作成日
:2023.04.21
2024.08.22 07:17
FXに限らず、株式投資・仮想通貨などの相場は、投資家の感情により動いています。ただし、自分以外の投資家の感情について調べようとすると、多くの手間や時間がかかる上に、集めた情報の正誤性を判断するのも容易ではありません。
Fear&Greed Indexは、そういった投資家の心理状態を把握するのに便利な指標です。この記事では、Fear&Greed Indexの見方や要素、FXや株のトレードへの活かし方について解説します。
Fear&Greed Indexについて詳しい解説をする前に、株式・為替・金利の関係性について把握しておく必要があります。なぜなら、株式と為替(米ドル)、金利が相互に関わることがあるからです。
為替で最も多く取引されている通貨は米ドルです。よって為替の投資家心理を確認する際には米ドルを見ましょう。
好景気・不景気になった際の株価・為替(米ドル)・金利のよくある反応をまとめると以下のようになります。
景気 | 好景気 | 不景気 |
株価 | 上昇 | 下落 |
為替(米ドル) | 上昇 | 下落 |
金利 | 下落 | 上昇 |
好景気
株価 | 上昇 |
為替(米ドル) | 上昇 |
金利 | 下落 |
不景気
株価 | 下落 |
為替(米ドル) | 下落 |
金利 | 上昇 |
それぞれの関係を解説します。
政策金利は、マーケットに大きな影響を与える重要な要素です。金利が低下すると、株価は上昇しやすくなります。その理由は、金利の低下に伴い、企業は設備投資や事業拡大のために金融機関から資金を借りやすくなるためです。事業が拡大すれば、企業の業績は上がり、景気も良くなるため株価が上昇しやすくなります。
一方で、金利が上昇すると、企業は資金の借り入れに消極的になるでしょう。なぜなら、借り入れをした際に返済しなければならない金額が増えるためです。資金の借り入れをしなければ、事業拡大をしにくくなります。その結果、株価が下落するのです。
また、為替の動きが企業の株価に影響を与えるケースもあります。たとえば、ドル高円安になった場合、自動車メーカーのように外国へ製品を多く輸出している企業の業績は上がりやすくなります。なぜなら、ドル高円安になっているため、製品を販売して受け取った米ドルを多くの円と交換できるからです。
ドル高円安になると、トヨタ自動車や任天堂など海外の売り上げ比率が高い企業の株価は上がりやすくなります。一方で、海外から原材料や製品を輸入している輸入型企業にとっては、コスト負担が増加するドル高円安は好まれません。
政策金利とは、その国の中央銀行が、景気や物価安定目標を達成するために市中の銀行に対して資金を貸し出す際に適用される短期金利のことです。市中の銀行が資金調達をする際の金利なので、銀行が企業や個人に対して貸し出す際の金利等、経済全体のさまざまな金利にも影響を及ぼします。政策金利を引き上げることを利上げ、引き下げることを利下げといいます。
ある国が好景気になると、外国からの投資も活発になります。特定の国のビジネスに投資するには、現地の通貨を調達する必要があります。結果として、現地通貨が買われてレートが上昇するのです。
反対に不景気になると、現地から資金が引き上げられるため、現地通貨が下落しやすくなります。世界的な金融不安が生じた際には、ドルや円などの安全通貨と呼ばれる通貨のレートが上昇する傾向にあります。
Fear&Greed Indexとは、アメリカの大手メディア会社のCNNが提供している株式市場の市場心理(センチメント)を示す指標です。Fearは恐怖、Greedは強欲を意味するため、恐怖と強欲の指数とも呼ばれています。
相場の価格は、市場に参加している投資家の感情によって変化します。投資家が強気の時は株価も上昇方向へ動きやすい反面、投資家が弱気になると下落方向へ動きやすくなるのです。Fear&Greed Indexを見ることで、投資家の市場心理が強気・弱気のどちらに偏っているのか把握しやすくなるでしょう。
株式・為替・金利は密接に関係しているため、Fear&Greed Indexは為替のトレードにも活かせます。
Fear&Greed Indexは、相場が天井圏か底値圏かを判断する際に有用な指標です。CNNのホームページで以下のように表示されています。
Fear&Greed Indexの数値 | 投資家心理 |
---|---|
0〜25 | EXTREME FEAR(極度の恐怖) |
26〜45 | FEAR(恐怖) |
46〜55 | NEUTRAL(中立) |
56〜75 | GREED(強欲) |
76〜100 | EXTREME GREED(極度の強欲) |
数値が0に近いほど投資家心理は冷え込んでおり、株が売り込まれやすくなります。ただし、割安になったとも判断できるため、逆張りして買うことで利益を得られる可能性もあります。
一方で、Fear&Greed Indexの数値が100に近くなれば、投資家心理は過熱化するので株が買われやすくなります。この場合も割高と判断できるため、空売りすることで利益を得られる可能性があります。
