作成日
:2022.12.22
2023.03.16 15:30
仮想通貨(暗号資産)TWTは分散型ウォレット「Trust Wallet(トラストウォレット)」のネイティブトークンです。大手取引所Binance(バイナンス)が手がけるウォレットで、FTXの破綻騒動を契機に注目度を高めてTWT価格は過去最高値を更新しました。
当記事では、TWT価格の動向やBinanceとの関係、Trust Walletで利用できる機能や将来性などを解説していきます。
2022年11月、大手取引所FTXが経営破綻しました。その影響は仮想通貨市場全体に波及しており、分散型ウォレットに改めて大きな注目が集まりました。
FTXはハイリスクな経営を行っており、手持ち資金が枯渇して顧客資産を払い出せない状況に陥りました。競合のBinanceが買収による救済を模索しましたが、結局失敗に終わっています。この影響は仮想通貨市場全体に波及しており、中央集権型取引所の信頼が揺らいでいます。
この状況で、Binance(バイナンス)のCEOであるチャンポン・ジャオ氏がTrust Walletに言及したこともあり、TWTは仮想通貨市場で注目を集めました。
.@TrustWallet your keys, your coins. https://t.co/pJUc26kQ7n
— CZ Binance (@cz_binance) November 13, 2022
このツイートの前からTWT価格は緩やかに上昇しており、2022年11月13日にツイートされると急騰して360円台を記録しました。その後の価格は落ち着いており、200円台前半で推移しています。
画像引用:CoinMarketCap
仮想通貨(暗号資産)TWTはTrust Wallet(トラストウォレット)の独自仮想通貨で、Trust WalletはモバイルアプリやPCのWebブラウザで利用できます。複数のブロックチェーンに対応していて多様な仮想通貨を保管できるほか、NFT取引やステーキングも可能で、統合的なサービスを提供しています。
また、ガバナンストークンとしても利用されており、開発提案に対して投票することができます。
なお、TWTの最大供給量は10億通貨に設定されており、当記事執筆時点(2022年12月)で全体の約40%が発行済みとなっています。
ブロックチェーンゲームのTwitFi(ツイートファイ)では、ユーティリティトークンのTWTが利用されております。TwitFiのTWTと、Trust WalletのTWTは別物になります。
分散型ウォレットは取引所などのウォレットと違い、中央管理者が存在しません。取引所などのウォレットは出金等で管理者の承認が必要なため、取引所の資金不足による出金停止や出口詐欺(資金を持ち逃げする行為)のリスクがあります。また、ハッキングリスク等もあります。
一方、分散型ウォレットは、全てのトランザクションがスマートコントラクトによって自動制御されており、中央集権型ウォレットと比べてリスクが軽減される傾向があります。
Trust Walletは業界を代表する分散型ウォレットであり、中央集権型ウォレットと比較すると安全に利用できます(ただし、リスクがないという意味ではありません)。
Trust Wallet(トラストウォレット)は2017年にViktor Radchenko氏によって立ち上げられました。2018年7月にBinance(バイナンス)に買収されてBNBチェーンに移植され、開発チームのメンバーの多くが開発活動を継続しています。
2022年11月にはBinance Payに統合されており、Binanceとの間でよりシームレスに仮想通貨をやり取りできるようになりました。こうして、Trust WalletはWeb3.0への入口としての役割を担っています。
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Web3.0とは分権化された次世代のインターネット環境を指します。現代の中央集権型インターネット環境(Web2.0)は、大手IT企業が強い影響力を持っています。その一方、Web3.0では個々のユーザーが重要な役割を担います。
Binanceは独自のSoulBound Tokenである「Binance Account Bound Token(BAB)」を発行しており、BinanceでKYC(顧客確認)を完了したユーザーに配布されています。Trust WalletでBABを受け取り可能で、BNBチェーン上のDAppで様々な特典を受けられます。
SoulBound Token(ソウルバウンドトークン、SBT)は譲渡不可のNFTで、一度発行されるとウォレットから移動できません。将来的にWeb3.0時代のデジタルIDとなることが期待されています。当記事執筆時点では、取引所などでユーザー向けのデジタルIDとして限定的に利用され始めています。
Trust Wallet(トラストウォレット)には、仮想通貨(暗号資産)の保管以外にもさまざまな機能があります。
