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世界最大級のP2Pファイル共有プラットフォーム、BitTorrent(BTT)を解説

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update 2023.03.16 15:30
世界最大級のP2Pファイル共有プラットフォーム、BitTorrent(BTT)を解説

update 2023.03.16 15:30

BitTorrent(BTT)は、2000年代に流行した世界的なソフトウェアとして知られています。主に音楽や動画などのファイルを共有することに利用され、2019年に発行されたホワイトペーパーによると「今日のアクティブユーザー数は、1億人超」とされています。

仮想通貨(暗号資産)やブロックチェーンが普及し始めていることもあり、BitTorrentは仮想通貨関連プロジェクトに形を変えて開発が継続されています。BitTorrentとはどのようなプロジェクトなのでしょうか。

当記事ではBitTorrentの概要やサービス、独自仮想通貨であるBTTの将来性などについて解説します。

BitTorrentの概要

元々、BitTorrentは2001年にサービスを開始したP2Pのファイル共有プラットフォームです。その名称は「Bit(デジタル通信における基本単位)」と「Torrent(急流)」に由来しています。

2018年7月にBitTorrentは、仮想通貨(暗号資産)関連プロジェクトのトロン(TRON)を推進するトロン財団によって買収されました。これに伴って、BitTorrentは仮想通貨やブロックチェーンなどの技術を取り込み、世界最大級の分散型プロトコルとなりました。

point プロトコルとは

プロトコルとは、コンピュータで情報をやり取りするために定められた規格です。仮想通貨市場では、決まった形でDApps(分散型アプリ)などとの通信を可能にすることから、土台として利用されるブロックチェーンのことを「ブロックチェーンプロトコル」と表現することがあります。

BitTorrentはブロックチェーンを採用することで、より分散化されたシステムに移行しています。加えて、独自仮想通貨のBTTを導入しており、トークンエコノミー(仮想通貨による経済)がエコシステム拡大に貢献すると考えられます。

P2Pでのファイル共有とは

「P2P」とは、複数のコンピュータが構成したネットワークで、個人同士がつながる通信方式のことを指します。P2Pの対極にあるのが、中央集権型のサーバに各個人が接続する「クライアント型」の通信方式です。

P2Pとクライアント型の通信方式の違い

既存の環境では、主にクライアント型の通信方式が利用されています。例えば、YouTube(ユーチューブ)で動画を視聴する際には、手持ちの端末から同社が管理するサーバにアクセスすることが求められます。

一方、BitTorrentを始めとするP2Pのファイル共有プラットフォームでは、仲介となるサーバを必要とせず、個人間の通信による情報のやり取りが可能です。ネットワークに任意の動画ファイルを持っている者が存在すれば、そこに直接アクセスできるのです。

BitTorrentが提供する主なサービス

BitTorrentは新しいエコシステムの中で様々なサービスを提供しています。主要なものとしては、以下3つが挙げられます。

BitTorrent Speed

BitTorrent Speedは、BitTorrentのファイル共有プラットフォームを、より良い環境で使えるようにするサービスです。ユーザーはBTTを入札する形で、優先権を得てダウンロードのスピードなどのパフォーマンスを向上させられます。

反対にファイルをネットワークに共有して、他のユーザーのアクセスを手助けすると、報酬としてBTTを獲得できます。このプロセスをBitTorrentでは「シード」と呼びます。シードする時間が長ければ長いほど、獲得できる報酬は多くなります。

BitTorrent File System

BitTorrent File Systemは、分散型のストレージです。Apple社のiCloudやGoogle社のGoogleドライブなどに代表されるクラウドストレージは、中央集権型のシステムにデータを保存します。

一方、BitTorrent File Systemは、分散化されたネットワークの中でデータを管理します。ユーザーはストレージを利用するだけでなく、データを保管するストレージスペースを提供することでBTTを稼ぐこともできます。

knowledge 分散型ストレージの利点

分散型ストレージは、中央集権型のものと比較して、いくつもの利点があります。主なものとしては、ハッキングを受けにくいことや、運営側に情報を悪用されないこと、電力やハードディスクなどのリソースを効率よく運用できることなどが挙げられます。

DLive

DLiveはiOSとAndroid向けにリリースされているライブ配信アプリです。DLiveは自身をライブストリーミングコミュニティとして位置付けており、配信者と視聴者の両方にメリットがある仕組みを構築しています。

DLiveでは配信者にBTTが報酬として分配されると同時に、視聴者にも報酬が付与されます。今のところ、ゲームのライブ配信を中心としたプラットフォームとなっています。

BTTの使い道

獲得したBTTは、上場されている取引所で現金化できます。2022年8月時点では、国内取引所への上場はありませんが、BinanceやGate.io、Krakenなどの海外取引所で取り扱われています。

