算する際は、スプレッドを考慮して計算を行うようにしましょう。
FX業者では、Ask(アスク)とBid(ビット)という2つのレートを提示しています。Askは銘柄を購入する際の価格、Bidは売却する際の価格を表します。そしてAskとBidの差は取引手数料を表しており、「スプレッド」と呼ばれます。
例えばレート反映が遅いFX業者AがAsk140.005円、Bid140.000円、レート反映が早いFX業者BがAsk140.010円、Bid140.005円のレートを配信しているとします。この場合両者のAskに0.5pips(140.005円-140.010円)のレート差があります。
業者AでロングエントリーしてB社のレート(140.005円)に追いついたタイミングで決済したとしても、業者AではBid140.005円となっているので利益が出せないのです。したがってレイテンシーアービトラージを行う際は、単純に業者間の価格差を比べるのではなく、スプレッドも考慮しなければならないのです。
レイテンシーアービトラージは裏技的な取引手法であったものの、以下の2つの理由から利益を出すのが年々難しくなっています。
ほとんどの海外FX業者では、レイテンシーアービトラージを含めたアービトラージを利用規約により禁止しています。アービトラージを禁止している1つの理由としては、一定期間大量の注文が行われるとサーバーに影響が生じ、ほかのトレーダーの注文が正常に約定できなくなる恐れがあるからです。
またアービトラージだけでなく、異なる業者間または複数口座間での両建ても禁止されています。多くの海外FX業者では、ゼロカットやボーナスキャンペーンが提供されています。ゼロカットやボーナスキャンペーンを利用した悪質な両建てが発生することから禁止されているのです。
レイテンシーアービトラージを行って規約へ違反した場合、利益取り消しや口座凍結が行われる恐れがあります。口座が凍結をされると、二度と取引口座を使えなくなることもあるので、規約をしっかりと守って取引を行いましょう。
業者間でレート差が発生しにくくなっていることも、レイテンシーアービトラージで利益を出しづらくなっている理由の1つです。レイテンシーアービトラージが知られるようになったことで、業者間のレート差を使って利益を狙うトレーダーも増えています。
多くのトレーダーがアービトラージを一斉に行うと、同じ売買を行うトレーダーが増えるため、レート差の縮まる速度が早くなるのです。今では人の手では追いつかないほどレート差の縮まる速度が早くなっています。
レイテンシーアービトラージは年々利益を出しづらくはなっているものの、利益を出すために以下のような戦略が考えられます。
業者間におけるレート差の縮まる速度が年々早くなっているので、レイテンシーアービトラージでは約定スピードの速さが重要です。特にサーバーの距離には注意するようにしましょう。日本から遠い国にサーバーがあるFX業者を利用すると約定スピードが遅れてしまい、スリッページも発生しやすくなります。
なおレイテンシーアービトラージをする場合は、VPS(バーチャル・プライベート・サーバー)サービスを利用するのが必須であるといえます。FX業者の取引サーバー近くにサーバーが設置されたVPSサービスを利用すれば、通信時間が縮まり、約定速度のアップが期待できます。
レイテンシーアービトラージは、なるべくスプレッドの狭いECN口座を利用するようにしましょう。
レイテンシーアービトラージではポジション保有時間が非常に短いので、狙える値幅も小さくなります。したがってレイテンシーアービトラージで利益を出すためには、何度も確実な取引を行って小さな利益を積み重ねていくことになるのです。
何度も細かな取引を行う際は、なるべく取引手数料であるスプレッドを抑えるようにすることが利益を出すコツです。
業者ごとにレートの遅延を目視で探すのは簡単な作業ではありません。可能であれば、レートの価格差を検知してくれるエキスパートアドバイザ(EA)を使うことで作業の負担を減らせます。
ただし、このようなEAは有料であったり、実際には機能せずに稼げなかったりする可能性があります。業者間のレート遅延を検知すること自体は規約違反ではありませんが、それを利用して取引をおこなってしまうと規約に違反してしまうので、基本的にはオススメできません。
