作成日
:2022.07.13
2023.03.16 15:54
2022年7月10日、DeFi(分散型金融)保険のInsureDAO(INSURE)が、アスターネットワーク(ASTR)に対応したことが明らかになりました。InsureDAOは、シンガポールを本拠地としています。しかし、日本人創業者がプロジェクトを率いていることや、開発チームが日本人中心であることから、日本発のプロジェクトとして注目されています。
仮想通貨(暗号資産)市場では、DeFiのハッキング被害が問題となっています。このため、InsureDAOのような保険分野のプロジェクトの登場が望まれていました。
今回は、そんなInsureDAOの概要や仕組みについて解説していきます。
InsureDAOは、イーサリアム(ETH)上の保険市場プロトコルです。誰でもKYC(顧客確認)なしで、保険の作成や購入、引き受けができます。
InsureDAOの開発チームは、創設者兼CEOの斯波晃士氏を筆頭に、日本人メンバー中心に構成されています。また、DAOの議長には、ライフネット生命創業者の岩瀬大輔氏が就いています。また、ネイティブトークンとしてINSUREが発行されており、InsureDAOのガバナンスなどで利用可能です。
DAOは、Decentralized Autonomous Organizationの略で、日本語で「自立分散型組織」と訳されます。つまり、中央管理者が存在しなくとも、参加者の活動によって機能する組織を指します。DAOは、中央集権型の組織と比較して、より民主的で透明性の高い存在と見なされており、ブロックチェーンの普及で広く採用され始めています。
ちなみに、DAOの組織形態は一般的に普及しており、有名なDAOとしてBitDAOなどがあります。
仮想通貨市場では、DeFi関連サービスのハッキング被害が深刻な問題となっており、ユーザーの資金流出事件が多発しています。ハッキングによる流出事例として、仮想通貨レンディングのYearn.Financeからは1,100万ドル、クロスチェーンブリッジのWromholeからは3億ドル以上など、いくつもあります。
通常、中央集権型取引所で資金流出事件が起きた場合、ユーザーは取引所に補償を求めます。しかし、DeFi関連サービスでは、ハッキング被害を含めて自己責任となっており、普及を遠ざける要因となっています。
InsureDAOのDeFi保険は、この問題に対する解決策となり得ます。ハッキング、バグなどによって生じた被害を補償します。
InsureDAOは、2022年2月にイーサリアム上で公開された後、同年5月にオプティミズム(OP)、続いてポルカドット(DOT)のアスターネットワークに展開しました。オプティミズムとは、イーサリアムのレイヤー2プロジェクトです。
メインとなるブロックチェーンであるレイヤー1に対して、それを基礎に構築され、情報処理を手助けする副次的なブロックチェーンをレイヤー2と呼びます。レイヤー2は、レイヤー1のスケーラビリティ問題を緩和します。すなわち、取引承認の遅延や手数料高騰などを回避します。イーサリアムにおけるレイヤー2は、それぞれが独立したプロジェクトとして存在しています。
イーサリアム以外のブロックチェーンに対応することで、高い手数料に悩まされることなく、多様なDeFi関連サービスを対象とした保険を利用できます。
InsureDAOは、既存の保険会社が持つ仕組みを、DAOとブロックチェーンで再現しています。具体的には、3つの機能「InsureDAO Build」「InsureDAO Market」「InsureDAO Lending」で構成されています。ハッキングなどの被害が出れば、ReportingDAO機能を通じて保険金の支払いを要求します。
InsureDAO Buildは、保険プールを構築するための機能です。保険プールとは、補償に必要な資金が預け入れられる場所です。開発キットが提供されており、対象となるDeFi関連サービスについて、誰でも保険プールを作成できます。下の画像では、例として3種類のプロジェクトを掲載しています。
InsureDAO Marketは、保険の購入者と引受人が取引を行う市場です。購入者は、保険料を支払うことで保険を購入できます。一方、引受人は、資金を保険プールに預け入れて流動性を提供することで、報酬を得ることができます。
保険における引受人は、アンダーライター(Underwriter)とも呼ばれます。契約内容や保険料が見合うかを査定し、その契約を引き受けるかを判断する者を指します。
保険料は、保険プールのTVLなどによっても変動します。TVLとは、ブロックチェーンに預け入れられた仮想通貨の合計値を指します。
InsureDAO lendingは、開発中の機能です。保険プールの資金を効率的に運用するためのもので、独自仮想通貨のINSUREを担保に、仮想通貨を借り入れることができます。
