作成日
:2023.11.01
2023.11.01 10:52
Flooring Protocolは、NFTを分割して取引可能にするプロジェクトです。2023年10月中旬からX(旧Twitter)などで話題になり始め、NFTの新たな可能性を切り開く技術として注目を集めています。
当記事では、Flooring Protocolの概要や特徴について解説した上で、その将来性についても考察します。
Flooring Protocolは、1点のNFTを多数のトークンに分割し、そのトークンを売買することで取引に流動性を持たせます。
人気NFTコレクションの多くは、作品1点あたりの価格が非常に高額です。たとえば、人気NFTコレクション「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」のフロア価格は、2023年10月31日時点でおよそ31ETH(およそ840万円)です。
画像引用:OpenSea
出品されているNFTの販売価格のうち、最低価格を指します。
一方、日本国内でトップクラスの人気を誇るCryptoNinja Partners(CNP)は、2023年10月31日現在の価格が0.49ETH(およそ13万円)となっています。
BAYCに比べると安価ですが、デジタル画像1点の価格が10万円を超えており、誰もが手軽に買える価格とは言えません。
画像引用:OpenSea
人気のNFTコレクションは価格が高すぎるという問題を抱えており、これに対して、Flooring ProtocolはNFTを分割して取引可能にしました。
Flooring Protocolでは、μ−Tokens(マイクロトークン)というトークンを使って1点のNFTを100万μ−Tokensに分割し、このμ−Tokensを売買することによってNFTの分割取引を実現しています。
なお、Flooring Protocolは2種類のサービス(VaultとSafebox)で構成されており、BAYCやAzukiなどのNFTコレクションが既に対応しています(2023年10月31日現在)。
μ−Tokens(マイクロトークン)、Vault(ヴォールト)、Safebox(セーフボックス)には、それぞれ以下の特徴があります。
画像引用:Flooring Protocol
μ−Tokensはトークンの一種で、NFT保有者がNFTをFlooring Protocolに預け入れることで発行されます。
預け入れ先には「Vault」と「Safebox」の2種類があり、μ−TokensはNFTコレクションごとに異なるトークンとして発行されます。
たとえば、BAYC保有者がBAYC1点を預け入れると、100万μBAYC Tokensが発行され、Azukiを預け入れる場合は100万μAzuki Tokensが発行されます。
画像引用:Flooring Protocol
Vault(ヴォールト)は、NFTの預け入れ先の1つです。NFTの保管庫のようなもので、ここにNFTを預けるとμ−Tokensを受け取れます。
大きな特徴は、Vaultに預け入れたユーザーはNFTの所有権を失い、代わりにプロトコルがNFTの所有権を持つ点です。そして、Vaultに保管されているNFTは、100万μ−Tokensと交換で取り出し可能です。
つまり、NFTの購入資金が十分でなくても、少しずつ100万μ−Tokensを集めて目的のNFTと交換可能になります。
ただし、Vaultから取り出されるNFTは、フロア価格の個体からランダムで選ばれるので注意が必要です。また、100万μ−Tokensの価格はNFTのフロア価格に等しいため、フロア価格より高い個体と100万μ−Tokensを交換することはできません。
Safebox(セーフボックス)は、フロア価格よりも高額なNFTの預け入れ先です。Vaultと異なり、SafeboxにNFTを預け入れても所有権を失いませんので、マーケットプレイスにNFTを出品するような感覚で預け入れ可能です。
Safeboxの特徴は、NFTを2つに分割する点にあります。
Safeboxに保管されているNFTを取り出すには、100万μ−Tokensに加えてSafebox Keyも所有する必要があります。
Safebox Keyも取引の対象となっており、ユーザーは100万μ−TokensとSafebox Keyの両方を手に入れることで、Safebox内のNFT1点と交換できます。
