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仮想通貨ANKRの将来性は?Web3.0インフラとしての特徴や製品を解説

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update 2023.03.16 15:30
仮想通貨ANKRの将来性は?Web3.0インフラとしての特徴や製品を解説

update 2023.03.16 15:30

仮想通貨(暗号資産)市場ではWeb3.0の盛り上がりから、DApp(分散型アプリ)の開発活動が活発になっています。これに伴ってWeb3.0の発展に必要なインフラも構築されつつあります。

Ankr(ANKR)は高速かつ信頼できるWeb3.0インフラとして開発されています。どのような特徴を持っているのでしょうか。当記事ではAnkrブロックチェーンの特徴や将来性などについて解説していきます。

仮想通貨ANKRとは

仮想通貨ANKRはAnkrと呼ばれるブロックチェーンのネイティブトークンとして発行されています。ここではまず、母体となるプロジェクトのAnkrについて解説していきます。

AnkrはDApp開発などに利用可能なWeb3.0インフラ構築を目的とするプロジェクトです。Amazon(アマゾン)のクラウドサービスAWS(Amazon Web Service)での経験を持つChandler Song氏と、銀行家のRyan Fang氏によって2017年に立ち上げられました。

point Web3.0とは

Web3.0とは、分権化された次世代のインターネット環境を指します。現代の中央集権型インターネット環境(Web2.0)は、大手IT企業が強い影響力を持っています。その一方、Web3.0では個々のユーザーが重要な役割を担います。

AnkrはDApp開発に必要なリソースや機能を統合的に提供しており、企業や開発者はAnkrの製品を利用してDAppを簡単に開発可能となります。

分散型のクラウドサービス

Ankrは分散型のクラウドサービスです。一方、AWSやMicrosoft Azureなどの中央集権型のクラウドサービスは、運営企業がデータセンタのサーバをリソースとして提供します。

point クラウドとは

クラウドは、インターネットなどのネットワークを介して、コンピュータリソースをサービスとして提供する技術です。クラウドを利用すれば、コンピュータを物理的に所有せずとも、必要な時に必要な規模でリソースを活用することができます。

一方、Ankrは分散型のクラウドサービスであり、世界各地のデータセンター内のサーバの余剰リソースを活用します。すなわち、Ankrは報酬と引き換えに多数のデータセンターから余剰リソースを取り込み、インフラとしてDAppをサポートしています。

Ankrにリソースを提供するデータセンタの説明画像

中央集権型のクラウドサービスとは異なり、Ankrはリソースを提供するデータセンターが分散されています。この構造はデータセンターの稼働率を上げるだけでなく、システム障害への耐性やセキュリティ強化につながります。

加えて、Ankrは余剰リソースを活用するので、ユーザー企業や開発者はインフラを安価に利用できます。このため、この革新的なソリューションはデータセンターとユーザーでWin-Winの関係を築いています。

なお、分散型クラウドサービスでAWSに対抗するサービスとして、Orbsでも開発活動が進められています。

Ankrの特徴

Ankrは上記の仕組みを実現するために、以下の特徴を持つブロックチェーンを構築しています。

4層構造のブロックチェーン

Ankrは4つの層からなるブロックチェーンを採用しています。コア層、リレー層、アクセス層、マイクロノード層です。

コア層

コア層はその名の通りAnkrの核となる機能を担います。コンセンサスを形成してブロックを生成します。コア層のブロックチェーンには、DAppの通信に応答するレギュラーノードとブロックの検証などを行うバリデータノードが存在します。

point ノードとは

ノードとはブロックチェーンのネットワークを構成するコンピュータ(パソコンやサーバ、スマホなどを含む)を指します。ブロックチェーンを稼働させるために、ブロックの検証だけでなく取引情報の記録や情報伝達などの機能を提供します。

