作成日
:2022.09.06
2023.03.16 15:30
仮想通貨(暗号資産)市場は、DeFi(分散型金融)の登場でその規模が飛躍的に拡大しています。DeFi関連サービスが様々なブロックチェーンで立ち上げられており、利用環境が整いつつあります。
その勢いは仮想通貨市場だけに留まらず、既存の金融業界を巻き込んで、社会の仕組みを変えてしまうかもしれません。Coin98(C98)は、金融業界と仮想通貨を繋ぐDeFiソリューションとして登場しました。
今回は、Coin98の概要やサービス、ネイティブトークンの使い道などについて解説します。
Coin98のコンセプトは、伝統的な金融とDeFi関連サービスの架け橋となることです。ベトナム人起業家によって立ち上げられ、2021年にBinance LaunchpadでIEOを実施しました。期待の仮想通貨関連プロジェクトとして認識されています。
IEOとは、取引所が実施するトークンセールであり、仮想通貨の公開手段の一つです。取引所が選択した仮想通貨が、トークンセールの対象となります。仮想通貨は詐欺や失敗が多いですが、取引所が関与している分だけ安全度が高いと考えられています。
C98は、総合的な機能を実装しています。DEX(分散型取引所)を軸に、オールインワンのDeFiプラットフォームとしてサービスを提供しています。
Coin98のプロジェクトは、ベトナムに本拠を置くCoin98 Financeのサポートを受けています。
Coin98 Financeは、オープンソースの金融インフラ構築を目標としており、3つの異なる役割を持っています。「Coin98 Labs」「Coin98 Ventures」「Coin98 Network」です。
Coin98 Labsは、サービスの開発活動を主導しています。Coin98 Venturesは、他のDAppなどへの投資を通じたエコシステム拡大をミッションとしています。Coin98 Networkは、業界やコミュニティ、メディアとの関係を構築します。これら3つが、Coin98を支えています。
Coin98はイーサリアム(ETH)を始め、BNBチェーン(BNB)、ソラナ(SOL)などの多数のブロックチェーンに対応しています。それぞれのブロックチェーンで、ネイティブトークン「C98」を発行しています。
マルチチェーン対応により、幅広いユーザーに訴求するだけでなく、多様なDeFi関連サービスとの関係性を築いてエコシステムを拡大できます。
加えて、クロスチェーンブリッジとしても機能します。これは、他のブロックチェーンとの互換性を確保する上で、重要な技術です。
クロスチェーンブリッジとは、複数のブロックチェーンをつないで、規格の異なる仮想通貨を相互に利用可能にする技術です。この技術が普及すれば、ブロックチェーンを跨いで仮想通貨をやり取りできます。ブロックチェーンが乱立している現在、クロスチェーンブリッジは重要な存在です。
マルチチェーンとクロスチェーン対応により、異なるブロックチェーンに存在するDeFi関連サービスの統合を目指しています。ユーザーは、多様な仮想通貨を簡単に取引したり、ブロックチェーンの違いを気にせずにDAppを利用することができます。
Coin98では、様々なDeFi関連サービスが利用可能です。主要なサービスとしては、以下のようなものが挙げられます。
Coin98ウォレットは、iOSとAndroid向けのモバイルアプリ、Google Chrome向けのブラウザ拡張機能として利用可能です。仮想通貨の送受信や保管だけでなく、Coin98の各種サービスを利用可能です。
最大の特徴は、対応するブロックチェーンの多さです。イーサリアム、BNBチェーン、ソラナに加え、ポリゴン(MATIC)やテラ(LUNA)などを含む20以上のブロックチェーンに対応しています。
従って、メジャーな仮想通貨であれば、ブロックチェーンを意識せず利用可能ですので、ユーザーにとって便利な存在です。
Coin98エクスチェンジは、クロスチェーンブリッジとして利用できるDEXです。具体的なメリットとしては、異なるブロックチェーンにアクセスできる点や、複数のDEXから有利な取引を選択できる点が挙げられます。
例えば、イーサリアムはUniSwapやPancakeSwapなど、多数のDEXで取引できます。そして、イーサリアム価格や手数料はDEXによってまちまちです。Coin98エクスチェンジを利用すると、その中から最も有利なものを選んで取引できます。
「Vault」は日本語で「金庫」を意味し、仮想通貨市場では特定のサービスを指します。仮想通貨を自動的にステーキングしたり、レンディング、セービング(預金)などのサービスに分配したりして、リターンを最適化するサービスです。
有名なものでは、大手取引所Binanceが提供する「BNB Vault」があります。投資先を自動で選び、ユーザー保有のBNBのリターン最適化を手助けします。
Coin98 Vaultも同様で、仮想通貨の安全な保管と投資の自動化を行います。
C98は、Coin98のネイティブトークンです。その最大供給量は10億通貨となっています。当記事執筆時点(2022年9月)では、全体の2割程度が発行済みとなっています。
発行されるトークンの割り当ては、以下の通りです。全体の21%がエコシステムの成長に、20%がコミュニティの発展に、22%が開発チームやアドバイザーに、25%が資金調達に、そして12%が予備です。
C98はガバナンストークンとしての役割を持っています。C98を保有していれば、DAO(自立分散型組織)でCoin98に関する投票ができます。
DAOは、Decentralized Autonomous Organizationの略で、日本語で「自立分散型組織」と訳されます。つまり、中央管理者が存在しなくとも、参加者の活動によって機能する組織を指します。中央集権型の組織と比較して、より民主的で透明性の高い存在と見なされており、ブロックチェーンの普及で広く採用され始めています。
加えて、C98でステーキングができます。預け入れ期間に応じて金利が変動し、3か月、6か月、12か月と、長期になるほど金利が高くなります。その他、ユーティリティトークンとして、Coin98での取引手数料として消費することも可能です。
C98は、上場してから早い段階で脚光を浴びました。出だしこそIEOの利益確定売りのような形で下落しましたが、一気に史上最高値となる500円台後半まで高騰しました。
画像引用:CoinMarketCap
その後は、仮想通貨市場全体が下落したこともあり、右肩下がりの値動きとなっています。2022年5月以降は落ち着きを取り戻し、50円から100円の間で横ばいとなりました。当記事執筆時点(2022年9月)では、60円前後で推移しています。この価格水準は、史上最高値の10分の1程度です。
Coin98は、クロスチェーンブリッジとしてエコシステムを拡大してきました。今後もその方針は変わらず、より多くのブロックチェーンやDAppを統合していくと考えられます。
DeFi分野の拡大を考慮すると、その未来は明るいといえるかもしれません。更なる発展のために、以下の施策にも取り組んでいます。
Coin98は、ユーザーを対象にパートナープログラムを提供しています。友人などにCoin98を勧め、その友人等がCoin98ウォレットを利用すると、紹介料が発生します。すなわち、アフィリエイトです。
これに参加するには、X-Pointと呼ばれるポイントを10万ポイント貯めると同時に、Coin98ウォレットを10名以上に紹介する必要があります。X-PointはCoin98での報酬であり、トークンではありません。
X-Pointを獲得するには、Coin98ウォレットのアプリからスワップなどの機能を利用したり、紹介した友人などが利用したりする必要があります。稼いだX-Pointの総量によって、より多くの報酬を獲得する機会が与えられます。
2022年8月以降、C98と交換して現金化も可能になりました。現金化以外にも、ブロックチェーンゲームで利用したり、X-Storeと呼ばれるストアで商品と交換したりすることもできます。
この取り組みが成功すれば、Coin98ウォレットの利用やエコシステムが更に拡大すると考えられます。
Coin98はロードマップ(開発計画)を公開しており、4つのフェーズに分けられています。2022年9月時点で、第二段階に位置しています。この段階では、市場の拡大やクロスチェーンブリッジの開発に焦点が当てられています。
第三段階では、それぞれのブロックチェーンに対応したスマート・ルーティング(取引経路を選択するアルゴリズム)を開発し、最適な価格や低いスリッページでの仮想通貨取引が可能になります。
そして最後の第四段階で、様々なブロックチェーンにスマート・ルーティングを実装して、クロスチェーンブリッジとして完成形に近づきます。
日本国内の取引所は、C98を取り扱っていません。そのため、C98を購入するなら、Bybit(バイビット)やBinance(バイナンス)などの海外取引所を利用することになります。
日本語対応の海外取引所における、C98の取り扱い状況(USDT建て現物・デリバティブ)は下記の通りです。
取引所 | 現物 | デリバティブ |
Binance(バイナンス) | 〇 | 〇 |
Bybit(バイビット) | 〇 | 〇 |
Gate.io(ゲート) | 〇 | 〇 |
CoinEX(コインイーエックス) | 〇 | × |
MEXC(メクシー) | 〇 | 〇 |
BingX(ビンエックス) | 〇 | 〇 |
Bitget(ビットゲット) | 〇 | 〇 |
Binance(バイナンス)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
Bybit(バイビット)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
Gate.io(ゲート)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
CoinEX(コインイーエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | × |
MEXC(メクシー)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
BingX(ビンエックス)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
Bitget(ビットゲット)
現物 | デリバティブ |
〇 | 〇 |
海外取引所なら、日本語対応が充実しているBybit(バイビット)がおすすめです。
仮想通貨市場では、複数のブロックチェーン上で無数のDeFi関連サービスが立ち上げられています。これらを活用するには、マルチチェーンやクロスチェーンブリッジ対応のソリューションが必要です。
Coin98は、統合的なソリューションを提供しており、様々な環境のDeFi関連サービスにアクセス可能です。特に、Coin98ウォレットは、使い勝手が良い製品として仮想通貨コミュニティで好んで利用されています。
DeFi分野の発展を支えるようなソリューションとなるでしょうか。仮想通貨投資にどっぷりとハマってみたい方は、Coin98を利用してみるのも良いでしょう。
作成日
:2022.09.06
最終更新
:2023.03.16
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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