作成日
:2023.11.20
2024.05.30 09:24
カップウィズハンドルは、株価チャートにおいて馴染みが深いチャートパターンですが、FXのチャート分析においても有用な場面が多くあります。この記事では、カップウィズハンドルとは、どのようなチャートパターンなのか、またFXではどのようにして実際に利用されるのかチャート画像を用いながら、詳しく解説します。
またカップウィズハンドルを売り注文で使う方法や、チャートパターンを利用する際に見られる「だまし」についても紹介します。
カップウィズハンドル (Cup with Handle) とは、ローソク足が形成するチャートパターンの一種です。価格が上昇したあとに、アーチ状に緩やかなカーブを描いて下落してから再上昇し、前回の高値で反転したあとに上方向にブレイクします。コーヒーカップに取っ手(ハンドル)がついたように見えることから、このように呼ばれます。
カップウィズハンドルは、一般的に株式投資での買いシグナルとして利用されます。カップの底部分で機関投資家の買い注文が入り、追随する形で個人トレーダーの買いが殺到することで価格が上昇します。そして、直近高値の水平線を目安に利益確定を行う短期トレーダーにより一時価格が下落します。
価格下落後、機関投資家を含めさまざまなトレーダーの買い注文が再度入ることでハンドルが形成され、チャートパターンが完成します。
カップウィズハンドルのエントリーの中でも最も簡単な方法は、ハンドル部分とカップ部分を結んだ水平線をブレイクしたタイミングにエントリーすることです。
ブレイク後、急激に上昇するケースが多く、タイミングが良ければ一気に利益を出すことが可能です。しかし、一気に値が戻ってくる「だまし」になる可能性もあります。せっかく含み益が発生していても、結果的に損切で終わってしまったという事も考えられます。
対策としては、ブレイクにうまく乗れた際には早い段階でストップロスをエントリー価格に移動させるなどして、リスクを限定するのも効果的です。また、急騰したら急落するという前提のもと、短期で利確してしまうのも良いでしょう。
水平線をブレイクした後の戻りを待ってエントリーすると、ダマしを回避しやすくなります。
カップウィズハンドルを形成し、意識されている水平線をブレイクすると一気に注文が入り、急騰することが多いですが、その反面一気にブレイク時の価格に戻ってくる場合もあります。これが結果的にダマしになってしまう場合がありますが、この方法ではブレイク時にエントリーしていないので落ち着いて値動きを観察することができます。
この方法であれば、むしろブレイクエントリーよりも有利な価格でエントリーすることできる可能性はあります。さらに、一気に下落に転じてしまうリスクも考慮すると無駄な損切りの発生を抑えることにもつながります。
一方で、必ずしも値が戻ってくるとは限りません。そのまま上昇してしまった場合に、それを機会損失ととらえて、不利な位置で焦ってエントリーしてしまうのが一番良くない行動です。戻ってこなかったら仕方ない、と割り切ってトレード計画を立てましょう。
これは上級者向けの方法になりますが、カップウィズハンドルを想定した早めのエントリー方法も検討できます。
カップ部分と、それに対しハンドル部分を形成しつつある状況で、ハンドル部分の形成を事前に想定して、ハンドルの底でエントリーする方法です。ハンドルの形成を想定できたら、時間足を小さくして、短期足で逆三尊やダブルボトムといった転換のプライスアクションを確認しエントリーを行います。
このエントリー方法の場合、短期足での逆三尊やダブルボトムが否定されたときに損切りすればいいだけなので損切りの幅を小さくすることができます。また、上手く想定通りにハンドル部分を形成した場合、水平線付近での攻防を含み益を持った状態で見守ることができます。
ただし、この方法はカップウィズハンドルの形成途中の段階で想定する必要があり、難易度は高いです。実際のチャートでは図のように分かりやすいチャート形状ではなく、いびつな形をしている場合がほとんどでしょう。過去チャートをしっかり観察し、形状をある程度想定できるようになったら挑戦してみましょう。
こちらは利確位置を、カップの深さ分の値幅を、取っ手部分の底からあてて利確ポイントを設定する方法です。損切位置は、取っ手部分の安値を下回った時です。
この場合利確位置の設定がしやすく、初心者でも設定しやすい方法となります。注意点としては、カップの深さによっては、リスクリワード比率が1:1を下回ってしまう可能性があることです。カップが浅いと、当然取っ手の底からの値幅が小さくなるので、それに伴い利確目標も近くなってしまいます。
また、これはあくまで目安の値幅になります。利確位置は「大体このあたりで利確する」くらいの目安として考えましょう。
こちらは利確位置を主要な直近高値に置くパターンです。利確位置の選別は、カップウィズハンドルを確認した時間足で行います。過去のチャートを遡り目立った高値付近か少し下あたりで利確する方法になります。損切位置は、例①同様にハンドルの安値を更新した時です。
直近高値はレジスタンスとなる場合が多く、一度で抜けていく事は少ないです。むしろ、一度では抜けていかないだろうという前提で、迷わず利確した方が確実に利益を積み上げられる場合もあります。
