作成日
:2021.07.06
2022.04.20 12:18
最近、新たな組織形態として自律分散型組織DAOが少しずつ注目を集めつつある中、2021年6月に、世界で最も新しいDAOとしてBitDAOが誕生しました。
BitDAOは仮想通貨デリバティブ取引所であるBybitが支援するDAOであり、DeFi(分散型金融)や金融業界全体に変化や革新をもたらす存在を目指すとされています。
DAOは従来の中央管理型の組織と形態が大きく異なるため、BitDAOがそもそもどのような組織なのかをイメージすること自体が難しいかもしれません。しかし、仮想通貨や分散型金融であるDeFiが次世代の金融として成長し拡大を続ける可能性を考えると、BitDAOやDeFiについて理解しておく必要があるでしょう。
今回の記事では、BitDAOについてや、そもそもDAOやDeFiとは何かについて具体的に解説します。
BitDAOは、2021年6月に設立が発表された新しい自立分散型組織(DAO)です。Bybit創業者ファンドなどを通じて2億3千万ドルもの巨額の資金を調達したとプレスリリースで発表されました。DeFi(分散型金融)に焦点を当てて活動していくということも発表されています。
公式サイトはまだ「Coming Soon」となっていて、具体的な活動は今後明らかにされる予定のようです。今回の資金調達は、特定少数の投資家向けの私募で行われたということで、一般投資家向けの情報は、まだあまり入手できません。
このBitDAOに対しては、Bybitが今後も継続的に支援していくことが発表されたため、DAOのプロジェクトとして、これまでにない大きなものになるのではないかと期待されています。2021年1月から5月にかけてのBybitの先物取引高の0.025%の資金を提供することが既に決定しているそうです。
BitDAOの目的としては、「既存のDeFiに不足しているインフラを構築し、BitDAOプロトコル上で行われる革新的なプロダクトの実現を目指すこと」が挙げられています。また、より大きな目標としては、DeFiと従来の中央集権型金融であるCeFiの架け橋として双方の発展に貢献することがあるとされています。
Bybitからの大きな支援があることや、アラン・ハワード、ジャンプ・キャピタル、スパルタン・グループといった世界的に著名な投資家・組織が参加していることからも、かなりスケールの大きなプロジェクトになることが予想されます。
BitDAOが今回行った資金調達は、限られた投資家のみ参加できる私募形式です。一般投資家としては、仮想通貨取引所バイナンスが発行したバイナンスコインのように、コインを発行してICO(新規通貨公開)を行うかが気になるところですよね。
バイナンスコインは、ICO当時はわずか10円程度でしたが、一時は7万円以上の値を付けるなど、急上昇したコインです。バイナンスに次ぐ知名度のBybitがもし一般向けにICOを行うとすれば、見逃せないイベントになります。
しかし、現時点ではコインの発行やICOについて何も情報はありません。気になる方は、今後もBitDAOの情報をフォローしておくといいでしょう。
「BitDAOは世界で最も新しいDAOです。」
おそらくこのように解説をされても理解できる方は少ないかと思います。自律分散型組織であるDAO自体が一般社会に普及する組織とは異なり、管理者が不在の状態で稼働する組織です。現在はまだ、DAOを採用する組織の数は少ないですが、今後BitDAOのようにDAOを採用する組織が増えてくる可能性は十分にあり得ます。
では、DAOがどのような組織なのかを解説していきましょう。
DAOは、Decentralized Autonomous Organizationの略で、日本語に直訳すると「自立分散型組織」です。分散型とは集中型とは反対の、参加者それぞれが自立することによって機能する意味を持ちます。つまり、中央管理者が存在しなくとも参加者の活動によって機能する組織のことです。
ただ、完全に参加者の自由な意思によって運営されるわけではなく、あらかじめ中央管理者の代わりとしてルールが存在し、ルールに従った自動的な運営が行われます。そのルールに基づいた自動的な活動を行うため、DAOは基本的にブロックチェーンで使われるスマートコントラクトで実装されコミュニティによって運営が行われています。
なお、スマートコントラクトとは、ブロックチェーン上で契約を自動的に実行するシステムのことです。事前に指定した条件を満たせば、契約が実行されます。
スマートコントラクトは、よく自動販売機に例えられます。自動販売機は、お金を投入すること(条件1)、欲しいジュースのボタンを押すこと(条件2)という二つの条件を満たすことで、自動的にジュースが出てきます。ジュースが出てくることが、契約が実行された結果にあたり、この条件と結果を結び付けているものがスマートコントラクト(自動販売機)なのです。
DAOの組織としてのメリットには透明性と公平性があります。DAOはブロックチェーン上のスマートコントラクトで運営されるので、機械的であり人の手が加わることは基本的に無いため、公平な取引や契約が自動的に実行されます。ブロックチェーンやスマートコントラクトは、情報やコードが公開されているため本当に契約が実行されたのかを確認することができため高い透明性があります。
集中型である中央管理型の組織だと、不正な取引や契約が実行されてしまう恐れがあるので、透明性が高いとは言えません。しかし、DAOではスマートコントラクトによって契約や取引はルールに従って自動的に実行され、内容もコードによって公開されているので、中央管理型よりも高い透明性と公平性があることから注目を集めているのです。
ちなみにDAOは中央管理者などが必要なくなるため人手を省くことでができ、システムによる実行であるため、経費や処理時間の削減や短時間化といったメリットもあります。
高い透明性や公平性があるDAOですが、一度契約してしまった内容の変更が難しいといったデメリットもあります。ブロックチェーン上でスマートコントラクトが契約を実行することで、ブロックチェーンの書き換えが難しいことから契約後の内容も変更することが難しいのです。
