Select Language

顧客の利益を減らす悪魔のプラグインとは? 仕組みを調査

顧客の利益を減らす悪魔のプラグインとは? 仕組みを調査

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2025.10.06 19:20
顧客の利益を減らす悪魔のプラグインとは? 仕組みを調査

update 2025.10.06 19:20

FXトレーダーの間で、「悪魔のプラグイン(VDP)」というものが存在するという噂を聞いたことはないでしょうか?

「プラグイン」とは、MetaTrader4(MT4)/MetaTrader5(MT5)に標準機能とは別の機能を追加するもので、FX会社がそれぞれ独自に自社のMT4/MT5に導入しています。

この「悪魔のプラグイン」は、正式には「バーチャル・ディーラー・プラグイン(Virtual Dealer Plugin)」と呼ばれるもので、「VDP」と略されます。顧客の利益を減らす仕組みとされていることから、「悪魔のプラグイン」との別名がつきました。

Myforexでは、この悪魔のプラグインについて、仕組みや現在使われているかなどを調査しました。

流出資料をきっかけに話題に

プラグインはFX会社が導入するものであるため、その情報は一般にはあまり公開されません。

悪魔のプラグイン(VDP)の名前が知られているのは、MT4/MT5を契約するFX会社しか閲覧することができないメタクオーツ社の会員制サイト内にある資料が流出し、10年ほど前に大きな話題となったためです。

流出した資料のタイトルは、「VirtualDealer versus Manual Execution: What is better?(バーチャル・ディーラー対手動執行:どちらがいい?)」というもので、従来のディーラーによる顧客注文の処理と比較して、このプラグインを使うことのメリットを紹介したものです。

VDPの資料 VDPの資料

画像引用:Tozsde Forum

悪魔のプラグインの仕組みと内容

MT4/MT5にこの「悪魔のプラグイン」をインストールすると、FX会社は以下のような作業を自動で実行できるようになります。なお、顧客は、このプラグインがインストールされているかどうかを確認することはできません。

  • 顧客の注文を、最大5秒遅延させて実行
  • 非対称スリッページが可能
  • 窓ができたら、顧客に有利でない方の価格で約定させる
  • 指標などニュース発表時、未約定注文の修正等を不可にする

非対称スリッページとは、「顧客にとって不利」なスリッページが発生する場合は約定させるが、「顧客にとって有利」なスリッページが発生する場合は約定拒否にするなど、顧客不利な対応をすることです。

非対称スリッページが設定されている場合、例えば、ドル円が105.000円で買い成行注文を入れたとすると、実際の約定価格が顧客に不利になる105.100円だったときは約定させ、有利になる104.900円だったときは約定させないなどの対応となります。

非対称スリッページ

その他の約定の遅延なども含め、ユーザー視点では許容できない機能が複数盛り込まれています。

類似製品も存在

流出元とされるメタクオーツ社の会員制サイト内では、現在この資料を閲覧することはできません。このため、資料が偽物であった可能性も考えられますが、メタクオーツ社が特に反論をしていないことから、本物である可能性が高いでしょう。

実は、このような製品は他のプラグイン開発会社も開発しています。ディーラーに代わって顧客の注文を処理する「バーチャル・ディーラー」として現在も販売されている商品の例を紹介します。

Takeprofit Virtual Dealer(Ashira)

この通称「Ashira」プラグインは、以下の機能などを備えています。

  • 特定通貨ペアのスプレッドを、特定の時間帯に拡大
  • 特定の条件の注文を受注後、指定時間だけ経過してから約定
  • 特定の条件の注文につき、ランダムな大きさのスリッページを発生させる

公式サイトの案内には、このツールを使うべきFX会社の例として、以下が書かれています。

  • 高速EAで稼ぎすぎる顧客がいる場合
  • スキャルピングで稼ぎすぎる顧客がいる場合
  • 稼ぎすぎる顧客を管理したい場合

Ashiraの他にも、複数のバーチャル・ディーラーがあります。しかし、何ができるか具体的に書いていない例ばかりで、詳細は販売会社に問い合わせる形式になっています。インターネットは誰もが閲覧できます。すなわち、MT4ユーザーも閲覧可能ですので、ユーザーにとって不都合な情報を公開したくない意図があるのかもしれません。

共通点はB-Book

こうした商品の共通点として、顧客の注文を約定させる方式としてB-Bookを採用しているFX会社向けであるという点があります。

注文の処理方式にはA-BookとB-Bookがあり、違いは、顧客の注文をそのままカバー先金融機関(インターバンク市場)に発注するかどうかです。

A-Bookの会社では、顧客の注文と同じ注文を、カバー先金融機関に発注します。一方、B-bookの会社では、カバー先金融機関への発注を行いません。

A-bookとB-bookの違い

A-Bookの場合、顧客の注文をカバー先金融期間に取り次ぐだけですから、顧客がスキャルピングで大儲けしても問題がありません。よって、悪魔のプラグイン(VDP)を導入する理由もなく、FX会社は、顧客から取引手数料を別途徴収してサービスを維持します。

一方、B-Bookは顧客とFX会社が直接取引しますから、顧客が損をするとFX会社の利益となり、反対に顧客が利益を出すとFX会社の損失となります。そのため、一部のFX会社は悪魔のプラグインのような製品を導入して顧客の行動を制限したり、顧客に不利な為替レートで約定するようにしているのです。

しかし、B-BookのFX会社すべてが悪魔のプラグインのような製品を採用しているわけではありません。B-bookの会社であっても、対称スリッページや公平な約定環境を提供している会社もあります。

スリッページ確認が重要

複数の海外FX業者関係者に調査したところ、話題となったメタクオーツ社の資料にある悪魔のプラグイン(VDP)は、古いもので現在は使われていないが、同じような機能を持つより新しい製品であれば、使われている可能性はあるということです。

FX会社がどのようなプラグインを使用しているかの情報は、一般的に機密情報にあたるため、正確に知ることはできません。

しかし、自分の取引の利益が不正に減らされていないか、確認することができます。Myforexでは、FX会社が配信したレートを常時記録しておき、注文ボタンを押したときのレートと、実際に約定したレートのずれがないかを確認できる「スリッページ記録ツール」を無料で提供しています。

スリッページ確認の仕組み

自分のMT4/MT5で注文ボタンを押してから、FX会社のサーバーに注文情報が到達するまでの間の値動きの変化でもスリッページは発生しますので、スリッページが多少発生するのは普通のことです。

しかし、通常であれば、利益が発生するスリッページと損失が発生するスリッページの割合に大きな偏りは発生しません。損失が発生するスリッページのみが極端に多い状態を「非対称スリッページ」と呼び、FX会社による不正な操作が行われている兆候と考えられています。このスリッページ計測ツールを利用して、安心してFX会社を利用してください。


Date

作成日

2022.06.01

Update

最終更新

2025.10.06

山本鉄壁 | Teppeki Yamamoto

現役トレーダー兼仮想通貨ライター

arrow
山本鉄壁

FXと仮想通貨をメインとし、投資歴は20年を超える。トレードで独立後に別のペンネームで書籍を出版したり投資雑誌に寄稿したりするなど活躍中で、主に英語メディアで日々最新情報をチェックしている。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

XMTradingの入出金で銀行口座凍結?海外FX禁止の銀行に注意

SNS上では「XMTradingの出金で銀行口座が凍結された」とする投稿が一部で見受けられます。銀行によっては海外FXとの取引を禁止しているため注意が必要です。本記事では凍結リスクが高い銀行や仮想通貨送金の注意点を説明します。
update2025.09.03 19:00

Vantage Tradingで出金遅延、担当者が語る原因と対応

Vantage Tradingで銀行出金に関する遅延が確認されています。出金申請後に着金まで時間を要するケースが報告されており、SNS上でも混乱が発生している状況です。原因としては入金額の急増や決済システム側の処理制限が影響しているものと見られます。
update2025.10.24 19:00

Vantage Tradingが入出金額の上限を変更、100万円以上の出金は自動分割

海外FX業者のVantage Tradingが、銀行振込の入出金額の上限を変更しました。今後は銀行振込で一度に出金できる額が100万円に制限されます。本記事では、変更された条件や高額送金時の注意点などを説明します。
update2025.11.11 19:00

Bybit P2P利用で銀行口座凍結・詐欺容疑者に?海外FXユーザーが知るべき巻き込まれリスクとは

Bybit P2Pを利用したユーザーが銀行口座凍結されたことに加え、詐欺容疑者として取り調べを受けたというSNS投稿が話題になっています。本記事では、話題となった投稿の内容や、海外FXユーザーがP2P取引の利用を避けるべき理由などを解説します。
update2025.11.12 19:00

bitcastleは詐欺業者?口座開設ボーナスで出金拒否多数

SNS上ではbitcastleから「出金できない」「口座を凍結された」といった報告が相次いでいます。本記事では、bitcastleで報告されている出金トラブルを紹介するほか、bitcastleは詐欺業者なのかどうか説明します。
update2025.10.21 19:30

Bybitが日本ユーザーの新規登録を停止!日本撤退で海外FXユーザーにも影響大か?

Bybitが2025年10月31日をもって日本ユーザーの新規登録停止を発表しました。既存ユーザーは継続利用できるものの、締め出しも時間の問題と予想する声も少なくありません。本記事では、Bybitの発表内容や海外FXユーザーへの影響などを解説します。
update2025.11.06 19:00

XMはゴールド(XAUUSD)のスプレッドも広い?ボーナス取引で実質お得

XMTradingのゴールド(XAUUSD)はスプレッドこそ狭くないものの、スワップフリー口座や豪華ボーナス、約定スピードの速さで十分に利用の検討余地があると言えます。当記事ではXMTradingでゴールド取引が向いている・向いていないトレーダーを他社と比較しながら解説していきます。
update2025.10.22 19:00

メタマスク等の利用が規制対象に?金融庁がDEXの規制を議論

暗号資産WGでの議論を発端に、SNS上で「DEX利用が非合法化されるのでは?」といった投稿が話題になっています。本記事では、金融庁で議論されたDEX規制の現状や、SNSで広まる情報の真偽、海外FXユーザーへの影響などを解説します。
update2025.10.28 19:00

Exnessで10月に2度もサーバーダウン!?SL設定のユーザーは損失補填

海外FX業者のExnessで、10月に2度のサーバーダウンが発生しています。一連のトラブルが原因で、損失を被ったユーザーも少なくないようです。本記事では、報告されている不具合やExnessが実施した補償などについて説明します。
update2025.10.30 19:30

FXGT破綻の噂がSNSで再浮上、CEOは「完全なデマ」と否定

海外FX業者のFXGT(エフエックスジーティー)が「経営破綻の危機にある」との噂が一部で広がっています。噂が流れているのは主にX(旧Twitter)で、FXGT公式はこれを否定しています。当サイトではFXGTにこれらの噂について、事実確認を行いました。
update2025.11.04 19:30

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル