作成日
:2023.03.23
2023.05.22 14:52
カップウィズハンドルは、株価チャートにおいて馴染みが深いチャートパターンですが、FXのチャート分析においても有用な場面が多くあります。この記事では、カップウィズハンドルとは、どのようなチャートパターンなのか、またFXではどのようにして実際に利用されるのかチャート画像を用いながら、詳しく解説します。
またカップウィズハンドルを売り注文で使う方法や、チャートパターンを利用する際に見られる「だまし」についても紹介します。
カップウィズハンドル (Cup with Handle) とは、ローソク足が形成するチャートパターンの一種です。価格が上昇したあとに、アーチ状に緩やかなカーブを描いて下落してから再上昇し、前回の高値で反転したあとに上方向にブレイクします。コーヒーカップに取っ手(ハンドル)がついたように見えることから、このように呼ばれます。
カップウィズハンドルは、一般的に株式投資での買いシグナルとして利用されます。カップの底部分で機関投資家の買い注文が入り、追随する形で個人トレーダーの買いが殺到することで価格が上昇します。そして、直近高値の水平線を目安に利益確定を行う短期トレーダーにより一時価格が下落します。
価格下落後、機関投資家を含めさまざまなトレーダーの買い注文が再度入ることでハンドルが形成され、チャートパターンが完成します。
カップウィズハンドル のエントリーのタイミングは、ハンドルの部分が抑えられていた高値をブレイクしたときです。エントリーをする際、同時に損切位置の設定も行います。損切り場所は、ハンドルの部分の安値を下抜けた価格付近です。損切位置の設定後、損失と利益の比率(リスクリワードレシオ)が1:1以上になるような場所を選んでエントリーをするようにします。
利益確定に関しては、高値から安値の幅と同じ分だけブレイク上昇した場合、もしくは主要な高値に到達したタイミングで行います。
買いエントリーが主とされる株式投資と異なり、空売りも一般的なFXでは、カップウィズハンドルを売りエントリーでも利用します。
空売りで利用する際は、カップウィズハンドルのチャート形状を逆さまにしたパターンを使います。カップウィズハンドルの逆パターンでは、ハンドル部分が支えられていた安値を下にブレイクした際に、エントリーを行います。
一見するとレンジ相場にもみえますが、長い期間で見ると、上昇後にゆるやかなカーブを描いてアーチ状の底を形成しています。その後、前回高値で反転してから再上昇しているため、これはカップウィズハンドルが完成しそうだと判断できます。
高値をブレイク、もしくは終値で更新したタイミングで買いエントリーします。損切りは直近の安値である114.100前後に設置します。アーチの高値 (114.300) と安値 (113.750) の幅が50pipsほどあるので、利益確定は高値のライン+50pipsとなる114.800前後を目安とします。
このチャートでは、パターンどおりに上昇して無事に利確することができました。ブレイク後、114.400より安い価格でエントリーができれば、リスクとリワードが1:1以上になるため、バランスの良いトレードとなります。
カップウィズハンドルを逆向きにしたパターンの例です。上昇後にアーチ状の天井を作ってから下落し、前回安値で反発してハンドル部分を形成して安値をブレイクしています。このようなチャートでは、カップウィズハンドルを売りエントリーにも利用することができます。
エントリーが狙えるポイントは複数ありますが、どこでエントリーするとしても損切りはハンドルの部分の高値 (1.09400~500) 前後におきます。アーチの高値と安値の幅は100pips以上あるので、ロットを抑えてエントリーするか、トレーリングストップ等を利用して部分的に利確してもよいでしょう。
損切りを極端にタイトにしなければ、大きく下抜ける直前のダマシ部分でエントリーしてしまったとしても、利益確定をすることができます。
このチャートでは、アーチ状に安値を形成してから高値で反転してハンドルを作っているため、カップウィズハンドルのように見えます。しかしブレイク後にすぐに失速して下落しているため、もし高値をブレイクしたところでエントリーすると損切りになってしまいます。
このようにチャート形状が完成したのにもかかわらず、予想通りの動きとならないことを「だまし」といいます。だましを完璧に見抜くのは難しいですが、カップウィズハンドルのブレイクアウト戦略がうまくいく条件として以下のような事柄が挙げられます。
こうした観点で上のチャートを分析してみると、カップの部分を形成する前に相場が横ばいであり、ボラティリティもあまり高くありません。またトレンドがはっきりしていないため、ブレイクアウトが失敗する可能性も高そうです。そしてアーチの形状もいびつで、あまり明確なパターンとは言えなそうです。
カップウィズハンドルのようなチャート形状を見て相場を分析する際は、どのくらいの期間をかけて形状を形成しているかにも注目するとより勝率を上げられます。カップウィズハンドルの場合、より長い期間をかけてアーチ状を形成すればするほど、相場は底固く、今後上昇が見込めると判断できます。
カップウィズハンドルは、FXでの買い、売りエントリー両方において活用できるチャートパターンです。カップウィズハンドルでは、強い買いトレンドを確認でき、かつ損切位置も設定しやすいため、リスクリワードレシオの高いトレードができます。
しかしカップウィズハンドルのようなチャートパターンを利用したトレードでは、だましが発生する可能性を事前に考慮しておく必要があります。だましを回避してより精度の高いトレードをするためには、チャート形状と合わせて、相場環境も複合的に分析することが重要です。
トレンド相場、レンジ相場を見分けるなど、相場の全体的な環境を分析する際は、移動平均線やMACDなど他のインジケーターを組み合わせてみることもオススメです。
複数の時間軸を用いる分析方法である「MTF分析」を行うことでよりトレードの勝率を高められます。15分足や1時間足などの下位の時間軸でカップウィズハンドルが確認できた場合、日足や週足などの上位足をみて、エントリー方向が正しいか確認すると良いでしょう。
作成日
:2023.03.23
最終更新
:2023.05.22
FXトレード歴7年で、海外FX業者の利用経験が豊富。テクニカル分析を用いた短期トレードが得意で、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト(CMTA)を取得。テクニカル分析からFX業者比較まで、FX関連の幅広い記事の執筆を行う。
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