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米大手資産運用会社がビットコイン(BTC)投資信託を開始!現物投資と比較したメリット・デメリットを解説

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update 2023.03.16 15:30
米大手資産運用会社がビットコイン(BTC)投資信託を開始!現物投資と比較したメリット・デメリットを解説

update 2023.03.16 15:30

2022年8月10日、米国の大手資産運用会社であるブラックロックが、ビットコイン(BTC)の投資信託を提供開始しました。これは同社で初となる試みです。

これまで金融業界は、様々な面で仮想通貨(暗号資産)市場の取り込みを図ってきました。近年では、一般企業や個人投資家の需要の高まりで、仮想通貨を対象にした投資商品なども出てきています。

ブラックロックの投資信託は米国向けとなっていますが、日本でもSBI証券の「暗号資産ファンド」と呼ばれる投資信託に似たファンド型の商品が立ち上げられています。今後は日本でも米国と同じく、仮想通貨を対象とした投資信託が流行すると予想されます。

ビットコインを始めとする仮想通貨への投資は、現物資産を使ってでも可能です。現物投資と比べて、投資信託にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

投資信託の仕組み

投資信託とは、投資家から集めた資金を運用して利益を出することを目的としたサービスです。

ブラックロックなどの資産運用会社は、投資商品を開発して市場に提供しています。投資家は販売会社などを通じて投資商品を購入することが可能です。集められた資金は、資産運用会社によって運用されますが、その保管は別の事業体であるカストディ企業が行います。

投資信託の仕組み説明画像

カストディ企業は銀行と同じく、国からライセンスを取得することが義務付けられています。従って、ある一定のセキュリティや運用基準を満たしていると考えられます。少なくとも米国では、仮想通貨市場のカストディ企業にも厳格な基準が適応されます。

このような仕組みを採用することで、企業による資金の持ち逃げを防ぐだけでなく、資産運用の透明性や安全性を高めることが可能となるのです。

knowledge カストディ企業は信頼できる?

仮想通貨市場ではハッキングや詐欺が日常的に発生しています。このようなリスクを排除するために、カストディ企業は様々な対策を講じています。例えば、インターネットから隔離されたコールドウォレットに資産を保有したり、保険に加入したり、出金に複数人の署名が必要なシステムを採用したりしています。リスクが全くないわけではありませんが、通常のウォレットよりも信頼性は高いといえるでしょう。

ブラックロックの投資信託

ブラックロックのビットコイン投資信託は、米国市場を対象とした私募の投資信託です。現物のビットコインを対象に投資を行います。多くの場合、私募の投資信託は、公募のものと違い、機関投資家や適格投資家に投資が限定されています。

point 適格投資家とは

適格投資家は十分な資金や経験を持った投資家のことを指します。定義は国によって異なります。ブラックロックが対象とする米国では、過去2年間で個人年収20万ドルを超える、または、純資産が100万ドル以上の個人などが該当します。

ビットコイン投資信託のリリースに先駆けて、ブラックロックは米大手取引所のコインベースと提携しています。コインベースは仮想通貨のカストディに加え、データ配信などのサービスをブラックロックに提供する見通しです。

投資信託のメリット・デメリット

投資信託には、現物投資と比較してメリットとデメリットがあります。それぞれ以下のようなことが挙げられます。

投資信託のメリット

投資信託のメリットとしては、以下の4点が考えられます。

難しい知識が不要

投資には知識が必要です。特に仮想通貨に投資するには、ブロックチェーンや個別のプロジェクトに関して理解しなければなりません。また、個人投資であれば、取引所における注文や操作や入出金作業なども手間となります。

投資信託の運用はプロが行います。従って、商品を選ぶだけで、投資が成立してしまいます。投資信託は、必ずしも成功を約束するようなものではありませんが、時間がない方や学習に自信がない方などにとっては、便利な選択肢だといえるでしょう。

管理の必要がない

通常、仮想通貨に投資をすれば、それを管理する必要に迫られます。具体的には、セキュリティ性能の高い分散型のウォレットやハードウェアウォレットに移動させたり、保証の厚い取引所を利用したりすることが考えられます。

knowledge 仮想通貨を保有するリスク

多くの個人投資家は、取引所が提供するウォレットで仮想通貨を保有しています。しかし、そこにはハッキングや詐欺のリスクが存在するので、必ずしも安全とはいえません。金額によっては複数のウォレットに分散させて、仮想通貨を保有することが推奨されています。

