作成日
:2022.07.04
2022.07.04 15:05
2022年7月のポンド相場は、円安ドル高要因が強いので、ポンド円は上目線、ポンドドルは下目線が戦略のメインになりそうです。ただ、ポンドには英国の地政学的リスク要因が多く見られるので、それらにも意識を向けたシナリオを想定しておきたいです。
7月のポンド円は、上昇気味のレンジを想定しています!
円安トレンドは簡単には終わらず、当面続くと考えています。
世界の主要中銀は次々と引き締め政策、利上げへと方針転換する中で日銀だけは緩和政策維持の姿勢を崩しません。今まで円安ドル高に敏感だった米国も、物価上昇を懸念して容認する状況です。このことから世界と日本の金利差は拡大し、円安が進むと考えられます。
また、資源価格や輸入物価上昇などで貿易赤字による円安も進むと考えています。貿易赤字が進めば、支払のために円を売ってドルを調達するので円安が進みます。
金融政策による円安は日銀の政策変更で改善される可能性がありますが、貿易赤字はすぐには解消できないと考えています。
ポンド安と円安、綱引き状態が続き拮抗しているときはレンジ、円安が強くなったときのポンド円は上昇すると考えています。
貿易赤字が解消されない間は、円安局面が続きそうです。
6月末時点の、ポンド円日足チャートです。
ポンド円は168.7円で高値をつけたあと大きく下落して一時160円を割ったものの、再び168円付近まで上昇しました。
7月はレンジも想定しているので、この価格帯は注目しています
ファンダメンタルズの大きな変化がない限り、上記の価格では売りを検討しています。
目先は上昇を想定しているので、売りの検討は慎重にします
7月のポンドドルは下降気味のレンジを想定しています!
ポンドドルは、ドル高が要因で下落圧力が強いと考えています。
米国は予想以上の物価上昇を見せ、FRBは物価を抑えるために引き締め政策を加速させています。英国も引き締め政策を進めていますが、米国の方が引き締めスピードは速く、ドル高が進みやすい状況です。
また、世界的に物価上昇による景気後退が懸念される中でも、米国の経済は堅調で、諸外国よりも底堅い強さを見せていることから、リスクオフの際にはドルが買われやすい状況です。一方、ポンドは、英国政治の不安などから、米ドルほど積極的に買われる状況ではないと考えています。
ポンドと米ドルが買い状況で綱引きする場合はレンジ、英国のリスク不安が強まったり、米国の引き締めが進んだ場合は、ポンドドルの下落に繋がると考えています。
ちなみに、7月FOMCの0.5%利上げは織り込み済み、0.75%利上げも8割がた織り込んでおり、年末までには3.25%〜3.75%の範囲の金利が予想されています。これ以上の利上げを織り込むようであれば、ドル買いが進み、ポンドドルは下落する可能性が高いです。
米国の引き締め政策の速さに注目です!
6月末時点での、ポンドドルの日足チャートです。ポンドドルは下落が進み、一時は節目の1.200ドルを割り込むも、すぐに反発しています。
しっかり引きつけて買うようにしてください
戻り売りを狙うか、あるいはブレイクしたら高値を追いかけるかは、ファンダメンタルズ分析も参考にしてください。
ドル高圧力が強いので、売り目線がメイン戦略です!
これからのポンドは地政学リスクがポイントになると考えています。
地政学リスクに火がつかなければ、英中銀による引き締めで、ポンド買いが進むと思います。ただ、地政学リスク要因が多すぎて、ポンドを積極的に買えない状況です。
地政学リスクの要因としては、「北アイルランド議定書の変更」「ジョンソン首相の支持率」「スコットランド自治政府による住民投票」「物価上昇」があげられます。
英国は2016年の国民投票でEUから離脱することを決定し、協議を重ねた結果2020年に離脱しました。
その際に、EUとの間で決めた協定の1つである北アイルランド議定書の一部を英国側が一方的に変更しようとしています。英国では内容変更の法案が議会で審議されていて、法案が通ると北アイルランド議定書の修正に動く可能性が出てきます。
当然、EU側は英国の議定書変更には反対しています。英国とEUの貿易関係に悪影響となり、EU側の報復行動が出れば、英国にとってはリスク要因となります。
昨年のロックダウン中にパーティーに参加していたことなどの悪影響で、ボリス・ジョンソン首相の支持率は低下しています。
先日、ボリス・ジョンソン首相に対する不信任案が否決され、首相の座を守りましたが、苦しい立場には変わりありません。地方議会選挙でも、与党が大敗する展開となっています。
これだけ支持率が低い状況だと、思うように政策を実施できず、政策リスクに繋がります。
ボリス・ジョンソン首相の支持率低下などから、スコットランド自治政府のスタージョン首相は、スコットランドの独立を問う住民投票の再実施に向けて動いています。この住民投票が実施されるとなれば、結果にかかわらず政治的リスクに繋がると考えています。
英国でも物価上昇が問題となっています。10月には電気代など光熱費の値上げも予想されており、さらに物価上昇が進むことが予想されています。
英中銀は引き締め政策を進めていますが、米国などに比べるとそのスピードは緩慢です。引き締めが進むと景気後退懸念が進みます。ただ、引き締めを遅らせると物価上昇が進んでしまうので、どちらにしても国民から批判を受けている状況です。
最悪なのは物価上昇と景気後退のスタグフレーションとなることです。スタグフレーションとなれば、国民の批判は大きくなり、地政学リスクが大きく進むと考えています。
引き締めだけならポンド買いですが、これだけのリスク要因を抱えているので、どれか1つでもリスク要因に火がつけば、ポンド売りが加速すると考えています。このことから、ポンドはリスク要因を見ながら売り場を探す方が良いでしょう。
英国情勢の情報収集をして、複数シナリオを想定しておきましょう
作成日
:2022.07.04
最終更新
:2022.07.04
英ポンドを中心にトレードを行う大学生トレーダーで、2021年の合計利益は4,000万円にのぼる。公式Twitterでもテクニカル分析等の情報発信を行い、フォロワー数は5,000人以上。ファンダメンタル分析とテクニカル分析を組み合わせた手法を用い、Myforexでは月初にポンド通貨ペアの戦略を連載している。
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