Select Language

世界最大級のP2Pファイル共有プラットフォーム、BitTorrent(BTT)を解説

世界最大級のP2Pファイル共有プラットフォーム、BitTorrent(BTT)を解説

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2025.03.15 18:35
世界最大級のP2Pファイル共有プラットフォーム、BitTorrent(BTT)を解説

update 2025.03.15 18:35

BitTorrent(BTT)は、2000年代に流行した世界的なソフトウェアとして知られています。主に音楽や動画などのファイルを共有することに利用され、2019年に発行されたホワイトペーパーによると「今日のアクティブユーザー数は、1億人超」とされています。

仮想通貨(暗号資産)やブロックチェーンが普及し始めていることもあり、BitTorrentは仮想通貨関連プロジェクトに形を変えて開発が継続されています。BitTorrentとはどのようなプロジェクトなのでしょうか。

当記事ではBitTorrentの概要やサービス、独自仮想通貨であるBTTの将来性などについて解説します。

BitTorrentの概要

元々、BitTorrentは2001年にサービスを開始したP2Pのファイル共有プラットフォームです。その名称は「Bit(デジタル通信における基本単位)」と「Torrent(急流)」に由来しています。

2018年7月にBitTorrentは、仮想通貨(暗号資産)関連プロジェクトのトロン(TRON)を推進するトロン財団によって買収されました。これに伴って、BitTorrentは仮想通貨やブロックチェーンなどの技術を取り込み、世界最大級の分散型プロトコルとなりました。

point プロトコルとは

プロトコルとは、コンピュータで情報をやり取りするために定められた規格です。仮想通貨市場では、決まった形でDApps(分散型アプリ)などとの通信を可能にすることから、土台として利用されるブロックチェーンのことを「ブロックチェーンプロトコル」と表現することがあります。

BitTorrentはブロックチェーンを採用することで、より分散化されたシステムに移行しています。加えて、独自仮想通貨のBTTを導入しており、トークンエコノミー(仮想通貨による経済)がエコシステム拡大に貢献すると考えられます。

P2Pでのファイル共有とは

「P2P」とは、複数のコンピュータが構成したネットワークで、個人同士がつながる通信方式のことを指します。P2Pの対極にあるのが、中央集権型のサーバに各個人が接続する「クライアント型」の通信方式です。

P2Pとクライアント型の通信方式の違い

既存の環境では、主にクライアント型の通信方式が利用されています。例えば、YouTube(ユーチューブ)で動画を視聴する際には、手持ちの端末から同社が管理するサーバにアクセスすることが求められます。

一方、BitTorrentを始めとするP2Pのファイル共有プラットフォームでは、仲介となるサーバを必要とせず、個人間の通信による情報のやり取りが可能です。ネットワークに任意の動画ファイルを持っている者が存在すれば、そこに直接アクセスできるのです。

BitTorrentが提供する主なサービス

BitTorrentは新しいエコシステムの中で様々なサービスを提供しています。主要なものとしては、以下3つが挙げられます。

BitTorrent Speed

BitTorrent Speedは、BitTorrentのファイル共有プラットフォームを、より良い環境で使えるようにするサービスです。ユーザーはBTTを入札する形で、優先権を得てダウンロードのスピードなどのパフォーマンスを向上させられます。

反対にファイルをネットワークに共有して、他のユーザーのアクセスを手助けすると、報酬としてBTTを獲得できます。このプロセスをBitTorrentでは「シード」と呼びます。シードする時間が長ければ長いほど、獲得できる報酬は多くなります。

BitTorrent File System

BitTorrent File Systemは、分散型のストレージです。Apple社のiCloudやGoogle社のGoogleドライブなどに代表されるクラウドストレージは、中央集権型のシステムにデータを保存します。

一方、BitTorrent File Systemは、分散化されたネットワークの中でデータを管理します。ユーザーはストレージを利用するだけでなく、データを保管するストレージスペースを提供することでBTTを稼ぐこともできます。

knowledge 分散型ストレージの利点

分散型ストレージは、中央集権型のものと比較して、いくつもの利点があります。主なものとしては、ハッキングを受けにくいことや、運営側に情報を悪用されないこと、電力やハードディスクなどのリソースを効率よく運用できることなどが挙げられます。

DLive

DLiveはiOSとAndroid向けにリリースされているライブ配信アプリです。DLiveは自身をライブストリーミングコミュニティとして位置付けており、配信者と視聴者の両方にメリットがある仕組みを構築しています。

DLiveでは配信者にBTTが報酬として分配されると同時に、視聴者にも報酬が付与されます。今のところ、ゲームのライブ配信を中心としたプラットフォームとなっています。

