作成日
:2023.08.25
2024.06.13 23:10
パイネットワーク(Pi Network)は、独自仮想通貨(暗号資産)Pi(パイ)を発行するブロックチェーンプロジェクトです。
スマホアプリで誰でも無料でPiをマイニングできることから、仮想通貨コミュニティで人気となっています。中には、大量のPiを獲得したユーザーがいる一方、パイネットワークは怪しいとの評判もあり、プロジェクトへの参加を警戒する意見もあります。
当記事では、パイネットワークの概要や仕組み、怪しいといわれる理由などを詳しく解説します。
パイネットワークは、スマートコントラクトが利用可能なブロックチェーンプラットフォームです。独自仮想通貨(暗号資産)Piを発行しています。
画像引用:Pi Network
スマートコントラクトは、ブロックチェーン上で契約を自動履行するプログラムです。これにより、第三者の介入を必要とせずに、安全かつ効率的に契約を実行することができます。
パイネットワークは、Piを中心としたエコシステムを構築し、仮想通貨の採用を促進することを目的としています。米スタンフォード大学のNicolas Kokkalis博士とChengdiao Fan博士が率いるチームによって開発が進められています。
当記事執筆時点(2023年8月19日)で、パイネットワークのメインネットはアクセスが限られたクローズド環境で稼働しており、仮想通貨Piの取引所への上場は実現していません。
仮想通貨のメインネットとは、実際の取引やスマートコントラクトの実行が行われる本番環境のブロックチェーンのことを指します。テストネットで機能のテストを行った後、メインネットへ移行するのが一般的です。
元々、ビットコイン(BTC)のマイニングは、誰でも参加できる公平なものでした。
しかし、現状ではマイニング事業者の本格的な参入でマイニング難易度が飛躍的に上昇し、一般ユーザーによるビットコインマイニングは困難です。
マイニング事業者は、ビットコインなどのマイニングで利益を上げる企業を指します。大規模なデータセンターで、ASICと呼ばれる専用のマイニングマシンを運用し、効率的なマイニングを実現します。
このような問題に対して、パイネットワークは、スマホを使って誰でも簡単にマイニングできる環境を実現し、再びマイニングを大衆化しようとしています。
パイネットワークは、iOSとAndroid向けのスマホアプリを提供しています。
このアプリをダウンロードすると、誰でもマイニングに参加でき、24時間に1回タップするだけで仮想通貨Piを獲得できます。
なお、当記事執筆時点(2023年8月19日)でPiは、取引所に上場されていないため、売買はできません。いずれ取引所に上場されれば、通常の仮想通貨と同様に現金化が可能になることが見込まれています。
仮想通貨(暗号資産)Piは、無料で手に入る仮想通貨として話題です。
パイネットワークの公式X(旧Twitter)アカウントは、海外ユーザーを中心に260万人以上のフォロワーを獲得しており、その波は日本にまで波及しています。
日本国内の仮想通貨コミュニティでも、Piの存在は知られており、多くの日本人ユーザーがほぼノーリスクで仮想通貨をできる機会と捉えてマイニングに参加しているようです。
しかし、パイネットワークが詐欺の可能性もあると警戒するユーザーもいます。
パイネットワークが人気になってから、Twitter上には類似する偽アカウントが多数存在し、偽の情報が拡散されています。フィッシング詐欺の被害もいくつか報告されているため、注意しましょう。
フィッシング詐欺とは、インターネットにおける詐欺のひとつです。信頼できる企業や団体になりすまして、クレジットカード情報や仮想通貨に関する情報、個人情報を盗みます。仮想通貨市場ではさまざまな詐欺が横行しており、フィッシング詐欺は最も一般的な詐欺手法の一つです。
パイネットワークは人気の反面、「怪しいプロジェクトなのでは?」とも噂されています。パイネットワークが怪しいといわれる理由としては、次のようなものがあげられます。
パイネットワークは、2021年末からメインネットの移行期間としています。しかし執筆時点(2023年8月)で、メインネットはクローズド環境で運用されており、大々的に公開されていません。
開発活動の進捗があまりにも遅いため、詐欺的なプロジェクトなのではないかとの見方が強まっています。
パイネットワークのメインネットが公開されておらず取引所に上場されないため、マイニングしたPiは無価値のままです。
パイネットワークでは、モバイルアプリでボタンをタップするだけで、マイニングが可能です。スマホのリソースを必要とせず、報酬だけが入ってくるため、その仕組みに疑問が持たれています。
パイネットワークは、信頼できるユーザー同士の繋がりが価値になると説明していますが、その仕組みがブロックチェーンにどのように組み込まれているのかはやや不透明です。
このマイニングメカニズムが機能しなければ、パイネットワークの根幹が揺らぎかねません。
パイネットワークでは、メインネットに移行する際にKYCによる個人情報の提出が必要です。ユーザーは、パスポートや運転免許証などで、身元確認を行います。
このようなKYCは、仮想通貨(暗号資産)市場で広く採用されているものです。しかし、パイネットワークはプロジェクト内容に不透明な部分もあり、個人情報の悪用などを警戒するユーザーもいるようです。
2023年6月末、パイネットワークは、ベトナムで1,500人以上が参加する大規模な集会を開催しました。有料チケットを販売していることもあり、ベトナム当局からマルチ商法などの詐欺だと疑われています。
ベトナム当局は、パイネットワークに関する捜査を進めており、詐欺被害に遭う可能性が高いとして、国民に注意を呼びかけているとのことです。
パイネットワークのマイニングは、次のような仕組みで成り立っています。
パイネットワークは、「ステラコンセンサスプロトコル(SCP)」と呼ばれるコンセンサスアルゴリズムを基礎としています。SCPは、ステラ(XLM)ブロックチェーンで利用されている仕組みです。