ReportingDAOは、トークン「INSURERPT」の保有者で構成されるDAOです。被害を受けた場合、被保険者はInsureDAOを通じてReportingDAOに被害を報告します。ReportingDAOは被害を調査しい、ガイドラインに従って保険金の支払いを決定します。
2022年7月時点で、INSUREは国内取引所で売買できません。海外では、MEXCとUniswap(UNI)で上場しています。
INSUREの時価総額は、50万ドル程度であり、仮想通貨市場全体で4,000位前後に位置しています。2022年2月にリリースされた直後、INSURE価格は0.28ドルから0.32ドルの史上最高値を記録しました。しかし、トークンセール後の利益確定で売り圧力が高まって、一気に3分の1程度の水準にまで下落しました。
INSURE価格は同年4月ごろからじわじわと下げ、約0.03ドルの最安値を記録しました。当記事執筆時点では取引高が急増しており、0.04ドル付近を推移しています。
画像引用:CoinMarketCap
InsureDAOは保険システムを民主化して、より透明度の高いものへと進化させると予想されています。また、名だたるベンチャーキャピタルから100万ドルの資金調達に成功するなど、仮想通貨市場で期待のプロジェクトとなっています。
仮想通貨市場では、DeFi分野での取り組みが加速しています。特にイーサリアムやそれに互換性のあるブロックチェーンでは、次々とDeFi関連サービスが立ち上げられています。これに伴って、DeFi保険の需要も増していくと予想されています。
ブロックチェーン分析会社のChainalysisによると、DeFiプラットフォームは2021年に20億ドル以上のハッキング被害を受けています。被害額は増加傾向にあり、2022年は第1四半期だけで10億ドルを超えています。
これに関して、InsureDAO創設者の斯波氏は「DeFi市場が盛り上がり、サービスが複雑化していく中で、保険領域はLending、Exchangeに次ぐ、"Next Big Thing(次の大きな領域)"になっていくと考えて、参入を決めました」とコメントしています。
2022年7月6日、InsureDAOはオプティミズムに対するロードマップ(開発計画)を公開しました。その中で、スマートコントラクトのハッキングを対象とした保険の開発や、再保険市場の立ち上げなどが計画されています。
今後も、イーサリアムやアスターネットワークを含めて、継続的な開発が期待されています。
INSUREは、日本国内の取引所で取り扱いはありません。そのため、海外取引所で取引することになります。日本語対応の海外取引所での、INSUREの取り扱い状況(USDT建て現物・デリバティブ)は下記の通りです。
取引所 | 現物 | デリバティブ |
Binance(バイナンス) | × | × |
Bybit(バイビット) | × | × |
Gate.io(ゲート) | × | × |
CoinEX(コインイーエックス) | × | × |
MEXC(メクシー) | 〇 | × |
BingX(ビンエックス) | × | × |
Bitget(ビットゲット) | × | × |
Binance(バイナンス)
現物 | デリバティブ |
× | × |
Bybit(バイビット)
現物 | デリバティブ |
× | × |
Gate.io(ゲート)
現物 | デリバティブ |
× | × |
CoinEX(コインイーエックス)
現物 | デリバティブ |
× | × |
MEXC(メクシー)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
BingX(ビンエックス)
現物 | デリバティブ |
× | × |
Bitget(ビットゲット)
現物 | デリバティブ |
× | × |
InsureDAO議長の岩瀬氏は、DeFiによる金融の未来に期待を寄せていると述べています。併せて、「私が培ってきた保険、テクノロジーの知見と、斯波さんチームのCryptoへの情熱、深い知見を掛け合わせることで社会を大きく変革することができると確信しております」と言及しており、InsureDAOが革新的なプロジェクトであることを示唆しています。
日本発のプロジェクトとして注目が高まっているだけに、今後もInsureDAOの動向から目が離せません。
作成日
:2022.07.13
最終更新
:2023.03.16
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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