一方、投資信託はカストディ企業が管理を担います。万が一、これらのカストディ企業がハッキングなどの被害にあったとしても、既存の金融業界における規制に守られているので、資金を失う可能性は低いです。

手軽に分散投資ができる

投資信託の中には、様々な商品が存在します。複数の仮想通貨銘柄に投資するものも存在します。

例えば、米仮想通貨運用会社のグレースケールは、カルダノ(ADA)、ソラナ(SOL)、アバランチ(AVAX)、ポリゴン(MATIC)、ポルカドット(DOT)、アルゴランド(ALGO)、ステラ(XLM)の7種類に投資する「Smart Contract Platform Ex-Ethereum Fund」を提供しています。

現物投資で多数の仮想通貨をポートフォリオに組み込もうとすると、時間も手間もかかるので、そういった面では投資信託に利があるといえるかもしれません。

税率と納税手続き

4つ目に、納税を確認しましょう。投資信託の場合、税率は一律20.315%です。一方、現在の税制の場合、最高税率は所得税と住民税を合わせて55%になります。大きな金額を稼ぐ場合に、投資信託は特に有利になります。

また、投資信託は簡単に所得を把握できますし、特定口座の「源泉徴収あり」を利用すれば、確定申告する必要さえありません。2022年8月時点の仕組みでは、仮想通貨の取引方法によっては、1年間の所得額を把握することさえ厄介です。

投資信託のデメリット

投資信託のデメリットとしては、以下の2点が考えられます。

手数料がかかる

投資信託の運用にはコストがかかります。資産運用会社やカストディ企業、販売会社などの利益は、投資家が支払う手数料で賄われます。

投資信託には、いくつか異なる手数料が存在します。購入時手数料や信託報酬、監査報酬、売買信託手数料などが、その都度引かれていきます。投資信託ではこれらの手数料を負担しなければならないので、同じ銘柄に投資するなら現物投資の方がパフォーマンスは良いかもしれません。

売買タイミングに制限がある

ブロックチェーン上で取引される仮想通貨は、24時間いつでも取引することができます。これに対して、投資信託は基本的に営業日のみしか取引することができません。また、中には満期償還するまで保有しなければならない商品なども存在します。

長期で保有するなら問題ないかもしれませんが、急な市場の変化に対応できない可能性もあるので、売買タイミングに制限があることは、投資信託のデメリットのひとつだといえるでしょう。

ビットコインETF誕生の可能性

投資信託とは別に米国では、ビットコインETFが誕生するとの期待が高まっています。

point ETFとは

ETFはExchange Traded Fundの略称で、日本語では上場投資信託と呼ばれます。その名の通り、投資信託のように投資を行うことができるだけでなく、上場された株式のように市場でいつでも取引できるという性質を持ち合わせています。手数料が安いものが多いのも特徴的で、投資信託と現物投資のいいとこ取りのような商品になっています。

これまで資産管理会社がビットコインETFの立ち上げを米SEC(証券取引委員会)に訴えてきましたが、値動きの激しさや規制の問題などを理由に、なかなか承認されませんでした。しかし、仮想通貨市場が成熟するに伴って、ビットコインETFの誕生に対する期待が高まっています。

既にカナダや欧州などでは、ビットコインETFが取引されていますが、世界最大の投資市場を持つ米国で認可されることになれば、仮想通貨の普及を更に加速させることとなるでしょう。

もちろん日本にもその流れは波及すると予想されます。日本市場でもビットコインETFが承認されると、より仮想通貨へ投資しやすい環境が整うと考えられます。

投資スタイルに合わせた選択を

投資信託は一長一短です。従って、現物投資とどちらが優れているかは、個人の投資スタイルなどに依存します。効率よく利益を追求していくのであれば、長期で現物投資を行うと同時に、DeFi(分散型金融)関連サービスなどを利用して、配当収入のように副次的な収益を稼ぐのが良いでしょう。

日本では仮想通貨を対象とした投資信託やETFは、まだ取り扱われていないので、とりあえずは仮想通貨の勉強をしてみるのも悪くないかもしれませんね。どちらにせよ、投資信託を購入することが可能となれば、面倒な設定やセキュリティ対策に神経を尖らせる必要もなくなるので、日本での登場することが待ち望まれています。


Date

作成日

2022.08.15

Update

最終更新

2023.03.16

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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