この方法では、直近高値がどこかを見極めるチャート分析力が必要となります。慣れてくれば簡単に判断できますが、初心者の場合重要な高値を見落としてしまうこともあるでしょう。この場合、利確ポイントに届かず値が戻ってきて損切になってしまうということもあるかもしれません。
過去のチャート検証を行い、どのような高値が意識されやすいのかをある程度理解してから実践に臨みましょう。
買いエントリーが主とされる株式投資と異なり、空売りも一般的なFXでは、カップウィズハンドルを売りエントリーでも利用します。
空売りで利用する際は、カップウィズハンドルのチャート形状を逆さまにしたパターンを使います。カップウィズハンドルの逆パターンでは、ハンドル部分が支えられていた安値を下にブレイクした際に、エントリーを行います。
一見するとレンジ相場にもみえますが、長い期間で見ると、上昇後にゆるやかなカーブを描いてアーチ状の底を形成しています。その後、前回高値で反転してから再上昇しているため、これはカップウィズハンドルが完成しそうだと判断できます。
高値をブレイク、もしくは終値で更新したタイミングで買いエントリーします。損切りは直近の安値である114.100前後に設置します。アーチの高値 (114.300) と安値 (113.750) の幅が50pipsほどあるので、利益確定は高値のライン+50pipsとなる114.800前後を目安とします。
このチャートでは、パターンどおりに上昇して無事に利確することができました。ブレイク後、114.400より安い価格でエントリーができれば、リスクとリワードが1:1以上になるため、バランスの良いトレードとなります。
カップウィズハンドルを逆向きにしたパターンの例です。上昇後にアーチ状の天井を作ってから下落し、前回安値で反発してハンドル部分を形成して安値をブレイクしています。このようなチャートでは、カップウィズハンドルを売りエントリーにも利用することができます。
エントリーが狙えるポイントは複数ありますが、どこでエントリーするとしても損切りはハンドルの部分の高値 (1.09400~500) 前後におきます。アーチの高値と安値の幅は100pips以上あるので、ロットを抑えてエントリーするか、トレーリングストップ等を利用して部分的に利確してもよいでしょう。
利確位置は、カップの深さ分をハンドル部分にあてた値幅でも十分なリスクリワードが確保できました。損切りを極端にタイトにしなければ、大きく下抜ける直前のダマシ部分でエントリーしてしまったとしても、利益確定をすることができます。
このチャートでは、アーチ状に安値を形成してから高値で反転してハンドルを作っているため、カップウィズハンドルのように見えます。しかしブレイク後にすぐに失速して下落しているため、もし高値をブレイクしたところでエントリーすると損切りになってしまいます。
このようにチャート形状が完成したのにもかかわらず、予想通りの動きとならないことを「だまし」といいます。だましを完璧に見抜くのは難しいですが、カップウィズハンドルのブレイクアウト戦略がうまくいく条件として以下のような事柄が挙げられます。
こうした観点で上のチャートを分析してみると、カップの部分を形成する前に相場が横ばいであり、ボラティリティもあまり高くありません。またトレンドがはっきりしていないため、ブレイクアウトが失敗する可能性も高そうです。そしてアーチの形状もいびつで、あまり明確なパターンとは言えなそうです。
カップウィズハンドルのようなチャート形状を見て相場を分析する際は、どのくらいの期間をかけて形状を形成しているかにも注目するとより勝率を上げられます。カップウィズハンドルの場合、より長い期間をかけてアーチ状を形成すればするほど、相場は底固く、今後上昇が見込めると判断できます。
カップウィズハンドルは、FXでの買い、売りエントリー両方において活用できるチャートパターンです。カップウィズハンドルでは、強い買いトレンドを確認でき、かつ損切位置も設定しやすいため、リスクリワードレシオの高いトレードができます。
しかしカップウィズハンドルのようなチャートパターンを利用したトレードでは、だましが発生する可能性を事前に考慮しておく必要があります。だましを回避してより精度の高いトレードをするためには、チャート形状と合わせて、相場環境も複合的に分析することが重要です。
トレンド相場、レンジ相場を見分けるなど、相場の全体的な環境を分析する際は、移動平均線やMACDなど他のインジケーターを組み合わせてみることもオススメです。
複数の時間軸を用いる分析方法である「MTF分析」を行うことでよりトレードの勝率を高められます。15分足や1時間足などの下位の時間軸でカップウィズハンドルが確認できた場合、日足や週足などの上位足をみて、エントリー方向が正しいか確認すると良いでしょう。
作成日
:2023.11.20
最終更新
:2024.05.30
短期が中心のトレーダーや中長期が中心のトレーダー、元プロップトレーダー、インジケーターやEAの自作を行うエンジニアなどが在籍。資金を溶かした失敗や専業トレーダーに転身した経験など、実体験も踏まえてコンテンツを制作している。
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