なお、SafeboxにNFTを預けるには、Flooring Protocolの独自トークン「FLC」をステーキングする必要があるので注意しましょう。
Flooring Protocolのメリットは、NFTの利用目的に応じて主に2つ考えられます。
高額なNFTでも少額から購入できるので、多額の資金を準備できないユーザーも投資できるようになりました。
BAYCやCryptoPunksなどに投資するには、数百万円から数千万円の資金が必要ですが、Flooring Protocolを利用すれば、少ない資金で投資できます。
また、μ−Tokensは将来的にDeFiに対応する可能性があるため、μ−Tokensを運用して収益を得られるかもしれません。
従来、高額なNFTを購入するには、多額の資金を一度に用意する必要がありました。しかし、μ−Tokensを少しずつ集めて100万μ−Tokensを目指す選択肢も利用できます。
Flooring Protocolのデメリットや懸念点も確認しましょう。
100万μ−Tokensを保有すると、フロア価格のNFTを所有して自由に使えます。逆にいえば、100万μ−Tokensに満たない場合、99万μ−Tokensを保有していてもNFTを自由に使えませんし、Vaultの場合には所有権もありません。
NFTプロジェクトの中には、NFT保有者に特典を提供している例があります。特典を利用するにはNFTの保有が必要であり、保有数量が100万μ−Tokensに満たない場合は、資金を投入していても特典を受けられません。
NFTコミュニティの希薄化も、懸念点として挙げられます。
多くのNFTコミュニティは、「NFTを活用して何ができるか?」を模索しながら発展してきました。日本のNFTプロジェクトでは、エンタメやリアルなグッズの販売など、いわゆるIP事業としてNFTコレクションを育ててきた側面があります。
IP事業で重要視すべきことは、熱狂的なファンの獲得です。熱狂的であればあるほど、高額であっても「いつかはこのNFTを手にしたい」という想いとともに、NFTコレクション自体やそれに付随する活動を応援してくれます。
ところが、Flooring Protocolを通じてNFTの分割取引が可能になると、NFTを投資対象としてのみ捉えるユーザーが、μ−Tokensの売買という形でNFTプロジェクトに関わってくることになります。
投資目的のユーザーはNFTプロジェクトのファンではないため、NFTの価格が上がらないと思えばすぐに見切りをつけ、投資先を他のNFTプロジェクトに乗り換えるかもしれません。
彼らの言動によってプロジェクトの運営が振り回されたり、あるいはNFTの価格が乱高下したりする可能性が、懸念として挙げられます。
Flooring Protocolは話題になり始めてからまだ日が浅いサービスですが、すでにX(旧Twitter)では期待の声が寄せられています。
実際に利用してみたという声は、まだあまりないようですが、NFTの新たな投資手法として期待する発信が多数見られます。
Flooring Protocolの将来性について、当記事執筆時点の情報を元に紹介します。
Flooring Protocolが普及すると、高額なNFTの流動性が向上するかもしれません。
高額なNFTは誰もが購入できるものではないため、流動性に欠ける部分があります。しかし、少額から取引できる環境が整えば、流動性が高まると期待できます。
NFTとDeFiが、Flooring Protocolを通じてさらに発展する可能性があります。従来、以下の理由で、NFTはDeFiとの相性があまりよくないとされてきました。
Flooring Protocolはこれらの課題を解決できるため、NFTを活用した新技術が登場するかもしれません。
ブルーチップと呼ばれる高額なNFTは、多くのユーザーにとって手が届かない高嶺の花です。しかし、Flooring Protocolを使えば、誰でも比較的簡単に高額NFTに投資できます。
NFTの購入目的に合わせて、μ−Tokensを利用しましょう。
作成日
:2023.11.01
最終更新
:2023.11.01
2017年に初めてビットコインを購入し、2020年より仮想通貨投資を本格的に開始。国内外のメディアやSNSなどを中心に、日々最新情報を追っている。ビットコインへの投資をメインにしつつ、DeFiを使って資産運用中。
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