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Yamato Protocol(YMT)とは?ステーブルコインCJPYの特徴や仕組みを解説

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update 2023.08.25 18:27
Yamato Protocol(YMT)とは?ステーブルコインCJPYの特徴や仕組みを解説

update 2023.08.25 18:27

Yamato Protocolは、日本円に連動するステーブルコイン「CJPY」を発行する分散型アプリです。独自仮想通貨(暗号資産)YMTを核としており、2023年7月29日にメインネットをローンチしました。

当記事では、CJPYに焦点を当てつつ、その仕組みや特徴、仮想通貨YMTについて解説します。

Yamato Protocolとは

Yamato Protocolは、ステーブルコイン「CJPY(Convertible JPY Token)」を発行するプロトコルです。匿名の開発チーム「DeFiGeek Community Japan」によって開発されています。

Yamato Protocol

画像引用:Yamato Protocol

ステーブルコインを発行

Yamato ProtocolのCJPYは、日本円と連動するように設計されており、1CJPY=1円が基本となっています。

日本円と連動するステーブルコインとしては、JPYCなど中央集権型のものがいくつか挙げられます。CJPYは、DApp(分散型アプリ)を活用した分散型の仕組みを実現しているのが特徴的です。

ETHを担保にCJPYを貸し出す​​

主流のステーブルコインは、法定通貨を価値の裏付けに発行されます。一方、Yamato Protocolは、ETHを担保にCJPYをユーザーに貸し出します。ユーザーは、CJPYを返却すると、担保として預け入れたETHを取り戻せます。

このような仕組みは、担保付債務ポジション(CDP、collateralized-debt-position)と呼ばれ、MakerDAOのDAIやCurve FinanceのcrvUSDなどでも採用されています。

CJPYの価格推移

CJPYのチャート

画像引用:CoinGecko

CJPYの価格推移を見ると、CoinGeckoに登録されて以来、一度も1CJPY=1円が実現しておらず、むしろ乖離が大きくなりつつある様子が分かります。CJPYが公開されてから十分な時間が経過したとは言えず、今後の動向に注目です。

CJPYの特徴

CJPYは次のような特徴を持っています。

金利が発生しない

従来の担保付債務ポジションは、ステーブルコインの貸し出しという扱いです。このため、ユーザーは、貸し出し期間に応じて金利を支払う必要があります。一方、CJPYは金利が不要で、借入時に一定の手数料が徴収される仕組みです。

担保率で手数料が変わる

CJPYの手数料は、担保率によって変動します。担保率が高ければ手数料は割安に、逆に、担保率が低ければ手数料は割高になります。

point 担保率とは

担保率は、貸し出した資産に対する担保の割合です。その数値が高ければ高いほど、貸し出した資産の保全性が増します。

担保率と手数料の関係は、次の通りです。

担保率 手数料
130% 4%
150% 2%
200% 1%
250% 0.85%
300% 0.7%
350% 0.55%
400% 0.4%
500%~ 0.1%

強制清算

仮想通貨を担保にするステーブルコインは、担保価値が暴落して最低限の担保率を維持できなくなると、担保を強制清算してリスクを回避するのが一般的です。

その一方、Yamato Protocolによると、CJPYでは強制清算の仕組みを採用していません。ただし、担保率が基準を下回ると担保が毀損する可能性があり、注意が必要です。

Yamato Protocolによる代位弁済

ETH価格が急落すると、CJPYの担保率が100%を下回る可能性があります。つまり、貸し出したCJPYに対して、担保が足りなくなる可能性があります。

この場合、担保のETHを全てCJPYに変換しても、債務が残ります。この場合は、ユーザーに代わって、Yamato Protocolが代位弁済します。

CJPYの仕組み

CJPYは、次の仕組みで成り立っています。

アービトラージによる価格安定

CJPYは、外部の取引所で取引可能なステーブルコインです。仮想通貨は価格が常に変動するものの、投資家のアービトラージによって価格が1CJPY=1円の基準値に収束しやすくなっています。

point アービトラージとは

アービトラージとは、同一の性格を持つ商品の価格差や金利差を利用して売買し、利益を狙う手法を指します。一時的な価格の歪みを取引機会と捉える方法であり、裁定取引やサヤ取りとも呼ばれています。

Yamato Protocolを利用したアービトラージ

例えば、CJPY価格が1円より高くなると、投資家はYamato ProtocolからCJPY=1円で借り入れて、仮想通貨市場で売却して利ざやを稼ぎます。すると、売り圧力が高まってCJPY価格は基準値まで下落します。

反対に、CJPY価格が1円未満に下落すると、投資家は仮想通貨市場でCJPYを購入し、Yamato ProtocolでETHを償還します。ETHの償還はCJPY=1円で行われるので、利ざやが発生します。すると、買い圧力が高まってCJPY価格は基準値まで上昇します。

償還と代位弁済の資金源確保

CJPYの償還と代位弁済には、Yamato Protocolにプールされた資金が使われます。

償還に関しては、第三者ユーザーの手持ちのCJPYも利用できますが、安定的な資金を確保するためのプールは重要です。Yamato Protocolは、CJPYの貸し出し時に発生する手数料を積み立てています。償還プールと弁済プールの比率が、8対2になるように手数料が振り分けられます。

仮想通貨YMTについて

仮想通貨YMTは、ガバナンストークンとユーティリティ、2つの側面を持ち合わせています。具体的には、次のような用途でYMTを使います。

Yamato Protocolのファーミング

ファーミングは、仮想通貨を預け入れるだけで、リターンを得られるサービスを指します。Yamato ProtocolのV1.5から実装される見通しです。

YMTのファーミングにおけるリターンは、「CJPY借入額」に依存します。基本的に借入額が大きければ大きいほど、評価スコアが大きくなり、より多くのリターンを獲得できます。

その評価スコアには、「担保率ブースト」と「veYMTブースト」も加味されます。担保率ブーストは、担保率の高さに応じて、大きくなります。veYMTブーストは、全体に対する自身のveYMT保有割合に比例して、大きくなります。

point veYMTとは

veYMTは、YMTをファーミングに預け入れて得られる転送不可のトークンです。そのレートは預入期間によって変化し、1年であれば1YMT=0.25veYMT、4年であれば1YMT=1veYMTとなります。基本的にYamato Protocolでは、YMTをveYMTの形にしてエコシステム内で利用します。

プロトコル収益の分配獲得

Yamato Protocolは、プロトコル収益を分配します。プロトコル収益の分配は、veYMT保有者が対象となっているので、YMTのファーミングが必須条件です。

プロトコル収益の分配は、全体に対する自身のveYMT保有割合に比例します。

YMT分配割当の投票

Yamato Protocolは、V2のプロトコルで、CJPYに続いてCUSDやCEURなど、いくつかのステーブルコインをリリースできるようになります。

それぞれは、別々のシステムとしてプロトコル収益の分配などが行われます。YMT分配割当を使えば、自分の思い通りにvYMTの割当を自由に変更できます。

エコシステムは誕生したばかり

Yamato Protocolは、メインネットがローンチされ、エコシステムが誕生したばかりです。まだ、ほとんど発展しておらず、実用的に利用できる環境は整っていません。将来的には、DeFi(分散型金融)や取引所、決済など、CJPYのユースケースの創出も想定されています。


Date

作成日

2023.08.25

Update

最終更新

2023.08.25

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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