通常のウォレットと同様に、他のアドレスに仮想通貨を送金したり、他のアドレスから仮想通貨を受け取ったりできます。Binance Payにも対応していて、加盟店での支払いに利用できます。Binace公式によると、Binance Payを使用可能な加盟店は49あります。
クレジットカードを利用して、法定通貨で仮想通貨を購入できます。
スワップとはブロックチェーン上で仮想通貨同士を交換する機能です。
ステーキングで受動的な収入を得ることもできます。10種類の仮想通貨を対象に、当記事執筆時点で最大20%以上の年利となっています。対応する仮想通貨は以下の通りです。
メニューで「ブラウザ」をタップすると、プラットフォームからDAppを直接利用できます。
画像引用:Trust Wallet
NFTにも対応しており、保有するデジタルアートなどのNFTをギャラリーで確認できます。
Trust Wallet(トラストウォレット)のDAppブラウザから、イーサリアムとBNBチェーン上のDAppを利用できます。例は以下の通りです。
UniSwapはイーサリアム最大のDEX(分散型取引所)でレイヤー2に対応しており、安価な手数料で取引できます。
多くのブロックチェーンは、異なる役割を持つブロックチェーンが階層別に独立して相互通信する「レイヤー構造」になっています。基礎的な役割を担うブロックチェーン層をレイヤー1と呼び、レイヤー1の情報処理を助ける層をレイヤー2と呼びます。
PancakeSwapはBNBチェーン上で利用される人気DEXです。基本的な仮想通貨(暗号資産)のスワップに加え、流動性マイニングやIFO(イニシャル・ファーム・オファリング)、宝くじなどの機能があります。
流動性マイニングとは、DEXなどに2種類の仮想通貨をペアで貸し出して流動性を提供することです。「イールドファーミング」とほぼ同義の言葉として使われます。流動性の提供と引き換えに独自仮想通貨を報酬として獲得できる一方、価格変動で損失を被ることもあります。
AAVEは仮想通貨レンディングプラットフォームで、仮想通貨を貸し出すと金利収入を得ることができます。逆に、金利を支払って仮想通貨を借り入れることも可能です。
OpenSeaは世界最大のNFTマーケットプレイスです。デジタルアートやゲームアイテムなど、幅広いNFTが取引されています。
TWTの将来性はTrust Wallet(トラストウォレット)のエコシステムが拡大するかどうかにかかっており、セルフカストディ需要が重要です。
セルフカストディとは、保有する仮想通貨(暗号資産)を自分自身で管理することです。セルフカストディ需要は拡大しており、それに伴って分散型ウォレットのユーザー数が伸びています。
Trust Walletはその中でも主要なウォレットとなっており、ユーザー数は2,500万人を超えています。今後もセルフカストディ需要は高まっていくと予想されているので、それに伴ってTrust Walletのユーザー数も増えていくと考えられます。
仮想通貨TWTは日本の取引所で売買できませんので、海外取引所で購入します。売買可能な主な取引所は以下の通りです。
仮想通貨取引所 | 現物 | デリバティブ |
---|---|---|
(バイビット) |
〇 |
〇 |
(バイナンス) |
〇 |
× |
(ゲート) |
〇 |
× |
(メクシー) |
〇 |
〇 |
(ビンエックス) |
〇 |
× |
(ビットゲット) |
〇 |
× |
(コインイーエックス) |
× |
× |
Bybit(バイビット)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
Binance(バイナンス)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
Gate.io(ゲート)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
MEXC(メクシー)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
BingX(ビンエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
Bitget(ビットゲット)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
CoinEX(コインイーエックス)
現物 | デリバティブ |
× | × |
Trust Wallet(トラストウォレット)は統合的なサービスを利用可能で、BABを用いて有利にDAppを利用できるなど、Binance(バイナンス)やBNBチェーンと親和性が高いサービスです。無料で利用できるので試してみるのも良いでしょう。
作成日
:2022.12.22
最終更新
:2023.03.16
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。
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