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未だ進まないEUにおける仮想通貨の規制状況

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update 2021.08.31 15:23
未だ進まないEUにおける仮想通貨の規制状況

update 2021.08.31 15:23

CySECでは、既に仮想通貨に関する規定が確立

仮想通貨規制に向けて各国の法整備が進む中、EU規制当局の動きにも、注目が集まっている。昨年まで、金融サービスに係る規制の枠組みに、仮想通貨に関する内容は盛り込まれていなかったが、仮想通貨取引を提供するFXブローカーが増加し始めたことを背景に今年の3月、欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】が、仮想通貨CFDを金融商品として正式に認める決定を発表している。

仮想通貨の取引自体は、金融商品市場指令(Markets in Financial Instruments Directive)【以下、MiFIDと称す】の対象には含まれないものの、仮想通貨CFDを個人投資家に提供する上で、ブローカーには順守すべき要件が定められている。

まず第一にEU内のライセンスを所有するブローカーは、四半期毎の仮想通貨取引における売上高が全体の売上高の15%を超えてはいけない。続いて、CFD以外の金融商品においては、パスポーティング制度(金融機関において、EU域内の1ヶ国で事業の認可を取得した場合、EU域内であれば事業活動が可能となる制度)が許可されない。

さらにブローカーは、EUが仮想通貨取引における規制を行っていない事実を顧客へ通知しなくてはならない。仮想通貨は複雑かつ、ハイリスクで、投資家が全ての資本を失う恐れがあることを明記し、リスク警告を行う必要があるとしている。仮想通貨の価格変動は激しく、短期間で大きな損失をもたらす可能性があるため、仮想通貨取引が全ての投資家に適切であるとは限らず、また、投資家が仮想通貨関連商品に必要な専門知識を持っていない場合は、取引を自粛するよう促し、仮想通貨に関連する特性やリスクを十分に理解すべき旨を明記しなくてはならないとしている。

規制下にあるブローカーが最も注目している仮想通貨CFDに関しては、ESMAや、欧州銀行監督局(European Banking Authority, EBA)、各国の規制当局の規制や、権限のある規制当局から発行されたQ&Aや意見等を遵守しなければならないとしている。

仮想通貨CFD取引に伴うリスクについては、キプロス証券取引委員会(Cyprus Securities and Exchange Commission)【以下、CySECと称す】が声明を発表しており、これを受けて、CIFライセンスを持つブローカーは、すべての法的義務に細心の注意を払い慎重にサービス提供を行わなければならなくなった。

CySECが発表した声明には、ブローカーは顧客が最善の利益を得ることができるよう、正当かつ、公平に、また専門的に行動しなければならず、顧客へは明確な情報を提供し誤解を招くような表現を使用してはいけないとしている。さらに、仮想通貨への投資に伴うリスクに関する適切なガイダンスや警告を行い、適切な商品管理の取り決めを行うことなど、多数の遵守すべきポリシーが含まれている。

この他にも、ブローカーが自己資本比率を計算する際には、仮想通貨デリバティブに伴うリスクも考慮する必要があるとし、またブローカーには、顧客へのベストな注文執行条件を満たすために、リクイディティからの価格を評価することも要求される。さらにブローカーには、仮想通貨市場における金融ショックへの対応力を強化するために、自己資本充実度評価(ICAAP)に照らし合わせ、適切な追加資本の投入を維持することが要求されており、提供可能なレバレッジは、最大2倍までと制限されている。

CySEC規制下のブローカーは、仮想通貨を提供するにあたり、許可の申請が必要となっている一方で、EUでは同様の規制がないことから、EUの各国の規制当局からは、CySECと同様の規制導入を求める声が上がっている。

現在、EUでは、仮想通貨関連の商品が、監督当局によって規制されておらず、規制当局は、無認可の金融サービス提供者との取引を避けるよう、個人投資家達に積極的に警鐘を鳴らしている。EUの仮想通貨における最大の問題点は、仮想通貨を規制する明確な法の枠組みが確立していないことである。今後EUにおいても、仮想通貨に対する法整備は徐々に、進んでいくことになるだろう。

release date 2018.5.17


Date

作成日

2018.05.17

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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