コンセンサスアルゴリズムはブロックを生成するためのルールで、管理者がいないブロックチェーンから不正を排除しながら、システム全体を稼働させる役割を担っています。コンセンサスアルゴリズムには、PoWやPoSなどの種類が存在し、それぞれに長所や短所があります。
SCPは、バリデータを「クォーラムスライス」というグループに分け、合意形成を行なってブロックを承認します。バリデータは、複数のクォーラムスライスに所属できます。
一般的な意味でのバリデータとは、仮想通貨ブロックチェーンのブロック生成やトランザクション(取引)データの内容が正しいのかを検証し承認するノード(端末)のことです。
主にコンセンサスアルゴリズムにPoS(プルーフ・オブ・ステーク)を採用する仮想通貨で採用されており、PoW(プルーフ・オブ・ワーク)でマイニングを行うマイナーと同様の役割を担っています。
クォーラムスライス内に、ブロックの承認を阻害するバリデータがいれば、そのバリデータを排除する動きが生じます。クォーラムスライスをまたいでバリデータ同士が監視し合うことで、不正を働くことが困難となる仕組みです。
このような仕組みにより、SCPは、より効率的で分散されたシステムを実現しています。
パイネットワークはSCPを基礎に構築されていますが、その上で個人のマイナーを活用するために、改良が加えられています。
パイネットワークでは、報酬のPiと引き換えに、個人のマイナーが以下4つの役割で貢献します。
パイオニアは、モバイルアプリでボタンをタップしてPiを獲得するユーザーです。それによりロボットではないことを証明します。
コントリビューターは、モバイルアプリを利用するユーザであり、信頼できるパイオニアのリストを提供します。
アンバサダーは、新規ユーザーをパイネットワークに紹介する役割を担います。
ノードは、パイオニアやコントリビューターなどのモバイルユーザーでありながら、同時にコンピュータでノードを運用します。
ノードとはブロックチェーンのネットワークを構成するコンピュータを指し、パソコンやスマホなどを含みます。ブロックチェーンを稼働させるために、ブロックの検証だけでなく取引情報の記録や情報伝達などの機能を提供します。
パイネットワークにおけるマイニングは、モバイルアプリのボタンをタップすることを指します。モバイルアプリのユーザーは、1日1回、マイニングを実行して報酬のPiを獲得可能です。
獲得できる報酬の計算式は、パイネットワークのフェーズによって変わってきます。
いくつかの要素がありますが、メインネットリリース前では、基本的なマイニングレートと新規ユーザーを紹介した人数などによってマイニング報酬が変動します。
基本的なマイニングレートはマイナーの数が増えていくと、低下するように設計されており、早く参加したユーザーがより多くの報酬を獲得可能です。また、新規ユーザーをパイネットワークに紹介すると、ボーナスが付与されます。
メインネットリリース後には、ノードやコントリビューターへの報酬なども加味されます。
仮想通貨(暗号資産)Piは、パイネットワークのネイティブトークンです。その総供給量は、メインネットリリース時に1,000億通貨に制限されます。
この1,000億通貨は、80%がコミュニティに、20%が開発者チームに分配されると決定しています。
コミュニティへの分配の内、65%がマイニング報酬、10%非営利団体のPi Foundation、5%がデベロッパーや流動性プールに割り当てられます。
Piは、メインネットがリリースされるまで、利用することはできません。
将来的には、商品やサービスの支払い、送金などの用途が予定されています。加えて、パイネットワークでは、独自マーケットプレイスの立ち上げを計画しており、そこでPiが利用可能になると考えられます。
その他、パイネットワーク上に構築されるDApp(分散型アプリ)のエコシステムでも利用される見通しです。
仮想通貨(暗号資産)Piは、正式に上場されていませんが、Huobiを筆頭にいくつかの取引所でIOUトークンとして取引されています。
IOUは英語の「I Owe You(あなたに借りがある)」を意味し、IOUトークンは上場前の仮想通貨を売買する手段として取引所が発行するトークンです。取引所は、上場後のIOUトークンと現物の交換を約束しています。
画像引用:CoinMarketCap
Pi価格は、2022年末に一時期3万円を超える高値を付けていました。その後、徐々に下降しており、当記事執筆時点(2023年8月19日)では、3,200円台を推移しています。
ただし、IOUトークン価格は取引所によって異なるため注意が必要です。また、上場後に大きく変動する可能性もあり、現物価格を保証するものではありません。
パイネットワークが公開しているロードマップでは、ベータ、テストネット、メインネットの3つのフェーズによる開発活動が計画されています。
2021年12月からメインネットのフェーズに突入しました。メインネットのフェーズでは、限定的なクローズド環境とリリース後のオープン環境に分けて開発が推進されており、現在はクローズド環境が稼働しています。
クローズド環境の開発では、より多くのDApp(分散型アプリ)構築、エコシステムのメインネット環境への統合、数百万人のKYCの完了などを目標としています。
オープン環境がリリースされると、メインネットの外部との接続が始まります。例えば、他のブロックチェーンやウォレット、DAppなどが接続してエコシステムが拡大していく計画です。
パイネットワークでのマイニングは、仮想通貨(暗号資産)Piを無料で手に入れるチャンスです。パイネットワークは、第二のビットコインとも呼ばれており、一部ではPi価格の高騰が期待されています。
一方で、パイネットワークは怪しいプロジェクトであるとの見方もあり、どのようなリスクが隠れているかはわかりません。マイニングに参加するにしても、KYCは慎重に行うなど、最低限の防衛策を講じることをおすすめします。
作成日
:2023.08.25
最終更新
:2024.06.13
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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