Fear&Greed Indexの期間を変更すれば、1週間や1年の投資家心理を確認できるので、短期・長期の両方の投資家心理を把握できます。
Fear&Greed Indexの数値は7つの要素から算出されています。普段のトレードに活かすために、まずは7つの要素について詳しく見ていきましょう。
マーケットモメンタムとは、相場の勢いを示す指標です。現在の価格(本来はS&P500)と125日移動平均線の乖離を指します。両者の水準が離れているほど、勢いは強くなります。
S&P500が125日移動平均線よりも上に位置している場合は買いが優勢、反対に125日移動平均線の方が上にある場合は売りが優勢と判断できます。
株価の強さとは、ニューヨーク証券取引所の上場銘柄のうち、52週の高値を更新した銘柄の数と安値を更新した銘柄数を比較したものです。
高値を更新した銘柄の方が多ければ投資家が強気になっており、安値を更新した銘柄の方が多ければ投資家は恐怖を感じていると判断します。
株価騰落率は、ニューヨーク証券取引所に上場している銘柄のうち上昇した銘柄と下落した銘柄それぞれの数や出来高により決まります。
上昇している銘柄の数が多ければ強気、下落している銘柄の数が多い場合は弱気と判断しましょう。FEARと表示されていれば弱気、GREEDと表示されている場合は投資家が強気になっている状態です。
プット&コールオプションの比率は、プットオプションとコールオプションの出来高の割合を比較したものです。
オプション取引において、コールオプションは買う権利の売買、プットオプションは売る権利の売買を意味します。
投資家心理が強気から弱気になる水準は、プット&コールオプションの比率が1を超えたときです。プット&コールオプションの比率が上昇している場合、投資家がコールよりもプットオプションを多く購入していると判断できるため、心理状態は弱気になります。
一方、プット&コールオプションの比率が下落しているケースでは、コールオプションを購入している人の割合が多くなっているので、投資家の心理状態は強気と判断できるのです。
市場のボラティリティとは、価格の変動率を表すVIX指数です。VIX指数は、今後30日間のS&P500の予想される値動きの大きさを測定する指標です。
相場が落ち着いている場合、楽観的に考えている投資家が多くなるので、VIX指数は低い水準で推移します。ところが、市場に不安を与えるニュースが報道された場合、恐怖を覚える投資家が増加するため、VIX指数は急上昇します。
リスク回避需要とは、過去20取引日の債券・株式のリターンの差です。債券は安全資産と考えられている金融商品であり、投資家は株式が暴落すると資金を債券に避難させる傾向にあります。
リスク回避需要が上昇していれば株式のリターンが大きく、下落している場合は債券のリターンが高いと判断します。数値がプラス圏で推移している場合は市場のセンチメントが強気、マイナス圏で推移している場合は弱気になっている状態です。
ジャンク債の需要では、ジャンク債ともっとも安全な債券である国債の利回りの差を表しています。ジャンク債はほかの債券よりもデフォルトが発生するリスクが高いです。
ジャンク債と国債の利回りの差が小さいほど、投資家は強気であると判断できます。一方で両者の利回りの差が大きければ、投資家はリスクを取ってジャンク債を購入しようと考えません。
Fear&Greed Indexは投資家の心理状態を一目で判断できる指標です。ただし、Fear&Greed Indexを株式やFXなど普段のトレードに活用する方法がわからずに悩んでいる人も多いのではないでしょうか?
ここからは、Fear&Greed IndexをFXや株のトレードに活用する方法について解説します。
Fear&Greed Indexは、投資家が現在の市場について抱えている感情を数値で確認できる指標です。
したがって、Fear&Greed Indexを見て100に近い数値の場合は、買われすぎと判断して相場が下落する可能性を考慮する必要があります。逆に0に近ければ売られすぎているため、買いでのエントリーを検討する必要があるでしょう。
また、トレンド相場の途中で新たにエントリーするかどうか迷ったときや暴落時からの反転を狙って取引する際にも役立ちます。
Fear&Greed Indexは株式市場に参加しているトレーダーだけでなく、FXのトレーダーの売買判断にも活用できる指標です。
例えば、Fear&Greed Indexの数値が恐怖感を表している場合、ドル/円は円高ドル安方向に動きやすくなります。よって、基本的にドル円をショートした方が良いでしょう。Fear&Greed Indexを仮想通貨取引に活用する方法については、以下の記事をご覧ください。
CNNのホームページにあるFear&Greed Indexは株式市場のものしか表示されません。FXの取引をしたい人は、直接為替のFear&Greed Indexを確認したいと感じているのではないでしょうか?