レイテンシーアービトラージでは、ロットを大きくするほど利益を増やしやすくなります。例えば0.1ロット(1万通貨)で3pipsの値幅を獲得しても300円の利益しか得られません。しかし、10ロット(100万通貨)に上げると、同じ3pipsの値幅でも3万円の利益を得ることが可能です。
レイテンシーアービトラージは比較的勝率が高い手法なので、一般的な手法よりもロットサイズを大きくしてリスクを取ってみても良いでしょう。しかし万が一失敗した場合の損失額も大きくなることには注意してください。
レイテンシーアービトラージは、海外FX業者の利用規約で禁止されている取引に該当するので、もし不正取引がバレると、口座が凍結されてしまいます。口座凍結されにくくなる方法として以下の2つが考えられます。
今回紹介する方法はあくまでも口座凍結がバレにくくなるだけです。海外FX業者は年々対策を強化していることから、いつかは海外FX業者に発見される可能性は高いといえるでしょう。悪用は避け、あくまでも参考程度にしてください。
FX業者は、トレーダーが不正な取引をしていないか常に監視しています。アービトラージを行って短時間しかポジションを保有していないのにもかかわらず、大金を稼ぎすぎてしまうと、監視の目が厳しくなる可能性があるのです。
したがって、時々わざと負けてダミートレードを混ぜることが重要です。少額でも何度か負けている人は、100%勝っている人よりも不正を疑われにくくなります。
海外FX業者では、スキャルピング取引を禁止している業者もあります。そこで、利益確定の代わりに両建てを行ったり、小ロットの長期取引をしたりと、保有時間の長いトレードも混ぜることで疑われる可能性をさらに下げられます。
出金をする際は少額ずつ行いましょう。なぜなら出金申請額が大きくなると、FX業者は不正をしていないか厳しく監視する可能性が高まるからです。
出金申請時に取引を疑われると、過去のトレード履歴を細かく見られる可能性があり、そのタイミングでレイテンシーアービトラージがバレてしまうのです。したがって数十万単位など少額でこまめに出金を行ったほうが、FX業者にバレにくくなるといえます。
レイテンシーアービトラージについて、トレーダーはどのように考えているのか、SNS上の投稿を見てみましょう。
レイテンシーアービトラージは国内業者とかなら抜きまくれるけど、海外業者だとスプレッドが広くてなかなか難しいとこが多い
裁量トレードの期待値は低すぎてそもそも太刀打ちできないし...
Twitter- より引用
今はよく知られている有名な業者間アービトラージはそんな簡単にできるものではないと思います。
Twitter- より引用
SNS上の投稿を見ると、海外FX業者においてレイテンシーアービトラージで稼ぐことは難しいと考えられていることが分かります。また実際にThreeTraderでレイテンシーアービトラージを行った結果、規約違反で出金拒否されたトレーダーもいるようです。
レイテンシーアービトラージは、数秒後のレートを見ながらレート更新の遅いFX業者で後出しじゃんけんのような取引ができます。勝率が高いので稼げる可能性があるのは間違いないですが、レイテンシーアービトラージはFX業者が禁止している行為です。
また年々対策が厳しくなっているので、口座凍結のリスクがあり、実際に行うには難易度が高いといえます。簡単に稼げるからといって、レイテンシーアービトラージを安易に利用することはオススメできません。
多くの海外FX業者では、取引を有利にできるボーナスが提供されているので、トレードの期待値を高めたい方は、ボーナスを利用するとよいでしょう。
作成日
:2023.11.01
最終更新
:2024.08.18
短期が中心のトレーダーや中長期が中心のトレーダー、元プロップトレーダー、インジケーターやEAの自作を行うエンジニアなどが在籍。資金を溶かした失敗や専業トレーダーに転身した経験など、実体験も踏まえてコンテンツを制作している。
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