リレー層

この層のノードは高速なトランザクション実現に貢献します。ブロック生成やコンセンサス形成の機能はありません。

アクセス層

データセンターノードなどで構成されるブロックチェーンです。データセンターのリソースとなるサーバを接続できます。

マイクロノード層

マイクロノード層は様々なデバイスが接続可能なブロックチェーンです。

Ankrはこの4層構造のブロックチェーンを軸に、分散型のクラウドサービスを実現しています。

独自のコンセンサスアルゴリズム

Ankrはコンセンサスアルゴリズム(ブロックを生成するルール)として、SLSBFT(Proof of Service Level and Stake Byzantine Fault Tolerance)と呼ばれるものを採用しています。SLSBFTはビザンチン将軍問題に耐性を持つPoS(プルーフ・オブ・ステーク)のように機能します。

ビザンチン将軍問題とは、ノードが協力的に合意形成しない際にネットワーク全体が機能しなくなる可能性があるという問題です。SLSBFTはこのビザンチン将軍問題に耐性を持っており、コンセンサスが形成できなくなる障害を回避可能です。

Ankrが提供する主要な製品

AnkrはWeb3.0インフラとして多様な製品を提供しており、企業や開発者はDApp開発に役立てることができます。主要な製品としては以下のようなものが存在します。

Appチェーン

AppチェーンはBNBチェーン(BNB)やアバランチ(AVAX)などでの独自ブロックチェーン構築を支援します。一般的にはBaaS(Blockchain-as-a-Service)などとも呼ばれます。

Appチェーンを利用すれば、企業や開発者は簡単に独自ブロックチェーンを構築してDAppを展開できます。メリットとしては、ブロックチェーンのリソースを占有できるので他のDAppの利用状況などを気にする必要がないということが挙げられます。

多様なソフトウェア開発キット

ソフトウェア開発キット(SDK)は、ソフトウェアを開発するためのツールです。これがあると、インフラ部分や基礎的な部分の開発を効率化できます。

Ankrでは仮想通貨やNFTのソフトウェア開発キットに加え、メタバース(インターネット上に構築される3次元の仮想空間)対応のゲーム向けソフトウェア開発キットなども提供されています。

AnkrのSDK

画像引用:Ankr

統合的なDeFiポータル

AnkrはWeb3.0インフラの他にDeFi(分散型金融)ポータルも提供しています。このDeFiポータルは、ステーキングやクロスチェーンブリッジだけでなくリキッドステーキングにも対応しています。

point クロスチェーンブリッジとは

クロスチェーンブリッジとは、複数のブロックチェーンをつないで規格の異なる仮想通貨を相互に利用可能にする技術です。この技術が普及すればブロックチェーンを跨いで仮想通貨をやり取りできます。ブロックチェーンが乱立している現在、クロスチェーンブリッジは重要な存在です。

リキッドステーキングは流動性のあるステーキングで、ステーキング報酬を得ながら他のDeFiで資産を活用することができます。例えば、世界最大のリキッドステーキングプラットフォームのLidoでは、イーサリアムを預け入れるのと引き換えにstETHを獲得できます。

stETHには複数の使い道があります。例えば、Curve.Financeでのイールドファーミング、MakerDAOでのステーブルコイン貸し出しの担保、AAVEでの仮想通貨レンディングなどです。

このDeFiポータルもソフトウェア開発キットが公開されており、開発するDAppに簡単に組み込むことができます。

Lidoにおけるリキッドステーキングの活用例

仮想通貨ANKRについて

独自仮想通貨ANKRはガバナンストークンとしての役割を担っており、DAOでプロジェクトの方向性や製品に関する決定をします。従って、ANKR保有者は改善提案などに投票して意思表示が可能です。

point DAOとは

DAOは、Decentralized Autonomous Organizationの略で、日本語で「分散型自立組織」と訳されます。つまり、中央管理者が存在しなくとも参加者の活動によって機能する組織を指します。中央集権型の組織と比較してより民主的で透明性の高い存在と見なされており、ブロックチェーンの普及で広く採用され始めています。

ANKRの発行枚数は100億通貨に制限されています。当記事執筆時点(2022年9月)でその97%が発行済みとなっており、仮想通貨市場に流通しています。時価総額は約420億円、仮想通貨市場全体で100位前後に位置しています。

ANKRの使い道

ANKRはガバナンストークンとしてだけでなく、エコシステムを成立させるためにも利用されます。具体的には、ブロックを検証するバリデータやリソースを提供するデータセンターに報酬として支払われます。

