作成日
:2021.12.28
2023.10.25 11:05
2021年12月22日、日本の国税庁は「暗号資産に関する税務上の取り扱いについて」と題するレポートの改訂版を公開しました。
その中で、国税庁は仮想通貨(暗号資産)税制のFAQを更新しており、様々な質問に対する回答を提示しています。仮想通貨需要が高まる中、国税庁はこのレポートを通じて、仮想通貨に関する税制の明確化を目的にしています。このレポートは、2021年6月30日に公開されたものを更新する形で公開されましたが、どのような点が変更・追加されているでしょうか。
今回、レポートの中に追加されたものとしては、仮想通貨のステーキングとレンディングの取り扱いに対する回答が注目を集めています。
国税庁は「マイニング、ステーキング、レンディングなどにより暗号資産を取得した場合の所得税又は法人税の課税関係はどのようになりますか」との問いに、「その取得に伴い生ずる利益は所得税又は法人税の課税対象となります」と回答しました。このことから、ステーキングとレンディングは、マイニングと同じように課税されることが明らかになりました。
マイニングとは、ビットコイン(BTC)を始めとするPoW(プルーフ・オブ・ワーク)のコンセンサスアルゴリズム(ブロックチェーンにおけるブロック生成のルール)を採用するブロックチェーンで、取引を承認する計算を実行して、引き換えに仮想通貨の報酬を獲得することを指します。
一方、ステーキングとレンディングは、マイニングがコンピュータやその電力を必要とするのに対して、保有する仮想通貨を活用して利益を生み出す行為です。
ステーキングはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)のコンセンサスアルゴリズムを採用する仮想通貨で実行できます。具体的には、保有する仮想通貨を特定の状態で保管することで、マイニングと同様にブロックの承認作業に参加して報酬をもらえます。レンディングとは、手持ちの仮想通貨を誰かに貸し出すことで金利収入を得られるサービスです。
今では、取引所のサービスなどを介してステーキングやレンディングを利用できるようになりましたが、税制に注意が必要です。
では、ステーキングとレンディングの課税ルールはどのようになっているでしょうか。
国税庁は、ステーキングとレンディングがマイニングと同等の扱いになるとした上で、報酬として獲得した仮想通貨は仮想通貨の取得時点の価格を基準に、総収入金額に算入すべきだと示しました。つまり、報酬が発生した際には、その後の値動きに関わらず税額が決まりますので、報酬発生後の価格変動に注意が必要です。
加えて、国税庁は「マイニング等(ステーキングやレンディングを含む)に要した費用については所得の金額の計算上必要経費に参入されることになります」とFAQの中で回答しています。例えば、マイニングで獲得した報酬であれば、そのために使用した機材の購入費用や減価償却費(使用可能期間にわたって分割して計上するパソコンなどの費用)、電気代などが必要経費として認められることになります。一方、ステーキングやレンディングに関しては、手数料などが必要経費になると考えられます。
現行の税制では、仮想通貨は「雑所得」に分類され、他の所得と合わせて「総合課税」の対象となっています。従って、仮想通貨の税制は課税所得額に応じて変化する累進課税となっており、最大45%の税率が設定されています。課税所得が4,000万円を超えると、仮想通貨に関する税金は住民税と合わせて最大55%となります。
所得金額 | 所得税率 | 住民税 |
195万円以下 | 5% | 10% |
195万超~330万以下 | 10% | |
330万超~695万以下 | 20% | |
695万超~900万以下 | 23% | |
900万超~1,800万以下 | 33% | |
1,800万超~4,000万以下 | 40% | |
4,000万超 | 45% |
所得金額195万円以下
所得税率 | 住民税 |
5% | 10% |
所得金額195万超~330万以下
所得税率 | 住民税 |
10% | 10% |
330万超~695万以下
所得税率 | 住民税 |
20% | 10% |
695万超~900万以下
所得税率 | 住民税 |
23% | 10% |
900万超~1,800万以下
所得税率 | 住民税 |
33% | 10% |
1,800万超~4,000万以下
所得税率 | 住民税 |
40% | 10% |
所得金額4,000万超
所得税率 | 住民税 |
45% | 10% |
株式や外国為替などのキャピタルゲイン(資産の譲渡益)にかかる税金が、「分離課税」で一律20%であることを考慮すると、仮想通貨の税金はかなり高額だといえるでしょう。また、隣国の韓国を含めて、海外諸国の多くが仮想通貨にかかる税金を20%前後にしていることからも、高い税制は国内投資家の不満となっていました。
このような背景から、日本暗号資産ビジネス協会が仮想通貨にかかる税金を分離課税の20%に定めるべきだと論じるなど、国内では仮想通貨税制の改定を求める声が高まっています。しかし、国税庁は原則として雑所得として取り扱うという姿勢を崩していません。
最近、日本では日本メタバース協会が設立されるなど、メタバース(インターネット上に構築された三次元の仮想空間)分野の取り組みが活発になってきています。その中でPlay-to-Earn(遊びながら稼ぐ)の要素を取り入れたブロックチェーンゲームが登場しており、NFT(ゲームアイテムなどをトークン化するためなどに用いられる仮想通貨)と共に急速な広がりを見せています。
このように、仮想通貨市場では新しいサービスが開発されており、それに伴って税制も複雑になっていくことが予想されます。当記事執筆時点で、国税庁はPlay-to-EarnやNFTに関して明確な方針を示していませんが、仮想通貨の税制はどのように変化していくでしょうか。
仮想通貨への投資を検討しているのであれば、仮想通貨の税制に関する動向を把握する必要があるでしょう。
出典元:
作成日
:2021.12.28
最終更新
:2023.10.25
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。
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