作成日
:2019.08.14
2021.08.31 15:30
一部のユーザーが意図的にリップル(Ripple)の価格をクラッシュさせたため、仮想通貨取引所のBeaxyは全ての取引および出金サービスを一時的に停止することを発表した。
今月12日、Beaxyではリップルの売りが集中し、同取引所における対ビットコイン(Bitcoin)のリップル価格が40%も暴落したという。Beaxyは今年6月にローンチされたばかりの新しい取引所だが、既にハッキング攻撃の対象になるなど、厳しい現実に直面しているようだ。
BeaxyはKYC(顧客確認)のプロセスを導入しており、同取引所の経営陣は今回リップルのクラッシュを引き起こしたユーザーの特定も可能だと主張している。Beaxyがこのユーザーに対して法的措置をとるかなど詳細は明らかになっていないが、同取引所はこの損害を取り戻すことに関しての自信を露わにしているという。
このBeaxyにおけるリップル価格のクラッシュは、大手取引所のバイナンスから顧客情報が漏洩したとの報道があった後の出来事となった。バイナンスは情報漏洩の可能性を否定したものの、結果的に仮想通貨コミュニティに対して大きな衝撃を与えたようだ。Beaxyはロールバックを行いクラッシュ時の取引を無効にするとの方針を固めているが、これが仮想通貨コミュニティにどう作用するのか、今後の展開を見守っていきたい。
release date 2019.08.14
不可逆の性質を持つブロックチェーンでは、通常一度承認された取引情報を改ざんすることは難しく、過去に生成されたブロックを無効にするためにはロールバックを行わなければならない。仮想通貨の中には過去にロールバック処理が施されたものも存在するが、これを行うと通貨システムとしての信頼性を失う危険性もあるという。今年5月にハッキング被害を受けたバイナンスのCEOであるChangpeng Zhao氏は、バイナンスもビットコインのロールバックを検討すべきだと発言したものの、仮想通貨コミュニティから激しい批判を受けたこともあり、結局それを実施するまでには至らなかった。今の所、Beaxyはロールバックを行うことを希望しているが、これに対してリップル側は沈黙を貫いている。リップルに関してはその開発を担うリップル社の権限が大きく、ロールバックの実施には同社の判断が重要になってくるだけに、今後はBeaxyの状況とあわせてリップル社の去就に注目していきたい。
作成日
:2019.08.14
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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