獲得したANKRはステーキングやDeFiポータルで運用することができます。加えて、Ankr製品を利用する際に支払いが可能です。

ANKRの価格チャート

2017年から2021年初期にかけて、ANKR価格は長らく2円以下の価格帯で停滞していました。しかし、仮想通貨市場の盛り上がりを受け、一気に10倍以上の20円を超える史上最高値を記録しました。

その後乱高下し、2022年以降は仮想通貨市場全体の流れに沿う形で下落しています。当記事執筆時点(2022年9月)において4円前後で推移しています。

ANKRと日本円の価格チャート

画像引用:CoinMarketCap

ANKRの将来性

ANKRはAnkrのエコシステムが拡大することで価格が上昇すると考えられます。長期的にWeb3.0インフラの需要は増えていくと見込めますので、ANKRには追い風が吹いているといえるでしょう。当記事執筆時点(2022年9月)では以下の要因がプラスに働くと予想できます。

大手取引所Binanceが投資

2022年8月、大手取引所Binanceのベンチャーキャピタル部門であるBinance Labsは、Ankrに戦略的投資を行うことを発表しました。投資額は明らかにされておらず、この資金でAnkrは製品やソフトウェア開発キットなどのツールを強化する予定だと発表しています。

AnkrはBNBチェーンにおけるリキッドステーキングの開発で貢献するなど、以前からBinanceと協力関係にありました。Binance Labsの投資は両者の関係をより強力なものにするでしょう。

ファンディングプログラム

Ankrは企業や開発者の利用を促すために、1,000万ドルのファンディングプログラムを実施しています。

対象者は、スマートコントラクト開発者、教育コンテンツ提供者、リソースを提供するノード運用者、小規模なWeb3.0プロジェクトなどです。このプログラムに参加した者は、開発資金のほか開発ツール等の提供を受けられます。

2022年のAnkrの方針

2022年の方針として、Ankrは対応するブロックチェーンや基礎的な製品を強化する予定です。分散型のクラウドサービスであることを活かして、競合となるAWSと差別化を図ります。

また、DeFiポータルに関しては、対応ネットワークを拡大することが目標として定められています。対応済みのネットワークには、ポリゴン(MATIC)、アバランチ(AVAX)、イーサリアム(ETH)、ポルカドット(DOT)、クサマ(KSM)があります。

Ankrの買い方

日本国内の取引所はAnkrを取り扱っていません。そのためAnkrを購入するならBinance(バイナンス)やBybit(バイビット)などの海外取引所を利用することになります。

日本語対応の海外取引所でのAnkrの取り扱い状況(USDT建て現物・デリバティブ)は下記の通りです。

取引所 現物 デリバティブ
Binance(バイナンス)
Bybit(バイビット)
Gate.io(ゲート)
CoinEX(コインイーエックス)
MEXC(メクシー) ×
BingX(ビンエックス) ×
Bitget(ビットゲット) ×

Binance(バイナンス)

現物 デリバティブ

Bybit(バイビット)

現物 デリバティブ

Gate.io(ゲート)

現物 デリバティブ

CoinEX(コインイーエックス)

現物 デリバティブ

MEXC(メクシー)

現物 デリバティブ
×

BingX(ビンエックス)

現物 デリバティブ
×

Bitget(ビットゲット)

現物 デリバティブ
×
binance bybit gate.io coinex

海外取引所は日本語対応が充実しているBybit(バイビット)がおすすめです。

有力なWeb3.0インフラとして注目

Ankrは有力なWeb3.0インフラとして注目度が高まっています。同プロジェクトのTwitter(ツイッター)フォロワー数は20万人を超えています。多数のイベントに出展しているということもあり、コミュニティは成長を続けている状況です。

実際にAnkrは30カ国以上の国と地域に展開しており、27種類のブロックチェーンをサポートして4万人近い開発者が参加する大規模なプロジェクトとなっています。Web3.0は今後も期待の分野でありAnkrの動きには注目です。


Date

作成日

2022.09.26

Update

最終更新

2023.03.16

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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