そこでFear&Greed Indexを確認できるアプリを2つ紹介します。ただし、CNNのFear&Greed Indexとは、若干仕組みが異なるので注意しましょう。
TradingViewでは、コミュニティスクリプトからFear&Greed Indexをダウンロードして使うことができます。TradingViewとは、さまざまな金融商品のチャートやヒートマップなどの情報を確認できるサービスです。
画像引用:TradingView
チャート上にFear&Greed Indexを表示できるため、株式・FX・CFD・暗号資産といったさまざまな市場のセンチメントを確認できます。チャートの時間足を変えれば、長期間のFear&Greed Indexも表示できます。
Fear Greed Heatwave Sentimentは、Androind専用のアプリです。
Fear Greed Heatwave Sentimentでは、米ドルやゴールド、原油のFear&Greed Indexを確認できます。Google Play内の評価は2023年3月31日時点で3.7(5段階)とまずまず高い評価といえるでしょう。
Fear&Greed Indexを活用するなら、さまざまな通貨ペアや商品に対応しているTradingViewを利用するとよいでしょう。TradingViewにはCNNで提供されているようなFear&Greed Indexがないため、海外のユーザーが作成したインジケーターを選ぶ必要があります。
TradingViewでFear&Greed Indexを使う方法を紹介します。TradingViewを利用するには、アカウントを作成する必要があるので、アカウントを持っていない場合は作成しておきましょう。
Tradingviewのホームページにアクセスして、上部にある「プロダクト」から「高機能チャート」をクリックします。
画面上部の「インジケーター」をクリックし、「インジケーター、指標、ストラテジー」の画面が表示されたらFear&Greed Indexを検索します。
「コミュニティスクリプト」の中から、ユーザーが作成したFear&Greed Indexがいくつか表示されます。使用したいインジケーターをクリックしましょう。本記事では、Fear&Greed Index-Buschiを選択します。
Fear&Greed Index-Buschiがチャートに表示されます。
アプリ版TradingViewにFear&Greed Indexを表示する手順を解説します。まずは、AppStoreやGoogle PlayでTradingViewをダウンロードしておきましょう。
チャート画面で「+」をタップします。
「インジケーター」をタップします。
Fear&Greed Indexを検索して、Fear&Greed Index-Buschiを選びます。
チャートにFear&Greed Index-Buschiが表示されます。
Fear&Greed IndexはFXのトレードにも活用できる指標です。ただし、Fear&Greed Indexを使う際には、いくつか注意点があるので解説します。
Fear&Greed Indexの数値通りに売買すれば必ず利益が出るわけではありません。なぜなら、Fear&Greed Indexの数値が強欲を表していても、下落するケースがあるからです。
また、Fear&Greed Indexはあくまでも市場のセンチメントを表す指標の一つでしかありません。Fear&Greed Indexのみで、エントリーのタイミングや水準を分析することはできません。
そのため、取引で使用する場合は、他の指標やファンダメンタルズ分析などを組み合わせる必要があります。Fear&Greed Indexのシグナルのみに従うと騙しが多くなるため、ローソク足やインジケーターと併用して判断しましょう。
FXの分析には、テクニカル指標やチャートパターンなどを用いるテクニカル分析と、各国の経済指標情報などを用いるファンダメンタルズ分析があります。テクニカル分析のみ、ファンダメンタルズ分析のみというトレードスタイルのトレーダーもいますが、多くのトレーダーは、テクニカル分析とファンダメンタルズ分析を組み合わせて取引を行っています。
CNN Moneyのホームページ上にあるFear&Greed Indexは、最大でも1年分のデータしか確認できません。1年を超える期間の数値を見るのは不可能なため、過去数年の相場からFear&Greed Indexの予想精度を検証するのは不可能です。
さらに、Fear&Greed Indexとローソク足・インジケーターを同時に表示できないので、両者を併用して使いたい場合はチャートも別に確認する必要があります。検証に手間がかかる点や遡って検証できる期間が限られる点はFear&Greed Indexの難点といえるでしょう。
Fear&Greed Indexは、相場急変時の投資家心理の把握に利用できます。突発的な暴落が発生すると、多くの投資家はパニックになりますが、Fear&Greed Indexを見れば落ち着いて相場を見られるようになるでしょう。
また、トレンド相場の途中において、エントリーすべきか悩んだときも活用できる指標です。FXで取引する際は、Fear&Greed Indexの数値も確認した上で、取引することでより詳細に市場を分析できるようになるでしょう。
作成日
:2023.04.21
最終更新
:2024.08.22
短期が中心のトレーダーや中長期が中心のトレーダー、元プロップトレーダー、インジケーターやEAの自作を行うエンジニアなどが在籍。資金を溶かした失敗や専業トレーダーに転身した経験など、実体験も踏まえてコンテンツを制作している。
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