そのため、契約後に契約内容の不備や不利な契約だと発覚した場合、簡単に変更を行うことができません。それと、スマートコントラクトもプログラムであるため、脆弱性を狙ったハッキングのリスクもあります。スマートコントラクトを利用する契約に多額の資金を取扱うものがあれば、万が一の場合は資金を流出させてしまう恐れもあるのです。
スマートコントラクトの脆弱性を狙われ資金を流出させてしまった事件として、The DAO事件があります。The DAOはイーサリアムのブロックチェーン上においてスマートコントラクトを利用した分散型投資ファンドを構築を目的としたプロジェクトです。投資家から資金を集め、投資先を参加者の投票によって決めるDAOでもあります。ICO(新規通貨公開)による資金調達で約1,200万ETHを集めることに成功しましたが、独自トークンのDAOをETHに変換することができるSplit機能に脆弱性が見つかり、ハッカーによって攻撃が行われました。
結果的に約350万以上ものイーサリアムが奪われてしまいましたが、イーサリアムの仕様変更(ソフトフォーク)によって攻撃前の状態にブロックチェーンの記録を遡り、奪取を防ぎました。ただ、書き換えがブロックチェーンの透明性や公平性に反するということからコミュニティ内部で分裂が発生し、イーサリアムとイーサリアムクラシックに分裂しました。
BitDAOはDeFiを通して参加者が主体的な経済活動を行える環境の構築を目的としています。
このDeFiとは、日本語だと分散型金融を意味する「Decentralized Finance」の略で、ブロックチェーン上でスマートコントラクトを活用して構築されるアプリケーションです。
DeFiがどのような金融なのか、どのようなサービスが提供されているのかを見ていきましょう。
DeFiの分散型金融は、管理者不在で誰でも自律的に金融取引を行うことができるアプリケーションです。管理者が不在のためDeFiのシステム維持に必要となる最低限の手数料で利用することができます。さらにはブロックチェーンを利用しているので透明性とスマートコントラクトによって公平性が確保されています。インターネットからDeFiに接続すれば、世界中誰もが利用することができます。
DeFiに対して従来の中央集権型金融(CeFi)では、中央管理者(金融機関や取引所など)が取引の仲介を行うことによって取引を可能としています。
例えば、銀行を利用する場合には手数料が必要となり海外送金の場合には時間がかかります。利用の対象も銀行口座を持つ人に限定されるため、全ての人が利用することはできません。
このように従来の中央集権型の金融の問題点であった、手数料や送金に掛かる時間、透明性や公平性などを解決することができるのがDeFiです。
DeFiは分散型金融の仕組みであるため、DeFi自体がサービスではありません。DeFiを活用した代表的なサービスとしては分散型取引所のDEX(Decentralized Exchange)があります。
DEXは管理者不在で仮想通貨の取引が行える取引所です。中央集権型の仮想通貨取引所で必要となる取引手数料が不要で、利用者が保有するウォレットを接続することで利用可能です。(一部DEXによっては少額の手数料が必要となる場合もあります。)そのため、中央集権型の仮想通貨取引所口座開設時に必要となる身分証明書の提出を行わななくとも利用をすることができ、住所や身分を証明することが難しい人々でも取引を行うことができます。
こちらから、取引所と手数料・身分証明書についてまとめた表をご覧いただけます。
分散型取引所 | 従来の取引所 | |
手数料 | 不要 |
必要 |
身分証明書 | 不要 |
必要 |
また、DEXでは通常の仮想通貨取引以外に、DeFiの各プロジェクトで発行されたガバナンストークンやイールドファーミングなどの特殊な取引を行うこともできます。イールドファーミングはDEXに仮想通貨を貸し出すことで金利やガバナンストークンを報酬として得られる仕組みで、ガバナンストークンの価格が急騰する事例もあることから人気を博しています。
ちなみにDEXとしては、Uniswap、Curve、Balancer、SushiSwapなどが有名です。
ガバナンストークンとは、DeFiプロジェクトやDEXで発行される、運営や方針についての議決権を有するトークンです。保有量によって権限の影響力は変化します。
今回はBitDAOについて解説してきました。
BitDAOは世界で最も新しいDAOとして、DeFiを通して参加者が主体的に経済活動を行える環境を構築することを目的としています。既存のCeFiから完全にDeFiへの移行を進めるわけではなく、まだ新しい金融であるDeFiの成長を推し進め、DeFiとCeFiの架け橋として双方に貢献し、金融業界全体の成長に携わる組織を目指しているということです。
もともと仮想通貨自体が、CeFiの利用で掛かる手数料や海外送金時に掛かる手間と時間を無くし、気軽に短時間で世界中の誰もが送金手段として使える金融として生み出されました。しかし現状、仮想通貨取引所を利用しなければ仮想通貨を買うことや取引を行うことができず、仮想通貨を管理するために管理者や階層構造などの中央集権型が存在しています。これでは仮想通貨本来の目的から遠い状態にありますが、今後BitDAOの成長と共にDeFiが成長してCeFiに変革を起こし、誰もが主体的に経済活動が行える環境が構築されていくでしょう。
また、BitDAOは分散型組織として個人個人が自立して活動を行う組織であるため、現在主流の中央管理型組織とは大きく異なります。しかし、今後BitDAOの活動やDAOを採用した組織が増えてくることも十分に考えられるので、DAOやDeFiについては簡単にでも理解をしておくことがおすすめです。
作成日
:2021.07.06
最終更新
:2022.04.20
会社員時代に10万円を元手にFXをはじめるが、カンに頼るトレードで退場。
テクニカル分析を学ぶがそれでも上手く行かない中、趣味でやっていた暗号資産の利益が増大。
戦いのメインをFXと暗号資産の2本(DeFiやNFT)にすることで、会社員から独立し現在は専業トレーダーとして活躍。
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