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仮想通貨をバーンするとは?その仕組みや目的、具体例を解説

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update 2024.01.13 21:24
仮想通貨をバーンするとは?その仕組みや目的、具体例を解説

update 2024.01.13 21:24

2021年にイーサリアム(ETH)が「ロンドン」アップデートでバーンを採用するなど、仮想通貨のバーンは注目度を高めています。イーサリアム以外の仮想通貨でもバーンは広く行われているので、一度は耳にしたことがあるかもしれません。

バーンはプロジェクトの方針や価格動向を知る上で重要です。しかし、バーンがどのような仕組みで、価格にどのような影響を与えるかなど、知らないことも多いと思います。当記事では、バーンの仕組みや目的、バーンを謳うコインの注意点を解説します。

仮想通貨のバーンとは?

仮想通貨のバーン(Burn)とは、仮想通貨を永久に使えないようにする行為を指します。バーンは日本語で「焼却」という意味であり、バーンされた仮想通貨は焼却されたお金と同じように永久に使用できません。

仮想通貨のバーンは、バーンアドレスと呼ばれる、「秘密鍵は開発者を含めて誰も分からないウォレット」に送ることで行われます。秘密鍵が知られていないため誰も取り出すことができず、その中の仮想通貨は二度と使えなくなるため、あたかも紙幣が焼却されたのと同様になります。

仮想通貨のバーンの仕組み
knowledge 仮想通貨送金と秘密鍵

仮想通貨を送金するには、その仮想通貨を保管しているウォレットアドレスに紐づいた秘密鍵が必要であり、秘密鍵を失うと仮想通貨の送金は不可能になります。従って、秘密鍵は仮想通貨を管理する上で最も重要な存在だといえます。

バーンは多くの仮想通貨で採用されていますが、どのようなルールで仮想通貨がバーンされるかはプロジェクトごとに異なります。

仮想通貨をバーンする目的

バーンは誰でも行うことができますが、実質的にお金を捨てることになるため一般ユーザーが理由もなくバーンすることはほとんどありません。

基本的には開発者が、主に2つの目的でバーンを行います。

  • 価格の維持・上昇
  • 仮想通貨の処分

ほとんどの場合、仮想通貨の保有者に利益をもたらすことやエコシステムを上手く機能させることを念頭に、仮想通貨価格を維持・上昇させる目的で実施されています。バーンによって仮想通貨の供給が減少して希少性が高まることで、価格の上昇要因を作ることができます。この原理は上場企業が株価を高めるために実行する「自社株買い」に似ています。

その他の目的としては、今後使わなそうな仮想通貨の処分があります。具体的にはステーブルコイン(法定通貨に対して安定的な価値を持つ仮想通貨)の償還、新しい仮想通貨との交換、売れ残った仮想通貨の処分などです。

バーンで総流通量が減らないことも

バーンによって市場の仮想通貨の数量は減りますが、総流通数は減らないことが珍しくありません。

例として、人気DeFiプロジェクト「PancakeSwap」のトークン「CAKE」の総流通量の推移を見てみます。

CAKEの総供給量

画像引用:Messari

PancakeSwapでは様々な方法を使ってガバナンストークン「CAKE」を大量にバーンしていますが、新規発行数量が多いために総流通量自体は右肩上がりに増えています。

ただし、総流通量が増えるからバーンしても意味がないというわけではありません。バーンによって総流通量の増加ペースを抑えることができるので、流通量のコントロールには役立ちます。

また、仮想通貨売買等で使われたCAKEの一部をバーンしますので、ガチホしている人の仮想通貨はバーンされることがなく、バーンの影響は、活発に取引する人に比べてガチホする人の方が小さくなります。すなわち、バーンは仮想通貨の長期保有を促す効果があります。

自分が取引する仮想通貨プロジェクトがバーンの仕組みを採用している場合、バーンによって総流通量が減っているか、それとも増えているかを確認すると、投資判断の材料になります。

バーンを行う主要な仮想通貨

以下、バーンを採用している代表的な仮想通貨をいくつか紹介します。

  • イーサリアム
  • BNB
  • 柴犬コイン

イーサリアム

冒頭でも触れた通り、イーサリアムは大型アップグレードで手数料の一部をバーンする機能を導入しています。イーサリアムでは2022年3月時点で累計200万ETH近くがバーンされています。

当記事執筆時点ではイーサリアムの日々のバーン数は減少傾向にあり、3,000ETH程度にとどまっていますが、今後はDeFi(分散型金融)やNFTなどの需要でその額が拡大していくと予想されています。

また、イーサリアム価格はビットコイン(BTC)の不調に引っ張られる形で下降しているものの、この継続的なバーンの影響で史上最高値を更新することが期待されています。

イーサリアムの日間バーン数

画像引用:Etherscan

BNB

BNB(旧バイナンスコイン)は、大手取引所のBinance(バイナンス)が手がけるBNBチェーン上で発行される仮想通貨です。Binanceユーザーに様々な特典を付与する手段としても利用されています。

その特典のひとつに、Binanceは利益の一部を使ってBNBを買い戻してバーンするというものがあります。最近ではBNBチェーンでの取引で発生した手数料の一部がBNBのバーンに充てられることが決定されました。

シバイヌコイン

ミームコイン(SNSや掲示板などのコミュニティ発信で流行する仮想通貨)のひとつとして有名なシバイヌコイン(SHIB)は、大規模なバーンで注目を集めています。

2021年5月には、イーサリアム開発者のヴィタリック・ブテリン氏が保有するシバイヌコインのバーンを実施し、当時最高額となる67億ドル相当の仮想通貨がバーンされたことで話題となりました。

以下のチャートを見ますと、このバーンの時期に価格が急騰していることが分かります。

シバイヌコインと米ドルの価格チャート

画像引用:CoinMarketCap

バーンを謳うコインに注意

バーンが仮想通貨価格の上昇を手助けすることは疑いようがありませんが、バーンを採用する仮想通貨を保有すれば、絶対的に利益を上げることができるというわけではありません。

中には大胆なバーンを行うことを売り文句に、トークンセール(仮想通貨の販売)を実施する仮想通貨なども存在します。それ自体に問題はないのですが、バーンをしながらも開発活動が伴わず、何の価値も生み出さないこともあります。

いくらバーンが仮想通貨価格の上昇を誘発するといっても、ブロックチェーンの開発が進まない仮想通貨の価値が高まることは難しいといえるでしょう。特に発行上限数が異常に多くて、短期間で大量のバーンを謳う仮想通貨には注意が必要かもしれません。

バーンを理解して投資に活かす

バーンは供給の減少を招き、仮想通貨の希少性を高めて価格の上昇を誘発します。バーンの仕組みを理解すれば、より正確に仮想通貨を評価して投資判断を下すことができるようになるかもしれません。

イーサリアムやバイナンスコインもバーンを導入しているだけに、その仕組みを理解することは、仮想通貨市場の動向をうかがう上で重要だといえるでしょう。


Date

作成日

2022.03.09

Update

最終更新

2024.01.13

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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