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CoincubがCrypto-Tax-Report 2023を発表|各国の仮想通貨税制を比較|無税の国と税金が安い国

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update 2024.06.12 20:49
CoincubがCrypto-Tax-Report 2023を発表|各国の仮想通貨税制を比較|無税の国と税金が安い国

update 2024.06.12 20:49

caution 『Crypto-Tax-Report 2023』を基に作成

当記事はCrypto-Tax-Report 2023を基に構成されています。報告書を直接ご覧になりたい場合、下のバナーから閲覧可能です。

2023年7月、Coincubがレポート「Crypto-Tax-Report 2023」を公開し、仮想通貨(暗号資産)関連の利益に対する各国の税率等を報告しました。

当記事では、レポートの中から無税の国と税金が安い国を選んで紹介します。また、日本の税制についても解説します。

Coincubがレポートを発表

国別の税率
国別の税率

画像引用:Crypto-Tax-Report 2023

2023年7月末、Coincubが「Crypto-Tax-Report 2023」を公開し、世界各国の仮想通貨税制に関する調査結果を報告しました。

point Coincubとは

CoincubはWeb3や仮想通貨関連のデータを取り扱う調査会社で、アイルランドのダブリンに本社を構えています。2023年に「EU Business News」の「Irish Enterprise Awards」を受賞しており、欧州で注目の企業です。

具体的には、ビットコイン(BTC)を1年以上保有した後に売却益を得た場合の税率について、各国を比較しています。

税率に関する情報は、政府や公的機関の一次情報を基本にしつつ、国際金融機関の発表なども加味されています。なお、税制の改正や所得金額次第で税率が変わる可能性があるので、注意が必要です。

仮想通貨の売買益に対して無税の国

仮想通貨(暗号資産)の売買益に対して税金がかからない国として、以下の国々が挙げられています。

UAE(アラブ首長国連邦)

UAEは所得税を徴収しておらず、首長国ごとに独自の税制を採用しています。また、フリーゾーン内での税率は0%に設定されており、UAEを仮想通貨ハブとして発展させる狙いがあります。

シンガポール

シンガポールは仮想通貨に最も友好的な国のひとつです。個人に対する所得税率は最高22%で、キャピタルゲイン税はありません。

マレーシア

一般的にキャピタルゲインに税金はかからず、仮想通貨も非課税です。ただし、頻繁に取引をして利益を得ている場合は、課税対象になる可能性があります。

ポルトガル

個人が仮想通貨を1年以上保有する場合、キャピタルゲイン税の対象になりません。しかし、保有期間が1年未満の場合、28%の税金が課税されます。

スイス

税制は州によって異なるものの、全般的に仮想通貨関連の所得は非課税です。およそ1万8,000ドルが所得控除されるので、それを超えない範囲であれば課税されません。

その他の国や地域

その他、無税の国や地域として以下が挙げられています。

  • アンティグア・バーブーダ
  • バハマ
  • ベルギー
  • バミューダ
  • ケイマン諸島
  • エルサルバドル
  • ジョージア
  • ドイツ
  • インドネシア
  • ルクセンブルグ
  • マルタ共和国
  • パナマ
  • セーシェル
  • 台湾

仮想通貨の売買益に対して税率が低い国や地域

仮想通貨(暗号資産)の売買益に対する税率が19%未満の国や地域として、以下の国等が記載されています。

アルゼンチン

アルゼンチンでは、仮想通貨のキャピタルゲイン税の税率は15%です。租税回避を防止するために、税率を低く維持しています。

香港

香港では、仮想通貨にキャピタルゲイン税がかからず、およそ16.5%の所得税が課せられます。無税となる可能性がありますが、仮想通貨の税制は常に変化しているので専門家への相談が必要です。

タイ

タイで仮想通貨にかかる税金は、15%のキャピタルゲイン税です。15%の源泉徴収と7%の付加価値税は免除されています。

ポーランド

ポーランドでは所得に対して一律19%の税率が採用され、仮想通貨も同様です。小規模な企業や事業として認定された場合には、15%の税率が適用されます。

ギリシャ

ギリシャではキャピタルゲイン税として15%の税金がかかり、仮想通貨はマイニングを含めて付加価値税の対象外です。

point マイニング

PoW(プルーフ・オブ・ワーク)型のブロックチェーンの維持に貢献して、報酬として仮想通貨を得ることを指します。PoS(プルーフ・オブ・ステーク)型のブロックチェーンの場合はステーキングと呼ばれます。

その他の国や地域

その他、無税の国や地域として以下が挙げられています。

  • ブルガリア
  • キプロス
  • ギブラルタル
  • ハンガリー
  • カザフスタン
  • リヒテンシュタイン
  • リトアニア
  • ナイジェリア
  • メキシコ
  • プエルトリコ
  • ルーマニア
  • スロベニア

日本の仮想通貨税制

国別の税率
国別の税率

画像引用:Crypto-Tax-Report 2023

日本は、仮想通貨関連の所得に対する税が最も重い国のひとつです。

日本の税制では、仮想通貨取引から得た所得に対して最大45%の所得税がかかり、さらに10%の住民税が加算されて最大55%となっています。

また、仮想通貨取引の利益は雑所得に分類され、特別控除がない、赤字の繰越ができない、株式等と損益通算できないという特徴もあります。

point 雑所得とは

雑所得とは事業所得や給与所得などに該当しない所得を指し、仮想通貨取引による収入や公的年金などが該当します。

諸外国と比較して、日本の仮想通貨税制は厳しく、業界や投資家から不満の声が挙がっています。

以前から、業界団体などから政府に対して税制改善提案がなされてきました。最近では、2023年10月に一般社団法人新経済連盟が税率の引き下げを提案しています。その中には、申告分離課税や損失繰越の採用なども含まれています。

各国政府の方針はまちまち

世界各国で仮想通貨税制が整備され始めています。仮想通貨を優遇する国、株やFXなどと同等の扱いにする国、あるいは重税を課す国など、その方針はまちまちです。

Crypto-Tax-Report 2023に記載された税率は発行時点のものであり、時とともに変化します。今後も、各国政府の動きをウォッチする必要がありそうです。


Date

作成日

2023.12.18

Update

最終更新

2024.06.12

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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