その他、BitTorrentのエコシステムには、クロスチェーンブリッジに対応した独自DEX(分散型取引所)が実装されています。これを利用すれば、BTTをトロン(TRON)やイーサリアム(ETH)、BNBチェーン(BNB)を基礎とする仮想通貨(暗号資産)と交換することも可能です。

point クロスチェーンブリッジとは

クロスチェーンブリッジとは、複数のブロックチェーンをつないで、規格の異なる仮想通貨を利用可能にする技術です。この技術が普及すれば、ブロックチェーンを跨いで仮想通貨をやり取りできます。ブロックチェーンが乱立している現在、クロスチェーンブリッジは仮想通貨市場で重要な存在です。

またBTTは、上記サービスの支払いやステーキングに用いることもできます。

BTTのデノミネーション

デノミネーションとは、通貨単位の変更のことを指します。

2021年後半にBitTorrentは、独自ブロックチェーンであるBitTorrentチェーンを立ち上げました。それに伴って、ティッカーシンボルのBTTを引き継ぐ形で新しい仮想通貨をリリースしています。古いバージョンの仮想通貨は、BTTOLDと表記されるようになっています。

このBTTOLDとBTTは1対1,000のレートで交換することが可能です。現時点では両方の仮想通貨がサポートされていますが、早めに交換することが推奨されています。

BTTOLDとBTTの交換レート

BTTの価格チャート

デノミネーションで新しく生まれ変わったBTTは、総供給量が約1,000倍の990兆通貨に増加しています。その影響でBTT価格は、かなり小さな単位に希釈されています。当記事執筆時点(2022年8月)で、BTTの時価総額は1,200億円程度となっており、仮想通貨市場全体では60位前後に位置しています。

2022年1月に上場された直後に、BTT価格は約0.00035円の最高値を記録しました。その後、BTT価格は右肩下がりに推移しており、最高値の3分の1を下回る水準にまで下落しています。

BTTと米ドルの価格チャート

しかし、2022年6月に底値を付け、じわじわと上昇する動きを見せています。当記事執筆時点では、0.00013円前後まで回復しています。

BitTorrentの将来性

BTT価格はBitTorrentの価値に依存すると考えられますが、その将来性はどのように見えているのでしょうか。

活発な開発活動

BitTorrentチェーンがリリースされてから、BitTorrentは4つのフェーズでのアップグレードを実行に移しています。今後はブロックチェーンの相互運用性が高まり、DAppsプラットフォームとしての機能も強化されていく予定です。

加えて、BitTorrentが提供するサービスに関しても、それぞれ開発計画が公開されています。これらのサービスのパフォーマンスが向上すれば、BTTにとっても好影響だと考えられます。

法的問題が足枷となる可能性

以前からBitTorrentを筆頭に、ファイル共有ソフトは法的な問題を抱えています。ソフトウェア自体に違法性はないとの見方が強いですが、著作権を無視して動画や音楽を共有するユーザーが多数存在することから、その存在はグレーです。

これまで利用が停止されたファイル共有ソフトも多数あります。日本ではファイル共有ソフト「Winny」の開発者が逮捕されるという事件も発生しています。ネガティブなイメージやネットリテラシーが高まったことで、ファイル共有ソフトは下火になりつつあります。

BitTorrentは大規模なコミュニティを形成していますが、いつ法的責任を問われるかはわかりません。そうなれば、必然的にBTTにも負の影響があるといえるでしょう。

BTTの買い方

日本国内の取引所はBTTを取り扱っていません。そのため、BTTを購入するなら、Bybit(バイビット)やBinance(バイナンス)などの海外取引所を利用することになります。

日本語対応の海外取引所における、BTTの取り扱い状況(USDT建て現物・デリバティブ)は下記の通りです。

取引所 現物 デリバティブ
Binance(バイナンス) ×
Bybit(バイビット) ×
Gate.io(ゲート) ×
CoinEX(コインイーエックス)
MEXC(メクシー) ×
BingX(ビンエックス) ×
Bitget(ビットゲット) ×

Binance(バイナンス)

現物 デリバティブ
×

Bybit(バイビット)

現物 デリバティブ
×

Gate.io(ゲート)

現物 デリバティブ
×

CoinEX(コインイーエックス)

現物 デリバティブ

MEXC(メクシー)

現物 デリバティブ
×

BingX(ビンエックス)

現物 デリバティブ
×

Bitget(ビットゲット)

現物 デリバティブ
×
binance bybit gate.io coinex

海外取引所なら、日本語対応が充実しているBybit(バイビット)がおすすめです。

BitTorrentの可能性は未知数

既存のインターネットでは、クライアント型のサービスが主流となっています。それに比較して、P2Pのファイル共有ソフトは、セキュリティやコンプライアンス、通信の安定性などに課題を抱えています。

しかし、ブロックチェーンや仮想通貨(暗号資産)と相性が良いことや、匿名性が高いことなどの利点を兼ね備えているのも事実です。次世代のインターネット環境であるWeb3.0の世界で、BitTorrentは重要なプロジェクトとなる可能性を秘めているといえるでしょう。

ファイル共有ソフトに関心があるのであれば、BTTへの投資を検討するためにも、BitTorrentのサービスを利用して、その凄さを体感してみるのも良いかもしれません。


Date

作成日

2022.08.18

Update

最終更新

2023.03.16

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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