作成日
:2022.05.09
2022.05.13 08:50
2022年5月は、ポンド円は上目線、ポンドドルはレンジが本線です。英国、日本、米国それぞれの経済状況、それとウクライナ情勢が絡み合う複雑な事態を、できるだけ簡単に解説します!
上昇トレンド継続が本命です!
ポンドは利上げ局面で、底堅く推移すると考えています。
ただ、年内4回の利上げは織り込まれているので、ここからガンガン上昇していくイメージは持ちにくい。
対して円は、日銀の緩和政策と日本の貿易赤字による円安が進むと考えています。英国は利上げを織り込み、金利は上昇しています。日銀は緩和政策の維持を発表しており、YCC(イールドカーブ・コントロール)による低金利が続きます。日英の金利差拡大により、ポンド高円安が進むと考えています。
短期金利のマイナス金利政策と、10年物国債の金利がおおむねゼロ%程度で推移するように買入れを行うことを合わせて、短期から長期までの金利全体の動きをコントロールすることです。
また、ウクライナ情勢によるエネルギー価格、商品価格の上昇から、日本の貿易赤字が進むと考えています。
貿易赤字が進めば、支払いのために円を売ってドルを調達するので円安が進みます。円安が進むと、輸入の際の支払価格が上昇するので、さらに貿易赤字が進みます。このように、貿易赤字と円安が負のスパイラルに陥るのではないかと注目しています。
つまり、今後は円安主導でポンド円は上昇していく、というのが今の時点の見立てです。
注意点として、英中銀のハト派姿勢転換と、ウクライナ情勢による英国経済の景気後退には注意しておきたいと思います。この2点が出てくると、ポンド売りが進む可能性があるからです。詳細はポンドのファンダメンタルズを参照してください。
ポンド売りの要因はあるものの、ポンド円は上目線でいこうと思います!
4月末時点の、ポンド円日足、週足チャートを分析してみます。いったん168円付近で天井をつけて、押し目を作りました。
そこから大きく下落し、159.6円付近で押し目をつけましたが、どちらにも動きそうな形をしています。
基本路線は、買い場探しです。
画像引用:TradingView
強い上昇が続いていますが、押し目のチャンスを狙うことに変わりはありません。
画像引用:TradingView
売る場合の目安ですが、目先は上昇が強いので、活用できるまでには時間がかかりそうです。
売りで入る場合、2番天井をつけてから入るくらいがいいと思います。
基本もみ合いですが、どちらかというと米ドルが強いかと思う。
ポンドも米ドルも利上げの価格への織り込みが進んでおり、これらの上昇余地は少なくなってきています。ここから追加の利上げやQT(資産縮小)の観測で、ポンドや米ドルが動くと考えられます。
3月に英中銀は利上げを発表したものの、2月と比較すると、ややハト派に傾いていました。対して、3月のFOMCでは市場予想通りの内容と、インフレ見通しの上方修正などタカ派と受け止められる内容が出てきています。
このことから英中銀よりはFRBのほうがややタカ派で、追加利上げの可能性が高く、ポンドよりも米ドルの方が買いが強く出てくる可能性が高いのではないかと考えています。
注目するポイントはCPI(消費者物価指数)と雇用統計(平均所得)です。物価の上昇が見られれば追加利上げの可能性が出てくるので、米英両国の物価上昇を確認しておきたいと思います。
もう一つのポイントはウクライナ情勢です。地理的に英国のほうがウクライナに近いので、影響は強く表れると思います。
ウクライナ情勢による英国経済の景気後退に繋がるようであればポンド売りが進み、ポンドドルは下落するのではないかと考えています。
4月末時点での、ポンドドルの週足チャートです。
画像引用:TradingView
しっかり下に引きつけて買うようにしてください。
画像引用:TradingView
戻り売りの候補価格ですが、あまりにも強い勢いで突き抜けた場合には要注意。
節目を下に大きく抜けた場合は、非常に大きな下落となる可能性があるので気をつけましょう。
3月17日の英中銀による政策金利発表では、0.25%の利上げが発表されたものの、カンリフBOE副総裁が据え置き票を投じ、ポンド売りが進みました。
声明文の内容も、2月と比べるとハト派に傾いていました。
3月の利上げで政策金利が0.75%になっており、あと1回利上げして1.00%となれば、次は資産縮小に動くのではないかと見られています。
利上げと資産縮小のダブルで引き締めを進めた場合、一気に景気を冷やす可能性があるため、利上げ回数を調整する可能性があります。その予兆でカンリフBOE副総裁が据え置き票を投じたのではないかと考えられています。
現時点で、年内4〜5回の利上げを織り込んでいるので、資産縮小を始めて利上げ回数が後退するようであれば、ポンドの上値が重くなってくる可能性が高いと考えています。
また、ウクライナ情勢による英国経済の景気後退懸念も、利上げ見通しの後退に繋がります。ロシアに対する制裁や、エネルギー価格、商品価格の上昇など、英国経済の重しとなるような内容には注意しておきましょう。
ただ、インフレは抑えないといけないので、さらに物価上昇が続くようであれば、英中銀は追加の利上げに動くでしょう。そうなれば、ポンド買いに傾く可能性が高いので、物価指標には注意しておきましょう。
まずは、物価の上昇を確認できるCPI(消費者物価指数)に注目。CPIが前回の数字を超え、予想を上回る結果が出てきたときには、追加利上げの可能性が高くなりポンド買いが進むはず。
また、英国では人材不足が問題となり、人件費の高騰が物価上昇の要因となっています。雇用統計で平均賃金が前回値よりも上昇するなら、さらなる物価上昇に繋がり、ポンド買いにも繋がる可能性があるので注目しています。
5月の英中銀政策金利発表は、インフレーションレポートが同時発表される重要な回となり、4月中にはこのタイミングに向けて多くの要人が発言していきます。要人発言から英中銀がハト派姿勢に転換するような内容が出てくるのか、英国経済の景気後退を予想するような発言が出てくるのか、に注目したいですね。
このような内容が出てくるとポンド売りが進みますし、逆にインフレが進行して引き締めを急ぐようなタカ派な内容が出てくるとポンド買いが進みます。要人発言には常にアンテナを張りましょう。
CPI、要人の発言を注視しながら、5月の政策金利発表を待ちましょう!
作成日
:2022.05.09
最終更新
:2022.05.13
英ポンドを中心にトレードを行う大学生トレーダーで、2021年の合計利益は4,000万円にのぼる。公式Twitterでもテクニカル分析等の情報発信を行い、フォロワー数は5,000人以上。ファンダメンタル分析とテクニカル分析を組み合わせた手法を用い、Myforexでは月初にポンド通貨ペアの戦略を連載している。
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