BTTの使い道

獲得したBTTは、上場されている取引所で現金化できます。2022年8月時点では、国内取引所への上場はありませんが、BinanceやGate.io、Krakenなどの海外取引所で取り扱われています。

その他、BitTorrentのエコシステムには、クロスチェーンブリッジに対応した独自DEX(分散型取引所)が実装されています。これを利用すれば、BTTをトロン(TRON)やイーサリアム(ETH)、BNBチェーン(BNB)を基礎とする仮想通貨(暗号資産)と交換することも可能です。

point クロスチェーンブリッジとは

クロスチェーンブリッジとは、複数のブロックチェーンをつないで、規格の異なる仮想通貨を利用可能にする技術です。この技術が普及すれば、ブロックチェーンを跨いで仮想通貨をやり取りできます。ブロックチェーンが乱立している現在、クロスチェーンブリッジは仮想通貨市場で重要な存在です。

またBTTは、上記サービスの支払いやステーキングに用いることもできます。

BTTのデノミネーション

デノミネーションとは、通貨単位の変更のことを指します。

2021年後半にBitTorrentは、独自ブロックチェーンであるBitTorrentチェーンを立ち上げました。それに伴って、ティッカーシンボルのBTTを引き継ぐ形で新しい仮想通貨をリリースしています。古いバージョンの仮想通貨は、BTTOLDと表記されるようになっています。

このBTTOLDとBTTは1対1,000のレートで交換することが可能です。現時点では両方の仮想通貨がサポートされていますが、早めに交換することが推奨されています。

BTTOLDとBTTの交換レート

BTTの価格チャート

デノミネーションで新しく生まれ変わったBTTは、総供給量が約1,000倍の990兆通貨に増加しています。その影響でBTT価格は、かなり小さな単位に希釈されています。当記事執筆時点(2022年8月)で、BTTの時価総額は1,200億円程度となっており、仮想通貨市場全体では60位前後に位置しています。

2022年1月に上場された直後に、BTT価格は約0.00035円の最高値を記録しました。その後、BTT価格は右肩下がりに推移しており、最高値の3分の1を下回る水準にまで下落しています。

BTTと米ドルの価格チャート

しかし、2022年6月に底値を付け、じわじわと上昇する動きを見せています。当記事執筆時点では、0.00013円前後まで回復しています。

BitTorrentの将来性

BTT価格はBitTorrentの価値に依存すると考えられますが、その将来性はどのように見えているのでしょうか。

活発な開発活動

BitTorrentチェーンがリリースされてから、BitTorrentは4つのフェーズでのアップグレードを実行に移しています。今後はブロックチェーンの相互運用性が高まり、DAppsプラットフォームとしての機能も強化されていく予定です。

加えて、BitTorrentが提供するサービスに関しても、それぞれ開発計画が公開されています。これらのサービスのパフォーマンスが向上すれば、BTTにとっても好影響だと考えられます。

法的問題が足枷となる可能性

以前からBitTorrentを筆頭に、ファイル共有ソフトは法的な問題を抱えています。ソフトウェア自体に違法性はないとの見方が強いですが、著作権を無視して動画や音楽を共有するユーザーが多数存在することから、その存在はグレーです。

これまで利用が停止されたファイル共有ソフトも多数あります。日本ではファイル共有ソフト「Winny」の開発者が逮捕されるという事件も発生しています。ネガティブなイメージやネットリテラシーが高まったことで、ファイル共有ソフトは下火になりつつあります。

BitTorrentは大規模なコミュニティを形成していますが、いつ法的責任を問われるかはわかりません。そうなれば、必然的にBTTにも負の影響があるといえるでしょう。

BTTの買い方

日本国内の取引所はBTTを取り扱っていません。そのため、BTTを購入するなら、Bybit(バイビット)やBinance(バイナンス)などの海外取引所を利用することになります。

日本語対応の海外取引所における、BTTの取り扱い状況(USDT建て現物・デリバティブ)は下記の通りです。

取引所 現物 デリバティブ
Binance(バイナンス) ×
Bybit(バイビット) ×
Gate.io(ゲート) ×
CoinEX(コインイーエックス)
MEXC(メクシー) ×
BingX(ビンエックス) ×
Bitget(ビットゲット) ×

Binance(バイナンス)

現物 デリバティブ
×

Bybit(バイビット)

現物 デリバティブ
×

Gate.io(ゲート)

現物 デリバティブ
×

CoinEX(コインイーエックス)

現物 デリバティブ

MEXC(メクシー)

現物 デリバティブ
×

BingX(ビンエックス)

現物 デリバティブ
×

Bitget(ビットゲット)

現物 デリバティブ
×
binance bybit gate.io coinex

海外取引所なら、日本語対応が充実しているBybit(バイビット)がおすすめです。

BitTorrentの可能性は未知数

既存のインターネットでは、クライアント型のサービスが主流となっています。それに比較して、P2Pのファイル共有ソフトは、セキュリティやコンプライアンス、通信の安定性などに課題を抱えています。

しかし、ブロックチェーンや仮想通貨(暗号資産)と相性が良いことや、匿名性が高いことなどの利点を兼ね備えているのも事実です。次世代のインターネット環境であるWeb3.0の世界で、BitTorrentは重要なプロジェクトとなる可能性を秘めているといえるでしょう。

ファイル共有ソフトに関心があるのであれば、BTTへの投資を検討するためにも、BitTorrentのサービスを利用して、その凄さを体感してみるのも良いかもしれません。


Date

作成日

2022.08.18

Update

最終更新

2025.03.15

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

Exnessでシステムエラーによる入出金の不具合が発生?SNSでも報告が相次ぐ

2025年10月、海外FX業者Exnessで入出金エラーが発生し、SNSでも不具合報告が相次ぎました。銀行振込やbitwalletで送金できない事例が確認されており、復旧後も不安の声が続いています。
update2025.10.16 19:00

SwiftTraderが資金難?SNSで出金トラブル報告が増加

2025年以降、SwiftTraderで出金拒否・遅延の報告がSNSで相次いでいます。本記事では報告されている出金トラブルのほか、GEMFOREXとの類似点やSwiftTraderをおすすめしない理由を説明します。
update2025.10.16 19:30

PayPayを使って海外FXとの入出金が可能に?Binance JapanとPayPayが提携を発表

Binance JapanとPayPayが業務提携を発表し、PayPayマネーを使った仮想通貨購入サービスの提供などが検討されています。本記事では、Binance JapanとPayPayの提携内容や、PayPayを使った海外FXとの入出金フローなどを解説します。
update2025.10.17 19:00

XMTradingの入出金で銀行口座凍結?海外FX禁止の銀行に注意

SNS上では「XMTradingの出金で銀行口座が凍結された」とする投稿が一部で見受けられます。銀行によっては海外FXとの取引を禁止しているため注意が必要です。本記事では凍結リスクが高い銀行や仮想通貨送金の注意点を説明します。
update2025.09.03 19:00

日本でも税率20%でビットコインのトレードが可能?IG証券がIBIT・ETHAのCFD取扱い開始

IG証券がブラックロックのビットコイン現物ETF「IBIT」、イーサリアム現物ETF「ETHA」のCFD取引を提供開始し、SNSで話題になっています。本記事では、IG証券の発表内容やSNSでの反応、国内の仮想通貨税制、海外FXとの比較などを紹介します。
update2025.10.10 19:30

Peska(ペスカ)は本当に安全?評判は悪くないが入出金リスクに注意

PeskaはFX業者とのコラボキャンペーンなどをきっかけに、急速にユーザーを増やしているオンラインウォレットです。しかし、新興サービスのため利用すべきか迷うという人も少なくありません。この記事ではPeskaの安全性や評判、オンラインウォレット業界が抱えるリスクなどを説明します。
update2025.09.29 19:30

XMTradingが新銘柄GAUUSDを追加!取引コストはGOLDより割高か

XMTradingが新たにGAUUSDなど4種類のゴールド銘柄を追加し、グラム単位で少額取引が可能になりました。この記事では、従来のGOLDとの取引コストやスワップを比較します。
update2025.10.10 19:00

暗号資産担保ローンのメリットとリスクは?ビットコイン担保に日本円を借りる動きに注目集まる

BTCなどを担保に日本円を借りられる「暗号資産担保ローン」が話題を集めています。SNSでは、仮想通貨を担保にJPYCを借り入れる動きにも関心が集まっています。本記事では暗号資産担保ローンの仕組みやメリット、リスクなどを解説します。
update2025.10.15 19:00

Exnessのスワップフリーが突然解除?!条件をサポートに直接聞いてみた

「Exnessのスワップフリーが解除された」という投稿がSNSの一部で話題になっていますが、解除の具体的な条件は公式サイトにも掲載されていません。そこで当サイトではサポートに直接条件を質問してみました。
update2025.08.25 19:00

Exnessがスプレッドを最大30%OFF!仮想通貨・株価指数で大幅縮小

海外FX業者のExnessが主要銘柄のスプレッドを縮小しています。BTCUSDは16%、ETHUSDでは23%の縮小が確認されています。本記事では縮小後のExnessスプレッドを主要なブローカーと比較しました。
update2025.10.02 19:00

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル