Select Language

国税庁が仮想通貨税制のFAQを更新!ステーキングやレンディングについても回答

国税庁が仮想通貨税制のFAQを更新!ステーキングやレンディングについても回答

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2023.10.25 11:05
国税庁が仮想通貨税制のFAQを更新!ステーキングやレンディングについても回答

update 2023.10.25 11:05

2021年12月22日、日本の国税庁は「暗号資産に関する税務上の取り扱いについて」と題するレポートの改訂版を公開しました。[1]その中で、国税庁は仮想通貨(暗号資産)税制のFAQを更新しており、様々な質問に対する回答を提示しています。

仮想通貨需要が高まる中、国税庁はこのレポートを通じて、仮想通貨に関する税制の明確化を目的にしています。このレポートは、2021年6月30日に公開されたものを更新する形で公開されましたが、どのような点が変更・追加されているでしょうか。

ステーキング等の取り扱い

今回、レポートの中に追加されたものとしては、仮想通貨のステーキングとレンディングの取り扱いに対する回答が注目を集めています。

国税庁は「マイニング、ステーキング、レンディングなどにより暗号資産を取得した場合の所得税又は法人税の課税関係はどのようになりますか」との問いに、「その取得に伴い生ずる利益は所得税又は法人税の課税対象となります」と回答しました。このことから、ステーキングとレンディングは、マイニングと同じように課税されることが明らかになりました。

マイニングとは、ビットコイン(BTC)を始めとするPoW(プルーフ・オブ・ワーク)のコンセンサスアルゴリズム(ブロックチェーンにおけるブロック生成のルール)を採用するブロックチェーンで、取引を承認する計算を実行して、引き換えに仮想通貨の報酬を獲得することを指します。

一方、ステーキングとレンディングは、マイニングがコンピュータやその電力を必要とするのに対して、保有する仮想通貨を活用して利益を生み出す行為です。

ステーキングはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)のコンセンサスアルゴリズムを採用する仮想通貨で実行できます。具体的には、保有する仮想通貨を特定の状態で保管することで、マイニングと同様にブロックの承認作業に参加して報酬をもらえます。レンディングとは、手持ちの仮想通貨を誰かに貸し出すことで金利収入を得られるサービスです。

今では、取引所のサービスなどを介してステーキングやレンディングを利用できるようになりましたが、税制に注意が必要です。

knowledge 国内取引所のステーキングサービス

Binance(バイナンス)やBybit(バイビット)を始めとする海外取引所では、幅広い銘柄のステーキングサービスに対応しています。最近では、日本国内でもテゾス(XTZ)などの銘柄を対象にステーキングサービスが始まっています。将来的に、人気仮想通貨のイーサリアム(ETH)がPoSを基礎とするシステムに移行することを考えると、このような取引所によるステーキングサービスは拡大していく可能性があります。

ステーキング等の課税ルール

では、ステーキングとレンディングの課税ルールはどのようになっているでしょうか。

国税庁は、ステーキングとレンディングがマイニングと同等の扱いになるとした上で、報酬として獲得した仮想通貨は仮想通貨の取得時点の価格を基準に、総収入金額に算入すべきだと示しました。つまり、報酬が発生した際には、その後の値動きに関わらず税額が決まりますので、報酬発生後の価格変動に注意が必要です。

加えて、国税庁は「マイニング等(ステーキングやレンディングを含む)に要した費用については所得の金額の計算上必要経費に参入されることになります」とFAQの中で回答しています。例えば、マイニングで獲得した報酬であれば、そのために使用した機材の購入費用や減価償却費(使用可能期間にわたって分割して計上するパソコンなどの費用)、電気代などが必要経費として認められることになります。一方、ステーキングやレンディングに関しては、手数料などが必要経費になると考えられます。

最大55%の総合課税は変わらず

現行の税制では、仮想通貨は「雑所得」に分類され、他の所得と合わせて「総合課税」の対象となっています。従って、仮想通貨の税制は課税所得額に応じて変化する累進課税となっており、最大45%の税率が設定されています。課税所得が4,000万円を超えると、仮想通貨に関する税金は住民税と合わせて最大55%となります。

所得金額 所得税率 住民税
195万円以下 5% 10%
195万超~330万以下 10%
330万超~695万以下 20%
695万超~900万以下 23%
900万超~1,800万以下 33%
1,800万超~4,000万以下 40%
4,000万超 45%

所得金額195万円以下

所得税率 住民税
5% 10%

所得金額195万超~330万以下

所得税率 住民税
10% 10%

330万超~695万以下

所得税率 住民税
20% 10%

695万超~900万以下

所得税率 住民税
23% 10%

900万超~1,800万以下

所得税率 住民税
33% 10%

1,800万超~4,000万以下

所得税率 住民税
40% 10%

所得金額4,000万超

所得税率 住民税
45% 10%

株式や外国為替などのキャピタルゲイン(資産の譲渡益)にかかる税金が、「分離課税」で一律20%であることを考慮すると、仮想通貨の税金はかなり高額だといえるでしょう。また、隣国の韓国を含めて、海外諸国の多くが仮想通貨にかかる税金を20%前後にしていることからも、高い税制は国内投資家の不満となっていました。

このような背景から、日本暗号資産ビジネス協会が仮想通貨にかかる税金を分離課税の20%に定めるべきだと論じるなど、国内では仮想通貨税制の改定を求める声が高まっています。しかし、国税庁は原則として雑所得として取り扱うという姿勢を崩していません。

仮想通貨の確定申告は正確に

最近、日本では日本メタバース協会が設立されるなど、メタバース(インターネット上に構築された三次元の仮想空間)分野の取り組みが活発になってきています。その中でPlay-to-Earn(遊びながら稼ぐ)の要素を取り入れたブロックチェーンゲームが登場しており、NFT(ゲームアイテムなどをトークン化するためなどに用いられる仮想通貨)と共に急速な広がりを見せています。

このように、仮想通貨市場では新しいサービスが開発されており、それに伴って税制も複雑になっていくことが予想されます。当記事執筆時点で、国税庁はPlay-to-EarnやNFTに関して明確な方針を示していませんが、仮想通貨の税制はどのように変化していくでしょうか。

仮想通貨への投資を検討しているのであれば、仮想通貨の税制に関する動向を把握する必要があるでしょう。


Date

作成日

2021.12.28

Update

最終更新

2023.10.25

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

Bybitが日本ユーザーの新規登録を停止!日本撤退で海外FXユーザーにも影響大か?

Bybitが2025年10月31日をもって日本ユーザーの新規登録停止を発表しました。既存ユーザーは継続利用できるものの、締め出しも時間の問題と予想する声も少なくありません。本記事では、Bybitの発表内容や海外FXユーザーへの影響などを解説します。
update2025.11.06 19:00

Vantage Tradingで出金遅延、担当者が語る原因と対応

Vantage Tradingで銀行出金に関する遅延が確認されています。出金申請後に着金まで時間を要するケースが報告されており、SNS上でも混乱が発生している状況です。原因としては入金額の急増や決済システム側の処理制限が影響しているものと見られます。
update2025.10.24 19:00

XMTradingの入出金で銀行口座凍結?海外FX禁止の銀行に注意

SNS上では「XMTradingの出金で銀行口座が凍結された」とする投稿が一部で見受けられます。銀行によっては海外FXとの取引を禁止しているため注意が必要です。本記事では凍結リスクが高い銀行や仮想通貨送金の注意点を説明します。
update2025.09.03 19:00

bitcastleは詐欺業者?口座開設ボーナスで出金拒否多数

SNS上ではbitcastleから「出金できない」「口座を凍結された」といった報告が相次いでいます。本記事では、bitcastleで報告されている出金トラブルを紹介するほか、bitcastleは詐欺業者なのかどうか説明します。
update2025.10.21 19:30

XMはゴールド(XAUUSD)のスプレッドも広い?ボーナス取引で実質お得

XMTradingのゴールド(XAUUSD)はスプレッドこそ狭くないものの、スワップフリー口座や豪華ボーナス、約定スピードの速さで十分に利用の検討余地があると言えます。当記事ではXMTradingでゴールド取引が向いている・向いていないトレーダーを他社と比較しながら解説していきます。
update2025.10.22 19:00

Exnessで10月に2度もサーバーダウン!?SL設定のユーザーは損失補填

海外FX業者のExnessで、10月に2度のサーバーダウンが発生しています。一連のトラブルが原因で、損失を被ったユーザーも少なくないようです。本記事では、報告されている不具合やExnessが実施した補償などについて説明します。
update2025.10.30 19:30

FXGT破綻の噂がSNSで再浮上、CEOは「完全なデマ」と否定

海外FX業者のFXGT(エフエックスジーティー)が「経営破綻の危機にある」との噂が一部で広がっています。噂が流れているのは主にX(旧Twitter)で、FXGT公式はこれを否定しています。当サイトではFXGTにこれらの噂について、事実確認を行いました。
update2025.11.04 19:30

メタマスク等の利用が規制対象に?金融庁がDEXの規制を議論

暗号資産WGでの議論を発端に、SNS上で「DEX利用が非合法化されるのでは?」といった投稿が話題になっています。本記事では、金融庁で議論されたDEX規制の現状や、SNSで広まる情報の真偽、海外FXユーザーへの影響などを解説します。
update2025.10.28 19:00

Peska(ペスカ)は本当に安全?評判は悪くないが入出金リスクに注意

PeskaはFX業者とのコラボキャンペーンなどをきっかけに、急速にユーザーを増やしているオンラインウォレットです。しかし、新興サービスのため利用すべきか迷うという人も少なくありません。この記事ではPeskaの安全性や評判、オンラインウォレット業界が抱えるリスクなどを説明します。
update2025.09.29 19:30

XMのビットコインスプレッドはExnessの2倍広い!それでも「ナシ」ではない理由とは?

Myforex編集部では、2025年1月10日〜4月10日の3ヶ月間にわたり、XMTradingにおけるビットコインのスプレッドを独自調査。その結果、狭い業者と比べて2倍以上の差があることが分かりました。
update2025.09.05 19:00

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル