作成日
:2022.07.05
2023.03.16 15:54
中央アフリカ共和国が、独自仮想通貨(暗号資産)「サンゴコイン」を発行します。このプロジェクトのウェブサイトやSNSアカウントが既に開設されており、仮想通貨コミュニティでも話題となっています。
サンゴコインとは、一体どのような仮想通貨でしょうか。ロードマップの概要や税金の取り扱いなど、ユーザーを集める施策のイメージが公表されていますが、現状は情報公開がやや不足しています。情報を徐々に公開して、人々の関心を集め続ける意図かもしれません。現状を紹介します。
2022年4月、中央アフリカ共和国の国民議会は、ビットコイン(BTC)を法定通貨とする法案を全会一致で可決しました。トゥアデラ大統領の署名を経て、世界で2番目にビットコインを法定通貨にした国家になりました。ちなみに、世界初はエルサルバドルです。
中央アフリカ共和国のデジタル経済大臣は、個人による海外送金が非常に難しいことを以前から指摘していました。中央銀行の管理システムの複雑さが原因です。しかし、ビットコインが正式に採用されたことで、その状況は改善されると考えられます。具体的には、中央銀行のコントロールが不要になるだけでなく、CFAフランによる支配から脱却すると同時に、安い手数料で海外送金ができるようになると予想されています。
CFAフランは、アフリカ大陸の旧フランス植民地で主に流通する通貨です。CFAフランを使用する国は、外貨準備高の半分をフランスの国庫で保有しなければならず、フランスによる経済支配だとして批判されています。これを受けて、新共通通貨「ECO」の導入が進められていますが、導入は2027年まで延期されています。
このような背景を受けて、トゥアデラ大統領は仮想通貨に積極的です。トゥアデラ大統領は、「現金の代替は仮想通貨が担う」と発言しており、仮想通貨が現状を打開することに大きな期待を寄せています。
2022年5月24日、トゥアデラ大統領は自身のTwitter(ツイッター)アカウントを通じて、「国民議会が全会一致でビットコインを法定通貨化したことで、最初の具体的なイニシアチブを立ち上げられることを嬉しく思う」と、サンゴ・プロジェクトの立ち上げを発表しました。
サンゴ・プロジェクトは、企業等にとって魅力的な環境構築を目指します。具体的には、法的枠組みやインフラ整備などが計画されています。法的枠組みの内容としては、イーレジデンスプログラムや、投資家への市民権、オンラインでの事業登録、仮想通貨に関する所得税と法人税を0%にすることなどが挙げられています。インフラ整備に関しては、仮想通貨ウォレットやPoS(販売時点情報管理)システムの構築などが含まれます。
その他、現実世界とリンクするメタバース「クリプトアイランド」などの構築も計画されています。クリプトアイランドはNFTに対応しており、ビジネスサービスの展開なども可能となる見通しです。
その詳細は、当記事執筆時点(2022年7月)で不明です。公式サイトはイメージ重視の構成となっており、それぞれの詳細はこれから徐々に明らかになっていくでしょう。「sango.org」のウェブサイトには、「初のデジタル通貨システム」というメッセージと共にカウントダウンが表示されています。
画像引用:Sango
サンゴ・プロジェクトの一環として、独自仮想通貨「サンゴコイン」が発行されます。従来、トゥアデラ大統領は「次のステップは、中央アフリカ共和国が資源を民主化してトークン化することだ」と言及していました。
サンゴコインとは、中央アフリカ共和国の豊富な天然資源をトークン化した仮想通貨です。サンゴ・プロジェクトの中核的な存在になります。公式サイトでは、下のように中央アフリカの地図を背景に、鉱物資源埋蔵量がいかに多いかを示しています。
下の地図に示された鉱物等と埋蔵金額は、以下の通りです。ゴールド(600億ドル)、ダイヤモンド(2,850億ドル)、鉄(2.2兆ドル)、ウラン(50億ドル)、石灰岩(20億ドル)、グラファイト(70億ドル)。その他にも、様々な鉱物資源に恵まれています。
画像引用:Sango
ちなみに、サンゴコインはビットコイン・ブロックチェーン上で構築されます。この種のプロジェクトを構築するには、スマートコントラクト機能が必要であり、イーサリアム等で構築されることが一般的です。しかし、中央アフリカ共和国はビットコインを法定通貨としましたから、ビットコイン上で構築することになったのでしょう。
下の画像は、ビットコイン上でのサンゴコイン構築を示しています。
画像引用:Sango
なお、イーサリアムやカルダノなど様々なブロックチェーンで、開発競争が続いています。ビットコインも例外でなく、ライトニングネットワークやタップルートの実装など、着々と開発が進められています。
ちなみに、概略ではありますが、サンゴコインのロードマップが公開されています。
2022年第3四半期にサンゴコインを公開します。そして第4四半期に、国内の若年層に対して無料でスマートフォンを配布します。こうすることで、国民の多くがサンゴコインにアクセス可能になります。翌2023年第1四半期に入ると、サンゴコインのテストネットを公開し、第2四半期にアプリのテスト実施、第4四半期にメインネットが公開されます。
すなわち、中央アフリカ共和国の意図通りに開発が進むとしても、完成は1年以上先です。仮想通貨の世界で1年間は大変な長期であり、完成までに紆余曲折があってもおかしくありません。詳細情報が不明であることを踏まえますと、サンゴ・プロジェクトに参加するかどうかの判断は、情報を十分に得て分析した後でも良さそうです。
トゥアデラ大統領の発言は、Twitter上でも話題となっています。国内外で、複数の仮想通貨メディアが中央アフリカ共和国の動きを取り上げているものの、情報が少なく不鮮明なことから、様々な意見が錯綜して混乱が生じています。
仮想通貨投資家のデレク・ローズ氏は、サンゴ・プロジェクトをレポートして注目を集めました。サンゴコインの仕組みに関して、明確な情報を公開する必要があるとしています。これに対する返信のツイートで、失敗の可能性を指摘されるなど、厳しい声も挙がっています。
また、別のツイートに対して、「食料や水の不足で市民が困っている時に、どうして政府は仮想通貨ウォレットの開発を行えるのか」など、批判的な返信が送られています。批判的な反応が多い理由の一つに、プロジェクトの概要が不鮮明という点があるでしょう。より具体的な説明と実行があれば、批判は徐々に収まる可能性があります。
なお、日本国内の仮想通貨コミュニティでも関連記事が拡散されており、中央アフリカ共和国の取り組みに関心を寄せるツイートが散見されます。
サンゴ・プロジェクトの試みは新しいものです。成功すれば、国の経済を好転させるきっかけになるかもしれません。トゥアデラ大統領も、サンゴ・プロジェクトが新時代を切り開く可能性について語っています。
しかし、過去には、国家プロジェクトの独自仮想通貨が失敗に終わった例もあります。
ベネズエラは、法定通貨のハイパーインフレーションに苦しめられ、2017年に独自仮想通貨「ペトロ」導入を決定しました。ペトロは、ベネズエラの石油や天然ガスなど豊富な地下資源に価値を裏付けられており、国際決済などに利用される予定でした。
しかし、制度的に不明なことが多く、信用を得られなかったことから、その役割を果たすことはありませんでした。公務員への給与支払いなどに活用されたものの、法定通貨を代替する存在になっていません。サンゴコインやサンゴ・プロジェクトの詳細は明らかではありませんが、ペトロのような末路を辿る可能性もあり得るでしょう。
中央アフリカ共和国は、ビットコインを法定通貨化しただけでなく、サンゴコインを導入することで仮想通貨の普及を図っています。しかし、それを実現するためには、インターネットの普及や安定的な電力供給が課題となってきます。
トゥアデラ大統領は、サンゴ・プロジェクトを成功に導けるでしょうか。もしかすると、仮想通貨の新しい利用例がアフリカで確立されるかもしれません。
作成日
:2022.07.05
最終更新
:2023.03.16
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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